◇武士道と修羅道 1
武蔵さま作



其之壱 『予兆』


『人間は弱い…』
『すぐに道に迷い、一人では生きていくことさえできない…』


 シュッ!

 暗い闇の中、空を切る音が聞こえた。乱馬は目の前の影が繰り出す攻撃を避けた。光のない世界、光もないのに何故か相手の姿は影として見る事ができた。しかしどうしても顔を見ることはできなかった。いや、乱馬にとってはそんな事はどうでもよかった。相手の姿がどうであれ、肝心なのは目の前の敵と闘っているという事実、そしてその敵を倒すという結果だけであった。


「くっ!」
 鋭い攻撃に戸惑う乱馬。先ほどから防戦一方である。それは相手の強さを意味していた。
(攻撃に転じなければ…)
 相手の攻撃を紙一重で避けると、乱馬は反撃に移った。
 
 ドス!
 
 重い一撃が相手の腹部にめり込んだ。拳に分厚いタイヤを殴ったような感触が伝わった。影は体をくの字に曲げると、そのまま防御の姿勢をとろうとした。しかし乱馬はその好機を逃さず、同じ部分にさらに攻撃を加えた。
一撃、二撃、三撃―――鋭くも重い攻撃が影を攻め立てた。肉を打つ感触から、次第に骨の軋む音が拳に伝わった。たて続けに攻撃を受けた影はその場に昏倒し、動かなくなった。


「はぁっ、はぁっ」
 息を乱した乱馬は動かなくなった影を見下ろした。と同時に自分が笑みを浮かべていることに気が付いた。
 強い相手と闘う楽しみを意味する『喜び』ではない。人を殴ることに『悦び』を感じていたということに気付いた乱馬は自分自身、全身の毛が逆立つような感覚に陥った。


 その時、背後で人の気配を感じた。乱馬が振り返ってみると、そこには怯えた表情のあかねが立っていた。口を押さえて声を出すまいとしていたが、その恐怖に怯えた眼差しは、明らかに目の前にいる乱馬自身に向けられていた。
「……あかね?」
 怪訝そうな表情であかねに歩み寄る乱馬。しかし乱馬が近づくと、同じだけ距離をとるように後退りするあかね。その不可解な行動を問いただそうと乱馬があかねに触れようと手を伸ばした瞬間!
「いやぁーーーーー!!!」
 耳を劈(つんざ)くようなあかねの悲鳴が暗い空間に響いた。あかねは半狂乱になって叫び続けた。
 乱馬は自分があかねに拒絶されている事を知ると、言葉を失ってしまった。しかしそれ以上に驚いた。俯いた視線の先には、赤く染まった自分の拳があったからだ。それが自分の流した血ではないことを悟った乱馬は、恐る恐る自分が倒した敵の方を振り返った。
 すると、背後から一筋の光が差し込み、倒れて動かない影の足元を照らした。徐々に光は傾き、上半身を照らしたとき、乱馬は愕然とした。


 そこには目を見開いたまま動かない自分の姿があったのだ。赤いチャイナ服は元の色よりも濃い赤々とした染みを広げていった。
「う…あ…」
 言葉にならない声を必死で紡ごうとする乱馬。しかし目の前に横たえる自分自身の姿は再び動くことはなかった。


「うわーーーーー!!!」


 乱馬が叫んだ後、目の前に映った光景は先ほどのような暗いものとは打って変わっていた。朝の日差しが差し込み、雀の鳴く声が聞こえてくる清々しい光景であった。混乱する乱馬だったが、周囲の状況を見回し、自分が半身に布団を被っていることから、今までの出来事は現実に起きたこととは違ったことを悟った。
「夢…か…」
 安堵の溜め息を吐く乱馬。ふと自分の体にシャツが張り付いていることに気が付いた。汗を吸って湿ったシャツは外気に触れると急激に冷え、乱馬に不快感を与えた。
「乱馬、どうしたの?」
 乱馬の悲鳴にも似た叫びを聞きつけて、あかねが部屋に駆けつけた。まだ寝ぼけ半分の乱馬はその声で完全に現実に引き戻された。
「…あかね」
 恐る恐る許婚の顔色を窺(うかが)う乱馬。しかしあかねの表情からは恐怖、拒絶といった負の感情は一切見られず、いつも通りの表情であった。
 生々しい映像だった為に、まだ自分でも夢だと割り切れずにいた乱馬は、自分の拳を見た。その手は血に塗れてはいなかった。しかし、夢の中で拳に伝わった、自分自身を殴る感覚はハッキリと覚えていた。
(まさかな、自分自身と闘って殺しちまうなんて・・・・縁起でもねぇ)
 完全に夢だったと理解し、再び安心する乱馬。
「あんた、怖い夢でも見たの?」
 普段から強気な乱馬に対し、あかねは悪戯っぽく尋ねてみた。すると、驚くほど素直に乱馬は頷いた。
「ああ。なんていうか・・・嫌な夢だったな」
「そ、そう。・・・・とにかく、もうみんな集まってるから早く降りて来なさいよ」
 あかねは戸惑いを感じつつ、乱馬に降りてくるように言うと、そのまま部屋から出て行った。

(いつもの…俺だよな…)
 あの時、自分が感じた悦びを、乱馬は未だ拭いきれていなかった。



「ごちそうさま…」
 いつもよりも食欲のない乱馬を天道家の一同は不思議に思った。あかねは朝から様子が変なのを知っていたものの、敢えてそこには触れずにいた。
「ねえ、乱馬。後で買い物付き合ってよ」
 気晴らしになるのではないかということであかねは乱馬を誘った。乱馬もそんなあかねの心中を察してか、快く頷いた。
 表向きはただの買い物だが、実際はデートである。商店街で色々見たり、喫茶店で何か食べたり。次第に乱馬もいつもの調子に戻っていった。


「はぁ〜、疲れた。そろそろ帰ろうか」
 そろそろ日も暮れ始め、乱馬達は家に帰ろうとした。すると、通りの向こう側が何やら騒がしかった。怪訝そうに乱馬達が見ていると、向こう側からガラの悪い男数人が商店街を我が物顔で歩いてきた。
「オラオラ、道を開けんかい!」
「何見とんのじゃ!」
 どうもヤクザ系統の人が迷惑をかけているらしい。
「やれやれ、ま〜だこういうやつらがいんのか」
 乱馬は呆れて言い放つと共に、気にせずに堂々と正面に向かって歩いて行った。
「オラ、そこの小僧!さっさと道を開けんかい!」
 パンチパーマでサングラスをかけたちょび髭の男という典型的なチンピラが乱馬に言った。
「退く理由はないわ!そっちこそ、周りの人の迷惑を考えなさいよ!」
 普段はこういった連中には口を出さないあかねだが、他人に迷惑をかけているとあっては話は別だ。乱馬が口を開くより先に声を出した。
「威勢のいいねーちゃんだな」
 チンピラAはあかねを突き飛ばそうとした。しかし乱馬がその間に割って入った。
「やめときな。怪我するぜ」
「けっ、女の前だからってカッコつけてんじゃねーよ」
 チンピラAは構わず乱馬に殴りかかったが、まるで見えない壁に弾かれる様に、乱馬に攻撃は当たらず、反動で自分が尻餅をついていた。
「なんだ〜?」
 目の前の出来事に、今度はチンピラBとCが殴りかかった。しかし二人も同じように乱馬に攻撃が届く前に何かに当たった。何度攻撃しても一発でも乱馬に当たることはなかった。それもそのはず、火中天津甘栗拳の応用で全ての攻撃を手で受け止め、すばやく元の自然体に戻るという動作の繰り返しを行っていたのだ。チンピラはおろか、一般人には見えないバリアでも張っているような錯覚に陥った。
「変なマジック使いやがって・・・だけどもう終わりだ。後ろを見てみろよ」
 尻餅ついた状態なのに、何故か得意げに話すチンピラA。乱馬は言われるがままに後ろを振り向いた。するとそこには腕を押さえられたあかねの姿があった。
「ちょっと!放しなさいよ!」
 普通の男ならあかねは羽交い絞めにされても一撃加えて簡単に抜け出すのだが、相手はガタイのいい男であったため、それは難しかった。
「おとなしくしねぇと女のかわいい顔に傷がつくことになるぜ」
 勝ち誇っていたチンピラAだが、次の乱馬の言葉に驚いた。



「好きにしな」
「な、てめぇ、俺達が女に手を出せないとでも思ってんのか!?」
 チンピラは混乱し、あかねは怒り出した。
「ちょっと!助けなさいよ!」
 あかねは助けを求めるが、乱馬は気にせず言葉を続けた。
「そいつは可愛くもねぇし、色気もねぇ。おまけに不器用で寸胴だ。」
「……」「……」「……」
 その場にいる全員が固まった。あかね自身は癇癪筋(かんしゃくすじ)が浮き出ている。
「だが、手を出さないほうが身のためだと思うぜ。さもないと…」

 ドスッ、バキッ!

「ぐえぇ〜」「ぎゃぁ〜」「うぐぅ〜」
 その場にいたチンピラ全員が昏倒した。あかねが全てやったのだ。
「そういう目に遭うぜ―――ぐぇ!」
 抜け出したあかねはというと、チンピラを全滅させ、毒舌を吐いた乱馬の首を締め上げていた。
「ぞじでおではごういうべにあう」(そして俺はこういう目に遭う)
 あまりカッコいいとはいえないが、何とか乱馬の作戦によってあかねは危機を脱した。
「あんたって人は、人がピンチなのに助けようともしないの!?」
「げほっ、げほっ!おめぇの力なら大丈夫だって思ったからやったんでぃ!それにいざとなったら――――」
 乱馬はそこまで言って言葉を飲み込んだ。
「何よ!いざとなったらどうしたっての!?」
 あかねはまだ怒りが収まらないらしい。その様子を見て乱馬は仕方なしに言葉を紡いだ。
「いざとなったら、俺のスピードで絶対に守ってやったさ」
 怒りで真っ赤だったあかねの顔が、今度は嬉しさと恥ずかしさで赤くなってしまった。


「くっ、てめぇらいい気になってんじゃねぇぞ!ここまでコケにされちゃ〜参出井(サ○デーと読んではいけない)組の名折れだ。生かして帰すわけにはいかねぇ」
 チンピラの生き残りAが乱馬達に向けて銃を取り出した。しかし乱馬はちっとも驚いた様子も見せなかった。
「どうする?あかね。一発で黙らせるか?」
 そう言うと乱馬は掌に気を集中させた。
「ダメよ」
「……」
 あかねにも乱馬の自身はどこから来るのかわかっていた。銃口と引き金のタイミングさえわかれば直線状に飛んでいく銃弾など怖くもなんともない。しかしここは商店街。流れ弾が人に当たるかもしれない。あかねはそれを注意して乱馬に伝えた。
「そんじゃ仕方ねぇ。あの技で行くか、あかねも付き合えよ」
「えっ!?あの技って?」
 混乱するあかねを他所に、乱馬はチンピラAを睨み付けた。瞬間的にチンピラAは怯んだ。その隙に乱馬は一瞬にして間をつめ、相手の懐に飛び込み、背を向けるように身体を反転させた。
「乱馬、ダメよ!」
 あかねの声が乱馬に届く前に、乱馬は既に行動を起こしていた。

「早乙女流奥義!敵前大逆走!」

「えっ!?」
 チンピラAが目を開いたときには、目の前にいた乱馬の姿はなく、遠くであかねを小脇に抱えて走り去っていく姿だけが目視できた。
 この技は敵との距離を詰めれば詰めた分だけ、相手を唖然とさせる時間が長くなる。乱馬が極力相手に踏み込んだのもそのためだ。
 今回はあかねにその技を行うことが伝わらなかったので、あかね自身も唖然としたまま乱馬に抱えられていた。


「…全く、逃げるんならちゃんとそう言ってよね!」
「まあまあ、うまくいったんだからいいじゃねぇか」
 商店街から大分離れたところで、乱馬とあかねは一息ついた。
「それにしてもよく我慢したわね。あんたが気砲を撃たないなんて」
「…ん…まあな」
 曖昧な返事をした乱馬にあかねは少々戸惑いを感じた。
「それより腹減っちまった。急いで帰ろうぜ」
 あかねは乱馬に問いただす前に有耶無耶にされてしまったが、すぐになんでもないと自分に言い聞かせて帰路に着いた。


(違う…『撃たなかった』んじゃない。『撃てなかった』んだ…)


―――道場―――

 体への異変はその後もすぐにわかった。乱馬があかねと稽古をしてるときだ。
「たぁ!せい!」
 いつもなら軽く躱す乱馬が、今日に限って防戦一方だったのだ。辛うじて決定打を喰らわない、そんな感じだ。
「くっ、せやっ!」
 なんとか反撃に出ても、あかねは易々とその攻撃を見切る。あかねが強くなった。それもある。だが、単純に乱馬が弱くなったようにも思えた。
「ちょっと、本気でやってよ!」
 あかねにはそんな乱馬が手加減しているのだと思った。しかし・・・
「はぁ!」
 手加減していないからこそ、乱馬は自分自身を腹立たしく思い、本気で打ち込んでいたのだ。そんな乱馬を見て、彼が本気か否かわからないほどあかねも鈍くない。それ以上は何も言わずに稽古を続けた。


「ちょっとランニングに行ってくる」
 稽古が終わるや否や、乱馬はそのまま外へ駆け出した。あかねはそんな乱馬の後姿をただ、見守る事しか出来なかった。


「どうしちまったんだよ…俺は…」
 自分の掌を見る乱馬。『氣』を撃てなかっただけではない。感じることすらできなくなっていたのだ。
 足を止め、右手に気を集中させてみる。しかし一向に気が集まる様子はない。原因は乱馬自身にもわからなかった。
 ふと近くの空き地に目をやると、見慣れたテントが張ってあった。乱馬はそのテントの方に真っ直ぐ向かって行った。
「良牙」
 乱馬が声をかけると、そこにいた良牙はなにやらしていた作業を止め、乱馬の方を見た。
「良牙…俺と勝負してくれ」
いつもは自分から勝負を切り出す乱馬ではない。普段なら何もしなくても良牙、ムース、九能といった顔ぶれが乱馬に勝負を挑んでくるからだ。
「………」
 良牙は何も言わず、乱馬の顔を見上げ、乱馬の真剣な顔を見つめた。しかし…
「今のおまえとは闘う気もおきねぇ」
 良牙は簡単に言うと、そのままテントを片付け始めた。
「良牙!」
「……闘う前から勝敗が見えてるぜ。出直してきな」
 そのまま良牙は乱馬を一瞥すると、背を向けてどこかへ歩いて行った。
「くそっ…俺だって、好きでこうなったんじゃ――――」
 乱馬はその場に膝を着いて唸った。



―――天道道場―――

「親父、手合わせしてくれ……」
 いつもの乱馬とはほど遠いほどの暗い面持ちで、乱馬は懇願するように玄馬に稽古を頼んだ。
 そんな乱馬の気持ちを察したのか、玄馬はただ頷くと、道場の方へ向かって行った。


「ハァッ!」
「……」
 一見乱馬が押しているように見える闘いも、当人には物足りなく感じていた。それもそのはず、先ほどのあかねとの稽古同様、乱馬の攻撃は玄馬に決定打を与えることすらできずにいた。玄馬はそんな乱馬の動きを一挙手一投足全て見るように受けていた。


「はぁ、はぁっ」
 息が切れた乱馬はその場に膝をついた。これ以上は何をやっても無駄だと悟ったのであろう。乱馬は玄馬に尋ねた。
「親父…俺はどこか変わったのか?なんでこんなにも弱くなっちまったんだ…?」
 最後の方は消え入りそうな声であった。決して稽古を怠っていたわけではない。だからこそ、自分自身信じたくなかったのかもしれない。
 ライバルである良牙にも見限られ、どうすることもできない自分の無力さを知ったのだから無理もなかった。
「…そうだな。強いて言えば『覇気』が失せたな」
「『覇気』?」
「さよう、あの『呪泉洞』での闘い以来、おまえは稽古に身が入らなくなった。今のおまえは燃え尽きた蝋燭のようだ」


 玄馬の言葉を聞いた瞬間、乱馬の脳裏に二人の男の姿が映った。一人は麝香王朝の末裔であり、竜の力を受け継いだ男ハーブ。そしてもう一人は、数ヶ月前に死闘を繰り広げた、鳳凰の力を持った男サフラン。
 二人とも王家の血筋であり、『龍』『鳳凰』という神獣の力を持って生まれてきた。彼等との闘いは、乱馬の機転を聞かせた乱馬の戦術で何とか勝利を収めた。さらには仲間の協力あってこそ、勝利を得る事ができたのだ。
 もう一度彼等と一対一で闘い、勝てるという確証はない。だからこそ、あの時の闘い以来、玄馬の言葉通り、乱馬は完全燃焼してしまったと言える。


「………」
「あれほどの強敵、平和となった現世では滅多にいないであろうな」
「じゃ、じゃああいつらと闘えばまた元の強さに―――!!」
 乱馬は微かな希望にしがみつこうとしたが、玄馬はそれを否定した。
「やめておけ。今闘ったところで所詮は象と蟻の戦いに過ぎぬ。あの時、どちらの戦いの時もおまえには負けられぬ事情があった。だが、今のおまえには―――」
 乱馬は反論しようとして口を噤んだ。
 今、自分は確かに弱くなっている。しかし、元の力を取り戻すためだけに闘うのでは、以前と闘う理由が異なるとわかっていたからだ。
「今はまだどうすることもできぬ。まあ、自ずと時が解決するを待つより他はないであろう」
 玄馬はそう言うと、乱馬を残して道場を去っていった。


(乱馬よ。何故自分が強さを求めているのか、それが理解できぬうちは本当の強さを得ることはできんぞ……)



―――呪泉郷―――

 一人の男が呪泉を眺めていると、すぐ傍にもう一人の男がやってきた。
「ほう、珍しいこともあるものだ。おまえが鳳凰山から下りてくるとはな」
「ふっ、今の季節ならば余がおらずとも住人は生活できるからな」
 二人の男はそのまま呪泉を眺めていた。どうやら考えていることは一緒のようだ。どちらともなく口を開き、その話題に触れた。
「ふふふ、神獣の力を受け継いだ王である我等も、共通の人間に敗れてしまうとはな…」
「確かにな。だがあの男――」
「ほう、おまえも気づいたか」
「ああ、あの早乙女乱馬という男、間違いなく我等に匹敵するほどの内なる力を持っている。だが、あやつ自身、その力に気づいておらぬ」
 二人は自分たちの戦いを回想するように、暫く黙って泉を見つめていた。


「Excuse me。ニッポンへ行くにはどうしたらいいでしょうか?」
「あいや〜、お客さん日本へ行くのか?だたらこの道を真っ直ぐ行って―――」
 二人の後方で旅人がガイドに道を訊ねている会話が聞こえた。
「わかりました。Thank you very much!・・・・・どうしました?」
「いやぁ、お客さん私の知り合いにとてもよく似てるね」
「…?ま、いいや。では」
 旅人は会釈をすると、そのまま去っていった。


「いやぁ、早乙女乱馬いったかな、あの男そっくりだたね。世の中には似た人が3人はいると言うけど、髪と目の色除いたら見分けがつかないね」




 これから一騒動あることに、まだ誰も知らずにいた・・・



つづく




一之瀬的戯言
 八年ぶりに連載作品の投稿が来ました!八年ぶりに、あの続きが読めるということで、嬉しく思っています。
しかも…完結してるしーうきゃああ!

 と言う訳で、「呪泉洞」の闘いの後の、乱馬の奮闘をお楽しみください。






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