◇幻影
  【2】また一人。

たれさま作


AM5:23.大広間
「ん…眠…」
一番早く起きたのはあかね。
隣ではグースカと寝ているらんま。そしてその反対の隣にいるなびきを見る。
−が。
「おねえちゃ…!」
あかねは目を見開いた
「らんまっ!起きてっ!」
急いでらんまを起こす
「……ん、あんだよあかね…まだねみーよ…」
のっそりと目を擦りながら起きたらんまに叫ぶ
「「お姉ちゃんがいないのっ!!」」

AM5:32.全員起床
「今度はなびきか…」
いたはずのなびきが忽然といなくなっている。以前のように静かに、物音も立てず。
男に戻った乱馬や、良牙が考え込んでいる。桃源郷のときと似ているのだ。
偶然にしてはできすぎている。
さっきから涙ぐんでいるあかね、さらに泣いている早雲、そしてそれを慰めている玄馬、シャンプー、と言いながら暗器を磨いているムース。
泣いているあかねを見て少し心配だが、あかねをムース、玄馬、早雲に任せ、良牙と乱馬は外に出た。

「で、どうすんだ。あかねさんは大丈夫だろうが。」
「良牙。一応希望をもってシャンプーたちを探そうと思うんだ…が。」
ざばっ
乱馬は海へ飛び込んだ。その特別な体質のため、その体はすぐに変わる
「おまえ、なにやってんだよ!」
「まぁだ気づかねーか。良牙。おれが意味もなく女になると思う?」
「まさか…おまえ…!!」
驚きの顔で目線下の顔を指差す。
「…囮…しかねーだろ。」
「もしそれで、あかねを少しでも危険から守れれば…ってな?」
「おまえ…そこまであかねさんを…?」

「今回のことに関しても、一筋縄じゃいかないと思うんだ。きっと…。」
「だからって!お前までいなくなったら!」
怒鳴るように良牙が言う
「なに?オレの事心配してくれんの?」
ちょっとふざけたようにかわいこぶって言うらんまにカァッと赤くなる
「ば、バカッ!こんのやろっ!」
「はははは、ばーかばーか」


PM3:24
「ちっ。結局いなかったな…」
「しょーがねぇさ。二人でいたんだし。」
「あかねさんが心配だ。早く戻ろう」

「おう、ただい…ま…」
「らんまぁ〜、良牙くーん?!」
「ちょっと!どこいってたのよ!心配したんだから!」
帰ってきていきなり迎えたのはあかねの大声。
朝の泣き顔はどこへやら、と、心の中で呟く
「ちょっと探しに行ってたんだよ(です)。みんなを。」
焦る良牙とらんま。動作が一致している。
「んもぅ。何で女の子を一人でおいていくのよ。危ないじゃ無い!」
「え?ムース達も居ただろ?」
「そうだ!オラ達がいたではないか!天道あかね!」
「そうだぞ、天道あかね、君の愛する僕も居たではないか。」
「何よ。ムースはシャンプーって良いながら泣いてるし、九能先輩はおさげの娘〜どこだーっていって騒いで、私のことなんかほったらかしだったじゃない。お父さんはショックで寝込んじゃうし。おじさまは一緒にお父さんの部屋にいるけど。」
腕を組んであきれ顔で言うあかねに、めんぼくなさげな顔のムースと九能。
「そっか。確かに言われてみればいつもの感じだな。」


PM 7:55 船内
「で、どうする?」
一カ所にかたまって雑談していたが、そろそろ寝ようと言う話になった。
「寝る場所はどうとして、2人ぐらい見張りをつけたほうがいいんじゃないか?」
というらんまの提案に皆賛成する。
「じゃぁ、誰がその寝ずの番をするんだよ・・」
と良牙。
「きまってんじゃねーか。女のあかねを抜かしたオレ(らんま)と良牙、ムース、九能、親父、おじさんを入れた男らダヨ。」とらんま
「お父さんは駄目よ。」とあかね
「ああ、そっか。」

「それじゃぁ・・・寝ずの番、決定戦!じゃぁーんけーん…」

うぁー。。
いやだぁー。。

結果は、らんまと良牙。博打に弱いらんまと立て続けにグーを出した良牙だ。
「「まじかよ〜。。じゃんけん弱ぇーの忘れてた〜」」
落胆している。当たり前だ。隣でぐーすか寝ているのを見ているのは嫌だろう。
「「文句はいわないっ!」」声を揃えてその他一同
「「はぁ〜〜い…」」


PM10:02 就寝


AM3:00 見張り2人
小さい明かりを照らし、ヒソヒソと話す影が2つ。
「ねみーよぉ。」
「あかねさんを守るためだ。がまんしろっ!」
辺りは真っ暗。こんな会話を交わしつつもさすが2人は武道家。全く隙を見せつけない。
「だってよぉ〜。」
「だってじゃない!」
この二人、お笑いでもやっていけそうだ。

「俺達、どうなんのかなぁ。」
「知らねーよ。ただ、みんなを探し出しているってのはたしかかな?」
「そうだな…」

もうすぐ夜が明ける…



  to be continued・・・




STAY掲載〜2002年8月「呪泉洞」移転作品

刻一刻と流れる時間の中、繰り広げられるサスペンス。
この先のご投稿がなく、とっても残念です。もし、出来上がりましたらご遠慮なく送付してくださいませ。
(一之瀬けいこ)


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