◆リベンジ 温泉アスレチック
白猫さま作


あの日からまた一年経った。
なのに、まだ俺は“おんな”が治っていない。
だから今回も、“それ”に出場することにした。
まえと違って、あかねといっしょに・・・。


思えば、昨日。
「乱馬、また“温泉アスレチック競走”のチケット、あたったよ。」
そう、今年もやってきた、絶叫温泉郷村おこし“温泉アスレチック競走”。
去年は“うっちゃん、良牙”チームに、優勝をうばわれた、あの競走だ。
「去年のリベンジをかけて、またやんのか・・・。 しょ〜もね〜な、あの村も。」
「また“優勝者は世界各国、お好きな温泉・冷泉御招待”だって。」
よっしゃあ、呪泉郷に行けるじゃね〜か。
「あかねって、ほんと〜にくじ運いいよな。 逆にあの村にとっては、不運だな。」
「そうね。 ・・・ 今年こそ、いっしょにいこうね、乱馬。」
「/// あ、あったりまえじゃね〜か。 おめ〜と、最後まで走っていったんだからな、リベンジもおまえとじゃね〜とな!  ・・・それに、おまえとのほうが、なにかといいし。」
あかねが一番、息が合うもんな。
「うん! ところで良牙君、なんで熱海に行ったんでしょうね?」
本当はちがうんだけどな・・・。
「さ〜な。」
「まあいいわ。 じゃあ、あしたもがんばろうね。」
「よろしくな。」


そして今日・・・。
「わ〜。 今年も人がいっぱいいるね。」
ほんとうに、人が多い。 去年より多いんじゃね〜のか?
「でも、見たことあるやつは、すくね〜な。」
「去年が去年だったからね。 去年、出た人はいないんじゃないの?」
「いいや。 みてみろよ。 シャンプー、ムース、うっちゃん、良牙もいるし、小夏・・・。 ん? あかりちゃんまでいるじゃね〜か!」
「本当だ・・・。 あれ、あかりちゃんにはこの競走、つらいんじゃない? ん〜、でも人数も合わないし、出るのかな?」
「そ〜だな 聞いてみるか? ちょうど、あっちも気づいたようだし。」
「乱馬、私と走るよろし。」
「シャンプー、おらと走るだ〜。」
「乱ちゃん、私と走るんやな。」
おめ〜ら・・・。 いつもとかわんね〜な。
「乱馬、いたのか。 む・・・。 あかねさんがいっしょにってことは、もしやあかねさんがペアか?」
「そうなのか、乱馬。」
「どうなんや、乱ちゃん。」
へっ おれは、あかねと組みて〜んだ。
「去年のリベンジを、かけてやるから、最後までペアだった、あかねといくぜ。」
「よくいった乱馬。 これでシャンプー、おらといくだ。」

「・・・」
「どうしただ?」 
「スタートに着かないと、呪泉郷にはいけないね。 ここで争ってもむだ。 スタートだけだぞ、ムース。」
あれ? 意外とすんなりと・・・
「右京様、行きましょう。 あら、乱馬さん、あかねさん。 こんにちは。」
「しゃーない。 どうせ、去年のようにごっちゃになるんや。 スタートはあきらめる 小夏、いくで〜。」
「良牙、おめえはどうするんだ。 あかりちゃんを連れて行くわけにはいかね〜だろ。」
「もちろんだ。 今日はあかりちゃんじゃなくて、カツ錦がペアだ。」
「ほ〜。 それはよかったな。」
「チケットを当てたのは、あかりちゃんだがな。」
「おにあいの“ブタ”ペア!」
 ごきゅ
「だれがブタだ。」
『大会参加者は、手ぬぐいを持って、広場に集まってください。』
「先いくぞ、乱馬。」
「いって〜な。」


『ルールは去年とおなじ、手ぬぐいを足に巻いての二人三脚、温泉をすべて回ってきてください。』
「ふ〜ん 去年とおんなじだね。」
『今年は、去年と違って、さらにコース等をグレードアップ、させていただきました。』
「へっ。 かんけ〜ね〜な。」
『では、こちらの手ぬぐいをしてください。』
「じぶんの使うんじゃね〜のか。」
わざわざ、持ってくることなかったな。

 ぎゅっ

「乱馬、この手ぬぐいなんか変よ。」
「・・・ と、とれね〜!」
『なお、今年はグレードアップしたとのことで。 手ぬぐいはリタイヤするか、ゴールにつかないとはずせません。 無理にはがすと、その時点でリタイヤしたとみなします。』
特殊なのりでくっついているみて〜だな。
ん? つ〜ことは・・・。 ずっとあかねといっしょか///。
「あいや〜 はずれないね。」
「シャンプー、おらがついてる だいじょうぶだ。」
「は、はずれないんか。」
「右京様vvv。」
「(あかねさんとは一緒に走れないのか・・・) がんばろうな、カツ錦・・・。」
「良牙さま〜。 がんばって〜。」
「ありがとう、あかりちゃん。」
「ぶひ!(立ち直り、早!)」


『では、位置について〜。』
「おっと、驚いているひまもね〜な。」
『スタート!』


『さ〜て始まりました、“絶叫温泉アスレチック競走”。 まずは急流温泉、丸太くだりですね。』

『トップは四組・・・って、げ、去年の優勝者がいます。』
「へっ。 ぶっちぎりだぜ。」
「乱馬、あかね 呪泉郷はわたしのものね。」
「小夏、いくで〜。 今年は大分に出店するんやからな。 お先に乱ちゃん!」
「ぬお〜。 みんなを見失うな、迷子になってたまるか〜!」


「はいよ、舵取り用の棒だべさ。」
「さんきゅ〜 っておい、なんだよ。 去年より湯が少ね〜じゃね〜か!」
『今年のここの湯量は、例年になく、少ないのであしからず。』
「ならコースにいれるな!」
「でも、乱馬。 ここ通んないと、呪泉郷もないよ。」
「そうだぞ、乱馬。 おら達が先いくだ!」
「待て〜っ!」
「待てと言って、待つ人いないね お先に。」

「こんなところ、行けるのか・・・。 あいつらなにもんだ!?」

『ここで早くも落後者続出だ〜っ。 残ったのは・・・ぶっちぎりの四組だ!』
  「なに〜! まだ、リタイヤしてないヤツがいるのか。 げ、去年最後まで、なやませていたヤツらではないか。 グレードアップした、温泉アスレチック競走をみせてやれ。」
  「去年よりも、気合が入っているな、村長も。」


がん ごん げん
「岩にぶつかって、丸太がじゃまだ〜っ。」
「乱馬この先には・・・。」
「たしか、滝だったよな。」

「でぇ やっぱり〜っ!」

 ほっ
 やっ
 とう
「楽勝だぜ。」
「乱馬、甘いわ〜っ!」
 ひゅ〜 ど〜ん
良牙とカツ錦が、落ちるようにして降ってきた。
「だ〜。 あぶね〜じゃね〜か、良牙。」
あかねに、気づかなかったのか〜っ!!!
 げん
良牙を、よけたのはいいが、うしろにいた、うっちゃんチームに気づかず、
そしてふみつぶされ・・・。
「おっさきに 乱ちゃん。」
そして、追う良牙。
「ぬう〜 負けてられるか いくぞカツ錦。」

・・・

そして、倒れている俺。

「乱馬、だいじょうぶ?」
「くっそ〜 負けてられるか〜っ!」


第三関門 ワニ温泉

『今年は、ワニの数を増やしてみました。』
「・・・」
「・・・」
「あの・・・。 密度が高すぎて、もうワニがのぼせてますけど・・・。」
「さっさといくね♪」
  「のぉ〜。 しまった〜。」by村長


第四関門 地雷間欠泉

つめて〜んだよな、ここの冷泉。
「風邪ひきたかね〜し、気をつけていこうな。」
そう言った矢先・・・。
 ど〜ん
前を進んでいたシャンプーたちが、地雷にひっかかった。
「あいや〜。」
もちろんのごとく、変身し・・・。
 みゃ〜う。
 がっ。
「ね、ねご〜!」
そして、また俺たちも、地雷を踏んでしまった。
 ど〜ん
「冷たっ。」
「でぇ〜。」

・・・

「くしょっ。」
「さみ〜。 このあとって、岩風呂だったよな。 温まりにいこうぜ。」
去年の記憶からして、そうだったはずだ。
「///えっ!?」
なに、赤くなってんだ?
「なんだよ。 温まんね〜と、風邪ひくぞ。」
「だった温まるって、温泉にはいるんでしょ・・・。 服は?」
しっ、しまった。
「///そ、そうだな・・・。」
「くしょっ。」
「お、おい だいじょぶか? やっぱ、一度は温まんね〜と、風邪ひいちまうぞ。」
「だ、だいじょうぶよ。  ・・・ くしょっ。」
「言わんこっちゃない。 服のまんまでいいじゃね〜か。 どうせ、一度は風呂に入って、栓を抜かねーといけねーしな。」
「変な気おこさないでよ///。」
「だ〜れが起こすか。 んな、色気のね〜女に。」
「なんですって〜。 ・・・くしょっ。」
「あ、あかね。 ・・・さっさといくぞ。 おまえに、風邪なんかひかせたくね〜もんな。」
「乱馬・・・。」


絶叫岩風呂

「あいや〜 乱馬。」
「お先に乱ちゃん。」
「乱馬、おさきに入っていたぞ。」
みんな、やっぱり地雷を踏んだらしい。
さすがに、全員が服を着ている。 動物になったムース、シャンプー、そして良牙。
考えることはみんな、おんなじだな。
「さっさと温まろうぜ。」
「う、うん。」

「ふ〜、いきかえる。」


数十分後・・・。
「・・・おらは、もういいだ。 十分温まった。 で、次はどうすんのじゃ?」
結構長い間、湯につかってたもんな。 そろそろ、出ね〜とのぼせるな。
「あいや〜、たしか栓を抜くよろし。」
「これですか?」
「でえ 抜けね〜。」
かって〜な。
「ぶ〜。(ゆでブタになる〜)」
「はよせんと、のぼせてしまう。」
「こんなときは“爆砕点穴”。」
 ど〜ん
こういうとき、良牙の土木用の技は役に立つな。
「おっし、栓が抜けた。」
壊れたというべきだな・・・。
 じゃ〜、ごぼぼぼ

 ・・・・

   「今年こそ、先行かないよう、栓を深くさしこんだのにな。」
   「やすやすと突破しおって!」


岩風呂出口

いま、おれたちは外に出ているようだ。
しかし、あかねは気を失っている。
「おい、あかね だいじょうぶか。」
「う・・・。」
だいじょうぶみて〜だな。
「起きたようだな。」
「乱馬・・・。  みんなは?」
「だれもいねえし、みんなまた、別のところに出たな。 先を急ぐぞ。」
「うん。」

・・・

 そして、忘れ去られた浴衣・・・?
   「あいつら、せっかく用意した浴衣を着ないで行きおって!」
   「・・・あれ、浴衣だったのか 鎧かとおもってたよ。」
   「いくら重くしようって、全部鉄で作ることは無いよな・・・。」


絶叫砂風呂

足場もあるし、そこを飛んでけば楽勝だな。
「去年とちがって、服も軽いし、ひとっ飛びだな。」
 だっ
勢いよく飛び出した・・・が、
 ずぼ
「へっ 足場がねえ!」
『さて、今年は砂風呂に足場を作ってません。 どうぞごゆっくり、砂風呂につかってください。」
「ふ、ふざけるんじゃね〜!」

・・・

「だ〜、つかれる。」
「わたし、もうへとへとね。」
「つかれますね・・・。」
そして、いつのまにか、みんなと合流していたのであった・・・。

が、しかし後ろから、
「沈む〜。 誰か助けんか〜!」
カツ錦と組んだ良牙は、さっそく砂風呂にはまって・・・、
あえなくリタイヤに。
どこまでも、不幸なやつだな・・・。


最終関門 アミダ館

「や〜っと、着いたぜ。」
「コースが三つもあるね。 ここからが勝負あるよ!」
「おらたちは“完勝”へ行くだ!」
「なら、うちらは“楽勝”ね。」
「よし、あかね。 “圧勝”にいくぞ!」
前回、楽勝で痛い目に会ったしな。


「行くぜ!」
 ぐわら
ん、なんだあの機会は? 見たことあるよ〜な・・・。

『打たせ湯砲、発射準備完了。 発射!』
 ど〜ん
「だ〜ぁ。」
また“痛い目”にあうのか〜!
「きゃ〜。」
でえ、うしろは壁か! あかねに怪我をさせたくねえ。
 どか
反射的にあかねをかばうよう、うしろにまわった。
「いてて。 なにかんがえているんだ〜!」
あかねごと、ふっ飛ばしやがって!
「乱馬。 あ、ありがとう。」
「ああ、どうってことね・・・。」
俺が言い終わらすまえに、
『打たせ湯砲発射準備中』
 ちこーん ちこーん
「だ〜。 最後までいわせてくれね〜のか。」
『発射』
格闘家として、同じ攻撃を二度も食らうわけにはいかない。
湯をさっとよけ、発射準備にはいった湯砲に蹴りをいれ、さっさと壊しておいた。
「先に行くぞ。」
「うん。」


数時間後・・・。
「だ〜 いくら回っても出口がね〜!」
完勝、楽勝、圧勝。 すべてを回ったのに出口がねえ! なんでだ〜!

『さて、このへんで、村長からのお言葉をいただきましょう。』
『わはははは、ことしのアミダ館には、出口をつくってないのだ〜!』
『以上村長のお言葉でした。』
    「なにをやってるか〜!」
    「村長からのお言葉をもらうって、言いましたよ。 打ち合わせ、聞いてませんでしたか?」
    「そうだったのか。 ・・・とでも言うと思ったのか。 タイミングを考えんかっ!」


「・・・ふざけるんじゃね〜! さっさと、この館から出るぞ 猛虎高飛車!」
 ばき
強行突破で道を作り、
「よし、ゴールへ一直線だ!」
 だっ
みんなも同じように、道を(勝手に)作り、走っていった。

    「そ、村長 あいつら向かってきますぞ!」
    「うろたえるな わしらにはまだ、最後の秘策がある 全員配置に着け!」


「ゴールはもうすぐよ、乱馬。」
「ぬ〜、負けるものか オらたちが勝だ〜!」
「うちらが勝つんや〜!」


    「よし、いまだ!」
 ど〜ん
「へっ・・・。 あいつら、ゴールを爆破しやがった。」
    「は〜ははは、これで誰の勝ちでもない。 わたしたちの勝利だ〜!」
「ふ、ふざけるんじゃね〜」
「何を考えてるだ!」
「ひどいです!」
蹴りを総計六人と、リタイヤしたすべての人より受け、あえなく、村長はお空の星となりましたとさ。

めでたし、めだたし。


<温泉アスレチック 完>


「めでたくね〜!!!」




作者さまより

初投稿させていただく「白猫」といいます
漫画の16巻「温泉アスレチック」のつづきです
つい最近、テレビにてアニメらんまで見たりして・・・


こういう続編の組み立ても、二次創作の楽しさかもしれません。いや、基本と言っても良いのかも。
絶唱温泉郷はいろいろと不服な部分が乱あ派には横たわっているような気がします。私だけかもしれないんですが。
(一之瀬けいこ)

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