お願い


※微妙に77の続きです。読まなくても全然問題ないけど(笑





「ふんっ!」
むっとしながらあかねは教室に入ってきた。
先ほど乱馬があかねに喧嘩を振ったせいで、ご機嫌斜めなのであった。
もちろん喧嘩相手は空の彼方。
懲りない二人。
でもそれはみんなが好きな二人の姿でもある。

むっとしているあかねに向かって、みんなが何かほほえましい表情をして迎えるもんだから、あかねは首を傾げた。

「?あ…お、おはよう…な、何?」
「ん?ううん?あかねおはよう。朝から乱馬くんを飛ばすなんて元気ねぇ。」
ゆかが笑いながらあかねに答えると、あかねはぷくっとほほを膨らませた。
「だって乱馬、起きられないのを人のせいにするんだもん!」
「聞こえてたぜ。ったく、起こしかたで喧嘩だなんて、お前らもう夫婦同然だな。」
「あぁ〜あ、熱っい熱っい!」
「なっ!大介くん、さゆり!!」
「照れるなって!」
「違〜う!!」
ただでさえ乱馬でむっとしているのに、朝から乱馬のせいでみんなにからかわれるのはさらに腹が立つと、あかねは話題をそらした。

「そ、そういえば、みんな集まって何してるの?」
「あぁ、あかねも見たでしょ?昨日の芸能ニュース!」
「そう!あのカップルに赤ちゃんが産まれたっていうの!!」
そういうとゆかとさゆりはきゃー!と盛り上がった。
「あ、見てた見てた〜!きっと可愛いでしょうね!」
「あかねもそう思うでしょ?女の子だっけ、どんな名前になるんだろうね。」
「松嶋奈々美に反町隆夫なら二人の名前をとって隆美ちゃんってどう?」
「うーんあかねの悪くないけど、二人のイメージっぽくないかもね〜。」


「いんや、やっぱあかねはセンスねぇな。苗字との語呂が悪ぃだろーが。」
そこへあかねに飛ばされた乱馬が戻ってきた。

「あら、乱馬くんおはよう。」
「早かったわね。セーフよ。間に合って良かったわね〜。」
「よぉ。ったくどこぞの色気のねー女のせいで…」
「あんたねぇ…。」
「おめーだって言ってねーだろ?」
ふふんと乱馬が言うと、あかねが腕まくりをしようとしたがゆかとさゆりに止められる。
「「ま、まぁまぁ。」」

「で、ところで乱馬くんなら二人の名前はどうなの?」
「松嶋奈々美に反町隆夫だろ?俺なら"みお"を推すな!」
どこから聞いていたのかすんなり答える乱馬。
「みお!?乱馬くんにしてはいいセンスじゃない〜。」
「俺にしてはってどういうことだ、ゆかっ!」
「まんまじゃない?でもねゆかこの名前"美しい"に"夫"よ?ちょっと男の子っぽいでしょ?」
「何であかねそんな事…あ、一緒に仲良くTV見てたのね!?」
「乱馬…俺たちにここでもあてつけかよ〜?」
「なっ!!しょ、しょーがねーだろーがTVは1台なんだから。」
「そ、そーよ!別に仲良くじゃないわよ!」
「とにかく!あかねのセンスよりましだってことだ。こいつ、この間の親戚の子の名前で奇妙な名前提案してたんだぜ?」
「あんただって、別の芸能人カップルに妙な名前つけて納得してたじゃない?あんた、人のセンス言えないわよ。」
「ふん。不器用なおめー言われたくねぇな。」
「なっ!不器用は関係ないでしょ!?この変態!」
「お、おめーこそ変態は関係ねーだろ!それに変態じゃねぇ!!」
「どうだか?」

この展開は喧嘩になるのが見えている。
また始まったとばかりに見る周囲。
みんなは巻き込まれないように少しずつ後ろに下がっていく。
ちょっとしたことでも、喧嘩したがる二人には慣れている。



「とにかくあんたに名前つけられたら、子供がかわいそうよ!」
「おめーにつけられるよりマシだっ!」
飽きずにいつまでも喧嘩している二人はクラスメートには止められないので、放置状態。
「あたしならあんたのつける名前なんか却下よ。あんたには名前考えさせられないわね!」
「何おう!それこそおめーに任せたら、子供が不幸だぜ!!」
「何よエラそうにっ!絶対あたしの方がいいわ!」
「俺だっ!」
きっ!!
二人が睨み合い、雰囲気が益々悪くなりそうになったその時……



「早乙女、天道、お前らの子供について喧嘩するよりも、先にやることいっぱいあるぞー。」


「へ?」
「え?」

その声に振り向くと、副担任の先生がいつのまにか教壇に立っていた。
「まずは俺の話を聞いてくれ。」
そう言ってにっこり笑うと、クラスメートはその言葉に大爆笑。
そして悪友たちも先生の言葉に続く。
「おまえら今から名前どっちがつけるかなんて争うなよ〜。」
「まったく気が早いのねぇ。」

「な、ななな違うっ違うぞ!おめーら!一緒に話してたじゃねーか!」
「そ、そそそそうよ!!何バカな事言ってるの!?先生違うんです!芸能人の話で…」

真っ赤になって否定するが、もう遅い。

「早乙女、天道、お前らの気持ちは判っているから、とにかく高校卒業してからにしてくれな。じゃ、今日の出席取るぞ。あ、因みにひなこ先生はお休みだ。」
「せ、先生!聞いてんのか!?」
「おう、早乙女は出席だな。聞いてるぞ!」
「「せ、先生〜!!」」


大爆笑が響く2−F。
その日、2−Fでは芸能人カップルよりも、乱馬とあかねの子供について盛り上がったことは言うまでもない。


  お願いは、先生のお願い…だったらしい(笑
  話を聞いてvv卒業後にしてvvって。
  誤解のないように言っておきます。隆美ちゃんという名前がイヤだって言う訳ではないです。
  語呂が……あれ?悪くないやん!た○しにたかみで同じ母音だわ。
  やれやれ。
2003.11.3