第九話 葉隠突撃流の奥義


一、

 じめじめと湿気た空気の底。流れ落ちる汗は、乾くことなく、素肌に張り付くように浮き上がる。
 梅雨末期の独特な天候。雨が降るのか降らぬのか。主体性の無い、曇った空模様の日々が続く。訪れる夏の前の嫌な季節。
 都会の真ん中も、荒野の真ん中も、さして変わりは無い。都会のジメジメ感よりは、多少、空気が濃い分「まし」かもしれないが、それでも、不快感が強い事は変わらない。

 首都圏から、そう遠くはない山間の地。

 乱馬は紅たすきに伴われて、修行のために、「鵺ヶ嶽」へと入った。最寄の駅から、更に、徒歩で山奥へ入る事、数時間。
 周りに、勿論、人家などない。上がっていく道も、車など通わない「獣道」。ハイキングコースにもならないような、荒れ果てた山道が、延々と続く。山へ入り、手入れする人影もなく、夏草や枯葉、山の木々が行く手を遮るように、覆っていた。
 それを、いちいち、自力で薙ぎ払い、切り崩しながら山へあがったものだから、到着した頃は、すっかり日も傾きかけていた。

 辺りには苔むした岩がゴロゴロと転がっている。
 良く目を凝らしてみれば、それらは、誰かが掘り抜いた石仏の姿が見える。長い年月風雨に晒された結果、掘られた顔も識別が不可能なくらい風化してボロボロになっているが、確かに、何か意図を持って彫られた石像物に見えた。それが、幾つも辺りに転がっているのである。
 何か曰くつきの土地。そんな感じであった。

 更に、上がってみて、驚いたことには、大きな掘っ立て小屋が、ポツン、ポツンとロッジのように建っていたこと。勿論、洒落たものではなく、炭焼き小屋のようなみすぼらしい木の小屋である。

「へえ…。こんな山の中なのに、雨風が凌げる場所があるなんて…。」
 腐りかけた木の戸を開くと、中はムッと澱んだ空気が流れていた。窓などという気の利いたものものない。
 埃も積み放題積もっていて、まずは、寝泊りできる場所を作らねばならないだろう。目を凝らすと、不気味な蟲たちが蠢いているのも感じる。

 どっかとリュックを脇に置いた。
 別に野宿でもかまわないと思ったが、手分けして、生活空間を確保することにした。
 一緒にここまでやって来たのは、紅たすきとつばさ。それから天道早雲と早乙女玄馬。そして、久遠寺右京と乱馬の計六人。
 この地に寝泊りしながら、乱馬の修行に付き合うというのだ。

 まだ、梅雨末期の不安定な天候は続くだろう。見てくれはともかく、小屋は頑強な作りであったし、古びているとはいえ、雨露が凌げるだけでも、ありがたいと思った。この時期の雨は、急に豪雨になることがあるし、雷とて、侮れない。
 何とか、整理し、誇りを拭い去り、寝床を確保する。
 炊事場もないが、程遠くないところに渓流があるらしく、飲料水には困らないという。

 幼少時から父親と共に、諸国を放浪し、今でも思い出したように修行に出る、早乙女親子には、きつい生活ではない。むしろ、簡素ではあるが、屋根つきの小屋がある分、テント生活よりは、幾分マシだと思われた。

「雑魚寝になるが、仕方があるまいに。」
 そう言いながら、たすきが笑った。

 一行の中で、あまり心地良い顔をしなかったのは、紅つばさだけだった。男児のくせに、どこか「女然」としている彼は、野外生活に慣れていないらしく、埃まみれになるのが、不本意なような感じを受けた。髪の毛もさらさらで、リボンなど結わえている。さすがに、スカートまでははいていないが、身だしなみも一行の中で、一番目立っていたし、小奇麗にしていた。
「お風呂もないんですかあ?」
 と不満げだ。
「風呂なんかのうても、渓流で水浴びすれば、ええことやろ?冬やないし、川の水で充分やで。」
 彼の傍らに居る、久遠寺右京の方が、さばけていた。
「えええ?そんな、こっ恥ずかしい事…。右京様と混浴…。きゃはっ!」
「アホッ!何、わけのわからんこと、言うてるねんっ!!」

 その向こう側で、乱馬がぶすっと口をへの字に結んでいる。
 それもそのはず、男ではなく、女のまま、道着を着せられて、ここまで上がらされて来たからだ。男に戻らずに、暫く、女で修行しろと言う、たすきの命があったのだ。

「何で、こんな格好してなきゃならねーんだ!元々俺は男だぜ!」
 と、文句が立て続けに口から出る。
「ぐだぐだ言うな。男らしくないのう!女のまま修行しなければ、意味がないのじゃから。わっはっは。」

 たすき爺さんによれば、相手の魁も乱馬を女と思い込んでいるので、この姿のまま、修行した方が、良いというのだ。当然、女で居る方が、小さくて筋肉も貧弱な分、力も弱いだろうし、技の切れも悪くなる。女で動き回っていれば、同じ動きを男に戻った時、俄然、力が付いていると、たすき爺さんは言うのだ。
 一理あるような気もするので、乗り気ではなかったが、渋々、女のまま、ここまで上がるのを承知した。
 姿形は女ではあるが、元は「男児」。そのことは、他の誰もが承知のことだから、女になって力が衰えていても、誰も気を遣わない。かえって、力が非力になった分、不利なことが多かった。
 それに、同行人は、誰を見ても、進んで山中を掻き分け様というツワモノではない。右京やつばさはともかく、早雲も玄馬も、当然の如く、乱馬を先頭に据え、彼が草木を薙ぎ倒すのを、後ろから眺めながら、付いて来た。
「てめえらも、手伝え、こんの野郎!」
 思わず、言葉が漏れたが、
「おまえの修行じゃろうが!自ら切り拓かんで何とする。」
と、父親の玄馬に一蹴されてしまった。
 おまけに、たすきからも、
「父上の言うとおりじゃ。本当に強くなりたいのなら、己の道は己で切り拓いて進んで行くのが、筋じゃろう。」
 と言われてしまう始末。

「畜生!何で俺だけ…。」

 文句を垂れながら、生い茂る草木を掻き分けて、目的地まで辿り着いたのだ。

 着いた時は、さすがにへとへとだった。
 小屋を整備すると、そのまま、倒れこむように眠りこける。
 蒸し暑く寝苦しい夜ではあったが、そんなことはおかまいなしだ。


 翌日から、乱馬の修行が始まった。



二、

「まずは、基本となる「葉隠突撃流」の極意を学んでもらおうかの。」
 たすき爺さんはにっと笑った。
「その前に、どのような、修行にも耐え抜く覚悟はあるかな?まずは、これを訊いておかねばなるまい。」
 
「ああ、勿論だ。どんな修行でも、耐え抜いてやる。」

 乱馬は通り一遍等の返事をした。

「宜しい。その言葉、忘れぬぞ。では、改めて修行にうつろうか。つばさ。」
 そう言うと、たすきは孫息子に目配せした。

「はい、おじじさま。」
 つばさは、つっとたすきの傍に立った。

「葉隠突撃流の基本中の基本。おまえ、見せてやれ。」
 たすきは促した。
「基本中の基本…。突撃体勢ですね。わかりました。おじじさま。」
「あっちの岩陰で準備して来い。」
 大きな岩を指差すとつばさを促した。

 一体、何が始まるのか。
 乱馬はゴクンと唾を飲む。

 と、張り詰めていた辺りの空気が一瞬緩んだ。

「突撃ーっ!!」

 いきなり大声がして、岩陰から飛び出してきた物体。
 赤い郵便ポストであった。

「突撃っ!突撃っ!突撃ーっ!!」
 叫び声と共に、乱馬目掛けて飛び込んでくる。顔だけは、にょきっと天辺から飛び出している辺りが、何とも滑稽だ。

「でっ!」
 ポストに追い回され、走り回る乱馬。お構い無しに、怒涛のように駆け抜けてくる真っ赤なポスト。辺りに茂っていた草木を、次々に薙ぎ倒しながら、二人は駆け回った。

「な、何なんだ?一体っ!」
 しつこく追いすがる赤いポスト入りつばさ。乱馬は脇の樫の大木へとジャンプして飛び上がった。
 ゆっさゆっさと揺れる枝。いきなり視界から乱馬が消えたので、つばさはキョロキョロと辺りを見回している。

「ほっほっほ。どうじゃ?変装物と気持ちごと同化し、相手に容赦なく突進する事、これが基本中の基本じゃ。」
 たすきは、乱馬がぶら下がっている木に向かって言い放った。
「だ、だから何なんでいっ!!」
 枝葉を揺らせながら、思わず叫ぶ乱馬。
「まずは、基本となる「突撃体勢」を学ぶのじゃ。ほれ。」
 促すと、玄馬パンダが、何やら真っ赤な物を抱えて来るのが見えた。つばさが入っていたのと同型の四角いポストだ。

「ほれって、まさか、俺にそれに入れとか言うんじゃねーだろうなっ!!」
 思わず目を剥いた乱馬に、爺さんはうんうんと頷いた。
「良くわかっておるではないか。まずは、基本の突撃型を、このストに入って学ぶのじゃ。それ。」
 そう言いながら、トンとポストを地面に突き立てた。

「さあ、乱馬さんも一緒に。」
 下から、つばさが見上げている。勿論、ポストにすっぽりと入ったままだ。

「ば、バカッ!んなもんに入って、修行なんかできるかよっ!!」
 見下ろしながら真っ赤になって怒鳴る乱馬。
「初心者には、ポストに入って型を覚えるのが、一番手っ取り早いんじゃ。」
「ぬかせっ!んな、恥ずかしい格好で型なんか覚えてられっか!」
 大真面目に促してくる爺さんに、乱馬は思わず、苦言を呈した。
「恥ずかしがっていては、いつまでたっても上達できぬぞっ!」
 爺さんはじろりと乱馬を見上げてくる。
「それに、おぬし、修行のためなら耐え抜くと、さっきその口で宣言したではないか。」
「そ、それとこれは別でいっ!そんな訳のわかんねえ恥ずかしい修行で、魁(あいつ)を倒せるなんて思えねーだろっ!普通っ!」

「別に、慣れたら、恥ずかしい格好じゃないですよ。乱馬さん。あなたも、きっとポストが似合います。ポストの赤色は情熱の赤!」
 つばさが横から声をかけてきた。
 その向こう側では、右京がお好み焼きを優雅に焼いているのが目に入った。
「乱ちゃん、頑張りや…。美味しいお好み焼き、作って応援したるさかい。」
 そう言いながら手を振る。
 彼女の傍では、早雲と玄馬が、ご相伴に預かっている。
「いやあ、こういう野外でいただく、お好み焼きも逸品だね。早乙女君。」
「ここに酒でもあったら、もっと楽しめるんじゃが…さすがに修行でここなで来ておるからなあ…。残念っ!」
 気楽なものだ。
「てめえらっ!思いっきり他人事だと思ってるだろっ!」
 思わずテンションが高くなる乱馬に、玄馬が口を刺した。
「何を言う。貴様の修行に、わざわざ付き合ってやってる、父親の愛情を汲め。ほら、あかね君を取り戻すためには、どんな辛い修行でも耐えぬか。わっはっは。」
 そう言うと、玄馬は右京が焼き上げたお好み焼きを頬張った。
 
 その態度に怒り心頭の乱馬。
 ざっと枝葉から手を放すと、ずかずかと玄馬に近寄り、頭から、傍に置いてあった、ミネラルウオーターのペットボトルをぶっかけた。

「ぱふぉふぉふぉふぉ(何をするっ!)」
 みるみるパンダに変身する玄馬。
「もう、てめえらには付き合いきれねえっ!!俺は、もっと他の方法で修行して、魁を倒してやるっ!」

「馬鹿者っ!そんなことでは、魁と闘っても、永遠に勝てまいよ。これは、奴を倒すのに、絶対必要な技の伝授の基本なんじゃぞ…。あかね君を奴に取られても良いのか?貴様はっ!」
 たすきは背後から、真摯な声で言い放った。
「うっせえやいっ!修行するからってここまで来てみたら。何なんでいっ!そのポスト修行はっ!誰だって、堪忍袋の緒が切れるってンだっ!」
 乱馬は荒々しく言い放つ。
「ふん!おまえ、ワシらの技、葉隠突撃流を信用しとらんな?」
 たすきは更に畳み掛ける。
「ああ、信用なんか、できっか。そんな滑稽な技。」

「ならば、とくと見よっ!葉隠突撃流の極意をっ!それから、下山するか否か決めるのだな。」
 たすきは、そう言い放つと、何やら妖しげな呪文を唱えだした。

「な、何を始めるつもりだ?」
 怪訝な顔をたすきに手向ける乱馬。その瞳が驚愕に満ち溢れるまで、時間はそうかからなかった。
 空気が変わり始めたからだ。
 たすきの呪文と共に、地面が唸り出す。

「な、何だ?この怒気は。」
「へえ、何か始まるンやな。」
 見物人を決め込んでいた、早雲と右京が、周りを見渡して、目を輝かせた。

 呪文と共に、ゴゴゴゴゴとだんだんに激しくなってくる音。
 やがて、無数に立っている石仏が、その音に共鳴するように微動し始めた。
 それだけではない。辺りに「妖気」が漂い始める。確かに、荒ぶる気が、そこここの地面から湧きあがってくるような感覚に襲われた。

「なっ…。何だ?この気っ!」

 たすきの声はお経のように、だんだんに声がでかくなっていく。それに呼応するように、石仏の揺れが顕(あら)わになってくる。やがて、たすきは手を合わせて印を結び、くわっと目を見開いた。

 と、一緒に動いていた石仏の中の一つに、ピシッという音をたてて、亀裂が走った。

 あっと思った瞬間だった。
 何か妖しげな気が、石仏の下から飛び出したように見えた。

 と、そいつは、目の前に突っ立っていた、玄馬パンダへと襲い掛かったようだ。

「ぱふぉ?ぱふぉふぉふぉふぉっ!ぱふぉーっ!!」
 玄馬が苦しげにのた打ち回る。でっかいパンダの身体がわなわなと震え、短い両手で頭を抱え込むのが見えた。

「お、親父ッ!」
 乱馬の叫び声と共に、白目を剥くパンダ。

「てめえ、親父に何をしたっ!」
 胸倉をがっとつかみかけた乱馬に、たすくは言い放った。

「悪鬼を石仏から呼び出し、おまえの父親に憑依させた。」

「なっ!何だって?」
 はっとして玄馬を見やる。
 と、パンダはよだれを垂らしながら、辺りを狂ったように徘徊し始めた。穏やかな玄馬の気ではない。まさに、何かに支配され、憑依されたような様相だった。

「この辺りはな、昔から鬼神がたくさん、封印されている、いわば禁断の土地なんじゃよ。」
「鬼神だって?」
「ああ…。天道氏の術者が古来、ここへ鬼の魂魄を封印してきた場所でもあるのだ。そして、我らが葉隠一門の荒修行の地でもある。」
 たすくは余不敵に笑いながら、言った。
「そ、そんなこと、訊いてねえぞっ!」
「当たり前だ、言っとらん!黙って見ているが良いっ!」

 ズゴゴゴゴと地面が唸り始める。と同時に、玄馬の瞳が、妖しく赤く光った。人間、いや、パンダの瞳ではない。明らかに「妖」の物であった。

「ぱふぉふぉふぉふぉっ!ぱふぉっ!」
 雄叫びを上げると、荒々しく、たすきに向かって襲い掛かる。

「葉隠れ突撃流…奥義っ!」
 対するたすきは、少しも怯むことなく、身構えると、何やら印を切った。
「突撃ーっ!!!」
 襲い来る玄馬に向かって、そのまま、突進していった。

「爺さんっ!親父っ!!」
 乱馬の絶叫が響き渡ったと同時に、爺さんの身体がふわりと浮かんだ。玄馬を前にして、身軽に空へと飛んだのだ。
 それから、爺さんは、思いっきり、右手の掌を下側に組むと、そのまま打ち付けるように、玄馬の額目掛けて打ち下ろした。

 パシンッ!

 勢い良く、平手打ちの音が響さ渡る。

「ガルルルル…ガルル…。」

 玄馬はそう、唸り声を発すると、仰向けにどおっと倒れこむ。良く見ると、倒れた彼の図体とは別に、何か白煙のような物が、叩かれた額から、ふわっと上に浮き上がるのが見えた。

「はああっ!やああっ!」
 
 たすき爺さんは、その白煙に向かって、いつの間にか手にした墨書きのお札を、繰り出す。

 キヤアアア!

 金属を削るような音が、瞬時、あがったかと思うと、白煙はなよなよと下へ沈む。そして、吸い込まれるように、たすきが持っていた札へと消えていった。


「なっ!今のは…。」
 思わず、その場に釘付けられる乱馬。

 白目を剥いて倒れていた玄馬パンダの目に、ふっと光が戻った。

「パフォ?(何だ?)」
 そう看板を上げながら、きょろきょろ辺りを見回している。

「す、凄いやんっ!爺ちゃんっ!今の技。」
 一緒に食い入るように見ていた、右京が、歓声を上げる。
「今のはおじじ様の得意技、葉隠突撃流極意、追儺撃(ついなげき)です。」
 つばさがそれを受けて、さらっと言った。
「追儺撃?」
 乱馬はきびすを返した。
「ええ、追儺(ついな)、鬼やらいのことです。憑依した悪鬼を、依代(よりしろ)から追い出し、そして札の中に追い込む、言わば「鬼退治」の必殺技です。」
 つばさがにこっと笑いながら説明してくれる。

「どうじゃ?葉隠突撃流は、本来、鬼退治のために使われていた流派。あの突撃技を習得し、応用すれば、鬼を依代から追い出せる。」

「葉隠魁に憑依している鬼も、奴から引きずり出せるってことか。」

「そういう事じゃ。どうだ?それでも、この修行をするのは嫌か?」

 乱馬はぐぐっと身を乗り出した。
「鬼を引っ張り出せるなら、俺にも勝機があるってことだ…。わかった、極めてやろうじゃねえか…。その追儺撃って技を。」
「決まりだな。」
 にっとたすきは笑った。
「この技は、まずは基本を押さえ、後は、応用として、さっきみたいに、依代に憑依させた鬼の気を打つ練習をこなすことだ。」

「依代に憑依させた鬼の気ねえ…。」
 乱馬は、すいっと視線を、パンダのほうへと移した。
 パンダに、そそくさとその場から立ち去ろうとしていた仕草が見えたからだ。

「おいっ!親父…。何処へ行く?」
 その言葉に、ピクンとパンダの肩が動いた。たらりと玄馬の毛皮に汗のようなものが浮かんでいる。
『ワシに構うな!』
 ささっと書いて差上げられた看板文字。

「てめえ…。逃げる気だろ?おいっ。」
 乱馬は手をバキバキ言わせながら、問いかける。

「ぱ、ぱふぉふぉ…。」
 違う違うと言うように、玄馬は両手を振って否定に走る。

「図星だな…。」
 乱馬はにやっと笑って、玄馬の毛むくじゃらの胸元をぐいっとつかんだ。
「てめえ、さっき、俺に『貴様の修行に、わざわざ付き合ってやってる、、あかねを取り戻すためには、どんな辛い修行でも耐け。』なんて偉そうなこと言ったよな…。」
「ぱふぉ、ぱふぉふぉ(そだっけ?)」
「言った。この耳で聞いた。」
「ふぉ?(で?)」
「あかねを取り戻すためだ。てめえも、きっちりとお役に立ちやがれっ!」
 玄馬はあわわと手足をばたつかせて、ブンブンブンと首を左右に降り始めた。嫌々という意思表示だ。
「ほっほっほ。鬼の魂魄は、人間よりも獣(けだもの)に寄り付け易いからのう…。パンダ殿がその身体を、修行のために捧げてくれれば、ワシも無駄な力を使わずとも良いから、楽だわな。」
 傍から、たすきが、のほほんと声をかけた。

「ほら、訊いたか?てめえのパンダが役に立つんだ。協力しやがれっ!」
「ぱ〜ふぉ!(やーだっ!)」
「こんのおっ!往生際が悪い親父めっ!」
 乱馬とパンダが取っ組み合いになる。

「早乙女く〜ん…。君はあかねと乱馬君の祝言がどうなっても良いとでも言うのかねえ?あかねに、鬼に魅入られたまんま、魁君の嫁になれとでも?このお、薄情者ぉ…。」
 早雲の顔が巨大化した。ゆうらゆうらと玄馬を見ながら辺りを漂う。
「おっちゃん、相変わらず、往生際悪いな…。こうなってもうたんやから、ちゃっちゃと協力したらんかいっ!」
 そう言いながら、右京もその場に加勢する。

「ぶっふぉっふぉーっ!(助けてくれーっ!)」
 看板を差上げながら、パンダは巨体を揺らせたが、結局、逃げることも出来ずに、乱馬と早雲、右京の三人に寄ってたかって、首根っこを押さえつけられてしまった。



三、

 その日から、パンダ、いや、早乙女玄馬の協力を得て、乱馬の修行が始められた。

 物事何でも基本から。と、たすきとつばさの指導で、結局、乱馬は様々な着ぐるみを装着させられて、「突撃」の型を覚えさせられた。
 勿論、不恰好極まりなく。相当、乱馬も気分を害したのだが、「何でもする」という誓いを盾にされ、渋々、着ぐるみ修行を承知したのだ。

「まずは、この角型郵便ポストから初めてみるかのう。」
 爺さんはにっと笑って、これ見よがしに、ポストを置いた。
「これに入って、それ、何でも良いから動いてみろ。」
 と言い放つ。
「ああ、わかった。」
 最初は躊躇したものの、どんなことでもやると誓いを立てた以上、やり遂げなければなるまい。
 渋々、入ってみた。

「ほお、なかなか似合っておるのう。」
「うるせえっ!」
 にんまりと笑ったたすき老人に、つい一言吐き出す。
「さて、それで動き回ってみろ。「突撃ーっ!」という台詞を忘れずにな。」
「へっ!お茶のこサイサイでいっ!」
 そう言って、動こうとした。

「う〜ん!う〜ん!…あれえ?」
 動こうとしたが、ピクリともしない。
「う〜ん、う〜ん、う〜っ!」
 顔を真っ赤にして、力んでみたが、頑強なポストはピクリともしない。
 郵便ポストと言えば鉄製。鉄はかなりの重量がある。それなりに頑強に作られているから、これを着こんで動かすとなったら、それ相応の力が必要となる。

「う〜ん、う〜ん!」
「頑張ってえっ!乱馬さまあっ!」
 唸りながらも、動こうとする乱馬の脇で、いとも涼しげにポストに入って動き回る、紅つばさ。
「う〜ん!!」
 つばさは動き回っているのに、乱馬はピクリとも動かない。

「へえ…。なかなか動かせへんのんか?」
 お好み焼きをひっくり返しながら、右京が言った。
「ばっふぉ?」
 首輪につながれ、拘束されている玄馬も目を見張る。
「なるほど。郵便ポストとはいえ、かなりの重量があるもの。あれを自在に動かすとなると、かなりの力が必要となるということだな。何かコツがあるのだろうな。」
 早雲も感心しながら眺めている。

「どうじゃ?簡単なことではあるまい?」
 まだ動かせないで居る、乱馬にたすきは話しかけた。
「あ、ああ…。思ってたより、きついんだな…。」
 全身汗だくになっている。
「ふふふ、力で動かそうと思ってはいかんのじゃよ。」
「力じゃ動かないのか?」
「力だけだったら、つばさがあんなに身軽に動けると思うか?」
 顎先でたすきがつばさを指し示しながら言った。
「うう…。確かに、そうだな。あいつにそんな力があるとは思えねえ…。」

「ふふふ。侮る無かれ、葉隠突撃流だろう?…使うのは「気」じゃ。」
「気?気だって?」
「ああ、気じゃ。力任せに動かそうとするのではなく、こう動きたいというイメージを持って気を発し、その気の高まりと力を連動させて動く。これが極意じゃ。ほら、やってみろ。」
「ああ…。」
「こう動きたいという、己の意志を気へ伝達させて力に変えてみろ。」

「う〜ん…。」
 少しだけぽそっと動いた。
「ほお、そうじゃ。そうやって、気を集中させて、力のエネルギーに変換させるんじゃ。」

 だんだんにであるが、少しずつ、ポストに包まれた体が動き始めた。

「なかなか奥が深いんだね…。葉隠流って。」
「ぱふぉ!(そうだね)」
「ふーん…。ポストに入ったまま、自在に動き回れるつばさも、そう、侮れないって事やねんな。」
 外野席も感嘆の声を上げる。

「えっへん!つばさも、本当は強いんですよ、右京様。」
「わたっ!気色悪いから、ポスト入ったまま、うろちょろすなっ!つばさっ!」
「ああん、もう!右京さまったらあ。たまにはちゃんと褒めてくださいよ。意地悪ぅ!」
 腰をふりふり、動き回るつばさ。
「その声色もやめいっ!」


 なかなか、大変な修行であると、今更ながらに気が付かされた乱馬。滑稽な格好の中にも、思わぬ基本が隠されていようとは。そこまでは読めなかった。
 たかが、着ぐるみ。されど着ぐるみ。


 角型郵便ポストが習得できれば、全自動洗濯機、自動販売機、電信柱と、ネタもグレードアップしていった。
 順を負うごとに、重量やバランスが難しくなっていき、自在に動き回るのも、大変となっていった。グレードアップされるにつれ、気や力の配分に、集中力が必要となっていくのだ。
 
 さすがに、乱馬は日ごろから鍛えこんでいる武道家。コツさえ飲み込めれば、だんだんに動きも滑らかになる。
 ただ、どの格好も、正直「不細工」で「変」だ。内心、辟易しながらも、修行していったのだ。

「さて、基本の仕上げはこれじゃな。」

 数日が経った頃、たすきが乱馬の前に出したのは「モアイ」の石像。「モアイ」といえば南太平洋に浮かぶイースター島のあの巨岩遺跡彫刻物だ。

「なっ!てめえ、どっからこんな物を…。」
 半ば呆れながら、乱馬が目を見張る。
「ほっほっほ。葉隠氏の辞書に「不可能」という文字はない。この巨岩に入って、自由闊達に動き回ることができるかの?」
 乱馬は絶句した。
「乱馬さま、ファイト!」
 彼の目と鼻の先、つばさが小さめのモアイ像に入って、へこへこ動き回っているのが見えた。やっぱり、滑稽な格好だ。
 モアイ虚像の中に、すっぽりとはまりこんで、己の動き回るシーンを回想してみる。すぐに打ち消したくなった。
 モアイ像の頭部分から顔を出し、他はずっぽりとおさまったまんま、自在に動き回る。滑稽というよりは、不気味さすら漂っている。だが、つばさが、これをやると、壷にはまっているというか、なかなか堂に入っていた。

「本当にこんな物に入るのかよ…。」
 思いっきり、けだるい顔を手向ける乱馬。
「ああ、これに入って、自由に動き回れれば、一応、基本はマスターした事になるからのう。」
 たすきが笑っている。
 横でひょこひょこやっているつばさを見ながら、大きな溜息が漏れる。
「つべこべ言わずに、ほれっ!とっとと入れっ!時間が勿体無かろうっ!」
「でえっ!」
 放り込まれる、モアイの中。

「な、何なんだ?これはっ!!」
 思わず叫んだ乱馬に
「ほっほっほ…。なかなか難しいぞ。そのモアイを御するのは。」
 爺さんは愉快そうに笑った。

 ポストや自動販売機がとてつもなく軽く思える。
 そのくらい、モアイの石像は重かった。
 
「う〜っ!う〜っ!」
 唸り声を上げながら、乱馬はモアイ像と格闘する。額に汗が浮かぶが、全く、モアイは動かせない。
 その傍をいとも簡単に、モアイに入ったまま動き回るつばさ。
「ほれっ!もっと丹田に意識を集中させて、気合を入れて頑張らんかい!」
 たすきの叱責が飛ぶ。

「なあ、つばさって、本当はめっちゃ強いんかもしれへんなあ…。」
 ふっと右京がそんな言葉を漏らした。
「そうだねえ…。乱馬君が苦労しているのに、つばさ君は涼しげだね。」
「ぱふぉふぉ…。」
 外野席三人は、腕組みしながら、様子を見守る。

 つばさのモアイがぴょこぴょこ動き回り、乱馬のモアイは殆ど動かない。実に、不思議な光景であったことは確かだ。



四、

「なあ、ほんまに乱ちゃん、一人放り出して帰って来ても良かったんやろか。」
 長らく留守をしていた店にのれんを上げながら、右京が問いかけた。

「後はおじじ様が、仕上げの修行をするっていうことでしたから、大丈夫なんじゃないですかね。」
 つばさが、テーブルの上を拭きながら答えた。

「しかし、思ったより、激しい修行やったな…。」
 右京は、店に出すお好み焼きの種を仕込みながら、ふっと言葉を継いだ。

 そうだ。
 鵺が嶽の修行は、熾烈さを極めた。
 基本修行をこなしていた、初めの頃は、ポストだの自動販売機だの、不可思議な着ぐるみを用いていたので、一見、何の修行かわからないような様相もあった。
 真っ赤なポストや自販機、洗濯機が「突撃ーっ!」と叫びながら動き回るのだ。武道の修行というよりは、お笑いの修行と見間違いそうだった。
 だが、一度、モアイを自在に動かせるようになると、途端、嫌がる玄馬パンダへ、たすきが、封じた鬼を憑依させ、それを狩らせるという、激しいものに変わったのだった。
 小鬼とはいえど、祟る鬼。久々に封印から解き放たれて、奔放に暴れまくる。
 最初の頃は、三下の鬼だったから、右京や早雲も同席できたが、だんだんに鬼のレベルを上げ始めると、危険だからと、結界の中へと押し込められて見物した。
 右京は乱馬の腹を満たすために、ずっと、傍らで彼の大好物の「お好み焼き」を焼いていたのだが、日を追う毎に、激しさを増す修行に目を見張ってしまった。
 結界がなければ、己の身にも鬼が降り注ぐのでは無いかと思うほどの修行へと転じるのに、時間はかからなかった。
 たすきが見抜いたとおり、乱馬には「天賦の才」があった。
 一度、葉隠突撃流の基本を身に付けてしまうと、その、応用力には目を見張るものがある。だからこそ、彼以外に魁や彼に取り入った古来の鬼と対等に渡り合える武道家は居ないと判断したのだ。

 土用に入った頃、右京や早雲、玄馬は山を下ろされることになった。勿論、つばさもだ。

「これ以降は、葉隠流の秘儀になるからのう…。どんな危険が伴うともわからぬ。おぬしらは、下山して、一息吐いて来られい。」
 たすき爺さんはそう言って、ギャラリーたちを下山させたのである。

「さて、水、打っとこか。そろそろ店開けなな。」
 右京は引き戸を開くと、カラカラに乾いた表へと、打ち水を打った。その向こう側には、白い入道雲が光っている。
「後は、乱ちゃんの頑張り次第やな…。負けたらあかんで。」
 そう独り言を放ちながら、水を焼けたアスファルトの上へ打つ。キラキラと夕陽が水を照らしながら、残った灼熱を放ち続けていた。



 半月以上、山に篭っている間に、いつの間にか梅雨が明けていた。
 どこまでも真っ青に続く空。



 右京たちが下山してしまった次の日の事。

「最後の修行に入る前に…。連れて行きたいところがある。」
 二人きりになった、鵺が嶽で、たすきが乱馬に話しかけた。
「連れて行きたいところ?」
 乱馬は怪訝な顔をたすきに手向けた。
「ああ…。覚悟を決める上でもな。」
 そう言うと、いきなり、頭上から湯を浴びせかけられる。

「あちっ!熱ちちちっ!熱いじゃねえかっ!こんの野郎!」
「わっはっは。ちと熱かったかな。」
 爺さんは悪ぶる様子も無く、カラカラと笑った。

 久々に現れる、男乱馬。
「火傷したらどうしてくれんだよっ!」
 と吐きつける。

「ま、良いじゃろう。どうだ?身体が軽くなったようには思えんかな?」
 爺さんは笑いながら乱馬に問いかけた。
「う…ん…。別に変わった感じはねえな。」
 握りこぶしを作って、握ったり開いたりしてみたが、別段変わったところもない。
「鈍いな、おまえさん。」
「なっ!口の減らねえ、じじいだぜ。ったく。」
「ふっふっふ…。今まで女で修行した成果を自分で確かめてみるんだな…。それに、ここから先は男に戻っておかねば、魁と闘う前に大怪我をしてしまうかもしれぬし…。」
「はん。それだけ、危険な修行だってことか。おもしれえ。」
 乱馬はにっと笑った。
「そういうことだ。今のおまえさんも強くはなったが、まだまだだ。このままでは魁には勝てぬ。」
「へっ!嫌味な野郎だ。はっきり言いやがる。」
「ふふふ。まあ、そう言うな。もっと強くしてやろうというのだ。それに、魁と対する前に、おまえさんに極限技を伝達しておかねばならん技があるからな。ついて来い。」
 そう言うと、爺さんは先に立って山道を歩き始めた。

「お、おいっ!こんな朝早くに、どこへ行こうってんだ?」

「最後の修行場所じゃよ。早く来い!」

 到底、爺さんとは思えない足取りで、たすきは山道を辿り始めた。
 今まで修行していた辺りが、天辺だと思っていたが、さにあらず。まだ、山道は登りの様相を見せている。
 朝焼けが浮かび始めたが、まだ夜明けには間がある。そんな、暗がりの道を行く。
「でえ、元気な爺さんだな。」
 乱馬は吐き出した。

 日が徐々に昇り、太陽が天上を照らし始める頃、爺さんは、とある沢の畔(ほとり)へと乱馬を誘っていた。

「ついたぞ。」
 そう言うと、急いでいた足を止めた。

 ざわざわと大きな木立が揺れている。
 樹齢何百年あろうかと思われるような古木。それが、枯れることなく、大きな枝葉を天に向けて立っていた。

「すっげえ…。樹齢何百年もありそうな古木だな。」
 思わず、感嘆の声をあげる。

「大きな木には樹霊が篭るとも言うからな…。」
「樹霊?」
「ああ、木の精霊と言ったところかの。」
 爺さんはにやっと笑った。

「辺りの気配を伺ってみよ。乱馬。」
 爺さんは手を後ろに組みながら、乱馬を促した。
「気配?」
「良いから、目を閉じてみよ。」
「こうか?」

 乱馬は言われるままに目を閉じた。

 さわさわと風が己の傍を吹き抜けていく。

「目を閉じたら、五感を研ぎ澄ませ。全身を耳にして、辺りを伺うんだ。」

 乱馬は黙ったまま、たすきの言うとおりにしてみた。
 じっと佇む己の周り。
 さわさわと吹きぬける風。それから、どこからともなく流れる水の音。森に潜む生きとし生けるものの気配。鳥のさえずり、獣や小動物の蠢く気配、虫けらの這う気配。
 森中の生き物たちの気が、五感を通じて渡ってくる。

「どうじゃ?この沢を塒(ねぐら)に生きている鳥や獣、虫たちの吐息を感じられるか?」

「ああ…。わかる。」

「動物だけではない。木や草の気配も感じてみろ。乱馬。己の身に生きとし生けるものの気を感じてみるんじゃ。」

 言われるままに全身を研ぎ澄まし、沢全体の気を感じた。

 さあっと太陽の光が、瞼を通して流れてくる。
 暗かった目の前に、光が満ちてくるのを感じた。
 そして、その瞬間、木々が、太陽光目掛けて、大きく背伸びしたような気配さえも感じられる。
 森全体が波打つように、太陽の光に反応しているのが、何となくわかった。

「どうじゃ?太陽の恵みに木は伸び上がり、その呼吸があらゆる生き物たちに伝達される。森全体が呼吸しておるのがわかるだろう?」
 こくんと揺れる頭。

「この「大地の気」を味方につけるんじゃ。乱馬よ。」

「大地の気を味方に?」

「ああ、そうじゃ。大地は陽の気を好む。陰の気、即ち、鬼の気は好まぬ。それを利用するんじゃ。その技をこれからおまえに伝達してやる。」
 すいっと爺さんは乱馬の前に立ち上がった。

 そして、大木のすぐ脇にある、小さな石の祠へと向かった。

「この祠には、あの葉隠昂の身体から抜け出した「鬼」の気の一部が封印されているんじゃ。」

「葉隠昂の身体から抜け出した鬼の気?どういうことだ?」

「ふふ。言葉どおりよ。この土の下には、昂が契りを結んだ比奈という女が眠っておるのじゃ。」

「比奈だって?この前、魁が言ってた、早雲おじさんの。」
「許婚だった女性。葉隠魁の母親のな。そして、ワシの娘でもある。」

「な、何だって?」
 乱馬の目に、驚きが浮かび上がった。



つづく




一之瀬的戯言
 紅たすき
 実は、たすきは「翼」という漢字の別読みになります。そこから命名した名前です。これでも、各作品、オリジナルキャラクターの命名には気を遣ってます(笑
 つばさの爺さんなので、若い頃は、女形顔負けの優男だったのではないかと、勝手に思っています。そんな、青年の成れの果て。
 奔放で、お茶目な老人というイメージで書かせていただいてます。

 また、作中の「モアイ」は過日、ラブるみのチャットにて、「つばさにどんな格好で突撃させたいです?」という私の問い掛けに、青山つばささんが答えてくださったものです(笑


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