◆「バカ」と「嫌い」と。
sastukiさま作

 〜プロローグ〜

「乱馬の〜〜バカーーーっ!!!」
 ぱ〜んっ!
 乾いた音が辺り一面に響き渡った。
 聞いている側では小気味よい音かもしれないが、殴られた本人はたまったものではない。
 たった今、それこそ思いっきり片手を振ってきたあかねに、乱馬は当然の如く食って掛かった。
「あにすんだよっ!俺が何したってんだ!」
「何よっ!シャンプーに右京に小太刀、三人に囲まれて鼻の下伸ばしちゃって!」
「お前なぁ、だからって思いっきり殴るこたぁ、ねーだろがっ!ほんっとに可愛くねぇ!」
「なんですってぇ〜!放課後は、買い物に付き合ってくれるって言ったのは乱馬の方じゃない!ウソツキっ!!」
 瞬間、乱馬はぐっと言葉が詰まった。
 あかねの言う通りに、約束をして、それをすっぽかしたのは事実なのだ。
「それは、あいつらが勝手に…」
 言い返しはするものの、口調に全く力が入っていない。
「そーやって、あんた、いっつも三人のせいにするんだからっ!もう、乱馬なんて、知らない!!」
「おい、あかねっ!」
「乱馬のバカっ!!」
 ばたんっ!!
 部屋の前で喧嘩をしていたのが幸いと言うか、何と言うか…
 あかねが部屋に入ったことで、言い合いはとりあえず終止符を打ったが…溝は残ったままとなった。
 特に、二人が喧嘩した状態での食事というのはとても辛いモノがある。
 誰も一言も話さずに時のみが過ぎていく。
 つ〜んとしている二人を除く天道家と早乙女家全員は、ちらちらと様子を伺ってはため息をつくのである。
(こ…怖いよ〜、天道君…)
(早乙女君、なんとかしてよ〜)
(あらあら、困ったわねぇ。)
(仲良しさんね。)
(またやってるの?懲りないわね。ホント…)
 心中でのそれぞれの会話は花を開かせていたが…

 ++あかねの部屋++

(あ〜あ、またやっちゃった・・当分仲直りは無理かな・・)
(どうして、私ってこう、すぐ手が出ちゃうんだろう・・。乱馬、まだ怒ってるよね。思いっきり引っ叩いちゃったもん・・)
(違う、違う!なんで私が弱気になんなきゃいけないのよっ!乱馬が悪いんだから!)
(でも・・・)
 あかねはベットに体を預け、枕を抱きながら後悔と怒りとの間を、頭の中で行ったり来たりしていた。
「あ〜〜、もう!なんで私が、こんなに悩まなきゃならないのよっ!」
 結局は後悔ばかりが思考を支配し、あかねは出てきた言葉と共に顔を枕に埋めた。
「はぁぁ・・・」
 その後は、ため息ばかりが部屋に響く。
(なんか、分からなくなっちゃった・・。自分のことも…乱馬のことも…。私は、あいつのことどう思ってるの?好き…なのかな・・
 乱馬は、私のこと…どう、思ってるんだろう・・・)

「ただの、親が決めた許婚…なのかな・・・」  

 ごろんと体を回転させて自問自答するが、その答えに涙腺が緩んでいくのをあかねは感じた。
(やだっ!なんで私が泣かなくちゃならないのよ!やだ・・止まらない…)
 むくっと起き上がって懸命に目元を擦るが、水気は収まろうとしなかった。
「あかね〜、ちょっと入るわよ〜。」
 とすぐ上の姉:なびきがドアをノックして入って来るまでは・・・

 慌てて洋服の端で涙を吸い取り、平静を装って「どうぞ」と答えるが、声がひっくり返ってしまった。
「何?あんた、泣いてたの?」
 人一倍鋭いこの姉は、あかねの声と様子を見てすぐに状態を当てはめた。
 あかねのいるベットに、軽く腰掛けながら疑問を投げつける。
「別に。ゴミが入っただけよ。」
「ふ〜ん。」
 その場のウソと分かっていても、深くつっこんでこないのはなびきらしい。
 話を進めた。
「あんたねぇ、喧嘩するのは結構だけど・・食事中くらいそのピリピリした感じ、なんとかならないの?」  
 いきなりぐさっとくる言葉に、あかねはただ「ごめんなさい」としか答えられなかった。
 そんな妹の姿に、しかたないわねと小さく息をつく。
「まっ、あかねらしいと言えばそうなるけど…で、今日は何で喧嘩したの?」
 その問いに、あかねはぼそっと即答する。
「何時ものこと・・」
「あー、あの三人ね。」
「でも、今日は買い物付き合ってくれるって言ってたのに・・・」
「乱馬君、すっぽかしたのね?」
「そう・・」
 乱馬とあかねの場合、話の先が少しの事で読めてしまう。
 なびきはくすっと一人笑いする。
(本当に、どうしようもないわね。)
 と。

「なびきお姉ちゃん…」
 しばらく静寂の間があり、それからあかねが口を開いた。
「んっ?」
 すぐに返事が返ってきた。
「私、何か分からなくなっちゃった。」
「乱馬君のこと?」
「・・・うん。」
「どうして?」
「乱馬にとって私は、ただの親が決めた許婚なのかなぁって・・・」
「ふ〜ん。」
 今さらそんな事を不安に思う妹を、なびきは不思議そうに見返した。
 乱馬とあかねが、お互いを意識しあっているのは、傍から見ても明白なことなのに・・・。
「それで、あんたは何が知りたいわけ?」
 率直な意見。
 あかねはふいっと天井を見上げながら、小さく答えた。
「・・・乱馬の、…キモチ・・・」
 何時もならここで冷やかしが入るだろう素直なあかねの言葉。
 しかし、あまりにあかねが萎んでいたため、今日はなびきも真面目に返した。
「そっ。ならいい方法があるわよ。」
「えっ?」
 あかねは顔全体をなびきの方に向けた。
 心なしか、表情に明るさが戻っている。
 そんな期待に満ちた顔に「上手くいくか分からないけど…」と付け加えてから、話し始めた。
「例えば、よ。あんた、乱馬君と喧嘩する時、たいてい決め台詞になんて言う?」
「決め?台詞…ってほどじゃないけど・・う〜ん…『乱馬のバカ』かなぁ?」
「そう、それよ。それをね・・・」
 なびきはちょいちょいと指を動かすと、あかねの耳だけに聞こえるように囁いた。


「え〜、そんなので上手くいくかなぁ?」
「まっ、やってみるだけの価値はあるでしょ?(面白そうだし…)」
「まぁ、ね…」
「じゃ、検討祈るわ。」
 そう言ってなびきはあかねの部屋を出て行った。
 ・・・珍しくお金を取らずに・・・

 ++翌日・帰り道++
 
 険悪な態度は続いたまま、放課後を迎えた。
 勿論、朝から一言もしゃべってはいない。
 ・・・それもなびきの一つの作戦の内だった・・・
(本当に上手くいくのかしら?)
 むすっとしたままフェンスの上を歩く乱馬を盗み見ている間に、その時はやって来た。

「乱馬ぁ〜vv」「乱ちゃん!!」「乱馬さまぁ〜」
 あかねの怒りの元、三人組の登場だ。
「げっ!おめーら、毎日毎日狙ったように出てきやがって・・・」
 とたんに乱馬は状況とあかねへの焦りでいっぱいの表情になる。
 流石に、これ以上長くなるような喧嘩にはしたくないと思っていたのだろう。
 今回は状況よりも、あかねの方を優先的にとった。
「あ、あかねっ!おめー、勘違いするなよ、これはあいつらが勝手に・・・って、おいっ」
 しかし、あかねは完全無視状態。
 お馴染みの言葉で引っ付いてくる三人にも、そして乱馬にすら目もくれずに一人、スタスタと家路を目指した。
「お、おい、あかね?」
 驚いたのは乱馬だけではない。
 シャンプーも右京も小太刀も、信じられないというような表情を瞬間見せたが、違う方向性で考えればまたとないチャンス。
 すぐに三人の強烈な乱馬争奪戦のゴングがなる。
「乱馬ぁ〜、今日は私に付き合うね!美味しい肉まん作るある。」
「乱ちゃんは、うちのお好み焼きを食べるねん。邪魔せんといてやっ!」
「邪魔とはあなた方のことですわ。乱馬さまは私と二人っきりでフルコースをお食べになるのですわ!ほ〜〜ほっほっほっ!!」
 と、その全てが‘食べ物’で共通しているので、好き勝手言ってはいるが、そこは苦笑できる点であるι
 
 その後しばらく激しい言い合いは続いたが、結局、その間に乱馬はするりと抜け出し、気になる者の元へと急いだ・・・

 〜公園〜

「おい、あかね!」
 天道家の家の近くの公園のところまで来て、乱馬はやっとあかねに追いついた。
「あかね!そんなに怒るこたー、ねーだろーが。」
 たたたっと隣に追いつくと、今度はあかねの歩調に合わせて歩いた。
「別に、怒ってなんかいないわよ?」
 やっとあかねの返答が返ってきたので、乱馬はいささかほっとした。
 しかし、自分の方を見ようとしないあかねに対し、ムッとするのに時間はかからなかった。
「怒ってんじゃねーかよ。」
「怒ってないって、言ってるでしょ!」
「だったらっ、こっち向けよっ!!」
 やや強引に肩をつかんで、振り向かせようとした、その直後・・・・・

 ぱしっ!

 昨日に似た、乾いた音が空気中で小さく鳴った。
 ・・・乱馬にとっては、昨日の平手打ちよりもずっと大きくそして痛く感じた、かもしれない。
 少なくとも次のあかねの言葉と共に、体が硬直していくのは、分かった・・・・

「ほっといてよ。あんたなんか、大嫌い。」
「へっ?」
 
 いやに冷静で、キッパリとしたあかねの口調に、気の抜けた返事しか返せなかった。
 今、あかねが言った言葉の半分、いやそれ以上が理解出来なかった。
 確かに、今まで「キライ」と言われたことは多々ある。
 しかし、こんなにも拒絶の意味を含んだような感じは初めてだった・・・
 たった一言、あかねから発せられた「嫌い」というキーワードに、乱馬は頭よりも先に体全体が本能的に反応してしまったのだ。
 ただ、呆然と緩めることがなく、また、振り返ることもないあかねの姿を見つめることしか出来なかった・・・

「あらあら、乱馬君。何、こんな所で突っ立てるのよ?」

 つと振り返ると、腰に片手を置いた形で立っているなびきの影があった。
「別に・・何でもねーよ。」
 そっけなく返した。
「そう?それにしちゃ、やけに呆然としてたはね。あかねに『嫌い』って言われたのが、そんなに堪えたのかしら?」
「んな"・・って、おめー・・見てたのかよ・・・」
 バツが悪そうな乱馬に、なびきは「まぁね。」と軽く返し、そしてびしっと乱馬の鼻先に人差し指を突きつけた。
 そして、用意していたような台詞を乱馬に向かって言い放った。

「乱馬君、傷付いてるのは自分だって考えてない?それは大きな間違いよ。
 本当はあんたの何倍も、何十倍もあかねの方が傷付いてるんだから。
 乱馬君だってヤキモチをやくでしょ?それこそたまーにね。
 その時、どんなキモチなわけ?
 そりゃーね、すぐに殴ったりするあかねに腹をたてるのも分かるけど、元はあんたがハッキリしないからでしょ?
 それとも、あかねのことなんてホントどーでもよくって、ただの遊びなわけ?
 私はね、そんないい加減な奴に自分の妹を任せたくないの。
 お互い、自分達の気持ちぐらい分かってるんでしょ?
 だったら、ホント、毎日毎日あんな光景、目の前で見せられてるあかねの身にもなってみなさいよ。
 あれは、怒りを通り越して、疲れちゃたのよ。
 今頃『許婚解消』みたいなスゴイ事、言い出してるかもよ?
 本当に大切だって、思ってるんだったら、たまには素直になることね。
 何時までも甘いことばかり考えてると、いずれ痛い目にあうわよ。
 後悔しても、悔やみ切れないくらいのね。」

 なびきの口調はところどころ芝居かかってはいたが、乱馬は突っ込む事もせず、じっと聞いていた。
 そしてなびきの話が終わるか終わらないかの内に、乱馬は居るべき場所に向かって走り出した。
「なびき、サンキュ!」
 それだけ言い残して。

「まったく、世話が焼けるわねぇ。あの2人は。似たモノ同士って頷けるわ・・だけど・・・
 ・・・だけど、乱馬君だから私自らが説教してあげてるのよ。
 有難く思いなさいよね。ホント・・」

 早くに母を無くした同じ子にとって、さっき言ったことの半分は本音だったのかもしれない。
 ・・・妹の、幸せを願う気持ちは・・・

 日が暮れかかった時間帯の公園を背に、駆けて行く妹の許婚に苦笑しながら、なびきはそこを後にした。
 
 ++再び、あかねの部屋++

(本当に上手くいくのかしら・・・)
 この台詞を今日何度頭に浮かべたことだろう?
 多大の不安と、少しの期待を胸に、あかねは机に向かっていた。

 コンコンっ・・・

 控えめだが、しっかりとあかねの胸に響いた。
「あかね、俺だけど、入っていーか?」
 乱馬の声は、恐ろしいくらい強く、決断力があった。
 ・・もしかして、このまま終わってしまうのでは・・・
 急に暗黒だけに支配され、早なる自分の鼓動の音にビクビクするくらいだ。
 それでも、あかねはなびきに言われた通り出来るだけ冷静を保った口調で一言返した。
「どうぞ・・・」
 
 カチャ・・・
 
 ゆっくりと乱馬が入って来て、そしてパタンとドアが閉められた。
「あの、よう・・」
「何?」
 どちらともなく顔を見合わせることはしない。
 ただ、声と静寂のみが存在した。
「さっき、なびきにいろいろ言われた。・・いや、だからおめーのとこに来たんじゃねーからな。あくまで、俺の意志で・・・
 いや、そんなこたー、今はどーでもよくって・・その・・悪かったな・・。」
「えっ?」
「おめーがそんな風に感じてたなんて、俺、知らなかったんだ。何時も側にいるから、その状況に甘えてたんかもな。」
「・・・?」
「だから、その・・上手く言えねーけど・・俺、は・・お前が・・あかねが許婚で、嫌だって思ったこと、ねーから・・。
 むしろ・・何て言うか・・何て言うか・・俺は、だな、その・・」

「・・・俺は、感謝してる・・・」
 
 だんだん小さくなっていく乱馬の声にあかねは‘きっと赤面してるんだろうな・・’と軽く笑い、そして…
 そして、気が付いたら口元を押さえて、泣いていた・・・

 乱馬の今言った言葉にはそれだけの価値があった。
 とたんに自分の彼に対する想いも修復され、更に膨らんでいく。

「・・あかね?お前。泣いてるのか・・?」
「・・・・・。」
 不規則に動くあかねの肩を見て、乱馬は横から少し覗き込んだ。
「やっぱり、迷惑だったか?」
 諦めかけたような乱馬の言葉に、あかねはバッと顔をあげた。
 そして真っ直ぐ乱馬の顔を見つめ返した。
 もう‘嫌い’なフリをする必要はないのだ。
「違う、そうじゃないよ・・・。私、嬉しいの。」
「えっ?」
「さっきの乱馬の言葉、本当に嬉しかった・・ありがとう・・・」
 涙で濡れた瞳を拭いながら向ける笑顔に、ウソはなかった。
 乱馬の知っている、乱馬の好きな、あかねの笑顔だ・・・
 ふと、拭っていたあかねの手を握り、乱馬自らの手で雫を取り払い、つかんでいた手を引っ張ってそっとあかねを引き寄せた。
「乱・・馬?」
 耳を通して前身に広がる彼の鼓動が、心なしか速くなるのをあかねは分かった。
 それは乱馬が緊張している証拠であり、また本音を吐く瞬間でもあった。
 ・・・そして、なびきのあかねへのアドバイスの成功の時でもあった・・・

「俺、まだ、はっきり言えねぇけど・・あの、な・・俺の、許婚のままで、いてくれねぇか?」

 遠まわしに聞いてきた乱馬らしい小さな求愛。
 あかねは迷わず返答する。
「うんっ!」
 自分からも愛しい人の背に腕をまわしながら・・・

(ねぇ、きっと何時か直接的な本音、聞かせてね・・・)
(あー、その内な・・・)
(絶対だよ!)
(・・約束、する。)
 二人、一緒にいる時間の中で、そんな会話が心の中でなされているようだった・・・

 〜その後〜
「上手くいったようだね。なびき。」
「えー、バッチリよ。」
「流石だねぇ。なびき君。」
 ドアを隔てて聞き耳をたてている早雲・玄馬・なびきのヒソヒソ話。
 気付かれる前に、三人はさっさと退散。
 居間まで来ると、なびきは当然のように手を出した。
「さぁ〜て、二人の仲直り完了!後払い4000円よ。お父さん、早乙女のおじさま。」
「「え"っ!?」」
「え"って何よ。」
「だって、なびき。先に2000円払ったじゃないか・・・」
「あれは二人の仲裁役代。今度のは上手くいった代金よ。成功したんだから倍額!」
「「それはないよ〜〜〜ι」」
 それでもしっかり払わせられる早雲。(玄馬はパンダになってとんずらした。)
 そしてしっかり握られる臨時収入。
 結局、何時も通りのお金騒動はあるのであった。
「まっ、今回もしっかり稼がせてもらったわよ、あかね、乱馬君。面白いものも見せてもらったし・・・。
 あかねって、以外と演技しょう者よね?なかなかだったわ。あの手を払いのけるシーン。ふふふっ。」
 これはなびきの独り言・・・

「「ご飯ですよ〜〜」」
 穏やかなかすみとのどかの声と共に、居間に全員集合。
 和やかな食卓が、今日もまた彩られる・・・

 ++付けたし++

「なびき、てめぇ、あかねに妙な入り知恵しやがって!」
「な〜に、その言い方。私は素直じゃないあんた達をくっつ直してあげた、言わばキューピッドなのよ?感謝されたいくらいね。」
「ぬわ〜にが『キューピッド』でぃ!」
「あらっ?せっかく仲直りさせてあげたってのに文句あるわけ?」
「おーありだっ!」
「じゃあ、なに?乱馬君はあかねと仲直りしたくなかったの?」
「そ・・それは・・」
「ふ〜ん、あかねのこと、そんな風に見てたんだ〜」
「お、俺は・・別に・・」
 だんだん乱馬の方が弱くなる。
「あっ、分かった。自分で気付けなかったから悔しいんだ〜」
「違っ・・・!」
「好きなら、好きだってハッキリ言えばいいものを。ほんっとーに素直じゃないわね〜。あんた達二人だったら、今頃離婚届もいいとこね?ちょうどいいのよ。誰か中に入った方が。それとも何?自分が何とかする自信はあったわけ?」
「・・・・・」
 途中までは小さく反論を試みようとしたが、無駄だった。
 なびきはその隙さえ与えない。
 そーゆーわけで、結局はなびきの一本勝ち。
 その後乱馬の心の中は・・
(ぜってーに、こいつだけは敵に回したくねーーーっ!どんな手使われっか分かったもんじゃねーからな。)
 とのこと。

 〜追伸、なびき(&かすみ?)のアドバイス〜

「たまには興味のないフリをするのもミソよ。一度そっけなく『嫌い』って言ってみなさい!本当に好きなら、慌てて本音を
 ぶつけてくるからさ。乱馬君みたいに直進的な奴は。あっ、でも仲裁する人が必要かも・・・直進的な奴は同時に鈍いからね(笑)」
「なびき、それを言うなら‘当たって砕けろ’じゃないかしら?」
「・・お姉ちゃん、砕けてどうするの・・・」
 ちゃんちゃん♪








作者さまのコメント
久しぶりの投稿にドキドキですι
友達に聞き回って‘バカ’と‘嫌い’の言葉の重さを比較して考えたものです。
私にとっても友人や好きな人にバカと言われるより嫌いと言われる方が、精神的に痛いです・・・


このバトルの勝者はやっぱり、なびき(違
「乱馬の小さな求愛・・・」このフレーズ、お気に入りです。
ふふ、いつも世話やかせるんだから・・・。
sastukiさまも受験生・・・春の良い知らせ待ってます♪
(一之瀬けいこ)