◇遠い約束、今の約束
  [10] 死闘

陽樹(宇宙)さま作


雪梅を背負い走っていると、突然1つの紙が飛んできた。
雪梅がそれを受け止め、俺に言った。
『乱馬、場所変更よ』
中国語なのは、話しやすいからだろうか。
『どこだ?』
『今から言うように行って』
『わかった』



「どうだ?おもしろいゲームだと思わないか?」
「どこがよ!!下手したら、あたし死んじゃうじゃない!!」
あたしは夜闇と言い争っていた。
こいつの作戦はとてつもなく卑怯だった。
「君には眠ってもらう。君はこの仕掛けのつくりを知っている。乱馬の野郎に喋られると困るからな。」
そういって、あたしはみぞおちに拳を入れられた。そして、何かを飲まされた。
そのまま、気を失った。



到着した。
決闘の場所に。
天道道場からは遠く離れた場所だった。
俺の前後には高くそびえたつ崖。
目の前には激しい滝。
滝の真ん中辺りにはなにやら幕がかかっている。
嫌な予感がした。
『ここだな。雪梅』
『ええ』
すると声がした。男の。
『待っていたぞ、乱馬』
滝の横の巨大な岩に夜闇が立っていた。薄笑いを浮かべて。
『約束通り来てやったぜ。さあ、あかねを返せ』
『まあそう焦るな。とっておきのゲームを用意してやったのだからな』
夜闇が口笛を吹くと、幕が落ちた。
『「―――――――――――――――!!!」』
そこにはあかねがぶら下がっていた。
全身びしょぬれだ。
『てめえ、何しやがる!!!!!!』
『夜闇!ひどすぎる!』
俺は叫んだ。
「あかね!!!!返事しろ!!!!」
あかねの返答はない。聞こえるはずもないのだが、口さえ動いていない。
『てめえ、あかねを殺しやがったのか?!』
『まさか。彼女はゲームの景品さ』
『なんだと?!』
夜闇は説明し始めた。
『彼女の命は君にかかっている。滝上には巨大な岩があるんだ。その巨大な岩をも転がすほどこの川の流れは強い。
 その岩を押し止めているのは、一本の綱だ。俺の計算だとその綱はあと15分しか持たないだろう』
『つまり、その間にてめえとの決着をつけるわけか』
『夜闇!そんなの卑怯すぎるわ!あかねさんが死んだらどうするのよ!』
『あかねは俺の気に障った。当然の報いだ』
『そんなんであかねを、あんな目にあわせたのか!!!ブッ殺すぞ、てめえ!!』
『俺を倒さないとあかねは二度とおまえの手には帰ってこないぞ』
『っ…!』
俺は1歩出た。
『乱馬!』
『行ってくる。こいつには何言っても無駄だ。やるしかねえ』
(それしか、あかねを助ける方法はねえんだ)
『そうこなくっちゃな。では、いくぞ!』
俺と夜闇の戦いが始まった。
『哈(は)ッ!』
夜闇の蹴りを受け止める。
俺は蹴り返す。
『哈ッ!哈ッ哈ッ!』
俺も負けじと蹴り返すが、夜闇が受け止める。
夜闇が次の体制に入ろうとした隙に、火中天津甘栗拳を打ち込む。
「火中天津甘栗拳!!!!!」
『うわぁっ!!』
夜闇はぶっ飛んだ。
そして、反撃で俺もぶっ飛ばされる。


私は乱馬と夜闇の戦いをただ見ることしか出来なかった。
このままじゃ、決着もつかないままあかねさんが死んでしまう!
私は滝の傍へ行った。乱馬たちとは反対側の。
そして、急すぎる崖ではないことを確かめて、登り始めた。

13分後
お互い攻防戦が続き、なかなか勝負がつかない。
(くそっ、このままじゃあかねがあぶねえ…。あと2分しかない!こうなったら…)
俺は夜闇をらせん状に追い込んだ。
そして、拳を撃つ。
「飛竜昇天破!!!」

ゴオォォォォォ

竜巻が起こり、夜闇はそれに吸い込まれた。
俺も飛び込む。
そして、滝のある崖の上へと降り立った。
(ここだ!)
そこには、一本の綱で押さえられた巨大な岩があった。
(戦いにまぎれて、これを打っ壊せば…)
『そうはさせんぞ』
と、夜闇が岩の前に立ちふさがったが、俺にはそんなことはもうどうでもよかった。
とっくに走り出していたから。
『どけぇぇぇぇ!!!!!!!』
(いちかばちか…!)
俺と夜闇の熱気の中を、拳を構えて走った。


『あった!』
私は巨大な岩を見つけた。
『これをどうにかすれば…』
その時だった。
凄まじい風が吹いてきたかと思ったら、突然竜巻が現れた。
そして、向こう岸に乱馬と夜闇が降り立った。
(早くしないと…!!)
私は急いで岩のほうへ走った。そして、岩の傍の岸に立った。
チラっと向こう岸を見てみると、乱馬が殺気のオーラをまとわせて岩に向かって走っていた。
その前には夜闇。夜闇は一歩退いていた。
そして乱馬は飛び上がって拳を入れた。
「飛竜仰天破!!!!!」
岩に向かって竜巻が降りてきた。
(あたしまで食らっちゃう!!!!)


ドゴォォォォン!!!!
ものすごい爆発音とともに巨大な岩が砕け散った。



つづく




作者さまより

吹奏楽の定演が終わり、冬休みの部活も終わり、やっっと新作をかき上げました(笑 副題は『死闘』となってるんですが、内容見ると死闘なのか…? という疑問をもってしまうかもしれませんけど、気のせいですよ。は、はは…(滝汗 そろそろ終わる…かもです。その辺はまだ未確定です…。 では、また次を頑張ってかきたいと思います。 下手したら3月ごろになっちゃうかもしれません…(泣


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