どうしても必要なので、まえがき。

このおはなしは、中国の三国志にもとづいたストーリーです。が、らんまの要素をおり交ぜるために、“かなり”無理のある設定になっております。…男武将のはずが、女になってたり。…乱馬と玄馬が、実の親子じゃなくなってたり。…漢字変換が出なくて、一部の人物が当て字になってたり(泣)。あと、三国志には「正史」つまり本物の歴史書と、「演義」つまり何百年もあとに作られた、一部正史と異なる内容が入っている物語とがありまして。…そして、ここでのおはなしは。どっちでもないです!正史にもとづいてるときもあれば、演義にもとづいてるところもあるという…それに加えて細かいところは色々と自分流にアレンジしまくってますので、「だいたい三国志」ってことで、三国志ファンの方、ならびにらんまファンの方、どうか寛容な目をもってご覧になってください。乱文、大変失礼致しました。それではどうぞ―――。



◇時流想戯曲  三国志演義・呉
   第一 孫賢の巻

しょーすけさま作


 時は今からおよそ1800年前あたり、舞台は中国大陸。

 ここに、乱れた天下を、我こそが統一せんと大志を抱き、旗を揚げた者達あまたに在りけり。



 土煙りが舞い ときの声が雲をつらぬく
 門をくぐれば慣れた迎え手 ただ人の世の無常を知る
 筝琴の音に想いを馳せては 栄華と滅亡どちらもこの手に触れているよう
 河は都を眺め 洗うが如く流れつづける




一、玉璽争い



周喩「あーーーーーーーーーーーっ!オヤジてめー、おれの肉団子返しやがれっ!!」
孫堅「でゃははははは、まだまだ修行が足らんのぉ乱馬よ!」



 よォ、おれの名は乱馬…姓は「周」で名は「喩(ゆ)」、それと、成人したら授けられる字(あざな)ってのがあって、おれは乱馬ってんだ。

中国大陸の南部…長沙っていう、なんだか米が獲れるようなあったかい地方で暮らしている。
この地方の主、偉い将軍でもあるのが孫堅、あざなを玄馬という。このおっさんのことをおれは「オヤジ」と呼んでいるんだ。なんせ将軍と軍師の関係だからな。

そう、おれの職業は軍師…オヤジの持つ軍隊を、作戦をもって動かすことがおれの仕事なわけ。あと、オヤジがこの辺を治めてるわけだから、当然のように政治の相談も回ってくる。まぁ農作物とかは割りと豊かな場所なんで、民から不満の声があがることはあんまりない方だと思うけど。無理に租税をあげたりもしねえし。
…オヤジもそうだが、天下統一を夢見て、旗挙げをした将軍が今の世にはわんさといる。おかげでみーんな、胸中穏やかじゃないさ。明日何が起こるかまるでわかりゃしない…先日なんか皇帝の住む都・洛陽(らくよう)に向かって全国の将軍どもがおしかけたんだぜ!悪事を企んでる側近を討てーっつってよ。…しまいにゃ都は火の海と化し、となりの長安に都が移されたんだ。都が灰になった様子はオヤジも見たらしいが…今、洛陽の街は将軍たちの寄付でちょっとずつ復興作業が行われている。
そんなこんなな世の中だけどよ。都から地元に帰ってくりゃ、まだ安心して飯が食える方なんだ。オヤジ自身がのん気な風に見えるからかもな。そんな‘おれ達のお里’がこれからも栄えりゃ、おれとしては文句はない。まあ、オヤジの夢は、天下統一〜〜〜!!なんだけど、………そう簡単にすべてが解決されるはずがないんだよなぁ。

 それで本日は、オヤジが出かけるからってんで、大勢でついてきた。ただのおでかけじゃねえ。オヤジはひとつ、隣の将軍を相手にケンカをしに行くところだ。

周喩「とにかくその肉団子返せオヤジっ!」
孫堅「おまえはまだまだ若いじゃろーが。わしはシワも程よい中年ゆえ、若いもんに負けぬよう体力をつけねばならんのだ」
周喩「でぇい盗っ人猛々しい!」
孫堅「だれが盗っ人じゃあっ!そうじゃ盗っ人はあの劉表、劉表じゃ!ぱく。」
周喩「あー食いやがった!」
孫堅「んぐぅ、わしがせっっっかく手に入れた伝国の玉璽(ぎょくじ)を、まるで盗賊みたいに奪っていきよって…」
周喩「手に入れたっつったって、都の井戸に落ちてたのをたまたま見つけただけなんだろ?」
孫堅「たまたまもヘチマもあるかー!アレを持つものは天下を制し、失えば国も失うという言い伝えじゃ。何としても取り戻さねばならんのだ。」
周喩「ったく…。」

そんなわけで、劉表(りゅうひょう)とかいう奴のいる所まで来て、今はこうしてテントで飯食ったりしながら待機しているところ。
ちなみに。外には兵がびっしりと並んでいる。オヤジのやつ…明らかに戦う姿勢だ。
山の多い地域、あんまり深くまで入って行くと視界が悪くなる。戦うとしたら工夫と注意がいるな。

黄蓋「乱馬くん、食事は終わったかね。」
周喩「あ、おじさん。」

オヤジが天下統一を決意した時からずっと付き添っているのが、このおじさん。名前は黄蓋(こうがい)、あざなは早雲という。運動神経はオヤジと同様でかなりいい。「おまえ百までわし九十九まで、共に白髪の生えるまで。ぁちょいなちょいな」と、なんだかよく分からない会話節でオヤジと意気投合している。

黄蓋「これから会議を行うつもりだ。来てくれたまえ」
周喩「あぁ、はいっ。」

おれは最後に残っていたライチの実を急いで空け、テントを出た。外には数人が集まって、ひとつの大きめの机を用意して囲んでいる。そしてその机の上に、この辺りを示した地図。作戦会議の始まりだ。

黄蓋「まずは相手に関する情報を伝えておこう。劉表殿の配下には、恐るべき武将が眠っている。まず弓の名手、黄忠殿。御老体でありながら、その弓矢さばきには凄まじいものがあると言われている。それから…」

真剣に聞き入る仲間たち。おじさんが敵将に対して「殿」を付けるのは、今は敵同士でも、昨日仲間だったとか、明日また仲直りするかも知れないってのがあるからだ。つまり今その人が敵だとしても、人としての礼儀は欠かせないということ。

黄蓋「それから、謎の男、甘寧(かんねい)殿。…詳細はつかめていないが、アラクレ者であまり上官からの評価は良くないらしい。ただひと度その気になると、この男に叶う者はいない、という噂がある。」
孫策「…問題児、ということですね。何かわけでもあるんでしょうか。」
黄蓋「さあなあ。ちなみにこの甘寧という男、あざなは知られていないのだよ。」
孫策「ふむ…会ってみたいような嫌な予感がするような…。」

おじさんと話を進めているのは孫策、あざなを東風ってゆー…オヤジこと孫堅の長男で、おれとは気付けば長い付き合いになる男だ。すらっと背筋を伸ばして、落ち着いているように見えるが、その腕は半端でなく逞しい。ちょっと小さめのレンズの眼鏡に、髪は長めで後ろでひとくくり。…あ、今のおれもそうだ。普段は面倒くさいから‘ひとくくり’になる。おれの場合は、これがもうすぐ‘おさげ’になるんだけどな。戦場ではおれは人一倍よく動き回るから、おさげにして留めておくのが一番なんだ。

黄蓋「さて、では作戦の話に移ろう。乱馬くん、頼む。」
周喩「はい。」

この辺の一連の流れも、今回だけ特別にお送りすることにしよう。今回だけな。

周喩「…まずは地図以前に、この目で見回してもわかるように、この辺は山が多い。劉表の居る城までは距離はねーけど、伏兵がかくれてたり、岩が落ちてきたりする可能性が高いから慎重に行かないと危険だ。」
孫策「敵兵の中を下手に突っ切ったりせず、安全を確認してから前進する…ってことだね。」
周喩「ああ。特に、挟み撃ちでもくらって退路を絶たれるのが恐い。そうなりゃ一巻の終わりだ。そこで、いざという時のために兵を分けておきたい。」

こうやって作戦会議が進んでいく。すべてが決定したら、各自は準備に入り、馬に乗りーの兵をまとめーのするわけだ。んでおれが指示したとおりに、各武将が動いて陣を構える。当のおれはというと、別に本陣でお高く見物するわけではなく…ひとりの武将として戦いながら、軍を指揮することになる。まぁ本陣にはおれ以外にも軍師ってのはたくさんいるわけだから、万一おれが迷子にでもなった時ぁ他の奴に指揮を任せるつもりだけどな〜。まぁ今んとこそういった事は起こってねえ。なんでかって?ひとえにおれの実力でぇ。

兵「まもなく布陣が完了します。」
周喩「おー、わかった。」



さて、そろそろ髪をくくるとすっか。



うちの軍はこれで構え揃った。
この様子は、向こうの…劉表の軍の方にも見えていることだろう。
山々に走る、緊張感。ぞくぞくするような空気の中で、兵の士気はおのずと上がっていく。

兵「………………あの、そろそろ行きません?」
周喩「あのなっっ。」
兵「さっき鍋くったから体があったまってるんスよ」
周喩「そーゆー問題かよ…一応、オヤジが先頭だかんな。そのうち出るだろ」

まったく、最近の兵士は血気に逸るというか、恐れを知らないというか…別にバカではないと思うんだけどよ…。

この戦いで、何人の兵が倒れるのか………そんな考え方はしねえ。
どれだけ兵を生き残らせるか、無駄な血を流さずに済ませるか、それを想い、叶えるのもまた軍師のつとめだとおれは思う。

周喩「オヤジのやつ、本当に玉璽のことでやっきになってるからな。ウカツな行動に走らなきゃいいんだが…」




どんっ…どんっ…どんっ…どんっ…

兵「合図が出たぞ!」
兵「殿が動いたか!」
兵「さ、周喩どの!」

右方向、やや上り坂の地点で太鼓が鳴り響いている。出陣の合図だ。

周喩「…おーしおめーら、いくぜっ!!」
兵「おおおおーーーーーーー!!!!」

刀剣、槍戟、弓弩が天にかざされる。そして、兵は進軍する。
目的は単純。劉表を降伏させ、奪われた玉璽を取り返すこと。
ちなみに劉表が降伏すれば、この地域も我らのものになり、孫家の勢力は大きくなる。天下統一へ一歩前進ってわけ。

兵「おれたちの力を見せるんだー!!」
兵「かつて兵法の書を生み出した孫家の実力、見せてくれようぞー!!」
兵「うお〜〜〜〜〜〜〜!!」




二、英傑の末路



周喩「あせるんじゃねえぞ!ゆっくり確実に攻めろ!」

 なかば勝手に動くおれらの軍は、それなりに個々の兵は強いつもりだ。しかし敵の策にはまるのが何よりも恐い。そうならないように見張るのも、ひとえにおれの役目なんだ。孫堅・孫策父子が順調に攻め上る間、おれは右往左往しまくりながら遊撃し続ける。崖を跳び下りたり、木の上にのぼって弓を放ったり。

周喩「シャンプー!そっちはどーだっ?」
程普「おおかた制圧したねっ!」
周喩「おっし、オヤジー!こっちはだいたいオッケーだ!」

程普…あざなは珊璞(シャンプー)。初期の頃から居る女武将で、負け知らずの強豪のひとり。ここではまあ、頼りになる仲間、とだけいっておこう。
さて先鋒の一軍を破り、しばらくは雑魚兵どもばかりを相手していたが、そろそろ名のある武将が出てきそうな予感がする頃だ。
木の生い茂る坂を注意深くのぼっていく。
そしてしばらく歩きにくい山道に奮闘していると、不意を付くように、いっきに広い場所がさらけ出た。

黄蓋「むっ!?」
孫堅「ぬうっ!あれに見えるは…」
周喩「劉表の城かっ!ん、………………危ねえっ!!伏せろ!!」

どかかかかかかっ!

…城の前に出たおれ達を真っ先に迎えたのは、威嚇ねらいの数本の弓矢だった。先頭に乗り出ていた兵たちが、驚いて茂みの中へ引き下がる。

黄忠「むむむむむむ………あれに見えるは孫堅に黄蓋…!果て、わしの相手になる器かの〜ぅ。」

城壁の上からこちらを睨んでいるのは、紛れもない、弓の名手・黄忠だ。御老体とは聞いていたが…う〜ん、ありゃなんだろな…歳とともに縮んでいったのか?もう見事に2頭身じゃねーか。

黄蓋「でたな黄忠!またの名を不死身の八・宝・斉〜〜〜〜!」
孫堅「今日こそは貴様の君主、劉表に引導を渡してくれるわっっ!」

オヤジ達は物怖じせずに構えている。それにしても、さっき戦う前は殿付けで呼んでいたのに、いざ対峙してみるとけっこうケンカ口調になるもんなんだなぁ…まぁ、その場の雰囲気によるもんなのかな。

黄忠「だはーははははは!小ネズミどもめが、このわしに挑むなど四百年はやいわ〜〜〜っ!」

どかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかか

言いながら矢を射つわ射つわ…みな木の裏に避難して矢がおさまるのを待っていたが、しばらくしてもまだ止まない。…おいおい一体どんだけ矢ばっか生産してるんだあの軍は!?ほっとくと冗談みたいに木にびっしり矢が刺さっていくぜ…。

黄忠「ぬう………………。」

…ん?おさまったか?

黄忠「矢が尽きたようじゃな。」

…。

孫堅「今じゃ!!行けーーーーーーーーーーぃ!!」

オヤジがすかさず茂みから抜け出て、攻撃にかかる。
ここで八宝斉と呼ばれた男は刀を抜いて城壁を飛び降り、おれ達の前におどりでた。それに合わせて、城門から敵軍が溢れ出てくる。旗を持ったリーダー格の武将が数人、精鋭部隊を連れているのも見える。当然、城には一歩も入れてくれそうにない勢いだ。

周喩「…シャンプー。森の中を通って、東へ行ってくれ。狙うのは劉表ひとりでいい。というか狙いは一応、玉璽だかんな。」
程普「つまり劉表に直接、降伏を迫ればよいのだな。」
周喩「まあそーゆーこった。ちと強引な方法だが、ここはひとつ頼む。」
程普「ワタシの得意分野ねっ。」

おれ達が戦っているのは、城の南門の前。シャンプーにはこの前線を抜け出して、東門から攻めてもらう。
黄忠にはオヤジとおじさんがかかっていってるから、他の武将はおれと東風兄でなんとかするか。

孫策「いくよ乱馬くん!」
周喩「任せたぜシャンプー。おーし、今いくー!」

決まればすぐに実行だ。おれはこれより、南門前の激戦区で、持久戦を展開する。できるだけ敵を城内から出て来させ、そのスキにシャンプーがうまくやってくれるのを待って耐え忍ぶつもりだ。
シャンプーは木の陰に隠れて城の東側をひと睨み、そして中腰になって、茂みの中を駆け抜けていった。

孫堅「はちゃちゃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」
黄蓋「ちょいなぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」

オヤジ・おじさんは八宝斉と取り込み中。
他の兵たちは、功績をあげるためにと各自がんばってるとこだ。

周喩「おれも、日ごろの修行の成果をみせてやるか。」

こっっっからが本番だな。
おれ達の軍は、オヤジの祖先にあたる偉い人が書き記した『無差別格闘流・孫子兵法』っつー秘伝書にもとづいて日ごろ鍛錬をしている。これがけっこう役に立つんだ。
おれが本日持ってきた武器は、棍とよばれる、いわゆる棒…それらしい装飾つき。あと腰にさげてた弓はこの際邪魔だから、外す。

大きく息を吸い、丹田に力を込めるようにして吐く。
そして構える。棍を両手で水平に持ち、徐々に前の方に体重をかける。


周喩「………いくぜっ!!」


騒ぎ声のする方へ。
敵味方入り混じるところを駆け抜けては、敵だけにうまく打撃を与えていく。そうやって「撃破」していくんだ。おれが通ったあとには、撃破された敵兵どもが声をあげてばたばたと倒れていく。

地を蹴り、流れるように、棍を振りまわす。
この棍にはある程度の重みがあるから、身体は自然と流れるようになるし、敵に与えるダメージも大きい。あとは無差別格闘流の教えにのっとり、上手く扱うだけのこと。

孫策「乱馬くん、あんまり張り切ってると体力がもたないよ!」
周喩「へっ、これしきのこと、どーってことねえよ!」

おれと東風兄でいったん背中合わせになり、背後のスキをなくす。
目の前はぎっしりの敵。
みな刃をかまえ、こっちをうかがっている。








孫策「…そろそろ動くかい?」
周喩「…いや、………………」

別に無理に立ち向かう必要ねえんだよな………。

周喩「…ずっとこうしてりゃいいんじゃねーの?」
孫策「………。」

いわゆる時間かせぎ。
あぁ早くシャンプーのやつ、劉表を降伏さしてくんねーかなー…。



黄忠「………ぶはぁっ!ちと疲れたわい。本陣に戻るとするかの…」

孫堅「むぅっ!?逃がすかっちょットなぁ〜〜〜〜〜!!」
黄蓋「ちょイなぁーーーーー!!」

…ん!?八宝斉め、逃げたか…いや、オヤジとおじさん、追撃してるのか!?やばい!もし罠だったら………―

敵兵「スキありっ!」
周喩「おわっとお!?くそっ!オヤジを止めねえと!」
孫策「父上がっ!?しかし…ここは抜け出せそうにないな…」
周喩「ちぃっ!」

早く!早くここを突破しねえと!オヤジとおじさんが危ない…!

敵兵「はいやぁ!」
敵兵「たぁ!」
周喩「くそぉっ!きりがねえ!オヤジは何処に行ったんだ!?」
孫策「東門の方みたいだ!味方兵も流れて行ってる!」

…東門…まさしくシャンプーが向かった方向か。

孫堅「観念せい二頭身の中国妖怪っ!」
黄蓋「不死身の八宝斉とは名ばかりよのう!」
黄忠「………………げへへへへ、かかったな小ネズミどもめ!!」
黄蓋「むっっ!?」
黄忠「出でよ、伏兵ーーーーーーーーーー!!」
孫堅「はちゃちゃっ!?ぎやあああああああああああああ」




三、わが家に帰る



 数分後、劉表が降伏したとの知らせが響きわたり、敵軍はいっせいに武器を捨て、その場にひれ伏した。八宝斉をはじめ一部の者達は、何処というでもなく逃げていったようだ。シャンプーがうまくやってくれたらしい。

おれ達の勝利だ。

ただ、オヤジは…。



孫策「父上ーーーーーーっ!!」
周喩「オヤジ………………」
黄蓋「…すまん皆の者。私がついていながら…」

早雲おじさんはなんとか軽傷で済んだ。本人の話によれば、思ったよりは伏兵の数が少なかったから、逃げようと思えば逃げれたらしい。ただオヤジは、…運悪く弓矢に当たっちまった。

周喩「なんてこった…せっかく玉璽も取り返したってのに………。」
孫策「父上………」

孫堅「…孫策よ………」

孫策「ぃゃ、生きてるんですね!?」
孫堅「…わしはもはや戦えまい…これからは、頼んだぞ…。」
孫策「父上、それは………!」

オヤジの言いたい事は、まさか…。
君主の座を譲るってのか?
これからの孫家の主は東風兄で、オヤジは居候にでもなる…ってことか。
まったくもってイキナリな話だ。ボロボロになって意気消沈しているとはいえ…。

孫策「わかりました父上。………それよりはやく手当てを。」
孫堅「うむ。すんごぃ痛いんじゃよ…トホホホ。」

口頭で受け答えはしたが、東風兄の顔には困惑の色が隠せずにいた。
そしてオヤジは、担架で救護テントまで運ばれていった。

周喩「そういやシャンプーはまだ戻ってきてねえのか?」
程普「いま戻ったねっ。仲間みな無事なのか?」

ウワサをすればなんとやら、たった今シャンプーも本陣に帰還してきたところのようだ。タオルで額の汗を拭きながら、戦果の如何を聞いてくる。なんせ今回はほぼ単独行動だったからな。南門でのやり取りなどは、彼女は見ていない。

周喩「オヤジが、やられた。」
程普「………………!」
周喩「ふっ、馬鹿な男だったぜ…あれほど気を付けろって言ったのに…八宝斉を追って、伏兵に撃たれたんだ。」
程普「そんな……」
孫策「乱馬くん。」
周喩「おぉうっっ?」
孫策「ひとの父親を死んだみたいに言わないでくれるかな…一応、命は取り留めたんだから。」
程普「では、無事なのか?」
孫策「うん…一応、ね。」

東風兄の返事には、どことなく苦々しさが混じっていた。
やっぱり、人を失ったような目だ。…あのオヤジでも、戦士としては数々の武勇伝がある方だ。その父親が、戦えない身になってしまった。そしていきなり君主の座を渡されたんだ。…もうオヤジが活躍するところは、見ることがないんだろうな…そう思うと、確かに悲しい。

周喩「…帰ろうぜ。長沙に帰って、頭ん中を整理するべきだ。」
孫策「………そうだね。」

もはや目の前にある城も、おれ達の領地になったわけなんだけど。
会いたい奴がいるから、長沙に帰る。

周喩「そーいやシャンプー、確かあの城に潜りこむ時、東門から入ったんだよな?途中で敵の伏兵に会わなかったのか?」
程普「…んー、いくらか遭遇はしたけど、会った分だけ倒していったある。」
孫策「それで早雲さんが「思ったより少なかった」って言ってたんだね…。助かったよ。」
程普「いえ、どうってことでもないね。」

遊撃手シャンプー、か。今回は本当に彼女のおかげで、攻守ともに助けられた。もしシャンプーが敵の伏兵の数を減らしていてくれなかったら、今頃オヤジもおじさんも、蜂の巣になっていたかも知れないじゃないか。
戦場では頼りになる仲間だ。

…長沙に帰ると、困ったことになるんだけどな…。






大喬「皆さん、おかえりなさい。」
小喬「大丈夫だった?」

 われらがホーム、長沙の城に帰って来れば、この二人が真っ先に出迎えてくれる。
大喬さん、あざなは霞(かすみ)。美人。おしとやか。料理がうまい。…かすみさんの書いたレシピがあるからこそ、戦場におもむいた時でもうまい飯が食えるんだぜっ!普通なら戦場では、干し肉とか干しブドウとかしか食べられないもんなんだ。

あと…もうひとりが小喬さん。いや「さん」付けで呼ぶもんじゃねえっ。あざなは茜(あかね)、不器用、ずん胴、口より先に手がでる乱暴ぶり。今回は着いて来なかったけど、おもに救護係の手伝いをしている。っつっても実際は、怪我人を励ます以外はどれも上手くできてないんだが…包帯を巻けばポパ○の力こぶみたいに太っとくなるし、薬の調合なんて何年かかりゃできるようになるのかってなもんだ。

この姉妹。世間では二強ぃゃぃゃ二喬と呼ばれ、「花も恥じらい、月も身を隠す」ほどの美人、といわれているんだ。これは本当の話。


程普「危ないところだたね。乱馬の采配が少しでも違っていたら、今ごろ大変なことになてた。」
小喬「、何かあったの?」

シャンプーの言葉に、あかねは表情を変えた。

周喩「…まあな。オヤジのやつが………応急処置はしてあるが、あらためて手当てを頼む。」
小喬「おじさま…すぐに向かうわ。」

こういう時にしっかり動いてはくれるあかねだ。そばに居た一人に、救護室に連絡するよう伝え、自分はおれの後ろにぞくぞくと続いてくる兵たちの方へ入っていってオヤジを捜し始めた。
かすみさんはひたすら笑顔で「おかえりなさい」を連呼している。兵たちはみなその笑顔の前に、「あ、どうも(笑)」と頭を下げているのだった。

周喩「さて、………あいつにも事情を報告しておくか。」

実は、今回の遠征に出るまえに、俺も行きたい!っつって聞かなかった奴がいた。だがそいつは、そいつだけは遠征には連れて行けないからってことで、結局は留守番係になっちまったんだ。今頃むくれた面して、おれに対する文句のひとつでも考えているところだろーな。

で、そいつの所へ向かおうと奥へ歩いていく途中、背後から急に甘ったる〜い気配が………。

程普「ら〜んま、今日から豊穣祭が始まるね。もうすぐ夕方になる、一緒に行くね〜。」

そらきた。

周喩「ったく…ばっ、やめろっての、こらっ」
程普「乱馬、髪ほどくの忘れてるね。戦い、もう終わた。」
周喩「あ。………」

不意に後ろから抱き付いてきたかと思うと、おさげを留めてたひもをくいっと引っ張ってほどく。そいでまた髪をひとくくりにして、そのひもで留める。ちょっと忘れてるとよくやられるんだ。おれの方はたいてい、この辺はされるがままになる。

程普「服はこのままでも問題ない、今から行くねっ。」
周喩「いーーーーーーーーやっ、まだあいつと話をしてないからな。」

ったく、女傑族の娘ってのはコワいもんだぜ。
普段は負け知らずのシャンプーだが、おれだけは、一度稽古で手合わせをして勝ったことがある(おれは本当に強いからな)。だがそれからというもの…シャンプーは女傑族の掟で、嫁になる!といきなり言ってきたわけ。ちょっと待てと。結婚かよと。おれの意思はどーなると。…もちろんOKは断じて出していない。しかしシャンプーはどうも引く気はないらしく…結果、現在なお積極的なアプローチが続けられているところなのである。
う゛〜あかねが横にいりゃあなんとかなるんだろうけどな…などと思いつつ。いま周りには誰も助けてくれる人がいないので、えいっとばかりに首元に回された腕をさばいて離脱を図る。
それでおれはあいつの部屋へ、急ぎ足で向かった。

程普「…あ、良牙か。」




四、外に出れぬ男・孫権、謎の男・甘寧



孫権「乱馬ーーーーーーーーーーーー!!」
周喩「な、なんだよ良牙…」
孫権「父上が重傷ってのは本当なのか!?」
周喩「ん、なんだもう聞いたのか。」

本当なのか、とか言ってねえで実際に救護室に行けばいいじゃねーか。と言いたくなるところだが、こいつに限りそれはできない。
こいつは孫権、あざなは良牙。オヤジこと孫堅の、次男。…とんでもない迷子症。城の中にいても毎日迷ってるのに、遠征なんぞに連れて行けるわけがない。それで今回はお留守番係だったってわけで。

孫権「このおれを置き去りにしやがって…」
周喩「だから…。」
孫権「おまけに父上が重傷だとぉ!?きさまは何をしてたんだ乱馬っ!」

む…確かに、敵に囲まれてオヤジを助けに行けませんでしたってんじゃ、天下無敵の周喩乱馬の名がすたる。しかし、おれは確かに事前に忠告したぜ。あれは正直、頭に血がのぼってたオヤジが悪ぃ。

孫権「もはやこの際、留守番係にさせられた恨み、晴らさでおくべきかぁーー!!」
周喩「ぉわっ!?こら待て良牙っ!落ち着けっ!」
孫権「これが落ち着いていられるかっ!!」

言いながら良牙は素手でふっ掛かってくる。
こいつも無差別格闘流・孫子兵法の学び手だ。武の力がないわけじゃあない。

が。

孫権「爆砕点欠!!」

どこっっっっっ

周喩「あ〜〜〜〜!?やめろばかっっ!!」

城の中で、大量器物破損行為こと“爆砕点欠”を繰り出すのは正直やめて欲しい。
今日もまた壁が壊され、ぽっかり穴が開いてしまうのだった。

兵「周喩どのっ。」
周喩「んっ?」
孫権「ぬっ?」
兵「黄蓋どのがお呼びです。なんでも劉表軍にいた武将が我らの軍に入りたいとかの話だそうで。」

ぉ、仲間が増えるってことか。これも戦果のひとつだ。どれ、顔出しに行ってくるか。

孫権「まて乱馬、俺も行く。」
周喩「なんでっ?」
孫権「俺だけ置いてけぼりにされるのは御免だっつの。」

良牙のやつ、よっぽどウズウズしてるらしい。まあこの城にずっと居たって、暇でしょうがないっていやあそうかも知れねーが。
仕方なくおれは良牙を連れて(はぐれないように注意しながら)本殿の広間に向かった。

黄蓋「………紹介しよう、甘寧君だ。」
周喩「んっ?…あぁ、おじさんが前に話してた、」
甘寧「カンネイだ。お見知りおき願おう。」
周喩「お、おぉ。」

この甘寧という男…見た目はどこか野性的だ。ウェーブがかった髪に、ヘビのように鋭い眼。眼の中がやや青い、碧眼とよばれるものだ。こういう眼を持った人間はたまにいる。
そして一束の鈴が、腰ひもに結び付けられていた。

孫権「劉表の軍から、くだってきたのか?」
甘寧「違うっ!俺の方から願い下げでこっちに来てやったんだっ!」

どーやらこいつ、あっちでは本当に周りと仲悪かったらしい。

黄蓋「ほぉ〜。では、劉表殿はキミに、あまり良い待遇をしていなかったのかね?」
甘寧「それもある。いや、大アリだっ。そもそも俺のあざなが、こんな呪われた名でなかったら…っ!」
周喩「あざなが?」
黄蓋「くわしく話してくれるかね?」

そういや、あざなは知られていないっておじさんも言ってたんだっけか。呪われたあざな、ゆえに上司に良くしてもらえなかった…一体、何者なんだこいつ??

甘寧「………………………てめーらには関係ねーだろ。」

ぴきっっっ

ごみゅっ
ごみゅっ
ごみゅっ

周喩「思わせぶりに話しておいてそれはねえだろ…。」
孫権「なんっかカンにさわる奴だぜ。」

一匹狼、というか問題児というか。変なの仲間にしちまったなこりゃ…。

甘寧「すべてはあのじじいのせいなんだ。」
黄蓋「じじい…八宝斉のことかね?」
甘寧「ああ。俺が成人して初めて軍に入ったとき、たまたま近くを通りかかったあのじじいが、俺にあざなを付けたんだ。」
周喩「あの八宝斉が、おめーの名付け親ってわけだな。」
孫権「で、そのあざなは?」
甘寧「………………………ぐふっ、言えねえ。」

ごみゅっ
ごみゅっ
ごみゅっ

だから思わせぶりにしといてコイツわ…。

黄蓋「して、君のあざなは?」
甘寧「…………………………………………………………………………………………パンスト太郎」

!?

孫権「ぱ、パンスト…」
周喩「パンスト太郎って…」
甘寧「言うなっ!!あんまり言うなっ!」

なーーーーーーーーーっはっはっはっは!?なんじゃそりゃあっっ!本当に、本当にパンスト太郎なんてあざな付けられたのか!?

周喩「まあ………………まあ、人間いろいろ事情はあるさ。気にすんなよ。」

なんてな。プフっ、やばい、顔に出る…。

孫権「そうだぜ。不幸な人間ってのは、たくさんいるものさ。気にするなよ。」

って、良牙もなんか小刻みに肩ふるえてんじゃねーかっ。

黄蓋「さよう、名前というものは重いが、付けられてしまったものは仕方がないのだよ。気にしない方が…」
甘寧「ぅるさーーーーーーーーーぃ!!俺には甘寧ってぇ姓名があるんだっ!絶対にあざなで呼ぶなっ!」

む。やっぱ相当いやなんだろうな…。しかし…パンスト太郎って。八宝斉の趣味なのか?

大喬「じゃあ、太郎くんでどうかしら。」
周喩「かすみさんっ。」
大喬「お夕飯できましたよ。皆さん、お茶の間にどうぞ。」

どうかしら、と言われて少々考え込んだようだが、パンスト太郎のやつは結局「呼ぶなっ」とぶきっちょに言い放つだけだった。完全にふてくされているようだ。
それはともかく、飯だメシ!ちょうど腹がへってきたとこだったんだ。

周喩「ほら飯食いに行くぞっ。こっちだパンスト太郎。」
甘寧「ええぃその名で呼ぶなっ!」

ここ、長沙の城の食堂を担っているのは、もちろんかすみさん。‘食堂’ってゆーより、雰囲気がほんわかとしてるもんだから‘茶の間’って呼んでる。それぞれの窓の外側にすだれが垂らしてあって、テーブルには花が飾られている。そこで仕事帰りの男女ともどもが、肩の力を抜いて、茶をすすりうまい飯を食うってわけ。平安極まる場所だ。

孫堅「ふむ、ええ匂いがしておるわ。」
周喩「お、オヤジ!もう歩き回って大丈夫なのかっ?」

茶の間にぞろぞろと人が入る中、体のあちこちに包帯を巻いてのそっと現れたオヤジ。救護室に運ばれたと思ったら、治療が済んで早速歩きまわってやんの…。

孫堅「さて、いただくとするか。ほれ乱馬、座につかんか。」
周喩「あぁ…。」
孫策「父上、………」
孫堅「孫策か。ぁ話すことはあるが、今は食事じゃ。」
孫策「はい…。」

東風兄、どこか不安げな顔をしている。なんせ、いきなり領主の座をオヤジから渡されちまったんだもんな…この城の、新しい主なんだ。正式な宣言こそまだしてねえが…。
ともあれ、オヤジの言うとおり、今は飯を食う方が先だ。ほら他のやつ等もう食い始めてんじゃねーかっ。もたもたしてっとおかわり出来なくなるだろがっ。

周喩「おしっ、いたただきまーすっ!」
大喬「どうぞ召し上がれ。」
孫堅「かすみさん、これは何ですかな?」
大喬「お味噌というものをつくってみたの。それで昆布と鰹のだし汁に入れたらおいしいかなと思って。」
孫堅「味噌汁、とな………。」

かすみさん発明(?)味噌汁を始め、長江でとれた魚を使った料理などが本日のメニュー。うん、やっぱ白い米は家で食う方が断然うま…

ばこっっっ

孫堅「くぉら乱馬っ!もっと行儀よく食わんかー!」
周喩「ぐっ、けほっ!けほっ!何しゃがんでぃっっ」

くっ…相手が怪我人だから殴り返せねえ…。

孫堅「孫策を見習わんか。」
周喩「ん?」

東風兄は、というと。

孫策「かすみさんっっっ、コレハたいした発明デスねッ!うん、オイシーオイシー」
大喬「まあ。眼鏡で食べてて大丈夫なんですか?」

東風兄は混乱している!なんつーか目が、何重ものヨコ線で描かれてほわほわ〜っとした感じの…かすみさんの前ではいつもこうなるんだ。…理由はだいたい、わかるだろ?

孫策「ナハハハハハハハハハハハハハハ」
孫堅「はちゃちゃ…。」
周喩「そーいやオヤジ、あかねは?」
孫権「そういやあかねさんを見かけないな。」

オヤジの看護に当たったのはあかねだ。オヤジと一緒に居るはずなんだが??

孫堅「あかねくんなら、包帯を巻く練習に没頭しとったよ。」

………。



孫堅の巻・完




作者さまより

注釈:
さて、この第一話の中で、「おかしいだろっ!」と言いたくなるところを自分で指摘します。

まずは周喩!!「喩」じゃありません!「口」へんではなく、本当は「王」へんなのですが、漢字変換で出ませんでした!エンコード変えりゃいいらしいですが…自分には危なっかしくて出来ません(汗)

それから、程普。シャンプーにこの役を担ってもらいましたが、本当は男で、呉の国で最も長く仕えた武将のひとりです。ただ生没年不詳のうえ、これといった特別なスポットはあまりないようなので、そこんとこ逆利用して自由に扱わせていただきました。
このあとにも、本当は男なのに女性キャラを当てはめちゃってる的人物がぞくぞくと出てきます。…その都度また注釈を入れます。

あ、もともと本来は「女にあざなはない」です。男でもたまにあざなが不明の人物とかいますが…。

あと、この第一話の戦いのとき、ほんとは孫策は17才。(周喩も同い年なので…17です)確か初陣…です。そしてここでは周喩は戦ってないんですなぁ…。そいでもって、孫堅はここで本当に死んでるんです。享年38歳とか。中年とも言わぬイイオトコだったんですね。

それから劉表は、降伏はしておらず、まだ敵対が続いています。一人の強大な君主として、かの曹操にも一目置かれていたようですが、これといって他の土地に攻め入ることはしていなかった模様。そのためにさほど存在感がなかったんですな…。この度はストーリーの簡略化のため、いっきに制圧されてしまいました。
あと、黄忠は確かにこのとき劉表の配下だったのですが、この戦いでは出てきてなかったようです(実際に孫堅を罠にはめたのは別の人物なのです)。

それから最後に。孫策と周喩は幼なじみであり、孫策は大喬、周喩は小喬を嫁にもらっています。どこで知り合ったのかは色んな説があるようですが☆ 江東制圧の際に略奪したとか(苦笑)


 うーむ、うーむ、うーむ…。
 この作品をいただいた時、正直唸りまくりました。
 三国志演義を定本に、見事に登場人物を描ききっておられます。二次創作の醍醐味をむふふと味合わせていただいております。


 なお、呪泉洞は「戯曲」的な台詞作品は受け付けていないのですが、この作品の場合は、読み手にわかりやすくするために、あえて戯曲的技法を用いたものと解釈し、掲載させていただいております。
 というか、台詞の主がわからないと、誰が誰に比底してあるのか、わかりませんから(笑
 こういう手法で書く手があったかと、改めて感服いたしておる次第です。

 ちなみに、一之瀬、三国志演義は読んでません。遥か昔、学生時代に「吉川英治」の「三国志」を読んだきりですので、全くと言ってよいほど、知識的なものはありません。漢文は大の苦手な国文専攻学生でしたんで…。
(一之瀬けいこ)

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