◆思い出の宝
武蔵さま作


−−−天道家−−−

「そろそろ夏休みだし、また山にでも修行にいくかな?」
今は7月の中旬、風林館高校はあと数日で夏休みを迎えようとしていた。そのため、乱馬は準備の為に荷物の整理をしていた。
「んっ!?なんだこりゃ?」
乱馬がリュックから取り出した中に鎖のついた小さな金属でできたものが出てきた。
「ペンダント・・か?それにしても妙な形だな。しかしどっかで見た事あるような・・・」
たしかにそのペンダントは変わった形をしていた。半円にのようだが部分的に凹凸があった。例えるならメダルを半分に割ったような形だった。乱馬はその見覚えのあるペンダントを持って父、玄馬のところへ
向かった。
「おいっ!親父!」
早雲と将棋をしていた玄馬はいきなり乱馬が来たのに驚いた。(実際は隙をみて将棋のイカサマをしようとしていたからである)
「なんだ!?乱馬、一体どうしたというんじゃ?」
「これに見覚えはねぇか?」
乱馬はそう言ってペンダントを玄馬に見せた。
「はて?どこかで見たような・・・」
「だろ?俺もどっかで見たような・・・」
「変わった形だね〜。どこにあったんだい?」
横から早雲が口をはさむ。
「俺のリュックの中。」
「ほかにも手がかりになる物があるやも知れんな。」
乱馬は玄馬の言う事にも一理あると考えた。
「ちょっと俺見てくる。」
そしてすぐに乱馬は帰ってきた。
「なにかあったか?」
「なんか紐みたいなもんがあったけど・・・」
「どうやらリボンのようだな。」
「・・・思い出したぞ!乱馬、おまえが小さい頃わしに話した子供じゃないのか?」
しばらく考え込む乱馬。
「・・・あっ!そういえば・・・」
なにかを思い出したらしく、乱馬はしばらく思い出に浸っていた。
「わしは話を聞いただけでその子には会っとらんが、乱馬がえらく気に入っていたみたいだったな。」
「どれ、私にもその子との思いでを聞かせてくれんかね、乱馬君。」
「へーー、乱馬君の昔の話ね〜、おもしろそうだからお姉ちゃんも一緒に聞きなよ。」
いつのまにか、なびきがすぐそばに来ていた。
「乱馬君の子供の頃の話だったらあかねちゃんも呼んだほうがいいんじゃない?」
「あかねなら今朝から友達と出掛けたわよ。残念ね〜乱馬君、あかねがいなくて・」
意味ありげに笑うなびき。こうやっていつも乱馬の反応を楽しんでいるのだ。
「別にそんなんじゃねえよ!だいたいあいつがいるとつまんねえヤキモチ妬くからな。」
「はいはい、で、乱馬君の麗しき少年時代とやらを聞かせてもらおうじゃない。」
「あんま人に話す気はなかったんだが・・・まぁいいや。」
「あれは俺がまだ幼かった頃、親父に連れられて山に篭ってたときだった。まだうっちゃんにも会ってなくてあまり同じくらいの子供と話をした事もなかったんだ。」






−−−乱馬の過去−−−

「親父ーーーーー!!どこだーーーーー!!」
乱馬は玄馬を探していた。玄馬が食料調達に出かけると言って下山してからはや5時間が過ぎようとしていた。幼い乱馬は強がっていたが内心では不安で仕方がなかった。
「くそっ!どこまで行っちまったんだあのクソ親父!!」
乱馬はもう少ししたら下山して玄馬を探そうと思った。
『ガサッ』
茂みをかき分ける音を乱馬は聞き逃さなかった。幼いとはいえ、武術に長けている乱馬にとって多少の事にはなんとか対処できるが、ここは山中、熊や猪などにはさすがに無傷とはいかない。乱馬はその近付い
てくる音の正体を確かめようと目を凝らした。
『ガサガサッ』
(もしかしたら親父か?・・・この野郎!さんざん待たせやがって!)
「覚悟しやがれ!」
乱馬が茂みの中に飛びかかったそのとき!
「きゃぁっ!」
「あれっ?親父じゃない・・・?」
乱馬が飛びかかったのは玄馬とは似ても似つかない可愛らしい女の子であった。
「ごめんっ!人違いだった。・・・って泣いてんのか?俺、ケガさせちまったか?」
「ひっく、ひっく、ち・・がう・・・」
泣きじゃくっている女の子に乱馬は動揺し、なんとかなだめようとした。
「とっ、とにかく落ち着け!なっ?」
乱馬の必死の励ましによって女の子はなんとか落ち着いた。
「やっと落ち着いたか。で、何で泣いてたんだ?」
「お父さん達とはぐれちゃったの・・」
「迷子ってわけか・・・でもなんでこんな山に?」
この山は結構険しい道があり、地元の人達もあまり来ないような場所である。そこに明らかにこの辺の人ではないような子供がいれば疑問に思うのはとうぜんであろう。
「みんなでピクニックに来たの。だけど遊んでたら全然わからないとこまで来ちゃって・・・」
また涙目になって泣き出そうとする女の子を見て乱馬はとっさに励ました。
「それじゃ、一緒に探してやるよ!おまえの家族も探してるだろうから・・・」
「本当!?」
少女の満面の笑みに乱馬はなにか不思議な、初めて味わう感覚を覚えた。
(なんなんだ?この気持ち?俺、病気になったのか?)






−−−現実−−−

「へ〜。それが乱馬君の初恋ってことか。」
「やっぱそうなのかな?」
首をかしげる乱馬。やはりあまり覚えていないせいか本人にも実感がないようである。
「いいわね〜。その女の子、かわいかったの?」
「まぁ、それなりに・・・あのころの俺は『女』ってもんをあんまり知らなかったからな、どんな事話せばいいのか何もわからなかったもんだ。」
「あの時はわしも乱馬も修行中の身、食料は山菜、川魚くらいだったからな。」
「おいおい、親父はあのとき下山して食料調達へ行ってたんだろ?よくよく考えてみれば俺達に金なんてあったっけ?」
「あるわけなかろう!あの時も乱馬を置いて八百屋の店主の隙を見て・・・」
『バキッ』
乱馬の蹴りがはいる。
「てめぇ、やっぱりそういう奴か!」
「仕方なかろう、わしだって過去、お師匠様の手伝い等で窃盗の技術を鍛えられてしまったのだ。」
涙を流しながら言い訳する玄馬。その姿は実に情けなかった。玄馬の親友である早雲も共通の師をもつ身としてはあまりその事に触れて欲しくないらしい。
「それはともかく乱馬君、つづきを話してくれないか?」
「ああ。それから俺と女の子はいったん下山する事に決めたんだ。」





−−−過去−−−

「いないな・・・なぁ、一度山を降りてどっかで人に聞かないか?」
「そうだね。もしかしたらお父さん達もそこにいるかもしれないし・・・」
2人はとにかく下山することにした。
「はぁっ、はぁっ。」
「大丈夫か?」
「うん。ちょっと疲れただけ。」
強がって見せてはいるが明らかに膝はガクガク震えている。子供の足で長時間歩くのはやはり無理があるようだ。
(やっぱ俺みたいに鍛えてないからな・・・仕方ねぇ・・・)
「ほらっ!」
そういって乱馬は屈んで両手を後ろに差し出した。
「えっ!?」
「だから、おぶってやるって言ってんだよ。」
「・・・ありがとう。」
「もうすぐしたら店があるからそこで聞いてみようぜ!」
それから数分後、乱馬達はようやく一つの店に着いた。しかし、店の中は慌ただしい様子だった。
「ごめんください。」
乱馬の声に気付き、店主がでてきた。
「なんだ坊主?」
「この子が迷子になったんだけど、なにか連絡があったとかわからない?」
「うーーん、今の所ないね。それに今ここでちょっとした事が起こってね。」
「ちょっとした事って?」
「中年の男が私の隙を見てこの八百屋から商品をごっそりもって逃げてしまったんだ。」
「へーー、わりー奴もいるもんだ。」
よもや自分の父親がその万引きの犯人だと言う事を理解していない乱馬であった。
「どうやらその男、山へ向かったらしいんだ。危ないから山へ行っちゃダメだよ。」
「ねぇ、どうする?」
「連絡が来てないんじゃもう一度山に登る事になるな。もう少し待って連絡が来なかったら山でもう一度一緒に探そうか。」
「うん!」
多少時間をつぶすため、乱馬と女の子は近辺を散歩していた。そして、しばらく歩いていると小さな家が目に入った。さすがの乱馬でも自分の背丈と同じくらいの女の子をおぶって下山してきたので疲れは足にきていた。そのため2人はその家で休ませてもらうことにした。
「ごめんくださーい。」
中から出てきたのは老婆であった。
「なんだい?」
「あのね、少し休ませて欲しいの。」
「かまわないよ。いくらでも休んでおいき。」
優しそうな老婆に2人は安心し、少しの間その老婆と話をしていた。
「やれやれ、もうこんな時間か。あんた達、話に付き合ってくれてありがとうね。あんた達仲が良さそうだし御礼と言ってはなんだけどこれをあげよう。」
そう言って老婆は乱馬と女の子に一つずつペンダントを掛けた。そのペンダントはとても価値のありそうな造りで中心に宝石が埋め込まれていた。
「これは昔職人さんが作ってくれた物なんじゃが、わしが持つよりあんた達のような仲の良い子供にもらってもらった方が良いとおもうんじゃ。遠慮せず受け取ってくれ。」
「「ありがとう!」」
2人は御礼を言って、再び店に行った。しかし大きな変化はなく、山に登ることになった。
「お父さん達、もしかして帰っちゃったんじゃ・・・」
女の子が弱音を吐いた。乱馬は女の子の不安をかき消そうと言った。
「そんなことねぇ!きっとまだ探しているんだ。それに・・・」
「それに?」
「おまえは笑ってた方がかわいいと思うけど・・・」
「かわいい?私が?」
「いや、だから、その、笑ってた方がいいなってことだよ!」
ふと思った事が口から出てしまった。。しかし言ってしまった言葉は取り戻す事が出来ない。乱馬は照れながらも女の子の目を見て言った。
「ありがとう。乱馬も私にとってとってもかっこいいよ。」
「えっ!?かっこいい?」
誰からもそんなことは言われた事はなかった。まして乱馬は女の子にそんな事を言った事もなかった。それが今日一日会っただけの女の子、それもよく知らない女の子に自分のことを話したり、女の子のことを
聞いたりなど、乱馬は生まれてはじめての体験に動悸が治まらなかった。
「『笑うとかわいい』って私のお母さんも言ってたな。でも私お転婆だからお嫁さんの貰い手がないってお父さんに言われてるの。」
「もし・・・もしもだぞ!嫁の貰い手がなかったら・・その・・・俺がおまえを嫁に貰ってやる!」
「えっ!?・・・本当に?私をお嫁さんにしてくれるの?」
「ああ。ただし、強くならなきゃだめだぞ。」
「うん。乱馬に負けないぐらい強くなる!」
「じゃぁ約束だ。これは約束の印にやるよ!」
乱馬は自分の髪を結っていた組み紐を女の子に渡した。
「じゃぁ私はこれを・・・」
女の子は自分の髪に飾っていたリボンを乱馬に渡した。
「約束だぞ!俺がいつか迎えに行くから・・」
「うん。待ってる!」
「おーーい!いたら返事しておくれーー!」
「あっ!お父さんの声だ!」
「よかったじゃねぇか。」
「うん、じゃあね、乱馬。私、待ってるから。」






−−−現実−−−

「乱馬君も隅におけないわね。それでどうすんのよ、そんな約束しちゃって・・」
「それなんだよなーー問題は。ガキの頃の約束とは言え、あんな事言っちまって。」
「乱馬君。君にはあかねという『いいなずけ』がいるんだよ!」
早雲が顔を妖怪化させて乱馬に迫った。
「まあ、それにそんな昔の約束ではその子も覚えてはおらんだろう。」
「でも、乱馬君は覚えていましたね。」
かすみの何気ない一言に、玄馬のフォローは打ち切られた。
「それで、その女の子の名前は?」
「覚えてねぇんだな、それが。大抵『おまえ』って呼んでたからな。」
「名前すら覚えていない子にプロポーズなんて・・・乱馬君、女心を弄んだのね。その子にはどうするつもりなのよ。」
なびきがわざとらしく感情を込めて言い放つ。
「もし、また会うんだったら断らなくちゃな。自分から言い出した事とは言え、結果的には裏切っちまったからな・・・」
「やっぱりあかねが好きだから?」
「・・・・そっ、そんなわけねぇだろ!」
「今少し、間があったような・・・」
ドタバタしている一部にかすみが口を挟んだ。
「それでその子、無事家族の元に帰れたんだ。」
「なにはともあれ良かったじゃないか。めでたし、めでたし。」
「ただいまーー!」
話がひと段落ついた頃、あかねが帰ってきた。
「みんなで集まってなにしてたの?」
「乱馬君の思い出を聞いていたのよ。」
「へぇーー、どんな?」
「そりゃあもう、乱馬君の初恋からプロポーズまで、その他もろもろ。」
「おい、なびき!もうちっと話す順序ってもんがあるだろ!」
さすがの乱馬もなびきの突発な発言に戸惑った。なにしろ人の話をあまり聞かないあかねに対し、唐突ななびきの言い方はあかねを刺激してまずいと乱馬は思ったからだ。
「プロポーズ・・・したの?」
「あのっ、その、いや、ついはずみで・・・」
いざ核心に触れられた事を言われると乱馬も言葉につまってしまった。
「はずみでそういうことが言えるわけ?あんたって人は!」
「だーかーら!もし、そいつに会うようになったら断ろうって決めてんだ!」
それは間接的にあかねの為に断る事を意味しているのだが当のあかねは全く気付いていない。
「どうして断るのよ。別に私は構わないのよ、いいなずけったって親同士が勝手に決めた事だし・・」
「かわいくねぇ言い方だな。あの女の子を見習わせたいぜまったく。」
「どんな女の子か知らないけれどさぞかしかわいい女の子だったんでしょうね?」
皮肉っぽく言うあかねに乱馬は意地になって言い返した。
「あーーあーー、どこぞの誰かと違って料理の腕も上手になってるだろうよ。」
「そんなに言うんだったらその子との結婚する約束を果たせばいいじゃない!」
「おー、そうさせてもらおうかな?こんな凶暴で不器用で嫁の貰い手がない奴よりもな!」
「私だってこう見えてもけっこう小さい頃から人気があるんだから!プロポーズだってされたもん!いつか迎えに来てくれるかもしれないわね。」
「!!」
プロポーズと聞いて乱馬は動揺を隠せなかった。自分ではプロポーズを軽々しくも幼い頃にしてしまったのだが、あかねがプロポーズされたと聞いて正直乱馬は怒りすら感じた。
「へっ!どうせろくでもない男だろ!お似合いかもな!」
「あんたよりも断然カッコ良かったわよ!あんたみたいなガサツで粗忽者とはちがうし、もしその人がきたら私は喜んで結婚するわよ!」
「プロポーズってあかね、誰かにプロポーズされたのか?お父さん許さないよ!」
「落ち着いてお父さん、プロポーズといってもあかねが小さい時よ。昔あかねが話してくれたでしょ。」
「なっ、なんだよ。ガキの頃の話かよ。その相手も覚えてないんじゃねぇの?」
口ではそう言いつつも幼少の頃のプロポーズと聞いて安心感を感じた乱馬であった。
「それにしてもよく覚えてたわねあかね。」
「当たり前よ。大切な思い出だもん。」
そう言ってあかねは懐から紐のついた変わった形のペンダントを取り出した。
「あ〜〜〜〜〜!!!!」
「そのペンダント・・・一体どうしたんだ?」
「これ?これは私にプロポーズした子と一緒にもらったの。名前は変わった名前だったから忘れちゃったけどね・・・」
「ちょっと見せて!・・・」
なびきはあかねの持っていたペンダントを借りると、乱馬の持っていたペンダントと比べた。
「同じだわ!・・・ということは・・乱馬君とあかね、昔に会っていたのよ!!!」
「なんとっ!!」
「これまた奇怪な!」
「そんな!」
「うっそ〜〜!」
「すてきね〜。」
天道家の人々からそれぞれ思った言葉が口に出される。
「ということはあの子はあかね・・・?」
「あれは乱馬・・・?」
「ら〜んま君。プロポーズの言葉の口止め料のことでちょっとお話が・・・」
不敵な笑いを浮かべながら乱馬に接するなびきは、今、乱馬にとって一番恐れるものだった。
「あかね。確かプロポーズした人がきたら喜んで結婚すると言ったね・」
「そっ、それは乱馬だって知らなかったから・・・」
「結果はどうであれ、いいじゃないか。お互い思い出を大切にしてきた仲なんだし・」
「『俺がおまえを嫁に貰ってやる!』」
なびきがマイクを持って乱馬が言った事を復唱していた。
「やめろーーーーーーーー!」
「『俺がおまえを嫁に貰ってやる!』」
「やめてくれ、頼む!!!」
結局3000円で手をうった。





−−−道場−−−

やっとほとぼりが覚めて、乱馬とあかねは2人で道場にいた。
「あのさ、俺・・・やっぱり約束破るの辞めようと思う。思い出の女の子があかねだったから・・・その、今の関係崩したくねぇし・・・」
「・・・うん。」
「だけど、俺はあの時約束した時の気持ちに嘘はねぇ・・・本気で結婚してもいいって思った。まぁガキの感情だったけどな。」
「今は・・・どう思ってるの?」
あかねが乱馬を見て言う。そのあかねの表情を見るといつものように誤魔化しはできないと悟った。
「俺は・・・構わないとおもってる。あかねさえよければだけど・・・」
「・・・・本当?」
お互い背を向けたまま真っ赤になって俯いてしまう。
「ただ・・今はまだ早いと思う。だからまだ・・・許婚のままでいたい。」
「そうね。焦ってもしょうがないしね。私・・・待ってるから・・・」
「ああ、必ず俺の方からもう一度プロポーズするから・・・」
「ねぇ、乱馬覚えてる?私があの時、お父さんのとこへ行く前に乱馬にしたこと・・・」
「ああ。あれだろ?」





−−−回想−−−

「おーーい!いたら返事しておくれーー!」
「あっ!お父さんの声だ!」
「よかったじゃねぇか。」
「うん、じゃあね、乱馬。私、待ってるから。」
「ああ。」
「・・・・・・・」
「どうした、あかね?」
「忘れないでね。」
『ちゅっ』
「んっ〜〜〜〜」
あかねは乱馬にキスをした。
「それじゃあね、ばいばい乱馬!」
「////あっ、ああ。///」
(なんだったんだ今の・・・)





−−−現実−−−

「ってことはあかねも俺もファーストキスの相手ってことか?」
「うん。ごめんね、無理矢理キスしちゃって・・・」
「なんで謝るんだよ?俺は、その・・・嬉しかった・・ぜ。」
半分石化しながら言葉を一生懸命言う乱馬。
「フフッ・ねぇ、せっかくだからペンダント、合わせてみない?」
「そうだな。せっかくお互い思い出の相手だってわかった記念にな。」
乱馬とあかねはお互い自分の持つペンダントを合わせた。合わさったそのペンダントはハートのかたちと
なった。そしてその中央には言葉が一言

『永遠の愛を・・・』








作者さまより

実はこれ、かなり昔に書いた初期作品です。手直ししてみて思ったけどめっっっっちゃ恥ずかしいです。
本当は永久にお蔵入りにしようかと思っていたのですがせっかく書いた事だしと思い、投稿しました。
小説と呼ぶには程遠く、場面の移り変わりが少し大雑把です。
原作での乱馬のファーストキスは男であるということは笑えたけれどもおぞましく感じ、過去あかねに会
っていたという設定で内容をめちゃくちゃ変えてしまいました。


 古い作品をいじくりなおすのも、また楽しいものです。
 私も随分前にノートに書き殴った作品を読んで、「この頃、何考えてた私。」とたじっとなることも。
 最初の頃は愛情表現すら「わざとらしい」ものと思えたり、一人恥ずかしがりつつパソコンに向かっていたり。でも、書くうちに、心は逸る、踊る。いつしか、初期の頃の文章とのギャップにたじたじになることも。

 それはさておき、初々しくも楽しい作品をありがとうございました。
 私に画力があれば、漫画で描いてみるのも楽しいかなあ。などと情景を浮かべながら読み耽り。皆様はいかがでしたでしょうか?
(一之瀬けいこ)


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