◇Octover Drama(前編)
 satsukiさま作


  日が短くなってきた・・・季節は、秋・・・
  暑いが、学生にとっては天国である長い夏休みの姿もすっかり失せ、2学期の始まりから2週間が経とうとしていた。

 「芝居だぁ?んなのおめーらが勝手にやれよ。俺、パス。」
  長い休みのグーダラがすっかり身についている乱馬は、放課後、机に張り付いたままクラスの女子達の話を面倒げに聞いていた。
 「そんなこと言ったって・・もう決まっちゃったんだもん。乱馬君だってしっかり手、上げてたじゃない!」
 「そっ・・それはだな〜ι(しまった・・面倒で、つい上げちまった・・)」
 「そーよ!今さらやらないだなんて、言語道断よ!」
 「それに、前にやった‘ロミオとジュリエット’で舞台慣れしてるでしょ?ちょどいいじゃない。」
(あれって、舞台だったのか?)
女子のパワーに思わずたじたじとなりながらも、乱馬はやった覚えがうっすらとある‘演劇’を思い浮かべた。
 「そうそう、あれ結構面白かったよね。・・ほとんどアドリブだったけど・・それに何て言ったってラスト・シーンよねv」
 「げっ!!(あんなん、キスのうちに入んねーよ!!)」
 「ねーっ!私も早く、彼氏ほしーな・・・い〜な〜、あかね・・・」
 「わっ・・私に振らないでよっ!!」
  乱馬の隣の席から話を聞いていたあかねは、ドギマギしながら答えた。
  そんな雰囲気の中、面白そうとばかりに寄って来た乱馬の悪友のひろしと大介ちょっとした疑問を投げかけた。
 「・・んで、結局乱馬は何の役やるんだよ?」 
 「そうそう、そーだったわ!見て、私の超大作!」
  嬉しそうに自作の台本をひらひらさせている文学少女:美咲を、乱馬は目だけで見つめていた。
  
  たいていの高校がそうであるように、風林館高校も何年に1度の割合で‘体育祭’と‘文化祭’が回ってくる。
  そんな中、今年はお祭り好きの悪の校長の陰謀?によって‘文化祭’が行われることになったのだ。
  クラス別に出し物をするのは高校の文化祭ではお決まり事。
  それで、乱馬のクラスは‘演劇’に決定したわけだが、その主役に乱馬が持ち上がったのだった・・・
 
 「へ〜・・流石ね、美咲。ちゃんと短くまとまってるし、台詞もいい感じ!内容もこれなら出来そう!」
  受け取った両面にびっちり書かれた30〜40枚ほどの紙の束をぺらぺらめくりながらざっと目を通し、
  簡単に中身を頭にいれながらゆかが賞賛した。
  それもそのはず、美咲の台本は役柄・台詞は勿論、衣装、背景においてまでもこと細かに記されていたのだ。
  それを聞いて、どれどれと寄って行くさゆり達女子。
 「へへ〜っ!良かった。」
  安心したようにはにかんで笑う美咲。
  ・・・女の子の話とは、脱線しやすいものである・・・
 「んで、何度も聞くけど、乱馬は何の役やるんだ?」
  なかなか本題に入らない話題に、痺れをきかせたようにひろしが話を切った。
 「あっ!そうだった!乱馬君はね、主役なんだよ。これね、絶対乱馬君にしか出来ない役なんだっ!」
  美咲の言葉に乱馬がぴくりと反応する。
 「へっ!な〜んでぇ。確かに、俺は世界一かっこいい男さ・・・だがな・・・」
 「・・・・・。」
  ふっ・・とばかりに顔を上げ、どこか遠くを見ながら熱演している乱馬を「あほか・・」とばかりに全員が注目した。 
 「・・乱馬君、やっぱりナルシストなのね・・」
 「・・自意識過剰なんだろ・・」
 「・・みんな甘いわよっ!くされ外道よっ!・・」
  少し離れてコソコソ意見を出し合っているのを見て、乱馬は顔を‘へのへのもへじ’に変えて突っ込んでいった。
 「・・・っておい、き〜てんのかよおめーら!」
 「あ〜、はいはい、よっっっっく分かったから、話聞いてね。乱馬君の役はね〜・・・」
  数秒後・・・
 「ぬぅわぁんだとぉぉ〜〜〜!!俺は、そんな役、ぜってーにやんねーからなっ!」
  教室中に乱馬の声が響き渡った。反射的にその場の全員が耳を押さえる。
  やがて押さえた手を外しながら、美咲が説得に入った。
 「だって、こんなこと出来るの乱馬君くらいじゃない?せっかくなんだから、活かさなくちゃ!ねっ!」
 「活かしたくねぇ!」
 「やってあげなさいよ。乱馬。せっかく美咲が台本考えてくれたのに、可哀相じゃない。」
  あかねは先程の意見交換?の時で立ち上がったそのままの状態で口を挟んだ。
 「なんだよ、あかね。簡単に言うがなぁ、俺は好きでこんな体質になったわけじゃねーんだよっ!」
  当然、面白く無さそうに乱馬は言い返した。ここからは、いつもの喧嘩の始まりだ。
 「いいじゃない、減るもんじゃない!生まれ持った天性じゃない。」
 「天性じゃねぇ!俺は、元々男だっ!!」
 「なによっ!よく女になってたこ焼きだのアイスだの買いに行ってるくせに!」
 「まっ、どっかの誰かと違って、色気ってーもんがあっからな!」
 「なによっ!この男女!変態ばかっ!ばかばかっ!」
 「んだとっ!可愛げのねー寸胴女ぁ〜!」
 「なんですってぇ〜〜!!」
 (はぁぁ・・・結局こうなるのよね・・・)
  いくら恒例の喧嘩も毎日見ていると呆れを通り越してため息が出る。
  筆者の美咲にとっては、せっかく話が出てきたのだから最後までキッチリ決めたかった。 
 「とにかくっ、乱馬君しかこの役は出来ないの!だって、男と女に自由に入れ替われることをお芝居で使わないでどーするの!
  見過ごせない所よっ!私(筆者)にとっては!お願い!乱馬君!引き受けて!この探偵の役!!」
 「「探偵ぃぃ〜〜??」」
  美咲の懇願の声のすぐ後に乱馬と、そしてあかねの声が瞬時にして重なった。
  ・・喧嘩の終止符を打ったようだ・・
  すごい剣幕の声(しかも2人分)を出されたので、美咲を合わせて周りにいたゆか達もすざっ・・と後ずさり、
  あかねは美咲に駆け寄った。
 「みっ、美咲!台本、ちょっと私に見せて!」
 「えっ・・あ、いいけど・・。そんなに探偵って変だったかな・・?」
 「変って・・・。おめー、学校の文化祭でふつー探偵もんとかやるか?」
  口には(恥ずかしくて)出せないが、乱馬は物語系だと思っていた。それはあかねも同じ考えだった。
  美咲にとっては乱馬の言葉の方が意外だったらしい。首を傾げながら意見を述べた。
 「あ〜ら、何言ってるの乱馬君、今結構流行ってるのよ?再放送どころか、ドラマ化もされてるんだから!それにね、台本・・って
  言っても原作があるんだけど、金○一少○の事○簿の一話に○探偵コ○ンの感じを+してね、コ○ン君が声を自由に変えられる
  みたいなところを、乱馬君の変身体質にババーっと置き換えてね・・・」
  美咲の口調はどこか熱意の篭ったところがある。
  ぐっと拳を握り締める姿は、さっきの乱馬以上に燃えているのが伺える。
  一方、乱馬は机の上に肘をついて問い掛けた。
 「・・・おめー、台本書く前、何か読んだな・・・」
  乱馬の言葉にはっ・・と我に返った美咲はぺロっと舌を出して、小さく笑って返答した。
 「・・へへっ・・推理小説を少々・・・」
 「だぁぁ〜〜〜ι女って分からねー!!!」
  乱馬は(せっかく)起こした体をばたっと再び机に伏せた。
  ・・・あかねはと言うと、美咲を作った台本を少しずつ頭の中に入れていき、だいたい読み終わった後、ふぅ〜・・とため息を
  ついて、一言・・・
 「美咲・・・。この役、乱馬にはぜったい、無理よ・・・」
 「えっ?」「な”っ!」
  すぐ次に2人の声が続き、美咲が‘どうして?’と言う前に乱馬があかねに言い寄った。
 「どーゆー意味でぃ!俺に不可能な事なんかねーぞ!」
  あくまで強気の乱馬にあかねはかなり正論に近い言葉を放った。
 「それは、格闘においてでしょ?あんたね、演劇を馬鹿にしてると痛い目にあうわよ!この前の‘ロミオとジュリエット’は、
  ほんっっっとーに奇跡的に上手くいったけど、今度はクラスでやるのよ!間違いなんて許されないんだから!台詞1つ覚えて
  こなかったあんたが、探偵ものなんて出来るわけないじゃない!」
 「う”っ・・・。」
  あかねの言動1つ1つにツマル乱馬。
 (‘ジュリエット’って台詞なら覚えたぞっ!)
  流石にこの言葉は言い返せなかった乱馬であった・・。威張って言えることではないから、当然だろう。(←虚しいぞ!乱馬君) 
  それを見てとどめを刺そうとあかねが言い切った言葉が、乱馬の闘争心に火を付けてしまった・・・
 「とにかくっ、あんたみたいなバカにはぜぇぇーーたいに、ム・リ・な・の!」
 「(むかっ!!)おー、言ってくれっじゃねーか!んなの、やってみねーと分かんねーだろっ!」
  今度はあかねが焦る番だ。‘しまった’と思ったが、性格上、引く事は出来なかった。
 「なによっ!無理ったら、ムリ!あんたが、4行も5行もある台詞覚えられるわけ無いでしょ!」
 「だから、やってみねーと分かんねーっつってんだ!ほんっとにかわいくねー奴だなっ!」
 「今は関係ないでしょ!かわいくねー、かわいくねーって、そんなんで黙ると思ったらおー間違いよ!バカっ!テストも真面目に
  受けないあんたなんかには、無理ったら無理なの!無理無理無理無理無理無理無理無理っ!!!」
 「んだとっ!やってみねーと、分かんねーったら、分かんねー分かんねー分かんねー分かんねーーーっ!!」
  激しい2人の言い合いの中、それぞれの親友達は思った。
 (乱馬君、あんなに言い合ってるのに決して‘出来る’って言い切らないのね・・・)
 (ほんとーは、自信ねーんじゃねーかな・・)
  しばらく眺めていたが、言い合いを止めたのはまたまた美咲の一言。
 「あ〜、あとね、乱馬君の相手(恋人)役、あかねやってくれないかな?」
 「え”っ・・?」
  再び、息の合ったコンビネーションでぴたっと止まって、しばらく静寂が流れる。
 「ヒロインね、とっても運動神経いい子なの!それにほら、乱馬君の相手役って言ったらあかねしかいないじゃない!許婚だもんね!」
 「ちょ・・ちょっと、美咲、待って。私は・・」
  あかねが戸惑って反論しようとした時、乱馬がにやりと笑いながら口を割って入った。
 「ほ〜、あかね、せっかく美咲が考えたのに断るのか?」
 「う”・・・。」
  自分が言った言葉をそっくりそのまま返されて、あかねは悔しそうに乱馬を睨みつけてから、キッパリ言った。
 「・・分かったわ、やるわ。乱馬、あんたもそう言ったんだったら、覚悟は出来てるんでしょね!」
 「おー!何の覚悟か知らねーが、受けてたってやらー!」
 「・・・・・。」
  乱馬とあかね、この2人の間に何やらバチバチと燃えているようだ。
 (なんか、勘違いしてるよね{よな}、この2人。演劇のこと・・・)
  そう思わずにはいられない中、美咲だけは無事に?配役のTOPが決まりホクホクしながらも、あかねの‘無理’攻撃が
  気になったため、台本をコピーしに向かい、帰りにしっかり2人に手渡した。

「乱馬!そこ台詞抜けてるっ!んもうっ、これで10回目よ!」
  美咲から台本を受け取ってから丸1週間と数日。
  クラスで発表され完全にやる事が決まったため、夕食後はあかねの真面目さによって必ず台詞合わせを道場で行った。
  あかねは毎日やってるため流石に台詞はほとんど完璧に覚えてしまっていたが、問題は乱馬の方だ。
  やる気を少しも見せない乱馬は、1ページ目からつまずくのが日常の風景となっていた。
 「ちょっと、乱馬!あんた、自分でやるって言ったんでしょ?少しはやる気ってもんを見せなさいよ!ちっとも進まないじゃない!
  おばさまが居たらきっと‘男らしくない!’って怒るわよ!ホントに!」
 「だぁ〜って、よう・・。」
 「だっても何も・・明日のLH(ロング・ホームルーム)に皆で初の台詞合わせがあるのよ・・大丈夫なの?」
  あかねにしては、2度目のちゃんとした役・・そして乱馬の相手役。
  成功させたい気持ちが先走って、ついつい当たり口調になってしまう・・
  不安と怒りも表情に出てしまったらしく、乱馬も居心地が悪くなるのを感じていった。
 (そんなに楽しみにしてるのかよ・・・)
  「もう、寝ようか」と言うあかねの言葉と部屋に戻っていく姿を見送ってから、乱馬はしぶしぶ台本を開いた。
 (あ〜〜っ!美咲の奴、なんだってこんな長くて細けー話選んだんだ?頭、どーなってるんだよ、たくっ・・。)
  そう思いながら自分の台詞の何行かを読み始めたが、そのまま道場の中で眠りについてしまった。

 「・・乱馬っ!乱馬っ!!」
  少しずつ変化していく季節の変わり目の寒さを感じ、乱馬はうっすらと目を開けたが眠さはそれに勝っていた。 
  さらに惰眠を貪ろうとする乱馬の顔をあかねは控えめに叩いた。
 「起きなさいっ!乱馬!朝よ!」
  口では厳しく言うが、あかねの心中は違っていた。
  乱馬が徹夜して台詞を覚えようとしてくれた気持ちが、とてつもなく嬉しく感じたのだ。
  しかし、乱馬はまだ起きようとしない。
  今度は頬を思いっきり引っ張ってみた。
 (ぷっ・・・変な顔〜〜)
  面白半分で引っ張りつづけたがそれでも起きない乱馬に、だんだん腹が立ってきたあかねはどこからかメガホンを持ってくると・・
 「い〜〜かげんに、起きんか〜〜〜い!!!」
  耳元で叫んでやった。
  当然パッチリ目が覚めたのは言うまでもない。
 「・・なんだよ、あかねっ・・・」
  不機嫌そうな声に、ぴしゃりと言い切った。
 「なんだよって、朝よ!」
 「見りゃー分かるぜ、んなこと。」
 「だったら早く起きなさいよ。学校遅れるわよ!それにね、武道家だってのに人の気配に気づかないで熟睡なんてだらしないわよ!」
 「家ん中なんだから別にいーじゃねーか。」
 「油断大敵よっ!」
 「けっ、色気のねー起こし方する奴の気配なんぞで目、覚ましたってなっ!」
 「なんですってぇぇ〜〜!」
  あかねは1発飛ばしてやろうと思ったがすんでのところで止めて、ぽつりとつぶやいた。
 「でも・・ありがとう。」
 「へっ?何が?」
  いきなり思いもしない言葉をかけられ乱馬は目を白黒させたが・・
 「だって・・練習してたんでしょ?こんな所で寝ちゃって・・」
  あかねの言葉に乱馬はびくっと固まった。
 (まっ・・確かに努力はしたが・・・へっ、ちっとも、覚えてねーや・・)
  自分の顔を直視出来ずに視線を泳がせている乱馬を見て、あかねは(まさかね・・)と思いながら、質問してみた。
 「乱馬ちょっと聞くわよ?自分の役は?」
 「はっ?探偵だろ?(これは美咲が言ってたもんな)」
 「乱馬と私の役名は?」 
 「乱馬とあかねだろ?(まんまだもんな・・)」
 「変身後の偽名は?」
 「偽名って何だ?」
 「仮の名前よ。」
 「ああ、乱子だろ?(お袋が居る時みてーだな?)」
 「じゃあ、乱馬と私の役上の関係は?」
 「へっ?兄妹?」
 「・・・・・。(ピキッ!!)」
  いきなり黙り込むあかねを怪訝そうに見つめながら乱馬は聞き返した。
 「なんだ?終わりか?結構出来てただろ!へっへ〜んだっ!」
  ゴゴゴゴゴゴゴっ・・・
  すばやくあかねの膨れ上がる闘気を察知した乱馬は後ずさりながら「なんだよっ・・」と負けじと言い返したが迫力はあかねの方が
  数段上回っていた。
 「なにが、‘へっへ〜んだっ!’よ!!バカッ!あんた・・1度ならず2度までも・・・そんっなに私の相手が嫌なわけっ!?」
 「はっ?おめー、何言って・・・」
  乱馬の言葉が言い終わらないうちにあかねは先程から溜まりに溜まった怒りを乱馬に向けて発射した。
 「学校の練習が始まるまでにぃ、台本全部飲み込んでこーい!!」
  ずどぉぉ〜〜ん!!
  乱馬は朝っぱらから空中飛行を楽しむことになった。

 (なんだってんだよ!あかねの奴。んっとに可愛くねぇ!!)
  ひゅるるるるるっと落下しながら乱馬は天道家の屋根に頭から追突した。
  やがてずるずる下に下りていくと、縁側では早雲と玄馬(パンダ)が将棋をしている何時もの風景。
 「おやっ?乱馬君。」
 「ぱふぉ(随分早い帰りだな?)」
 「別に、帰ってきたわけじゃねーんだけどな・・」
 「どうしたんだい?」
 「いや・・・別に・・」
  ふ〜〜と煙草を吹かしながら早雲がパチッと将棋を打つ。
 「そ〜いや、あかね、出て行く時にとても怒っているようだったが・・・なにかあったのかね?」
 「いえ・・・別に・・何も・・」
  でんでろどろどろ〜〜〜
  乱馬のあいまいな答えに、とたんに早雲は巨大化般若になる。 
 「ど〜〜したんだ〜〜い〜〜?乱〜馬〜く〜〜ん!!!」
 「ひぃ〜〜〜っ!!」
  なんとか早雲の攻撃?から避けながら乱馬は朝あったことを話し出した。

 「ほ〜。あかねがねぇ?この台本(の中:台詞)を全部飲み込んで来いとねぇ〜?」
 「無理に決まってんのに、あかねの奴・・・」
  不平を言う乱馬を見ていた玄馬が、いきなり乱馬の持っていた台本を取り上げると・・
 「ぱふぉ!」
  と言ってそれを口の中に入れた。
 「何しやがるんでぃ!くそおやじ」
  ギリギリと首を締め付ける乱馬を、早雲が「まぁまぁ」と制し、生真面目な声で言った。
 「さて、乱馬君。」
  乱馬もいきなり声音の変わった早雲を真面目に見返したが、次の瞬間、ずっこけることになる。
 「今の早乙女君の状況は?」
 「はっ?俺の、台本を、飲み込んで・・・んっ?台本を飲み込・・・」
 「ぱふぉ(な〜ははんちって!冗談!冗談!)」
 「はっはっはっはっは・・・」「ぱふぉふぉふぉふぉ・・・」
 「おいっ!!(前にもあったシチュエーション{場面}だな・・)とにかく、おやじ。台本返せ!」
  詰め寄り、手を出す息子(乱馬)に玄馬はきゅっきゅっとマジックを動かす。
  その文字を読みながら、乱馬の肩はだんだんに震えを増していく。もちろん‘怒り’の衝動によるものだ。
 「な・に・が‘もう、飲み込んじゃったよ〜〜ん’っだ!ふざけやがってっ!こんの、くそおやじぃ〜〜!!」
  ずがぁぁ〜〜ん!!
  今度は玄馬が秋晴れの中を散歩する事になった。
  ・・・そして乱馬は、ちっとも頭に入らないまま学校に登校することになった・・・

「ったくっ・・どーしてくれんだよ、おやじの奴。またあかねに飛ばされるのがおちだぜ。あ”〜、めんどくせー!!」
  ブチブチ文句を言いながら乱馬は学校へ向かった。

  10月本番まで、あと約1ヶ月。
  まったく、どーなることやら・・・。



つづく




作者さまより

なんと中途半端で、訳の分からない小説なのでしょうか!(苦笑ι)
私の学校は今年体育祭だったので、その風景等上手く表現しきれませんでしたが、親友の学校祭に行き、盛り上がりを見て、
乱馬君達の学校祭だったら・・と想像してみました。
皆様はどのような文化祭を経験しましたでしょうか?


一之瀬けいこ的学園祭の思い出
文化祭ネタ・・・いいですね。これもやってみたいネタの一つです。
私は高三の折、クラス劇で「水戸黄門」やりました。ちゃんと太秦(映画村)から鬘と衣装をお借りして(クラスの子のつてで当時「水戸黄門」で助監督やっていた方に協力してもらえたんです)大真面目でやったんです。
いやあ・・こういう劇って真面目にやるとまた面白かったですね。盛り上がった盛り上がった・・・。
準備中に台風が来て、遠距離通学だったので大変な目にあったこととか・・・20年以上経つのに鮮明に覚えています。
ビデオなんかまだ普及してなかったから映像は残っておりませんが。
私は小道具の係りで木刀持って走り回ってました(笑・・・咽喉が弱かったんで(高校時代何度も声帯手術してますから・・・)声張り上げられなかったので裏方でした(笑
青春の思い出ですね・・・(いつかネタにしちゃろ・・・)


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