◇Ranma change into the child
  第三章  とんでもない日常

武蔵さま作


次の朝、天道家ではちょっとした問題が起きていた。
「うーーむ、どうしたものか。いくらなんでも小学校に入れる訳にはいかんしなぁ・・・」
「やっぱりあかねくんと一緒に学校へ行ったらいいんじゃないか?」
「そんなことしたらクラス中のいい見せ物よ!」
「でも案外いい案かもしれないわよ。だってここに置いておいたら乱馬君、お父さんの餌食よ。」
「ひげおじちゃんのおひげは怖い。」
あきらかに早雲から逃げる乱馬。
「ほら、ね!」
男の子が欲しかったという早雲によって乱馬は頬擦り&ひげ攻撃を食らい続けていたのであった。
「だったらおばさまがいるじゃない!」
「ごめんなさいね。今日から私町内の旅行に行かなくちゃいけないのよ。」
申し訳ないように言うのどか。町内会で決まった事なのであかねも文句は言えない。
「決定ね!どうしてもっていうなら今日一日3千円で手をうってあげるけど?」
「結構よ!」
なびきに弱味を見せると後が怖い。あかねは断固として断った。
「それじゃあかねちゃん、よろしくね。はいこれ。乱馬君のお弁当。」
「はいはい。どうしていつも私にばかりこんな役なのよ。」
「いいじゃない。それにいつかはこんなふうにあんたと旦那との間に子供ができるんだから・・・」
「別に私と乱馬はそんなんじゃないんだから!」
「あら?私は『旦那』って言ったのよ。だれも乱馬君なんて言ってないけど・・・」
なびきの罠にまんまとはまったあかねは赤面してしまった。
「///もういいっ!いってきまーーーーす。」
真っ赤な顔をしてあかねは乱馬の手をひいて、学校に走っていった。
「なびき、あんまりからかってはだめよ。」
「はーーい。さてと、私もそろそろいくとしますか。」


−−−風林間高校−−−

「ふぅ。みんなにはなんて説明しよう?」
(このままちび乱馬を連れて教室に入れば間違いなくみんなは不思議に思うだろう。更にこの場に乱馬がいないことでいずればれるのは時間の問題かもしれない。)
あれこれ考えているうちにチャイムが鳴った。
『キーーンコーーンカーーンコーーーン』
「いけない、はやく入らなくちゃ。」
『ガラッ』

「あっかねーーー。おはよう!・・・んっ?だれなのその子?」
「まさか!・・・」
さゆりとゆかの何かに気付いた表情にあかねは不安になった。
(まずい!もうばれちゃったかな?)
「「あかねと乱馬君の子供?」」
2人とも声を合わせて言った事にまたあかねは赤面してしまった。
「////なっ、そんなわけないでしょ!///」
「だよね〜〜。冗談よ〜〜。」
「で、だれなのよその子?」
「この子は・・・えーーっと・・・そう!乱馬の親戚の子供なの!」
苦し紛れの言い訳でみんながうまく騙されてくれるかあかねは内心はらはらしていた。
「な〜んだ。乱馬君の親戚の子か。それにしてもよく似ているわね。」
「おさげまでしちゃて。なんだか乱馬君が小さくなったみたいね。」
『ギクッ』
かなり核心をつかれてしまい、動揺するあかね。
「なんや?乱ちゃんの親戚の子やて?ふ〜〜ん、なんか子供時代の乱ちゃんそっくりや!めっちゃかわええなーー・」
『ギクギクッ』
かつての乱馬の幼い頃を知る右京の一言にますますあかねは動揺を隠せなくなった。
「ところで乱馬君は?」
『ギクギクギクッ』
いきなり話を戻され、あかねの心臓はもう爆発寸前という程動悸が治まらなかった。
「らっ乱馬なら今日は体調が悪いから休むって・・・」
「へーー、あの乱馬君でも体調くずす事あるんだねーー。」
「ひょっとしてまたあかねちゃんの料理食べたんか?」
「まぁそんなところかな・・・」
何とか話を逸らせた事と、ちび乱馬が乱馬ではないという嘘がばれなかったことであかねは心底ほっとした。
先生達にも事情(嘘の)を説明して、授業中では静かにさせるという条件でちび乱馬を教室に置いても良いと
いう事になった。
そして休み時間がきた。
「ねぇ、この子の名前、なんていうの?」
「えっ?名前?(まずい。どうしよう。そういえばそこまで考えてなかった・・・)」
「ぼくの名前は『乱馬』っていうんだよ。」
(なっ・・なんて事言うのよ。せっかくうまくいってたのに・・・)
「「乱馬〜〜〜!?」」
(もうだめだわ。これ以上隠し通せない。)
あかねは覚悟を決めた。姿はなんとかごまかせたが本人から名前を名のってしまってはどうしようもない。
「なんや、乱ちゃんと同じ名前かいな。外見だけやのうて名前まで同じとはな・・・」
「へっ?」
「なんだか本当に乱馬君みたいねーー。」
「ほんとほんと。でもこっちの方が可愛いけどね。」
(よかった。ばれてないみたいね。)
みんなの鈍感さにあかねは助けられたとばかりに安堵の溜め息をついた。
「乱ちゃーーん。お姉ちゃんと遊ぼうやないか。」
「ほんとに可愛いわねーー。ほらっ、おいでー。」
右京、さゆり、ゆかを中心に次第に女生徒が乱馬を囲んでいった。
そこへお馴染み、乱馬の悪友ひろしと大介がやってきた。
「へ〜〜、これが乱馬の親戚の子供ね〜〜〜。」
「いいよなーー子供は。こんなに女子に人気があって・・・」
「なーーに馬鹿な事言ってんのよ。それにしてもこの子、あかねの側から離れないわね。」
「ほんまや。乱ちゃーーん、こっちにおいで〜。」
「やだっ!ぼく、あかねお姉ちゃんを守るんだ!」
「ちょっと聞いた?あかねを守るんですって。いいわねーーあかねは。いいなずけの乱馬君とこの乱馬君に守ってもらえて。」
「なっなに言ってんのよ!子供の言う事を本気にしないでよね!」
「嘘じゃないよ!お母ちゃんがお姉ちゃんを守れって言ったんだもん。だから側にいてあげるんだ。それでぼくが大人になったらお姉ちゃんをお嫁さんにしてあげるんだ。」
「/////ちょっ、ちょっとなに言ってんのよ!///」
「あかね、モテモテね・」
「まったく、マセガキだな。」
「まったくだ。乱馬に聞かせてやりたいぜ。」
まさかその乱馬が言った事とはあかね以外誰も知る由もなかった。


−−−放課後−−−

「それじゃーあかね、また明日ね。」
「乱馬君もばいばい。」
「うん。それじゃまた明日。」
そしていつもの学校の帰り道、乱馬は疲れてしまったらしく、あかねの背で眠っていた。
「はぁ〜〜。一体いつ乱馬はもどるのかしら?・・・普段の乱馬もこのくらい素直なら・・・」
あかねは1人呟きながら天道家へ向かった。そして天道家についた時、あかねは居間で天道家全員がなにやら面白そうに何かを見ていた。
「ただいまーー。あれっ?みんな何見てるの?」
不思議に思って覗いてみるとみんなの見ている先にはテレビがあり、テレビの中では先ほどの学校内の様子が映し出されていた。そしてそれを見たあかねは目を疑った。なぜならそこには休み時間内での乱馬の言葉からクラス一同の言葉の全て一部始終が映されていたのであった。
「ちょっと!どうしたのよ、なんでこんなものが・・・!わかった。なびきお姉ちゃんでしょ。」
「ふふふ、私をあまくみないことね。いかなる時でも決定的瞬間を逃さずとらえる事がお金儲けの基本なのよ!さてと、乱馬君が元に戻ったらいくらで売りつけてあげようかしら?」
不敵な笑みを浮かべながらお金の計算をするなびき。その横では早雲と玄馬が肩を組んで踊っていた。
「めでたい!乱馬君が元に戻ったら早速祝言だ!」
「もうっ!勝手な事言わないでよね!」
「そろそろごはんですよ〜〜。」
かすみの一言で話はそれきり打ち切られた。
そしてその夜・・・

「ぼく、今日はあかねお姉ちゃんと一緒に寝る。」
またもや大胆な乱馬の発言に天道家一同は驚いた。
「よしっ!許す!一緒に寝なさい乱馬君。」
「ちょっと!」
「そうね、今日ぐらいはあかねちゃんにお願いしようかしら。」
「おばさままで・・・」
「いいじゃない。どうせ子供なんだから、さしつかえる事なんてないでしょ。」
「だめ?」
またもや純真な汚れのない瞳であかねを見る乱馬。
「うっ・・・。仕方ない、今日だけよ。」
(なにも深く考える事はないんだわ。今の乱馬は子供だし、記憶も忘れちゃうから大丈夫。)
こうしてあかねは深い眠りについた。

−−−次の朝−−−

「ふぅーー、良く寝た。乱馬は・・・!!」
「きゃーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
あまりの大きな悲鳴に天道家一同はあかねの部屋に集まった。
『ドタドタッ』
「どうした、あかね?」
「一体なんだっていうのよ。」
次の瞬間、心配してきた天道家一同はみんな固まった。
「なんなんだよ?朝っぱらから。」
そう言って乱馬は起き上がったが次の瞬間、自分が裸ということに気がついた。
「なっ、なんで俺が裸で、しかもあかねの布団に?」
「あら?乱馬君、元に戻ったのね。」
「きっと元に戻った時体が大きくなって服が破れたのね。乱馬君、あかねに手を出したりしてない?」
「一体どうなってんだよ?・・・」
「元気があるのはいいんだがね・・・」
「まさかここまで進んでいたとは・・・」
「もーーーー、なんでもいいから出てってよ!」

その後乱馬は小さくなったときに起こった出来事を知って、しばらく何も言えなかった。
そしてその証拠ビデオ、写真、口止め料等でなびきから多額な金をふんだくられたのは言うまでもない。








作者さまより

この最後が書きたかった!そのためにこんなだらだらとした文を書いてしまいました。
正直、小さい乱馬に困っているあかねが主役のように書きました。


 最後に子供から大人に戻り、とってもお気の毒なリ、乱馬くん。元に戻れたは良かったですが、あまりにおいしい(失礼)場面ではありませんか?
 さぞかし、あかねちゃんの傍は寝心地が良かったのでは?いや、あかねちゃんも幸せな眠りだったのでは?…と思う私は、不謹慎かな?
(一之瀬けいこ)

Copyright c Jyusendo 2000-2005. All rights reserved.