◇あかねの笑顔
みちらさま作


―――天道家台所―――
「♪〜♪〜♪」
鼻歌を歌いながら、料理を作っているのはあかね。
毎週水曜日は、乱馬とあかねにとって特別の日だった。
その理由(わけ)は、すぐに予想がつくであろう・・・。
そぅ、乱馬は毎週水曜日にあかねの作ったお弁当を食べるのだ。
なぜそうなったのかというと・・・・・

――――― 一ヶ月前 ―――――
乱馬が夕食後の稽古をしていると、道場にあかねが入ってきた。
「あのさ・・・乱馬・・・」
下を向き、落ち着きがない様子のあかね。
「・・・?なんだよ?」
乱馬は稽古を中断し、道場の床に座った。
あかねは無言のまま、乱馬の前に座る。
「・・・」
「・・・」
重々しい沈黙を破ったのは、乱馬。
「ったく。なんか用があるんじゃねーのかよ」
少しイラついた乱馬の声に、あかねの体は一瞬ビクッ!となった。
「あのさ、乱馬・・・」
「・・・んっ?」
あかねは急に顔を上げると、乱馬をじぃーっと見つめた。
「なっ、、、、!」
乱馬の顔が一気に赤くなった。
「乱馬さ・・・やっぱりお嫁さんにするなら可愛いい人とか・・・料理が上手な人がいい?」
「へっ?」
思いがけない質問に、乱馬はまぬけな声を出してしまった。
「まぁ・・・。そりゃーな・・・」
あかねはまた下を向いてしまった。
「どうしたんだよ?あかねらしくないぜ?」
「だって・・・私・・・」
あかねは泣きそうな声で乱馬に思いを打ち明けた。
「だってさ・・・私、シャンプーみたいに可愛くないし、右京みたいに料理上手くないんだもん」
「なっ。別にお前の不器用なことは、知ってるさ。料理だって俺、食べてるじゃねーか」
乱馬の答えに、あかねはとぉとぉ泣き出してしまった。
「だってぇ、私だって、ヒック・・・乱馬に美味しい物食べさせてあげたいんだもん。
けど、私、料理下手だし。乱馬は食べてくれるけど・・・ヒック・・・・うえぇぇ〜ん」
「あ、、あかね?泣くなよ。ちょっ、ちょっと・・・。」
乱馬はあたふたするばかり・・・・・・。
「私のこと、可愛くないって言うしぃ〜。うぇぇぇ〜ん」
あかねもただただ、泣くばかりだ。
「―――――。。。。お、お前は、可愛いよ」
「!」
乱馬の声に、あかねの鳴き声が止まった。
「えっ?ホント・・・?」
「うん。お前の料理って、まぁ〜ちょっと変わってる味してるけどよ。
あかねの料理してる姿・・・すげーかわいいから・・・」
「ホントの、ホント?」
あかねの顔に笑顔が広がった。
(うっっ。すげー可愛い!)
乱馬の心臓の音が、頭の先から足の指先まで聞こえる。
「ホント。だって、お前、俺の為に料理してくれてるんだろ?そうゆう気持ちが大切だと思う・・・」
あかねの大きな目は、乱馬を見つめている・・・・・
「乱馬!私、乱馬のこと大好きよ!」
あかねはそおいうと、乱馬に抱きついた。
もちろん、乱馬もあかねのことが大好きだ。
乱馬も自分の気持ちを言おう!っと思ったが、体が硬直してしまった。
あかねが乱馬から離れると、乱馬はあかねを見つめた。
「あのさ・・・あかね・・・」
「なに?」
乱馬は顔を赤らめながらこう言った。
「毎週水曜日だけ・・・俺の為にお弁当作ってくれないか?」
「!!・・・うん!?私、頑張るね」

―――――――――――――――――――――――――
この日以来、あかねは水曜日だけいつもより早く起きる。そして、大好きな許嫁にお弁当を作るのだ。
乱馬は、台所を覗いた。
(やっぱり、あいつ、可愛いよなー)
乱馬の視線に気づいたあかねは笑顔を返した。
その瞬間、乱馬は顔が赤くなっていた。
「あいつの笑顔には、一生勝てねーな」
っと、乱馬は呟いた・・・。








作者さまより
みちらです!今回の作品が初投稿です。
今回は、あかねと乱馬の素直な気持ちというものを考え、書きました。
普段、言えないことを無理やり言わせてみたりして。(笑)
それにしても、中途半端な話になってしまって、申し訳ないです。
けど、頑張って考え、書いたのでよろしくお願いします。


初投稿は緊張するものですね。
毎日弁当を作るのって結構大変なんですよ(現役主婦のお言葉)
きっと、あかねちゃんてば、薄ピンクのエプロンつけて、るんるんで台所に立っているんでしょうね。
それを見守る乱馬君の情景が脳裏に鮮やかに浮かんできました。羨ましい!
(一之瀬けいこ)

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