◆ただいまで大波乱!
第一話


「え〜〜〜?!ぐぅっ」
「しぃっ!!声が大きい!」

居間に居た良牙と奈津は、2階から聞こえてきたその声に、首を傾げた。

良牙は、上を見上げる。
奈津もつられて、視線を上に向けた。

「?あかねさん?」
「乱馬?お兄ちゃん、なにやってるんだろーね」
「面白そうだな」
「うん!」

傍でテレビを見ているなびきは思った。

誰か、この2人のシスコン&ブラコンぶりを止めろ・・・!!


−続・「ただいま」で大波乱!−


「ひ・・・ひふんだっへ(自分だって)」
「あ・・・」

端から見れば、馬鹿な光景である。
まあ、ありがちなのだが。

2人はあの後、「久しぶりに会ったんだから」と、まるで2人の運命の再会を祝うような口調で、さっさと居間を出てきたのだった。
まあ、乱馬が、話したい事がある、とあかねに耳打ちしたのが事の始まりだったのだが。
とりあえず、良牙と奈津が居るところでは話せないようなことみたいだったので、あかねを前に、彼女の部屋へと向かった。
今、あかねは自分の椅子に座って居る。
いつものように、乱馬は床に座って居たのだが。
乱馬の話を聞いて驚き、あかねが上げた叫び声を少しでも抑えるために、彼女の口を押さえていたのだった。

あかねは、離してよ、と目で訴えた。
その視線に、乱馬は気づいて、手を離す。

「で、でも・・・ホントなの?あの子を、兎溺泉に落としちゃったって」
「・・・否定できない自分が辛いが・・・マジ」

乱馬はまた、ストン、と腰を下ろした。
はあ、と溜め息を吐く。
あかねは、全く・・・と呟いた。

「良牙くんに、殺されるわよ?」
「だよな〜・・・あのシスコンっぷりだとよぉ・・・」

俺、どーしよ。
また、溜め息を吐く。
死んだら、葬式開いてくれよ?
顔を上げて、そう呟いた。
あかねは、とりあえず、鯨幕ぐらいは用意してあげるわよ、と返した。
そして・・・はぁ、とひとつ、溜め息を吐く。

「で?自分はどうなのよ」
「・・・それがよぉ。なんか良くわかんないけどさ〜」

オヤジに、また、落とされちゃって。
てへ、という効果音が付きそうなくらいの笑顔で、あかねに言った。
あかねは、目を丸くし、そして、

「・・・あっきれた!」

と言った。

「全く、ホントになにやってんのよ!折角、人が中国旅行のペアチケット当てたって言うのに!」

ガミガミと乱馬に説教をする。
彼は片耳を抑えた。

「娘溺泉に落ちた後、男溺泉に入ろうとは思わなかったわけ?!」
「・・・だってよ、あの後、なんかよくわかんねぇけど、奈津に手ぇ引かれて・・・」

ぼそぼそと口の中でしゃべる乱馬。
あかねは平然とそれを聞き取り、そして、

「帰ってきちゃったの?」

と問う。

「そう」

乱馬は、単語ひとつで返した。
あかねは眉間に皺を寄せ、

「・・・あんたって人は・・・!!」

と小さく拳を握る。
その拳は、怒りのパワーで、今にも乱馬の顔面にクリーンヒットしそうだった。
見かねた乱馬は、冷や汗をかき、

「や、止めろっ、早まるなっ!!」

と言い、両手を突き出し、ストップのジェスチャーを始める。
しかし、外国人に日本語が通じないように、あかねにはもう、乱馬の言葉は通じなかった。

「問答無用!吹っ飛びなさいっ!!」
「バカヤローッ!話を聞け〜〜〜」

飛んでいきつつも、イヤミだけは忘れずに捨てていく。
まるで負け犬の遠吠えだ。
やはり、父の血を受け継いでいる。

すぐ下で、水の音がした。
乱馬は、池に落ちたようだ。

+++

ばっしゃぁ〜んっ

天道家・自慢の池に落ちた乱馬。
当然のごとく、居間からそこは筒抜けていて、よく見える、よく聞こえる。
居間には、良牙と奈津が居る。

「何か落ちたな」
「そうね」

テレビに視線を奪われていた良牙と奈津は、ものすごい音と水飛沫に、目を移した。
夕日に、水が赤く見える。
奈津は、その光景に、目を奪われた。
・・・別の意味でも。

「痛ってぇ〜!!」

モロに腹打ちをした乱馬。そして、池の底のコンクリートにも頭をぶつけたらしい。
当然のごとく、そこは水の塊でして。
乱馬は、水を被り、女となってしまったのだった。

「あ〜!!この人!私を泉に突き落とした人だわ!!」
「なにぃ〜?!奈津、泉に落ちたのか?!」

さっき言わなかったじゃないか!と良牙が奈津の肩をガシっと掴み、揺らす。
奈津は揺られながら、

「そう!言うの忘れてたけど!しかも、何の泉かわかんないけど!」

と精一杯答えた。
なびきは視線を変えずに、

「トリ○アの泉じゃなーい?」

と平然として答えた。
この2人なら、いい反応を見せてくれるだろう、と期待をしながら。
お膳の上のクッキーに手を伸ばす。

「ありうるわ!!」

奈津はそう発言したなびきを見、真顔でそう言った。
どうやら、真面目にとってしまったらしい。

「しかし、それならおまえは、水を被ると、トリ○アになってしまうのだぞ?」

これは悩みものだ、とこちらも真剣に取る良牙。
うーん、と考え込んでしまった。

「ああ、そうか・・・でも、ホントにありうるかも」
「んなわけあるか、バカヤロォー!!」

池に落ちたらんまは、水に浸かりながら、そう叫んだ。
まったく・・・この2人の純粋っぷりには、感心しちまうぜ・・・。
そう思い、呆れながら。

+++

「水をかければ、わかるだろ?」

奈津の手を引くらんま。
どうやら、池に入れようとしているらしい。
しかし、良牙がその手をはらう。
そして、らんまを睨んだ。

「わざわざ池に落とすことないだろ?おまえが的確に説明すればわかるんだよ!」
「この人、誰なの?乱馬は?」

状況が読み込めていない奈津。
わかっているのは、ただひとつ。
パンダとこの女の子が、私のことを泉に突き落とした、と言うこと。

「この人が乱馬くんなのよ・・・」

なびきは居間でそ、と呟いた。
がしかし、その声は届くはずも無い。
とその時、あかねが2階から降りてきた。

「何やってんの?」
「え?ああ、夏限定・響家兄妹のボケまくりショー」
「はぁ?」

なびきの意味不明な言動に、あかねは首を傾げる。
そして、2人は池に目を向けた。

「論より証拠だろ・・・大体、話そうとしても、おめぇは良くとってくれねぇもん・・・言ったままとっちまうからよぉ」

とにかく、落とすぞ。覚悟しろ、とらんまは奈津に言う。
奈津は、あなた誰か教えなさいよ、と目で訴える。
らんまはそれを察してか、

「話は後で。とにかく、落ちろ」

と言ってから、奈津の背中を押した。

「きゃ」

奈津が、池へと落ちる。

ばっしゃ〜んっ

「奈津!!らんま、何をする!!!」
「見てりゃあいいの!・・・ほら、おでましだぜ」

腕を組み、顎で池を指す。
良牙が視線を向けた先には。

「・・・兎?」
「そう。これが、奈津」

水面を泳ぐ、兎。
岩に辿り着き、あがって、ちょこん、と座る。
兎、基、奈津は、くい、と首を傾げた。

「ら〜ん〜まぁ〜〜〜!!!」
「うわあっ!!」

良牙には、どんな風に説明をしても、悪くとってしまう癖があるようだ・・・。




つづく



あわわ、ギャグになってきてしまいました・・・。
お久しぶりです!亜乱、基、華緒梨です。
とりあえず、一話進行です・・・Part.2!!ですか。名前が思い付かなかったんです・・・(死)。
『絶対Part.2』みたいですみません。実はパクりました(かなり手抜きだな)。
1日一話進行かな・・・目標だ・・・(笑)。
えーと、今回、この話は、とりあえずギャグ路線で進めます(ぉぃ)。しかし!
もちろん、乱×あ主義のあたしとしては。

かならず入れます、ラブシーン(標語)。

最後に革命を起こします(笑)。が、頑張るぞ・・・(力)!!
それでは!!(逃)


早乙女亜乱さまから華緒梨さまへと改名されて登場です。
続きが読める幸せ。
(一之瀬けいこ)