◇ぬくもり
satsukiさま作


* 1footstep *

 「なんだぁ〜!?こいつ・・」
 
  とある冬の休日。
  乱馬は庭を見てすっとんきょうな声を上げた。
 
 「何って?…犬に決まってるじゃない。」
  見て分からない?とばかりにあかねが即答する。
 「んなの分かってらぃっ!!」
 「じゃあ何よ。」
 「な・ん・でウチにいるか聞いてるんだっ!」
 「猫よりマシでしょ?」
 「・・質問の答えになってねぇぞ。」
 「預かったのよ。」
 「誰から?」
 「和枝お姉ちゃん。」
 「和枝・・?あぁ、お前の従姉妹の・・」
 「そうよ。」 
  雪の上をごろりと寝転んで、あかねにお腹をなでて貰っている犬が気持ちよさそうに反転した。
  全体は薄い茶色の毛皮に、ピンと立った耳、そしてキッチリと巻かれた尾っぽが特徴的な雑種の中型犬だ。 
 
 「でぶった犬だなぁ・・」
 「第一声がソレ?失礼な奴ねぇ・・」
  くすくすと笑うと、あかねは立ち上がって縁側の窓に寄りかかって立っている乱馬の方へ歩いていった。
 「おいで。」
  呼ばれるままに、さくっと立ち上がるとしっぽを左右に一生懸命振りながら駆け寄ってきた。
 「よ〜しよし。」
  頭を首を再びゆっくり撫でてあげると、嬉しそうにおすわりをした。
  
  上から見ると、その姿形はまるでラグビーボールのようで・・
  …つまり乱馬の言ったことは限りなく本当に近く・・
  人で言う腰の“くびれ”の辺りの見分けがつかないくらい、ころころとした体型なのであった。

 「お前、デブだなぁ・・」
  あかねの横に軽く腰を下ろすと、感慨深げに手を伸ばして両頬をひっぱった。
 「ホレ。頬袋が出来るぞ。」
 「・・ハムスターじゃないんだから・・」
  苦笑しつつ、ペンっと乱馬の手を軽く叩く。 
 「ちょうどいいじゃない。極端に痩せてたり、反対に歩けないくらいブクブクに太ってたりしてる方が嫌じゃない? 
  これくらいの固太りが、かえって愛嬌あって…私は好きよ。」
 「そーいうもんかねぇ・・?」
 「そーいうものよ。」
  ま、人それぞれだけどね・・と付け足した。
 「ね、乱馬。」
 「あん?」
 「散歩行こうよ。せっかくだし。」
 「やだね。めんどくさい。」
 「いいじゃない。明日には返しちゃうんだから・・ねっ?」
  上目遣いで両手を添えられては乱馬も次の文句も閉口せざるをえない。
 「・・ったく、しゃーねーなぁ・・・あとでなんかオゴレよ!」
  ガリガリと片手で髪をかき、ちゃっかり一言付けて立ち上がった。
 「了解っ!」
  機嫌がいいのか右手を額に敬礼するあかねに、ふっと口元を緩めると「ちょっと待ってな。」と言って玄関へ向かった。


  気が付けば空を覆う雲も、コンクリートで敷き詰められた大地も、そして息も真っ白に染まっていた。
  昨日1日降り続いていた雪雲は、今日の朝方早く、気まぐれな風に吹かれて東へと流されていった。



* 2footstep *

 「ひゃ〜あ〜・・風が冷たぁ〜い!」
  大きく息を吸い込み、はーっと思いっきりはき出すと、追って肺を循環していた暖かい蒸気が外部へと逃げていった。
 「そら、冬だしな。」
 「つまらない返答ねぇ。」 
 「ほっとけ。」
  世話しなく走り回る犬のリードに引かれながら、あかねが走り、その隣を乱馬がピッタリと添う。
 「どこに行こうか?」
 「そこら辺一周でいいんでない?」
 「ダメ。せっかくこんなに積もったんだし…どうせなら、綺麗な雪を思いっきり踏んでから帰りたいわ。」
  さっき通りすぎた公園は、すでに子供達の足跡がそこここに広がり、土の混じった雪だるまが並んでいた。
 「んなこと言ったってよぅ・・」
  しばし歩調を緩めて乱馬は考える。
  
  川辺。
  危ないから却下。
  裏山。
  滑りやすいから却下。
  ただでさえ走り回る犬付きだしなぁ。
  ・・・・・・
  ・・・・
  ・・
  あとどっかあったか?
  !
 
 「学校、行くか?」
 「学校?」
 「高校だし、ガキも入って来てないだろ。それにどーせ部活なんざ、この雪じゃやってねぇだろーし。」
 「でも、この子入れないわよ?」
  はっはっと口で息しながら、期待するような目を向ける犬。
 「んなの、へーきへーき。あの校長が決めた校則に従う義理はねーぜ。」
  なんとも凄いことを言う。
  しかしなんとなく納得してしまえるから、空し…いや、可笑しい。
 「…そうね。でも何かあったら乱馬のせいよ?」
 「おまえなぁ〜・・」
 「ふふっ。冗談よ。」
  さ、行こうっ!
  再び走り出す。
  
  頬にあたる風を切る。
  喉と肺を少し圧迫する程度の心地よい疲れが出てきた頃にようやく校門をくぐった。
  
 「うわ〜あ。乱馬の言った通り。校庭真っ白っ!きれーい!!」
 「良かったな。」
  予想通り、誰も踏み荒らした痕もなく、校内はしんと静まり返っていた。
  まさしく第一歩を踏み出すと、ぎゅっと柔らかく押し潰される音がした。
  それっそれっとあかねの掛け声に合わせて、短い4本足も慎重に進んでいたかと思うと、頭を下げて匂いを嗅ぎ出し、
  いきなり前肢で雪を掻き出した。
 「うわっっと!!コラ、何しやがるっ!」
  ぼすっと乱馬の顔に直撃する。
 「ふっ・・やられたら・・・やり返すっっ!!」
  しゃがんで軽く雪をかき合わせると、あかねと小さな影に向かってひょいひょいと投げ込んだ。
 「わっ!ちょっと、乱馬っ!!タン…ひゃっ!」
  タンマと言う前に顔面に飛んで来た雪球を片手で防御すると、あかねも負けずに座り込んだ。
 「こらっ、待ちなさーい!」
 「へっへ〜んだっ!」
  
  追いかけ追い越し。
  2人と1匹の足跡が、一面の雪原に刻まれていく。 
  
 「はぁ〜……、走ったぁ・・・」
  ぽすんと腰を下ろすと、ふぅと息を整える。
 「何だよ。もうくたばったのか?」
 「違うわよ。手がかじかんじゃって、もう動かないの。手袋してくれば良かった。」
  はぁ〜と両手に息を吹きかえる様子をちらりと垣間見る。
 (あ〜あ、真っ赤になってやんの。)  
  指先まで紅く染まり、かすかに震えているあかねの腕からリードを抜き取り、空いたもう片方の手であかねをひっぱり上げた。
 「んじゃ、そろそろ帰るとすっか。腹減ったしな。」
 「・・そうね。」
  ちょうど正午を知らせるサイレンが、近くの工場から響き渡った。



* 3footstep *
 
  い〜しや〜〜きいも〜〜
  ほっかほっかの
  やきいも〜〜

  
 「あ。」
 「何だ?」 
 「ちょっと待ってて。」
 「?」
  そう言ってあかねが向かった先は、荷台に焼き芋を積んだトラックだった。
  しばらくして紙袋を両手に抱えて駆け戻って来た。
 「はい。さっきの約束ね。」
 「約束?」
 「もう忘れたの?何かおごれって言ったじゃない。」
 「あー…、そー言えば・・」
 「これで貸し借りなしよ。」
 「へいへい。」
  袋から1本取り出して渡されたのは熱々の焼き芋で、とりあえず冷え切った手の暖を取る。
  それからぱくんとかぶりついた。
 「…あ゛っぢぃ・・」
 「当たり前でしょう?一気にそれだけ口に入れれば、火傷もするわよ。」
  1/3分の焼き芋を口の中でもごもごさせて、ごくんと半ば強制的に飲み込んだ。
 「うへぇ〜・・」
  ぴりぴりする舌を外気で冷やし、懲りずにまたかぶり付こうと焼き芋を口に運ぼうとした瞬間・・

  ぴょーーんっ

 「うおっ!」
  勢いよく毛皮が目前に飛び込んだ。
 「何だぁ〜?お前の分はねーぞ。」
  そうピシャリと言い切り、再び手を運ぶが・・

  じー・・・っ

 「・・・・・」
 
  ジーー・・・っっ

 (負けるもんか・・)

  ジジーーー・・・っっっ

 (・・・・・)
 
  ジと〜〜〜〜・・・っっっっ 

 (…ちっ。)

  無言の戦いの末、乱馬は焼き芋を少しちぎった。
 「ほれ。」
  ぽんっと投げると、器用に口で受け止め、2噛3噛で即効飲み込んだ。
 「ちゃんと味わってるんか?お前。」
    
  じー・・・っ

 「もーねぇよっ!!」

  ジーー・・・っっ

 「俺のを分けてやったんだぞっ!」

  ジジーーー・・・っっっ

 「諦めろよ・・」

  ジと〜〜〜〜・・・っっっっ

 (…負けた・・)

  今度はなんの言葉もなしにちぎって投げてやった。
  
  くすくすくす・・

 「あに笑ってんだよ。」
  あからさまに乱馬の不機嫌な声に、あかねは更に噴出した。
 「…だって、乱馬ったら・・・犬相手になにやってるのよ。」
 「しょーがねぇだろ・・」
 「あんまり甘い物とかあげちゃいけないんだから・・ダメって一言言えばいいのよ。」
 「・・犬が強すぎるんでぃ。」
 「あーあ、もうほとんどないじゃない。」
  しょうがないわね、と笑いを堪えながらあかねは自分の残りを半分に割って渡した。
 「はい。今度は負けないようにね。」
 「…うるせぇ・・」
  そしてまた1人と1匹の仁義無き戦いが始まる。



* 4footstep *
  深夜。
  カタンと玄関先での物音に、乱馬は目を覚ました。
 (何だ?)
  そぉっと忍び足で向かって見ると、1揃えの見慣れた靴が無くなっていた。
 (あかね?)
  気配を追って、乱馬も外へ足を踏み出した所で、あかねと鉢合わせした。
 「何やってんだ?お前。」
 「…乱馬?」
  あかねの方も驚いたのか、ビクンと緊張するがすぐにほっと肩の力を抜いた。
 「うん。寒いなぁって思って窓開けたらね、また雪降ってきてたから・・」
 「…で?」
 「どうしたかなって・・。ほら、縁の下じゃ、ちゃんとした風塞ぎにならないでしょ?そしたら気になっちゃって・・・」
  目が覚めちゃったの、と舌を出した。
 「まぁ、とにかく、だ。中、入ろうぜ。」
  両手でしっかりとリードを掴んで、寒さで縮こまっているあかねの背を押し、玄関の戸を閉めた。
  それから物音をなるべく立てないように、押入れやら台所やらを探し、ダンボールを玄関の床に敷き詰めた。
 「よし。」
  満足そうに小さな声をあげ、やや濡れた犬の体を優しくタオルで拭き始めた。
  その間、乱馬は冷えた体を温めようと、台所でホットミルクを作り2つのカップに入れた。
  
  乱馬が慎重に、それでも出来る限りの速さで玄関に向かうと、あかねはダンボールの上に座り込んでいて、
  膝の上には小さな顎がちょこんと乗っかっていた。
  その頭から背にかけてゆっくり優しい微笑みを浮かべながら撫でてあげている姿に、しばし見惚れ、かける声を飲み込んだ。 
 「どうしたの?」
 「いや…」
  一言で返し、黙ってカップを手渡した。
 「ありがと。」
  こくんと咽下する。 
  
  しばらく沈黙が続く。 
  あかねは何か考えるように首を傾げつつ、片方の手は休めず動かし続ける。
  
 「犬ってさ・・」

  ことんとカップを置く。
 「人間よりずーっと寿命が短いじゃない?」
 「まぁ、一般的にな。」
 「それは、人間よりせっかちに心臓が動いているからなんだって。」
 「へぇ。」
  話の先が読めず、曖昧な相槌を打つ。
 「あったかい、よね。」
 「?」
 「ほら、前に言ったでしょ?竜司君達が来た時に…瞳の輝きとか、それから子供は少しだけ体温が高いから、その暖かさがすごく
  気持ちいい・・って話。」
 「あぁ。言ってたな。」
 「それってさ、犬…ううん、動物も同じなんだって・・」
  そう言うと、瞳を閉じて背を丸め、頬を膝の上の頭につけ、同時に撫でていた手を止め、ぎゅっと両手で軽く体を抱きしめた。
 「…生きてるんだぁ〜って……短い命だから…その分私達より精一杯・・そう思うと、このぬくもりが何か嬉しくって。」
  顔をあげる。
  同様に、膝上で閉じられていた黒真珠が開き、あかねを見つめキラキラと光を照り返す。
 「・・おやすみ。また、明日、ね。」
  そっと膝から下ろした後、体の上に古布を被せてあげ、ぽんぽんと2度軽く目元をたたいた。
  そして玄関を上がると、自分のカップと乱馬のカップを持ち上げる。
 「あ、そう言えば…乱馬・・」
 「何だ?」
 「起こしちゃってゴメンね。」
 「…今更だな。」
 「…何よ。」
  苦笑する乱馬に、一度ぷぅっと膨れっ面を見せるが、すぐにあかねも笑みを浮かべる。
 「おやすみなさい。」
 「あぁ。」
  
  パチンと灯が消えた。



* 5footstep *

 「ごめんなさい。無理言って押し付けちゃって・・」
  翌日夕刻、庭先で遊んでいたところに竜司と雪葉が乱入・・もとい迎えに来た。 
 「いいえ。あかねちゃん達が全部やってくれて、私達は何もしてないのよ・・」
  のほほんと何時ものごとく、マイペースに茶を出しながら、1泊2日の旅行帰りの和枝夫婦にかすみが笑みを向ける。
 「ホント助かったわ・・1泊とはいえ放っておくことも出来ないし・・・」
 「ホント、朝起きたら玄関にいるから、こっちは驚きもんよぉ。」
 「玄関!?」
 「そうなのよ。なんかね・・」
  なびきもこたつの1スペースを陣取りながら話に花を咲かせ始めた。
   

  外では甲高い声が響き渡っている。
 「そーだ、これ、にーちゃん達にお土産。」
 「おみやげおみやげっ!」
  リュックの中に、落とさないようしっかりと入れられていた長方形の箱をぐいっと引っ張り出して得意満面に竜司が差し出した。
  それをあかねが受け取った。
 「まんじゅーだよ、まんじゅー。」
 「お母さんがね、これ美味しいよって…」
 「ろてん(露店)ってとこで食べたけど、うまかったよっ!」
 「おいしかった、おいしかったっ!!」
  ピョンピョン跳ね上がり、興奮が押さえきれない感じで、一気にしゃべり通す。
  犬も一緒に飛び上がる。
 「うわっ、お前らっ!落ち着けって。」
  ドシンと3つ分の体当たりを受けて、乱馬はまともに尻餅をついたが、その上を更に竜司が飛び乗る。
 「ぐ…ぐえぇ〜〜、ぢょ…ぢょっど待で、り゛ゅーじぃーー!」
 「わーいわーいっ♪」
  暴走する竜司を止めることなく乱馬に任せることにして、今はぎゅうっとふかふかの毛皮に抱きついている雪葉にあかねは声
  をかける。 
 「温泉、どうだった?」
 「すーっごくね、あったかかったよっ!お外にもあってね、雪も降っててね、は〜って息白くなってね、でもあったかかったのっ!」
 「露天風呂かぁ・・良かったね。」
 「うんっ!…でも、でもね・・」
 「うん?」
 「“ぬぅちゃん”…いなかったのは、寂しかったよ。」
  雪葉の言葉に、あかねは胸の中がじわじわと暖かくなっていくのを感じた。
 「・・・きっとそう言って貰えて、喜んでるわ。」
  ぽつりと呟くと、それは雪葉には理解できなかったのか首を大きく傾げる。
 「?あかねおねーちゃん?」
 「じゃあ、昨日の分、めいっぱい可愛がってあげなくちゃね!」
 「うんっ!!」     
 「よしっ!」
  
  駆け出す先はまだジャレ合っている2人組。
  そして今日も天道家はどんちゃん騒ぎ。
  それでも明るい声は心をも和ませる。 



* 6footstep *

 「帰っ、ちゃっ、た・・ね。」
 「あん?」
  道路で手を振り返していたのはつい先刻。
  他の家族はもうすでに家の中に戻ったというのに、あかねはしばらくその場に佇んでいた。
  昇っていく白霧がやけに寂しげに見えて、乱馬は話題を振る。
 「そーいや、あいつ、名前何て言うんだ?」
 「へっ?名前??」
 「まさかイヌってわけじゃねぇだろ?」
 「言ってなかったっけ?」 
 「聞いてねぇな。」
  飛び切り抜けた声を連発するあかねに、乱馬はおいおい…と頬を掻く。
 「知らねぇ・・なんてオチじゃねぇよな?」
 「バカ。知ってるに決まってるでしょ。」
 「じゃ、何だよ。」
  ふっと一拍置いて、声を出す。
 「ぬくぬく。」
 「ぬ…ぬく・・?」
 「ぬくぬく。いい名前でしょ?」
 「いいかどうかは分からねーけど・・犬っぽい名前だな。」
 「何よ、ソレ。」
 「誰がつけたんだ?」
 「竜司君と雪葉ちゃん。」
 「・・だろーな。」
 「いいじゃない。日向ぼっこするのが好きで…昼寝後の毛の照り具合は最高らしいわ。」
 「ふぅん。どこそこんちの親父を思い出すな。」
 「・・自分の家の“親父”でしょ。それでね、ぽかぽかお日様みたいにあったかいんだって。」
  どこかその暖かさを思い出すかのように手を広げて見つめるあかねに、乱馬は視線だけ向けていた。
  

  ぽつん・・

  ぽつぽつ・・・


  ふと軒先からの雪解けの水が、数滴…あかねの手の内に落ちる。
 (冷たい・・)
  深の部分へと伝わってくる凍気が、体を震わせた。
 「ほれ、いつまでも突っ立てると風邪引いちまうぞ。」
  そう言ってくるりと向きを変え玄関へと向かい始めると、乱馬の腕と腰との間にあかねの手がずぼっと入ってきた。
 「なっ・・・」
 「えへへっ。」
  何も言わず、絡めた腕にぎゅっと力を込めて抱き笑うあかね。
  乱馬はしばし唖然と立ち止まったが、やがて何も返さずに、同じ力を込めてぐいっと引っ張り誘導する。
  柔らかな部分から伝わるのは、お互いの暖かさ。
  
 
  ただ“暖かい”と感じる熱を生み出すことは造作もないこと。
  火でも電気でも、それは実現可能。 
  しかしそれは一時的なものであり、永続は不可能。
  
  
  だが、確かに続く暖かさがある。 
  それは自分ではない、他のモノから受けた生きた熱。
  全身に流れる紅い熱。
  一生、心に残る暖かい熱。  



  ぬくぬくは、暖かい。
  乱馬も、暖かい。
  竜司君も、雪葉ちゃんも、お姉ちゃん達も・・みんな。
  

  こうやって記憶に残る暖かさを・・

  ・・人は“ぬくもり”と言うのかもしれない。








作者さまより

 春あたりに、1人暮らしの寂しさか…愛犬の夢を見たため、犬恋しさに書きました。
 テーマは犬と…猛烈に食べてみたい屋台?の焼き芋です(^^;)
 季節が冬だったため、それに合わせて投稿したのですが・・もう春ですね・・すみませんm(__)m
(作者さまメールより抜粋)


 
 ほっこりと頬が緩みそうな情景が目に浮かんできます。
 わんこはかわいいですよね。ぬくぬくは飼い主の飼い方が上手なようで。飼い犬は飼い主に似るといいますが、なかなか。
 焼き芋の屋台のアナウンスはそれぞれの地域色が出るようです。首都圏と関西圏じゃ、ちょっとばかり違うような?
 「やきいも〜やきいも〜ほっかほかの…ほっ!」というのが我が家の近所を巡っている焼き芋屋さん。その間の抜け方がいかにも関西らしいのであります。焼き芋こうばしさは屋台が一番、家庭じゃあ出せませんよね。私も食べたくなったなあ…。
(一之瀬けいこ)


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