ハニー
「『お姫様は、魔法使いに白鳥に変えられてしまいました。』……って、なんかいやな話だなぁ…。」
「え?なぁに?早く読んでーー。」
「お、おう。え…っと……」
「……『その魔法のせいでオデットは夜の間しか人の姿に戻れない』…ってなにぃ!変身体質なのか可哀想になぁ………。はぁ……。」
「もうっ!ちゃんと読んでよぉ!」
「はいはい。……でも、うーん。この話はやめよう。違う話にしよう。」
「イヤ。このお話がいい。」
「お父さんはこのお話イヤだ。」
「えーーっ。やーーー、読ーんーでーーっ!」
絵本を読む父とそれを聞く娘。
寝かせるために読み始めたはずだったのに、いい大人が、話が気に入らないのか、別の本にすりかえようとしている。
傍らで聞いて娘はついに我慢できなくなって、布団からガバッと起きあがった。
「どうしてこのご本だめなの?」
「…イロイロあってな。他のお話にしよう。な?」
「やーーーーーっ!」
娘はそれを阻止しようと戦いを挑み始めた。
その時、
「もう、ダメなお父さんね。いつまでたっても眠れないわよね。」
「あ、お母さん!」
そこへその様子を見かね、隣の部屋から笑いながら母親が現われた。
「もうお父さんイヤっ。全然お話わかんない!お母さん読んで!」
「そうね。お父さんこのお話苦手みたいだから、お母さん読んであげるね。」
「わーーい!」
「どこから?」
「うーんと…最初から!!」
複雑そうな顔して、でも、幸せそうに娘を見る父親と優しい声で童話を読んでいる母親。
二人に挟まれて、女の子はすっかり眠りについた。
「乱馬ったら子供じゃないんだから…」
「だってよー…白鳥に変身体質ってムースじゃあるまいし。呪泉郷思い出すぜ。」
「いいじゃない、変身体質はもう思い出でしょ。」
「でも…変身ものは避けたいな。」
「変身しても乱馬は乱馬。あたしは好きだったけど?」
「あかね…。」
後日談
(2004.7.20(笑))
「あれ?そういえば、ムースってあひるじゃなかった?」
「あー…でも白鳥拳使ってただろ…?両方のイメージがな…。」
「そっか、だから…」
(管理人も間違えたんだ…)
何なんでしょう…って、本を読みながらツッコム子供な乱馬が書きたかったのです。
愛する娘に妻。
ハニー…至って真面目です。
2004.7.14