◆ホントはこ〜だろ 1
みのりんさま作作
「この満願丸は……」
と、九能先輩が大きな刀が入った鞘をあたし達に見せながら、わざわざのたまってくれた。
迷惑だ。とても迷惑だ。スゴク迷惑だ。
乱馬も胡散臭そうな顔でその鞘を見入っていた。
しかし、なんでこう九能先輩は、朝っぱらから変なものを見せびらかしてくれるのだろうか。
あたしは溜息をもらしていた。
さっと、九能先輩が鞘から刀を抜き出した時、突然、九能先輩に誰かが向かって行った。
「貴様!何をする!」
先輩は満願丸を持ったまま、地面に押し付けられていた。
「銃刀法違反で、現行犯逮捕する!」
その人はくびれた背広の右の内ポケットから、手錠を取り出し、九能先輩の手にかけた。
「け、警察!」
あたしは驚いて声を上げてしまった。
「いつかは、こうなると思ってたけどね。」
後ろから、聞き慣れた声がした。
振り返ってみると、なびきお姉ちゃんが目を細めて九能先輩を見ていた。
「貴様……」
九能先輩が暴れようとするのを、刑事さん(?)は見事に取り押さえていた。
「話は署で聞く。暴れると、“公務執行妨害”も追加するぞ。」
そう言って、あたし達が見守る中、九能先輩は連れられていった。
後で聞いた話によると、“銃砲刀剣類所持等取締法”こと、“銃刀法”は、『刃渡十五センチメートル以上の刀は、その所持について、住所地を管轄する都道府県公安委員会の許可を受けなければならない』そうだ。
『刀剣は、登録を受けようとするものは、文部省令で定める手続により、登録の申請をしなければならない。』そのためいろいろな面倒な手続きが必要らしい。
そして、大きな問題があった。
“銃刀法 第5条(かなり略)”
『都道府県公安委員会が、規定により許可をしてはならない者。
一、 十八歳に満たない者』
九能先輩は“十七歳”。許可はもらえない。
その後の取調べ内容については、聞いてはいない。
そういえば、ムースもかなり暗器を持っているが、確実に“銃刀法違反”にあたる。
『他人の生命若しくは財産又は公共の安全を害するおそれがあると認めるに足りる相当な理由がある者』
そういえば、『正当な理由なく所持、携帯した場合は違反行為にあたる』って話もきいた。
「………………」
みんな、法律は守ろうね。
By あかね
完
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