素 敵 な か っ ぷ る 2 − 2


「じゃー最初の関門。お互いの事どれだけ知っているか、クイズで頑張って貰おう!題して『相手の認識度チェーック!!』イエ〜イ!!」

【イエ〜イ】しか言えないのか、相変わらずのノリの司会者。
場所を店内から外に移動させられ、いつの間にか用意されていた2つの解答席に乱馬とあかねは座らされていた。


「おい…何かだんだんすげーことになってねーか。」
「ほ、本当ね。さっきまでこんなに人いなかったのに…」
司会者はクイズのルール説明をフィリップでしているが、ほとんど聞かずに二人は辺りを見回していた。

TV撮影…しかも実は結構人気のあるこの『素敵なかっぷる』。
その模様を見ようと解答席周辺には人が段々増えてきていた。
春休みもあって、人の流れは多かったのも運が悪かったよう。

「イエ〜イ!!」
「「「「イエ〜イ!!」」」」
何なのか判らない司会者のノリに引っ張られる傍観者たち。
二人を除く周囲の人々は相当盛り上がっている。



「はぁ〜ったく…やってられねぇぜ…。マジで逃げてー……」
「あたしも…。」
周囲と温度差が違いすぎる二人はうんざりとその様子を見ていた。
質問コーナーですでに疲れきっている乱馬はやる気が全く無い。
あかねも同様である。
隠していた交際を全国ネットでさらされ、さらにラブラブ度を見せろと今度は自分たちも巻き込まれているのだからたまったもんじゃない。

「やっぱ逃げるか?」
「うん…こんなとこで、やっぱあたしムリ。」
二人はぼそぼそと逃げる画策を始めていた。



しかし次の司会者の言葉で一変する。

「さぁここからが、豪華商品のご紹介です!3ステージ中、1つクリアすると、なんと世界で大人気の高級調理グッズのセットをプレゼント!これなら誰でも美味しい料理が作れること間違いなし!」

「えっ!?」
今まで話を全く聞いていなかったあかねはその言葉に反応した。

「また、2つクリアすると、いいお嫁さんになってもらうために、かわいい刺繍も出来る高性能コンピューターミシンもプレゼントですよ〜。」

「えぇ〜っ!!」
プレゼント2つを見て、目の輝きが急に変わったあかね。
その様子を司会者は見逃さなかった。

「おっとあかねちゃん、このセットにすっごく興味があるみたいだね!家事とか裁縫が好きなのかな?」
「はいっ!!」
あかねは胸の辺りで手を組んで目を輝かせている。
「ほー、今からそうならば、将来はいいお嫁さんにきっとなるね。良かったね乱馬くん!」
あかねのその変わりように唖然とすると同時に嫌な予感がする乱馬。
今までのうなだれた様子があかねからはすっかり消えている。

「乱馬っ!!」
「な、何だよ。」
「何だじゃないわよ!あれ、取るわよ!!」
「な…なにぃ!?」
「格闘家ならば、やるからには全力でやらなくちゃ!!」
「マ…マジかよ…。」
予感は的中。
さっきと言っていることがすっかり変わったあかね。
それも仕方あるまい。
商品がまるであかね好みのものなので、すっかりテンションが変わってしまったのだ。
乱馬は不満いっぱいの顔をするが、有無を言わさずというようにあかねが口を開く。
「だってどっちみち思いっきり映されてるのよ?それなら納得行くまで商品いっぱい貰って帰りましょうよ!」
「あ、あのなぁ…」
その商品を取ってしまったら、ますます短いスパンであかねの料理の餌食にされるのは目に見えている乱馬。
カップルとして全国ネットでさらされた上に、命も短くなりそうなこの運命を呪い始めていた。
乱馬の複雑な思いなど知らない司会者は楽しく話を続ける。


「そして、全部クリアした時には……なんとお好きな温泉ご招待です!!」


「なっなにーーーーーー!!おいっこれって海外でもいいのか?」
司会者の言葉に、今度は乱馬が反応した。
もちろん狙うは元の体に戻すため、中国に行くのが目的に決まっている。
「アメリカでもカナダでもオーストラリアでも中国でもどこでもOK!国内もだよ。」
「その言葉に二言はないな!」
「もちろん!なるほどー乱馬くんはあかねちゃんと温泉に行きたいんだね。イヤーまいったまいった。」
事情を知るわけもない司会者は乱馬の積極的な姿をからかう。

「へ……?なっ…ち、違っ…俺は元の体に……」
力強く反応したことに、多少問題があったことに気づいてあわてて否定する乱馬。
「なっ、何言ってるんですか!」
あかねも乱馬に続いて大否定するが司会者は聞いていない。
むしろ、本当の本当のことを聞かれた方が実際は困るだろう。


ようやく二人がやる気になって司会者のボルテージも上がる。
「乱馬くんの気持ちはよーーーくわかっるよ!あかねちゃんと一緒に入りたいよね!!じゃー早速クイズを始めようか!用意はいいかなーっっ!?」
「「「「イエ〜イ!!」」」」
周囲はお馴染みの掛け声でもりあがる。


「あ、あの司会者、誤解を生むような発言だけして!!」
「な…なんてマイペースなの!?」
真っ赤になって否定する二人をよそにクイズの準備をそそくさと始める司会者。
みんなのイエ〜イ!が合図になると二人が座っている解答席の間から壁がにゅっと出てきた。
このクイズでは、お互いフィリップに書いたものが、一致すれば当たりという事である。
書いたものが見えないように壁が出てきたのである。

「さぁ二人はどれだけ答えられるかな?」

ここまで来て、もう乱馬もあきらめた。
二人はぎらりと司会者を見ると真剣な面持ちになった。
「よしあかね、俺も腹をきめた。おめーの言った通り、しっかり元取って帰るぞ!」
「うん!!」

二人は顔を見合わせ頷く。
その姿をまたも見逃さない司会者。
「いやーいつでも見詰め合っていたいのはわかるけど・・・。話聞いてよね!とにかく相談はダメだからね!じゃークイズスタート!」

ばばん♪
同じみのサウンドがなると、周囲は静かになった。
その姿に乱馬とあかねも気持ちを引き締めた。

「まず、乱馬くんへの問題!第1問 あかねちゃんの昨日の晩ご飯のメインは何でしょう!!」

「「はい?」」

その質問に2人は、止まった。

「難しいかなー?どれだけ些細なことでも話し合ってるかということにかかってるよね。晩ご飯の話、今日したかな〜。」

二人が思わす止まってしまったことを勝手に解釈してニヤリと笑っている司会者。
この様子だと一緒に暮らしていることまでは、さすがに大介たちも話さなかったのだろう。
それだけでも安心した二人はさっさと書く。
一緒に住んでいるのだから、同じ物を食べたに決まっている。
答えは簡単。


「さぁ!では、まずは乱馬くん出してねぇ…はいっ!」
出した答えはカレーライス。

「おっ、中々無難な所ついてるねぇ…。何でカレーライス?」
何でも何も一緒に食べたのだ。
一緒に住んでますので等と、全国ネットでの衝撃発言をしない方が良いと思った乱馬は
「…なんとなく。」
そう言った。

「その何となく、当たるかな?じゃーあかねちゃん出して…はいっ!」

勿論、あかねもカレーライス。

「おぉ〜っ!大当たり!すごいね〜無難なものだったから、たまたまかな?さ、どんどん次へ行こう!第2問 あかねちゃんのお父さんの名前は?これも難しいよ〜。相手の親御さんの名前は普通知らないものだからね。」

司会者の言う通り、何回も遊びに行ったり、会ったりしないと中々覚えられないが、これを乱馬が答えられないとなると問題である。
もちろん…

「おっ正解!!素晴らしいねぇ!乱馬くんポイント抑えているよ!って親の決めた許婚だから知ってないとマズイかな?はぁい、じゃー第3問…」

3問4問…とクイズは出されるが、身辺についての事が多い。
部屋の見取り図を書いたり、家族構成や姉妹の事であったり。
一緒に住んで、解りきった問題ばかりで、難なくクイズをこなしていく。
本人たちにとっては大した問題ではないクイズ。
でも通常ならば答えにくい問題ばかり。
なので周囲の人々はこの二人のカップルの親密さに驚きを隠せない。
人前でイチャつくことの出来ない二人は『無難に・・・。』そう思っておとなしくしているが、実は全国ネットですばらしいコンビネーションを見せつけていることに気がついていない。
一方、すんなり行き過ぎて、おもしろくない・・・そう思っている司会者は、二人に何をして度肝を抜かせるか・・・司会を進めながら、影でニヤリとしながら、それを考えている。


クイズの感触からして無事に終わりそうな予感がしている二人。
それは甘い考えであることは後に知ることになる。
一体どうなるのか素敵なかっぷる。
波乱は続く。


 素敵なかっぷるの続編です…。
とりあえず、TV編の出来上がっている所まで・・・。
本当に中途半端で終わります・・・ごめんなさい。
2004.9.12

続きを書いていただけるかもしれないという希望的観測で
連載作品の中に収監させていただきました。




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