◆お返しなんていらないの
鷹村なびきさま作


 2月14日、乱馬とあかねは街に買い物に来ていた。乱馬はあかねに待たされながら、ふらふら状態だった。
 街から家に帰る途中、あかねがしていたマフラーが風のせいで飛んでいってしまった。
(あかね)「あ、マフラー・・・。」
(乱馬)「・・・。大切なもんなんだろ?」
(あかね)「え?いや、そんなんじゃ・・・」
(乱馬)「見栄はるなよ!先帰ってろ!あのマフラー持ってってやっから。」
(あかね)「ちょっ・・・!もう・・・。せっかくチョコ買ったのに・・・。」
走り去っていく乱馬に背を向けて、あかねは家に帰っていた。

〜あかねの空想〜  
 ――――10年前――――
(あかねの母)「あかねちゃん」
(あかね)「なぁに?お母さん。」
(あかねの母)「あかねちゃんにこのマフラー、あげるわ。」
(あかね)「うわぁ〜っ!!ほんとー?」
(あかねの母)「本当よ。」
(あかね)「ありがとう!お母さんっ!!」

―――――2日後――――
(あかね)「何でお母さんがいないの?」
(かすみ)「お母さんはね、お空の上の上の上の、とーっても綺麗なところに行ったのよ。」
(なびき)「そうよ、心配することないんだから。」
 〜空想終了〜

(あかね)(そう、あの時はまだわからなかったんだわ。お母さんが死んだなんて。あのマフラー、お母さんがくれたものだったのに・・・。)
 あかねが家に帰ってきても、乱馬は帰っていなかった。あかねも心配で、門の前で乱馬が来るのを待っていた。
 4時間そこで待っていると、もう夜7時を回っていた。すると、はぁはぁという息とともに、乱馬がなにやら長いものを持って走って帰ってきた。
(あかね)「乱馬!」
(乱馬)「はぁはぁ。ほれマフラー。おばさんからもらったもんだろ?」
あかねは、はっとしました。乱馬にはこのマフラーの話を一回もしていなかったからです。
(あかね)「なんでそれを・・・。」
(乱馬)「かすみさんから聞いたんだ。」
(あかね)「・・・・・・・・・・・・・」
      「はいっ!チョコ。」
(乱馬)「え゛、それは本物か?偽物か?」
(あかね)「ばかっ!本物よ。」
(乱馬)「・・・・・ありがとよ。んじゃ、ホワイトデーは何がほしいんだ?」
(あかね)「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
あかねはうつむいてしまいました。
(乱馬)「どうしたんだよ・・・あかね?」
そして、あかねはうつむいたままこう言いました。
(あかね)「・・・どうして、乱馬はこんなにあたしを心配させるの?
      お母さんみたいになっちゃったらって、ずっと心配してたんだから・・・」
(乱馬)「・・・ごめん。」
あかねは、こぼれおちた涙をふきながら言いました。
(あかね)「おかえしは、あなたが生きていること!い〜い?」
(乱馬)「・・・。ぃよ〜しっわかった!おまえのそばで生きといてやるよ!」
(あかね)「・・・。な〜に?その言葉?もっと考えて言いなさいよ!!」
(乱馬)「なんだっと〜??大体なぁ〜・・・」
こうやって、いつもの生活にもどったのでした。でも、あかねは乱馬の
「おまえのそばで生きといてやるよ!」という言葉にとても心が打たれ、
その5年後、二人は結婚することとなったのでした。








作者さまより

この小説は、ずいぶん前に書いた物なんですが、投稿してみたいなと思って投稿しました。 続くかもしれないし、続かないかもしれません。でも、いちおう続けたいなと思っています。


おお・・これは乱馬くんのプロポーズ♪
さりげない言葉の中に漂う優しさ・・・羨ましいですね。
(一之瀬けいこ)


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