修学旅行にて


「乱馬・・・・」
バスの中であかねは隣で寝ている乱馬を呼んだ
「ううん・・・・・・」
寝ぼけ顔の乱馬が少し目を開いた。
「なんだ?ついたのか?」
「違うわよ!ばかっ、外の景色が綺麗だから起こしただけ」
「なんだよ」
外の景色なんてどうでもいい乱馬だが
いざ見てみると桜が風に乗って確かに綺麗だった。
「ふぅん・・・・・・」
「ははっ!やっぱ乱馬が桜見てるのって変!」
あかねは口を押さえて笑った。
「のやろ〜」
乱馬は少し頭に来たが外の景色をもう一度見ると
やっぱり見入ってしまっていた。
「あかねー」
乱馬が窓の外を見ながらあかねに言う。
こんな不陰気だから少々ロマンチックな言葉を期待したが
そのような言葉ではなかった。
「お腹空いたーー」
「あっそ」
「なんかねぇかなぁ」
あかねはポッケに入れてるクッキーを思い出した。
昨日食べようとして入れっぱなしだったのだ
「あ、これ食べる?」
あかねはクッキーを乱馬に差し出した。
「んまい」
乱馬はそれを美味しそうに食べている。
その後ろでひそひそ話してる声が聞こえる。
なんだろう?と思い後ろを向くとさゆりと大介が話していた。
話の内容までは聞こえないがどうやら
あかねと乱馬のコトを話しているようだった。
どうせいつものコトだろう、とあかねはあまり気にしなかったが
二人はあかねが見ているのに気づくと
苦笑して手を振った。
(ばか)
そう思うと元の体制に戻り乱馬の顔に目をやった。
窓の方に肘を置いてちょうどいい角度でぼけーとしていた。
「・・・・・」

とうとう目的地の旅館についた。
古ぼけた気に「茜胴」と書いてあった。
乱馬はそれを「あかねずんどう」と読みあかねにつき飛ばされていた。
でも旅館は結構綺麗だった。
何処かしら昔味がありいかにも「旅館」って感じだった。
あかねはさゆりと他クラスの女子と一緒だった。
部屋は結構広くて5人には広すぎるみたいだった。
「あかね、トランプしよう」
さゆりがあかねに声をかけた。
トランプと言えば修学旅行のアイテム1である。
「うん!やろー」
あかねがそう言うとルームメイトも集まり
5人でやることになった。
最初はババぬきをしていた。
やっぱり修学旅行でやるババ抜きは
楽しかった。
そしてババ抜きが終わり、ルームメイトの一人がこう言った。
「ねぇねぇ、他の部屋行かない?」
そう、修学旅行では必ず誰かが言うのだ。
行き先は決まって男子の所
「いいね、いこいこ!」
さゆりも行くと言うことであかねはついていった。

178号室−−−−
「ここって乱馬君達の部屋だよね!」
「入ろう、入ろう!ね、あかね」
「う・・・・・うん」
戸を開けると何か話をしていた。
「乱馬はいいよなー、可愛い許嫁がいて」
「はぁ?かわいくねーよ」
「なぁ、乱馬って誰が好きなんだ?」
大介が聞く
「はぁ、勿論あかねだろー?」
ひろしが答えた。
「誰が、あんな可愛くねー女の子とっ」
ごつっ
あかねが乱馬の頭を何処かから持ってきた
ハンマーで殴っていた。
「悪かったわね!可愛くなくて、シャンプーとでも結婚すれば!?」
場所は変わってもする事は変わっていなかった。
「なんでシャンプーがでてくんだよっ!」
乱馬はこぶを押さえながら言った。
「あ、あかねさん」
その声は五寸釘だった。
風林間高校一の存在感がない男、五寸釘光 とは彼のことだ
勿論このときもあかねは五寸釘がいるのに気がつかなくて
乱馬と言い合いをしていた。
「あんたはいつも、いつも・・」
「おめーが!!」
周りではトランプをして楽しんでいた。

その後−−−
喧嘩したせいか二人は仲が悪かった。
夕食の時もわざと離れて食べていた。

そしてPM 7:00 になった。
あかねと乱馬がお手洗いに言ってる間にさゆり達と大介達で
’仲直り大作戦’を企画していた。
そして乱馬が178室に帰ってきた。
「乱馬!大変だ!!」
大介が叫んだ。
「ど、どうしたんだ?」
乱馬が聞く
「あかねが、あかねがいなくなったんだ!!」
「はぁ?」
「だから、あかねがいなくなったんだ!さっき下駄箱を見たら靴がなくて!
多分神社当たりに行ってると思うんだけど...」
後の話も聞かず乱馬は走り出した。
大介は乱馬が行ってからOKサインをひろしに送っていた。

その頃、あかねも自分の部屋に帰ってきた。
「あかね〜!あかね〜!!」
さゆりがあかねをよんだ。」
「ん?何??」
「これ、乱馬君から」
「え?」
さゆりはあかねに白い手紙を渡した。

(あかねへ
 さっきはごめん。謝りたいんだ
  近くの神社に来てくれないか?)
「これ・・・・?」
「なんてかいてあったの?」
さゆりが覗いてきた。
「あ、私・・・チョット神社まで行ってくる。」
あかねはその紙をポケットに入れて神社まで走った。

「あかねー?あかねーーーー!?」
乱馬は神社に続く森を走っていた。
「ど、どこにも・・・いねーじゃねーか!」
乱馬は神社まで来てそう呟いた。
がさっ
草の当たりから音がした。
「あかね?」
そう言って立ち上がった、だがそれはあかねじゃない
ウサギだった。
「なんだ・・・・ウサギか・・・・」
乱馬は脱力してその場に座った。
するとウサギは乱馬の所に来て首をひねった。
「ずいぶん人慣れしたウサギだな」
それを抱きかかえると頭を撫でた。
5分ぐらい経っただろうか
「あかね、もう帰ってるかもな・・・」
そう言って立ち上がろうとした。
「乱馬」
(あかねの声だ)
あかねがゆっくりよってきた。
あやまらなくちゃいけないのにいざとなると声が出ない
「ごめんね」
へっ?と乱馬はあかねの顔を見た。
「さっきはむきになってゴメンね。」
「ず、ずいぶん・・・素直じゃねーか?」
「そうかなぁ?」
あかねは笑って手紙を見せた。
「乱馬が謝りたいって言ったんじゃない?」
「へ?」
「違うの・・・・・・・?」
(やられた。)
そうだ、大介達にやられたんだ。乱馬はそう確信した。
そして、今回だけは少し素直になろう・・・乱馬はそう思った。
だが出てきた言葉は
「わ、悪かったな」
だった。
でもそんな謝り方でも、あかねは「うん」とうなずいた。
「少し散歩しねーか?」
乱馬はそう言うと、歩き出した。
あかねも歩き出した。

いつのまにかいなくなった。ウサギを思い出しながら
乱馬とあかねは少し遠回りをして帰った。

修学旅行一日目 にて

END

一之瀬けいこ的コメント
開放的な修学旅行ならではのあったかいお話です♪
この続きにも期待したいです・・(とさりげなく二日目以降も要求・・・)


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