◇遠い約束、今の約束
  [8]  トラブルメーカー

陽樹(宇宙)さま作


「乱くん?!」
「あかな?!」
あたしと乱馬の声が重なった。
「うっそ…まじ…?」
「………」
乱馬は目を見開いてあたしをみる。
そして、絶句のあたし。
(やだな…あたしったら、自分で自分に嫉妬してたんだ…)
乱馬はあたしのペンダントをいきなりはずした。
「な、なにすんのよ!」
「約束は、俺が果たさなくちゃいけねーだろ。再開した時にはペンダントを返すって約束」
「あ…」
してたんだっけ?そんな約束…
ま、いっか。
そして、乱馬はあたしの後に回ってペンダントをつける。
「これで、約束も果たした。誤解も解けた。全てが丸く収まった、と」
その時――
『乱馬――――――――――――――――!!』
女の子の声が、した。
「乱馬くーん。お友達が見えたからねー。今そっちに向かってるわよー」
なびきおねーちゃんの声がした。
あたしが乱馬を見ると、乱馬は固まっていた。
「ら、乱馬?」
すると玄関がバッと開いた。
『乱馬、久しぶり!』
現れた女の子はとっても可愛かった。
綺麗な黒髪をおだんごにして、おだんごから髪をたらしている。
綺麗な白い肌。そしてズボンタイプのチャイナ服。
そして、その子が話す言葉は中国語みたいだった。
『雪梅…』
シェイメイ?やっぱり中国人か。
「乱馬、どなた?」
あたしは聞いた。乱馬が答えた。
「お、俺が中国で修行してた時に世話になった家の娘。名前が雪梅【シェイメイ】俺らより一つ年下」
「へー…」
すると雪梅ちゃんは乱馬に抱きついた。
『乱馬!会いたかったー!元気にしてた?』
『お、おう…一応な。ってーか、はなれろっ』
乱馬は雪梅ちゃんを引き剥がした。
『相変わらずだねぇ。乱馬』
『お前もな。何しに来たんだよ。』
「………」
中国語の会話。乱馬、中国語話せたんだ。
でも、なんか居場所がない。
フクザツな気持ち。
やきもち…かな?
『乱馬、この人が許婚の「あかね」なの?』
「え?」
あたしは雪梅ちゃんの言葉から「あかね」と聞き取った。
『え、まあな』
『ふーん』
雪梅ちゃんは、あたしのことを敵視するような目で見た。
な、なに…
雪梅ちゃんは乱馬に言った。
「乱馬、あたし日本語ある程度喋れるようになたよ」
「進歩したな。で?用事は?」
乱馬はさらりと流した。
なんかやっと…ってかんじ。会話には入れそう。
「用事は…乱馬の心を聞きに来た」
「は?」
「乱馬に別れ際、私こう言った。「乱馬の事はあきらめない」て。覚えてるか?」
「………え、ま、まぁ…」
乱馬はあたしをチラチラ見ながら答えた。
「乱馬、「あきらめない」ってなに?」
あたしは、聞いた。
「えっと…それはー……」
「乱馬に私告白した。そしたら乱馬、許婚がいるからって断った。許婚が好きだからて。
でも、私諦めないって乱馬に言ったね」
あたしは顔を少し赤くした。
「そうなの?乱馬」
「え、あ…あぁ…まぁ…」
「だから、諦めてない。私」
「え゛…冗談じゃなかったのか…?」
「私は本気ね」
沈黙。
乱馬が言った。
「とにかくっ、俺の気持ちは変わってねえから、さっさと帰れ」
雪梅ちゃんは悲しそうな表情をして俯いた。
でも顔をあげて言った。
「…わかた。でも、条件ある」
「な、なに?」
「乱馬があかねのこと好きて証明してくれたら、帰る」
「「えぇっっ?!」」
「ありきたりなことじゃ私、認めない」
「あ、ありきたりって…?」
あたしはおそるおそる聞く。
「キスするとか…当たり前のことはダメ」
「うぞぉっ!!?」


1時間後
雪梅ちゃんは、いつのまにかシャンプーと知り合っていて、帰るまで猫飯店にお世話になるそう。
雪梅ちゃんは帰っていった。
「乱馬ー…どうするのよ」
「んなこといわれたって…」
「もー…」
「一筋縄じゃいかねーんだよ。あいつ」
「よく知ってるのね」
ちょっと皮肉っぽく言ってやる。
「たりめーだろ。4年一緒にいたんだからなー」
「そうね」
あたしはこっそりため息をついた。
雪梅ちゃんは、あたしより乱馬と過ごしている。
ちょっと悔しかった。
「やきもちか?」
「そんなんじゃないわよっ」


猫飯店
「雪梅、本当に乱馬振り返らせる事が出来るとおもてるのか?」
シャンプーは私に問う。
「それはわからない」
「乱馬は、雪梅なんかちっとも見てないからな」
「………」
私はなにも言わなかった。
これから先はわたしにもわからない。
いったい乱馬はどういう行動をとる…?



つづく




呪泉洞へ作品が移ってからの初登場です。
ドキドキしながら読ませていただいております・・・。
さてどうする?乱馬・・・。

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