◇素直になりましょう!(前編)
如月天馬さま作


 ―「はーい、みなさん明日は待ちに待ったスキー教室です!みんな集合時間に遅れないようにしてくださいね。」
「起立、礼」
[さようならー。]
ここは1年F組、担任のひな子が帰りのホームルームを終えそれぞれ部活や家に帰ったりしてガヤガヤしている、そんな放課後であった。
「ゆか、明日は楽しみよねー!」
「ホントホント、あかねは?」
「あたしも楽しみ!スキーなんて最近行ってなかったし♪そういえばさゆり明日は何もって行く?」
「う〜ん、やっぱトランプは、必需品でしょ。それからポケットタイプの人生ゲームとモノポリかな。大輔達は?」
「俺らか?おまえらと同じ感じだけど。そうだろ、ひろし?」
「ああ、けど俺ら、モノポリは持っていかねぇけど花札は持っていくぜ。そういや乱馬、おまえはスキーやったことあるのか?」
「俺か?やったことある訳ねぇだろ!なんせガキの頃からずっと修行ばっかだったんだから。」
さゆり、ゆか、あかねと、大輔、ひろし、乱馬の6人が明日のことを話していた。
するとゆかが聞いてきた。
「なら明日どうするの?初めてスキーやるんなら、変な癖がつく前に基礎を誰からか教えてもらったほうがいいと思うけど」
「癖ぇー?」
「うん。初めてやる人とかってたいていへっぴり腰になってんのよ。まぁ上級者の人とかも急な斜面じゃへっぴり腰になりがちだけど、そのままだとかっこ悪いし、なにより転んじゃうのよ。」
「確かに1度癖ついちゃうとなかなか直せないのよねー。」
あかねがそう言うと
「うんうん、だからこそあかねがちゃんと教えてあげなきゃ。」
「そうよねぇ、ってなんであたしなの?!」
さゆりに言われついノリで賛成してしまったあかね。するとゆかが
「『なんで』じゃないわよ。夫婦なんだから当たり前でしょ!」
「あーあいいよなぁー乱馬は。もうお嫁さんが決まってて。」
「しかもスキーをそのお嫁さんから教えてもらうなんてなぁ。」
ひろしと大輔がそう言うと乱馬とあかねが
              
「「だれが、夫婦でお嫁  なんだー!」                 
                        なのよー!」  

―「別に怒鳴んなくてもいいじゃないのよ」
場所は変わってここはあかねの部屋。あかねは明日の準備を、なびきはあかねをからかいに部屋にきていた。
「第一、あんたたち祝言挙げたんだしほんとのことじゃない。」
「だから、あれはお父さんにうまくまるめこめられてやったことなの!」
いつものようになびきはからかい半分あかねの本音を聞き出そうとしていた。だが、あかねはそんなことも露知らずいつものからかいをうまく反撃してなびきを早く部屋から追い出そうとしていたがそんなことで退散するような、なびきではなかった。
「あら、それだけの理由で祝言挙げたの?あのときのあかね、そう、まんざらでもなさそうに見えたわよ。それに祝言の時こっそり部屋に戻ってPちゃんに何か話してたみたいだし♪」
「?!」
(なんで、お姉ちゃんそのこと知ってるの!?あの時久能先輩から逃げるんで誰にも見つからないように部屋に戻ったのに・・・。もしかして、Pちゃんに話したこと全部聞かれた?!)
「//////」
とたんにあかねの顔が赤面してしまった。
「どうやら図星みたいね!♪」
この勝負、見事なびきの勝利に終わったが、一体あかねはなびきに何を聞かれてしまったかと言うと……
―「Pちゃん、私ね今日祝言を挙げたの。相手はもちろん乱馬。・・・Pちゃん私ね、これから素直な女の子になろうと思うの。この間やっと乱馬の気持ちが分かったから、今度は私の気持ちを伝える番だから・・・。『乱馬の事が好き』だって・・・。」
(あの時、自分の決心が揺らがないようPちゃんに言って誓ったのにこれじゃいつまでたっても素直になれないわ。)
分かっていても素直になれない性分。それはあかね自身充分分かっている。だけど治せない。だからPちゃんに言って誓ったのであった。
(このままじゃ本当にお互いの気持ちがあやふやに伝わったまま、結婚しちゃうかも・・・。って、おねぇちゃんの前で何こんな事考えてるのかしら私?!)
バンッ
いきなり部屋のドアが勢いよく開き乱馬が入ってきた。
「なぁ、八宝斎のジジイこっちに来なかったか!?」
右、左と部屋を鋭く見渡しながらそういった。するとあかねが
「ちょ、ちょっといきなりドア開けないでよね!!ビックリするじゃない。ノックぐらいしなさいよね!/////」
「わりぃわりぃ、急いでたから・・・。ところであかね顔赤いけど、どうかしたのか?」
「えっ、なっ、なんでもないわよ。」
あかねが、赤く染まった顔を隠しながら、はぐらかした。
「ところで乱馬くん、どうして八宝菜のおじいちゃん探してるの?」
なびきが、素朴な疑問を言った。すると乱馬は
「じじいにアレを盗まれちまって・・・。」
「あれって?」
あかねが何を盗まれたのか興味津々に聞いてきた。乱馬は
「えっ?なっなんだっていいだろう!」とちょっと怒鳴り気味半分、少し赤くなっていた。
あかねは『何怒鳴ってるの?』といった感じであったが
「ふーんまぁなんだっていいけどね。」
なびきはまるで、乱馬が一体何が盗まれたのか分かっているような感じであった。 
すると、突然どこからか笑い声が聞こえてきた。
「げへへへへ。あかっねちゅわ〜ん。わしもスキー連れてっておくれ〜!」
いきなり八宝斎が現れ、あかねに抱きつこうとしたが
どすっ 
ごすっ
条件反射ともいえる早業で見事、あかねと乱馬がパンチとエルボーで八宝斎の魔の手を避けたのであった。
「この野郎。性懲りも無く堂々と俺の前に現れやがって!俺から盗んだ物返しやがれ!!」
「や〜じゃわい。これはガールハントで捕まえたおねぇさんにあげるんじゃい。」
ばっしゃ
八宝斎は言うのと同時にどこからか出したバケツで乱馬に水をぶっ掛け胸やおしり触りまくった。
「のわっ〜〜〜〜〜、なーにしやがんでいっ!!」
キラーン☆
らんまがすぐさま八宝斎に蹴りをいれ見事お空のお星様になった。だが・・・
「しまった!アレを取り戻すのを忘れたぜ。ちくしょう、ジジイ待ちやがれ!!」
その事に気が付いたらんまは八宝菜が飛んでいったほうめがけて走っていってしまった。
「ちょっとせっかく荷物まとめたのにこれじゃまた一からやり直さなきゃならないじゃないの!」
「それじゃあかねあとはがんばんなさいよ。」
「あっ、お姉ちゃーん!・・・もう!」
哀れあかね。散らかり、びしょびしょになった部屋を1人で片付けるあかねであった。

―「ちくしょう、ジジイの野郎どこまで吹っ飛ばされたんだ?」
自分で吹っ飛ばしたにもかかわらず、そうぼやいてしまったらんま。
(ふぅ、それにしてもなびきの奴いったい何が盗まれたのか知っているような感じだった・・・。もしかしてなびきにはばれたのかも!ちくしょう誰のもばれないようにと思って隣町まで行ったのに・・・。はぁ、こんなことじゃあかねに渡せねぇよ。)
一体乱馬は何を盗まれたのか?そしてそれは無事あかねに渡せるのか?波乱万丈な幕開けになったスキー教室前日どうなることやら?



つづく




作者さまより

スキー教室前日の話だけで終わってしまいました。しかも変なおわりかただし。本当にどうなることやら?
無事最後までかけるかなぁ?ちょっと心配・・・
一之瀬さんだいぶ投稿が遅れてしまってごめんなさい。
もうスキーシーズンも終わりに近いって言うのに・・・。


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