◇I・L・B・E?〜6
砂くじらさま作


先生。あたし、決めました。
何をって?
言っちゃうと、多分先生は止めるだろうから、言いません。
でもね、すっごく壮大ですっごく危なくて、でもすっごく楽しいこと。
でも多分、すっごく勇気のいること。
…多分、先生は笑うと思いますけど。




あまりの出来事に、あかねは目を見開いたまま二の句が告げない。それを見越してか、乱馬は少し寂しそうに笑って、聞いてもいないことを話し始めた。
 「…あ、言っとくけど不法侵入じゃねーぞ。家を出ようとしてたおじさんと玄関先で会って、道場久し振りにお借りします。って言ってから入ったんだからな。」
 「…」
 「…何しに来たんだ、ってか?まぁ、体鍛えにが半分。あと半分は…」
笑みが、消えた。
 「あかねに、会いに来た」
 「…!」

乱馬が一歩あかねに近づく。あかねは、小刻みに震えていた。怯えきった目にうっすらと涙を浮かべ、何処となく青ざめた顔をしていた。
 「と、ゆーわけで。手合わせしよーぜ。」
瞬間的にいつもの不敵な笑みを浮かべる表情に戻り、乱馬は腰を落とし身構えた。あかねが身構えるのを待つ事無く、乱馬はだんっと床を蹴って、あかねへと真っ直ぐに向かってきた。
 「破ッ!」
乱馬の拳がビッと空を切る音が、あかねの耳元で聞こえた。乱馬は本気で撃ってきているということが、その目とその拳からひしひしと伝わってくる。
辛うじてその拳を避けたあかねを、にやにやと見る乱馬。
 「…いつもの元気はどうした?それとも、あかねちゃんは…」
意地の悪そうな眼。わざわざ一呼吸おいて、嫌な強調をしながら乱馬は言った。

 「弱く、なっちゃったのかなぁ?」

乱馬のその台詞は、あかねの眠れる闘争心に火をつけた。凍て付いていたはずの心は、怒りと羞恥心によってあっという間に熱された。間髪を入れず打ち込まれてきた拳を十字に組んだ腕で受け、その力を受け流し、押し戻して乱馬のバランスを崩そうとする。が、乱馬は微塵も動かない。
 「くっ…!」
ばっとしゃがみ、乱馬が繰り出してきた上段蹴りをかわすと同時に足払いをかけた。しかし、乱馬はその動きを予知していたかのように空中にいる。それを狙って、あかねは渾身の力を込めた拳を繰り出した。
 「やあぁっ!」

ばしっ、という音が道場に響く。
あかねは、手首を強く掴まれていた。

 「…お前の、負けだ。」


乱馬のいつもより低い声が、ゲームの終わりを告げていた。




 「…っなんで、何で…っ!」
あかねの目に怒りの炎と、悔しさが形作った涙が溢れる。
 「何で、普段は本気で手合わせなんかしてくれない癖に…なんで、こういう時だけ…っ!卑怯よ、ずるいよっ!」
 「…お前、前に“俺が汚れるから”、だから…もう会わないと言ったろう?」
 「!」
乱馬があかねの手首を掴む力は強く、あかねは逃げ出すことが出来ない。耳を塞ぐことすら、乱馬は許さなかった。
 「ご覧の通り、俺は抗恋愛薬の呑みすぎで弱りきったあかねに本気で勝負を挑むような、卑怯な男だ。あかねが思うほど…俺は、そんなに綺麗じゃねえ」
何処か寂しげな目であかねを見つめると、乱馬はあかねの目から零れる涙を、左手でそっと拭った。


ずるいよ。
そんな目で、あたしを見つめないでよ…


急にあかねの身体から力が抜け、あかねは道場の床にぺたんと座り込んだ。乱馬はゆっくりと手首を掴んでいた右手を離し、あかねの真正面に座る。
 「…理由を教えてくれ。急に、俺にもう会わないと言ったわけを」
乱馬は真剣で、どこか悲しげだった。胸に鈍い痛みが走る。あかねは、また自分の唇が小刻みに震えるのを感じた。それと共に、悔しさからではない涙が流れ出す。それを見て取った乱馬は、先程強く掴んでいたあかねの手にそっと触れた。まるで壊れ物を扱うように。大事な宝物を壊さないように、そっと持ち上げる子供のように。その手をそっと持ち上げ、先程乱馬が掴んでいた手首を、優しく撫でる。強く掴んでついた痕を、消そうとしているかのように。
 「…顔も見たくねぇ程嫌いなら、今ここではっきりとそう言ってくれ。…今すぐ、出て行くから」
 「…や…っ!」
“今すぐ出て行く”という言葉に反応したあかねは、思わず乱馬にすがり付いていた。が、すぐにぱっと離れる。
そんなあかねを見て、乱馬はますます悲しそうな顔をした。あかねの胸がまた鈍痛を訴える。


 「…き、きらいに…ならないで」
 「?」

震える唇からやっとのことで出た言葉。また、涙が溢れ出す。
 「あ、あたしを…きらいに、な、ならないで」
子供のようにしゃくりあげて泣く。言っていることも子供じみている。あかねは、そんな今の自分が嫌だった。
 「お願い。…き、きらいに…」
あかねの髪に、乱馬が触れた。一層悲しげな顔をしていた。
 「ならねえよ」
背中に、腕が回された。乱馬の腕の中に、あかねはいた。
 「…お前を、嫌いになんかならねえ。ごめんな、お前を…苦しませるつもりはなかったんだ」
久し振りに感じる、息が苦しくなる程の胸の鼓動。でも何故か、今日はそれが本当に心地よく、酷く安心感を覚えさせた。
唇の震えが止まった。今なら、話せる。あかねは乱馬の胸の中でそっと、乱馬の匂いが少しする空気を吸った。


 「…あ、あのね。」
 「うん?」
 「あ、あたし。あの子たちに、嫉妬、したの。」
 「…うん」
 「ら、乱馬は、誰のものでもないのに。あたし、あの時。あたしの乱馬を、盗らないでって。そう、思ったの」
 「…うん。」
 「おかしいよね。あたし、どうかしちゃってるの。…ら、乱馬に…恋、しちゃってるから。レベル、わかんないけど。でも、東風先生、隔離する必要があるかもって。そう、言ってたから。多分、レベル4。」
 「…」
いつのまにか、あかねの目からはまた涙が溢れ出してきた。しかし、あかねは喋るのをやめずに、全てを乱馬に告白しようとしていた。
 「乱馬に、さよならって言ってから、あたし、色んな薬呑んだの。売ってる薬、全部、ためしてみたの。でも、でもね。全然効かないの。涙、止まんないの。今日も、いっぱい呑んだのに。胸、苦しいの。もうすぐ乱馬、あの子たちのうちの誰かと、宇宙行っちゃうって。そう考えただけで、涙、止まんないの。苦しいの…」
ぎゅっと乱馬の道着を握りしめて、あかねはまたしゃくりあげ始めた。乱馬は無言で、そんなあかねを抱きしめた。骨が軋みそうなくらいにきつく、強く。

 「…今まで黙ってたけど、俺も…お前と同じだ。恋の、レベル4なんだ。ずっと、ずっと前から…」

そう言って乱馬は少し身体を離し、俯くあかねの顔を上げた。
唇と唇を、軽く触れ合わせた。




 「…何?いま、の」
呆然として問い掛けるあかねに、乱馬は少し顔を赤らめながら答えた。
 「…ちょっと昔の人間が、愛を確認する為にしてた行為…キス、っていうんだそうだ。記録映画か何かで見た」
 「…き、す?」

あかねは、夢の中にいるような瞳で乱馬を見た。顔をますます赤くする乱馬。しかし急に、あかねの目を見据えて言った。
 「…かなり早いうちから、俺は恋のレベル4だってわかってた。けど、治療はしたくなかった。治療のためにあかねと離れる生活を送るなんて、考えたくもなかった。」
乱馬は、あかねの髪を撫でた。
 「確かに、地球上じゃ現在のところ恋は病気だ。でも俺は…恋が治療すべき病だと知ってても…治療する為にはあかねと会わないのが一番だと知ってても…俺はあかねに会いたかった。こうして、お前に、触れたかった…」
あかねの、幾筋もついた涙のあとを、節くれ立った指でそっとなぞった。
 「俺も、あかねに…ずっとずっと、恋してた…。俺も、今まで色んなヤツに嫉妬した。お前が“恋”を患ってるって知ってからは、その…見た事ねぇお前の恋の相手に嫉妬してた。俺も…どうかしてるんだ。あかねに嫌われたくないって、ずっと思ってた。あかねと会えなくなること、ずっと…怖れてた…」
あかねをぎゅっと抱きしめた。
 「…あかね。俺を…嫌いにならないでくれ…」
あかねは、乱馬の背中に腕をまわし、きつく抱きしめてこう言った。両目からまた、新たな涙があふれ出るのも構わずに。
 「…乱馬を、嫌いになんか、ならないわ…」



少し顔を赤らめた二人は、片手を軽く触れ合わせた状態で、道場の隅で身を寄せ合って座っていた。
 「…そういえば乱馬。あんた、今日…惑星探査パイロットのメンバー選考の日、じゃないの?」
少し言いにくそうに、乱馬に問い掛けるあかね。乱馬は道場の壁に背をつけて、事も無げに答えた。
 「ああ。…俺は、その選考対象には入ってねえよ。」
 「え?だっ、だっておじさまが、乱馬がパイロットに選ばれそうだって…」
 「俺、あの学校今日辞めてきたもん。」

 「…え…えええええええっっ!!?」

乱馬が通うパイロット訓練校は、実はかなりのエリート校だ。毎年物凄い量の不合格者を出し、留年する者は後を絶たない。しかし、かなりの苦労をして入ったその学校を辞めるという生徒はまずいない。そんな大変なことをサラッと言い放つ乱馬に目を丸くするあかね。乱馬はあかねを見て、ニヤッと笑った。
 「もしその退学届が受理されてなくても、大事な選考の日にこうしてサボる奴をパイロットに選ぶ奴ぁいねーよ。」
 「ど、どうして…パイロットは、乱馬の夢だったんじゃないの…?」
あかねの目に不安の色が宿ったのを見て取った乱馬は、くすくすと笑いながらあかねの頬に触れた。
 「…抗恋愛薬の呑みすぎだぞ、あかね。情緒不安定すぎっ」
ぶに、とその頬を抓った。あかねの顔が赤く染まる。

 「ひゃ、ひゃにふんのよおっ」
 「あのな。俺は別に惑星探査パイロットになりたくて、あの学校に行ってたわけじゃねーんだよ。あかねのせいで俺がいっこ夢捨てたとか、そんなんじゃ絶対ねえから安心しろって」
 「…へ?」

乱馬の目が急に真剣みを帯びて、乱馬はあかねの頬から手を離した。あかねは乱馬のその目に、胸の鼓動が高鳴っていくのを感じた。


 「…あかね。宇宙に…行こう。」
 「…宇宙…?」


ドキン、というあかねの心音が、乱馬にまで聞こえそうなくらいに大きく鳴った気がした。
 「このまま地球にいて、もし…俺らが恋をわずらっていると他人に知れたら、きっと俺らは別々の精神系隔離病舎行きだ。まず一生会えなくなるだろうし、会えたとしても…記憶操作くれぇされてて、全くの初対面として会うことになるだろう」
あかねの顔色がさあっと青ざめる。眉を不安げに寄せて、乱馬の道着をぎゅっと強く掴んだ。乱馬が良く見ると、あかねの唇はまた小刻みに震えていた。
あかねを安心させるように、乱馬はあかねの肩を抱き寄せた。あかねに優しく笑いかけて、そのままその優しい瞳で語りつづける。
 「…そんな状態にはなりたくないよな?だからって、この気持ちを偽ることなんて出来ねぇ。だから、地球上の法律が届かねえ宇宙まで行く。そうすれば…恋をわずらってはいけない、なんて馬鹿げた法律はないから…」
力強く、笑った。あかねが好きな笑みだった。
 「あかねと、ずっと一緒にいれる」



 「…だから、それがしたかったから…乱馬はあの学校に?」
 「…いや、本当は…」

――宇宙って、一度は行ってみたいな。“世界の広さ”を、この目で見るの。素敵だと思わない?
――ねぇ乱馬。つれてってよ、あたしを宇宙に。

 「…覚えてねーかもしんねぇけど、お前が…そう言ったんだよ。」

それは、まだ二人がお互いをあまり意識していない頃に、あかねが言った台詞だった。乱馬は、その台詞を実現することが俺の夢だったんだ、と言った。
 「乱馬の、夢…?」
 「そうだ」
乱馬は照れたような笑みを浮かべ、あかねを見た。あかねもまた、乱馬を見た。
 「…俺は、夢を叶えたい。あかねなしじゃ、叶えらんねぇ夢なんだ。あかね…一緒に、来てくれないか。」

あかねはにこっと笑って、乱馬に何事かを耳打ちした。顔を見合わせる二人は、とても幸せそうだった。
突然、乱馬があかねの唇を奪った。

 「…ずっと?」
 「…ずっと、だ」

乱馬は笑って、あかねを包み込むように抱きしめた。

 「…ずっと、一緒だ。」






普段着に着替え、天道家を出た二人の前に現われたのは小太刀だった。不安げに眉を寄せるあかね。
 「…小太刀?お前、何故ここに…まだこの時間は学校だろう?」
小太刀はにこっと笑った。少し、意地の悪そうな笑み。
 「…わたくし、パイロットの夢は諸事情により諦めましたの。これからは、“愛のテロリスト”となるべく活動を開始しようと思いまして」
そう言って、乱馬の目の前にしゃらん、と何やら鍵のようなものを差し出した。
 「さ、乱馬さま。わたくしからこの鍵を“奪って”くださいませ。」
 「…は?」
思いっきり差し出してんのに、奪ってくれもへったくれも何もねえじゃねえか。といった表情の乱馬。

 「…乱馬さまは、これから宇宙にお行きになられるのでしょう?」

 「!」
 「…小太刀、何故それを…」
青くなるあかね。あかねを庇うように立ち、身構える乱馬。小太刀は「ほほほっ」と笑って答えた。
 「我が久能家には、優秀な情報収集者が山とおりますの。今の時代は情報を早く入手したものが制しますからね。まあ、そんなことはともかく…」
小太刀は表情を一転させ、いつになくシリアスな表情で告げた。
 「乱馬さまは、これから我が久能家の高性能ロケットを“奪い”、そちらのあかねという方と共に宇宙へお逃げになられるのです。…恋、という“病”をわずらっているが故に」
 「「!」」
 「所謂、将来を約束されたエリートの挫折というものですわ。世の中は結構こういう手のモノに弱いものですからね、すぐに話題を掻っ攫っていくでしょう。…そこで愛のテロリストの登場ですわっ。この二人が世の中に逆らい、エリートの道を捨ててまで自らの想いを貫いたことを説き、将来ある二人をここまで追い込んだリーベ論は果たして正しいのか、ということを全世界に問うのです!」
小太刀はその赤い唇を三日月の形にゆがめた。自信に溢れた笑み。
 「リーベ論に疑問を抱く人は、これを好機として我も我もと立ち上がりますわ。そして、愛を世界に取り戻す戦いが始まるのです…世界は、このわたくしの完璧な計画によって革命されるのですわっ!!」
小太刀はここで、いつもの「おーっほっほっほっ」という高笑いを挟んだ。

 「…どうです?乱馬さま、あかねさん。わたくしのこの計画に乗って、愛のテロリストとなる気はおありでして?」




二人が立ち去った後、小太刀は「優秀な情報収集者」の一人である佐助を呼びつけた。
 「佐助。全世界のコンピュータへのハッキング準備は?」
 「はっ、OKでございます。小太刀さまのGOサインさえ頂ければ、いつでも」
 「そう…なら、あの二人が地球を離れてから三十分後に作戦実行だ、と皆に伝えておきなさい」
 「承知つかまつったっ!」
しゅばっと音を立て、佐助は消えた。それを確認してからふっと息をついて、小太刀はひとりごちた。
 「…あんな光景を見せつけられたら、諦めるしかありませんわね。でも…あの映像はしっかりと利用させていただきますわよ。ロケットの借用料代わりに…」

青い青い空に、一筋のまっすぐなロケットの煙。
 「…お幸せに、と言っておきますわっ」





その日、今まで外部からのハッキングを受けたことが無かった宇宙ステーションは、創設以来例の無いパニック状態になった。
 「…が、外部から進入っ!ハッキングですっ!」
 「映像がモニタに映し出されてますっ!!」
かすみとのどかは、モニタに映し出された映像に、己の目をこすった。
 「…あかねと、乱馬くん…?」
 「ここは、天道道場だわ。懐かしい…そうよね、かすみさん?」


 「ら、乱馬くんにあかねっ?!」
パイロット訓練校のカフェテリアで茶を飲みつつTVを見ていた早雲は、飲んでいた茶を噴き出し、開口一番そう叫んだ。その画面上の二人は、幸せそうに顔を見合わせていた。
 「…も、もしかして…うわっ」


 「おぉ、あの馬鹿息子…やりよったわい。わしもリーベ論なんかが出る前は、かーさんと…(ポッ)」
少し頬を赤く染め、昔の自分とのどかに思いを馳せる玄馬。
 「乱馬君…やりましたね。良かった、彼は大馬鹿者にはならなかったようだ」
嬉しそうに、そして少し寂しそうに呟きながら、TVモニタを眺める東風。


 『…ずっと?』
 『…ずっと、だ』


 「…乱馬、幸せそうな笑顔ね。」
シャンプーは、猫飯店のTVを見ながら呟いた。少し寂しそうに、でも嬉しそうに、笑っていた。
 「こいつが、乱馬とかいうヤツか?」
壜底眼鏡を持ち上げ、TV画面を見ながら呟く男、ムース。その顔は少し赤らんでいた。
 「…そうね。その隣に居るのが、あかねという娘ね。」
 「二人共、幸せそうじゃのう。おら達も…あやつらに負けずに幸せにならんかっ、シャンプーっ!」
 「…考えておくね。」
そう言ってシャンプーは、少し幸せそうに笑った。


 『…ずっと、一緒だ。』



 「…乱ちゃん、ダイタンやなぁ…」
お好み焼きを焼く手を止め、右京は苦笑しながら呟いた。
 「…いいなぁ…いつか、私も…」
 「ん?何か言ったか小夏。」
 「いっいえ!何もっ!」
ぶんぶんと手を振りながら、小夏は胸の内の小さな野望を再確認していた。
 「(…いつか、何時の日か私も右京さまにっ…!!)」



 「ねえ…乱馬。」
 「ん?」
 「愛は、地球を壊すものだと思う?」
 「そうだな…」
乱馬は、どんどん遠ざかる青い星を眺めながら答えた。

 「―一度全部ぶっ壊してから、また新しい地球を生み出すもの、だと思うぜ」




ぱっ、とブラックアウトする画面。そこに、白い文字が浮かび上がった。

     「LOVE&PEACE!
               愛し合ってるかい?

                            ―――By.愛のテロリスト」


それは、二十二世紀最初にして史上最高の、全人類へのラブレターだった。








作者さまより

(作者戯言。〉
いや〜…長かった。書いている最中にこれは何処まで行くんかいなと自分自身でツッコミを入れてたんですけど、ここまでいきました。
最後はキヨシローさんの有名な台詞を使っちゃったり。なんだかシャンプーの扱いだけいまいちだったり。ムースの扱い微妙だし…
でもまぁこの後の様子なんかをそれぞれで想像していただけると嬉しいかなーなんて。
この話を書いて、私自身は「結構小太刀好き」だったことに気付いてかなりびっくりしました。小太刀、最後オイシイところを全て持ってっちゃってますもんねぇ。
こんな長い話を飽きずに読んで頂いて、どうも有難う御座いましたっ。

砂くじら 拝。


 昔、活字(本)のない世界の話をどこかで読んだ記憶があります。誰の作品でどんなだったのか、殆ど記憶に留まっていないのですが、ふっとそれを思い出してしまいました。
 書いているうちに、思わぬキャラクターが動き出すことも多々ありますね。この作品の場合は「小太刀」が味を添えていました。
 恋愛に効く薬はないそうですが・・・ラストはハッピーエンド!
(一之瀬けいこ)


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