◆素直になれなくて
弥三郎さま作


居間でテレビを見ていたあかねはとあるCMを思い出した。
白いワゴン型の車が出ていてバックには美しい港の風景。
そしてBGMはすごく美しい物であったが、それよりも印象にのこっているのは
「僕から謝るのは難しい、でも君にそばにいて欲しい」
と言う英語のフレーズ。
(日本語名の曲名は”素直になれなくて”だったわ。)
素直になれなくて。
あかねは今までの乱馬との関わり合いを考えた。
(そうよね、いつも意地の突っ張り合だわ。)
呪泉郷から4年、少しは仲は進展しているがなかなか素直になれないでいる。
時には大げんか。家族は大丈夫だろうかと心配している。
(心配かけちゃっているもんね。特にお父さん。オイオイ泣いている時もあると言 うから安心させてやらなきゃと思うけど。)
ただ一つ、気になるのは乱馬の気持ち。
呪泉郷の時、あかねは乱馬があかねの事を想っていると薄々感じ取ったが
面向かって好きだと言われた事が無い。しかも未だにあの3人組に
追い回されている。
あかねは正直なところ、恐れていた。乱馬の本心を知る事を。
(自分を捨てて右京達の方に行ってしまうかもしれない。)
まさかとは思いたい。
でも、料理うまい、器量がいい、容姿壮麗と言いとこだらけの3人組である。
そのかわり自分は料理は下手、不器用、寸胴……。
(私よりあの3人の方が魅力的だものね。)
はぁとため息をつく。
しかし、あかねは心の底から乱馬に惚れていた。
惚れていたというか、自分の半身という感覚がするのである。
縁側で昼寝をしている想い人、乱馬の方を向く。
幸せそうな、安心しきった寝顔がそこにある。
(幸せそうに寝ていて。私の気も知らないで。)
ちょっとぶすくれるあかね。
(いつになったら乱馬の本心を見られるのだろう?)
そのときだった。
「あかね……。」
ドキッとして乱馬の方を見る。
(あ、寝ている。ってことは寝言?)
あかねの顔は赤く染まっていた。
(やだ、乱馬。びっくりするじゃない。)
心臓がバクバクしている。
(待っているだけでは何も分からないよね。)
子供のように寝ている乱馬。
あかねは乱馬の顔をのぞき込んだ。
「ホントあなたって呑気よね。あなたの本心を教えて頂戴。」
あかねは乱馬のおでこにキスをすると立ち上がりCDをかけた。
曲はHARD TO SAY I`M SORRY
重いベースの音と、ピアノの音が溶け合っている。
美しいコーラスとヴォーカルの渋い声が胸に響く。
ヴォーカルは最後にこう叫んでいた。
「二人にはいろんな事があったけど
 君に心を決めたんだ。約束するよ。」
(うん、私はもう決めているわ。あなたは私の半身みたいな人だもの。
 だからあなたに伝えるわ、私の気持ち。)
「好きよ、乱馬。一生私の側にいてくれる?」








作者さまより

弥三郎です。
初投稿です。私の好きな洋楽に乗せてあかねちゃんの想いを書いてみました。
どうなのかしら?正直なところ、途中で支離滅裂になっているのでは?と心配しています。
気持ちよさそうに寝ている乱馬君にあかねちゃんの思いが届くと言いのですが。
とにかく、今後頑張って書いて参りますのでよろしくお願いします。


転寝の中でも好きな人を想える・・・これって出来そうで出来ないと思います。
君に心を決めたんだ・・・いい言葉ですね。
短い言葉の中にも伝えたい気持ちがこもるもの。青春だなあ・・・
(一之瀬けいこ)

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