◇答えはそこにあった その1
みのりんさま作


一、見知らぬ来訪者

「拓也ぁ、もっとスピード出ないの?」
 炎天下の下、汗をかきかき、必死で自転車のペダルを踏む彼に、少女は言った。
「無茶言うなよ、蘭子。これでも必死なんだぞ!」
 後ろに蘭子を乗せ、重たいリュックサックを背負い、ひたすら“天道道場”まで、自転車を走らせる。
 ギーギー。タイヤも悲鳴を上げている。
 隣町から、電車代をケチるためだけに、とんだ重労働を押しつけられた彼は、なんというバカなんだろう。
 行きがあれば、帰りがある。そして、彼は心の中で呟く。
 ――今は、そんなこと、考えたくもない。
 
「ついた!」歓喜の声を上げる拓也に、蘭子は自転車から降り、しげしげとその重々しい看板を見つめる。
 『天道道場』。その向こうにあるのは、随分と古い日本建築の建物のようだ。
 ここで暮らしている人々。一体どんな人々なんだろう。自然と、拓也の興味と好奇心がそそられる。
 古式ゆかしい、和服美女でも出てくるんじゃないだろうか?
「ごめん下さい。」ガラリと戸を開け、大声を出したのは、蘭子だった。
「はーい。」そう言って現れたのは、和服を着た、日本美人。清楚な微笑み。
と、その女性は「あら」と声を上げた。
「はい。今日から五日間お世話になる、冴草蘭子と拓也です。」
 如才なく、蘭子は頭を下げる。拓也も慌てて頭を下げた。
「四年ぶりかしら、すっかり大きくなって……」蘭子を見、拓也を見ながら微笑んだ。
「もう、そんなになるのかな。」拓也も笑みを返す。
 四年前、冴草家の親戚の法事があった。その時、すでに互いに挨拶をすませていたのである。
「ええ。お二人ともご無事で何よりだわ。上がってちょうだい。丁度、天道家の方々も、うちの主人もおりますわ。」
「お邪魔します。」二人は声を揃えて、天道家に入っていった。

「皆さん、ご紹介致しますわ。」
 すると、碁を打っていた早雲とパンダ玄馬。テレビを見ていた、らんま、あかね、なびき、かすみが、一斉にのどかの方へ視線を向ける。
「おおっ!」
「あっ!」
「えっ!」
「パフォ!」
「嘘!」
 それぞれが、それぞれに声を上げる。
 そして皆、彼らの顔を見て、自然とらんまの方に顔を向ける。そして、視線は今入って来た二人に再び注がれる。
 驚かないわけがない。なんと、二人の容姿は、乱馬とソックリなのである。
 蘭子の方は女らんまより、少し髪が長いくらい。拓也の方はおさげを付けたら、乱馬と瓜二つ。
「昨日、言っていた子達ですか?」いち早く我に返った、なびきが問う。
「ええ。私の姪にあたる乱馬とあかねちゃんと同じ、十六歳の冴草蘭子さんと、拓也さん。」
「始めまして、冴草蘭子です。」
 古い屋敷の中で、一際映える、ピンクハウスの赤いレースをひらひらさせたジャストウエストワンピースを身にまとった、蘭子が笑顔で言う。
「始めまして。冴草拓也といいます。」
 そして、汗がビッシリ染み込んだ、カールヘルムのくまさんがプリントされた水色のシャツと、オフホワイトのズボン姿で、乱馬より一オクターブ高い声で、拓也は言った。
「いやはや、本当に驚いたよ。こんなにも、乱馬くんとそっくりな子達だとは思ってなかったから――」
 早雲が、呆気に取られながら言った。
「世の中に、似ている人は三人いると言います。きっと、その一人なんでしょう。」
 まるで、何事もないかのように、蘭子は言う。
「五日間、どうぞよろしくお願いいたします。蘭子が言うと拓也も同時に礼をする。
 天道家一同と、玄馬パンダとらんまも慌てて頭を下げる。
「とりあえずは、自己紹介といきましょうか。」そう声を上げたのは、やはりなびきだった。
 それぞれが自分の名を名乗り、「よろしく」と言う。
 そして、それが一通り終わると、今度は玄馬パンダを前に、二人はひるんだ。
 『よろしくだよぉーん。』と書かれた看板に、呆然と立ちすくむ。
「あのーこのパンダは……」蘭子が思わず指差しながら、のどかに聞く。
「うちの主人よ。」
「――主人って、旦那さんって意味?」同じく指を指し、固まったまま言う、拓也。
 パンダって、確か、ワシントン条約で持ち込み禁止のハズでは……
「あはは。そんなに驚かないで。早乙女のおじ様は、水をかぶるとそうなっちゃうのよ。」笑いながら、なびきは言った。
「“早乙女のおじ様”、これが?」
「パフォ。」『そうじゃ。』 
「ほら、お湯をかければ。」どこからか持ち出してきた、やかんをあかねが玄馬パンダに向けてお湯を放つ。
「っちち、ちょっと、熱いよ。あかねくん。」
「あ、すみません。おじ様。」
 その変わりゆくさまを、目をパチクリさせながら、拓也達は眺めていた。
「ね。」
「ん?」蘭子のかけられた声に、思わずそちらに顔をやる拓也。
 ギュ――――っ!
 思いっきり、拓也の頬を、蘭子がつねった。
「いてて――――!」必死になって、蘭子の手を離す拓也。
「ったっ、いきなり何するんだ。」
 怒る拓也に対し、呆然としたまま、蘭子は呟いた。
「夢……じゃないの?」
「そーゆーこと。」
 立ち上がって、らんまが言う。
「あかね、おれにもお湯。」
 「はいはい」と、あかねはらんまの方へ、やかんの注ぎ口を向ける。
「あちっ。」
 見る見るうちに、女らんまは、男の乱馬へと変わっていく。
「水をかぶると、パンダと女になって、お湯をかければ元に戻るの。」
「はぁ……」
 冷静ななびきの解説に、ボンヤリと聞き入る二人。
「呪泉卿って所に、二人で修行に行って、そこの呪いで、姿が変わるようになったんだって。」
「呪い……そんな、非科学的な……」
 蘭子の口から漏れた言葉に、なびきはしみじみと返す。
「世の中、科学だけで説明できないこともあるのよ。」その言葉に、思わずなびきを睨みつける蘭子。
「呪いとか、魔術とか、宇宙人だとか、そんなもの、全てまやかしにすぎないわ。」
 どうやら、蘭子はカチコチの現実主義者らしい。
「けれど、現にそうなっちまった、おれと親父がいるんだぜ。」
「信じられないかもしれないけれど、現実って意外と未知に満ちているものよ。」
 と、切り返す乱馬となびき。
「でも……」
「ああ、お二人も言ってらっしゃるんだ。ここは一つ、割りきちゃどうだ。」
 拓也がいさめるように言うと、蘭子は黙った。
「世の中、色々あるんだよ。きっと。」なぜか、妙にしみじみとした口調で言う拓也。
「遠いところから来て、喉、渇いているんじゃない?」
 優しげな微笑で、冷たい氷入りの麦茶が入ったグラスをのせた、お盆を持って、かすみが言った。いつの間にか用意していたらしい。
「ありがとうございます!」心からそう言いって、拓也はグビグビと、一気に飲み干した。
 蘭子の方はというと、すまして、グラスの底を左手で押さえて、右手で支え、小さく開いた口の中に、何度も分けて、ゆっくりと注ぎ込んでいる。
「プファ――。っーこんなに、麦茶が美味しいなんて、思ったことなかった。」
 ガチャリとお盆の上に、グラスを置く拓也は、再び流れ落ちる汗をぬぐいながら言った。
「さてと、自己紹介も済んだことだし、今度は二人が泊まる部屋だな。」
 そう言って、早雲は、乱馬とあかねを見やった。
「乱馬くん、あかね。悪いけれど、二人に部屋を貸してやってはくれないか?」
「いいわよ。」
「別に構わねえけど。」
 こうして、天道家にやって来た二人の客は、乱馬とあかねの二人の部屋に泊まることになった。



ニ、鏡との対面

「改めて、よろしく。」そう言って、拓也は乱馬に手を差し出した。
「ああ。よろしく。」反射的に、乱馬はその手を握り返していた。
 軽く握手をして、二人は離れた。
「ま、適当に使ってくれ。」
「あ、うん。ありがとう。」
 拓也は背中に背負ったままのリュックサックを下ろし、ふうっと、一息つく。
「おめえ、んなに汗かいてるんじゃ、風邪ひくぞ。」
 そう言われてみればと、拓也は改めて自分の身なりを見る。
 汗がグッショリ染み込んだシャツにズボン。
「風呂行って、シャワーでも浴びてったらどうだ?」
「いいのかな。」
「いいって、今日からおめえも天道家の居候だろ。シャワーぐらい、好きな時に使いな。」
「それじゃ……」と、拓也はゴソゴソと、リュックの中からバスタオルをまさぐった。
「風呂場まで案内してやるよ。」
「ありがとう。」
 見つけ出したバスタオルと着替えを手に持ち、拓也は乱馬の後を続く。
「居候って、君達家族は、この天道さんちに居候しているの?」
「ああ。」
「何か特別な理由でもあるの?」軽い好奇心で拓也は尋ねた。
「うちのクソ親父が、勝手に許婚を決めやがったからさ。」
 ――許婚、か。随分古い慣習だな。
「ふ〜ん。誰と?」
「一人、可愛くねえ女がいたろ。」
 ――可愛くない?誰だろ。
 拓也は先程紹介されたばかりの、天道家の女性の面々を思い浮かべてみるが、分からない。
「色気の欠片もねえ、あいつとおれは許婚どおしなんだ。」
「はあ。」
「あいつとおれが許婚じゃなきゃ、こんなとこいねえさ。」
「つまり……嫌いなのかい?」
「…………」
 拓也は人差し指を額に当て、考えるようにして。
「民法でね、えっと、確か……『第二章・婚姻、第一節・婚姻の成立、第二款・婚姻の無効及び取消、第七百四十二条・一、人違その他の理由によって“当事者間に婚姻をする意思がない”ときは“無効”とされる』んだよ。」
「それ、……本当か。」
「うん。僕の記憶が確かなら、だけど。」
「そ、そうなんだ……」
 思わず立ち止まった乱馬は、明らかに動揺している。
 ――あ、なるほど。
 そんな乱馬の心境を思いはかって、拓也は微笑んだ。
「ま、恋愛なんて個人の自由だし。君が誰が好きで誰が嫌いだとかは、僕には関係ないことだから。」
 すると、さらに動揺して、顔を赤らめて乱馬は、
「べ、別におれは……そんなこと……」
「僕には関係ないよ。さ、連れて行ってくれるんだろ、お風呂場に。」
「あ、ああ。」
 拓也が促すと、立ち止まっていた乱馬は、歩き出した。

「ここが脱衣所だ。ま、洗濯機の中に放り込んどいたら、後は勝手に洗ってくれるだろうから。」
「ありがとう。」
 今日だけで、何回この言葉をつかったのだろうと思いつつ、シャツを脱ぐ拓也。
 乱馬は、「じゃ、後で。」と脱衣所を出て行った。
 ズボンも下着も脱いで、言われた通り洗濯機にそれらを突っ込み、拓也は浴室へ入る。
 ジャーっと流れていく冷たい水。徐々に温かくなって、拓馬はそのお湯を全身で被る。
 ――ふぅ、生き返る。
 ゆっくりとその気持ちよさにひたりながら、しばらくしてから、浴室を出た。
「キャ――――っ!」
「××××××!」
 バチッ!
 慌てて前を隠す拓也の頬に、勢い良く、ビンタが飛んでくる。
「何で、入って来るんだよ!」
「何で、ここにいるのよっ!」
 叫び返す声は、蘭子のものだった。
「ったく、痛いじゃないか。」
 しっかり手形の痕が残っている頬を、左手で擦りながら、拓也は言う。
「さっき、思いっきり汗かいたんだ。シャワー浴びててもおかしくないだろ!」
 腰にタオルを巻きつけ、拓也は濡れた髪をかきあげる。
「すぐ着替えるから、外で待っていてくれよ。」
 蘭子は思いっきり顔を赤らめたまま、脱衣所から外へ出て行った。
 とんだハプニングだ。
 ――自転車こがさせられるわ、裸見られるわ、ビンタくらうわ、今日は厄日かも……
 “最悪”、という二文字が拓也の頭の中を踊る。
 それでも何とか気を持ち直し、タオルを手にとり、全身をくまなく拭いてから、着替えを手にとり、着始める。
 これも、カールヘルムの風鈴をあしらった、グリーンのレーヨンアロハだ。
 ちなみに、拓也は別に服のこだわりは無い。けれど蘭子に頼むと、必ずカールヘルムの品を買ってくるのである。
 まあ、彼女がピンクハウス系に、こだわりがあるせいなのだが。
「終わったぞ。」
 そう言って、拓也が脱衣所を後にすると、今度は眩しいくらいの白いワンピースを手にした蘭子と、あかねが待っていた。当然それも、ピンクハウスのフランスレースのついた服である。
「…………」
 無言で入れ替わりに、脱衣所に入っていく蘭子。
「ごめんなさい。あなたが使っているなんて、知らなくて……」あかねが、顔を赤くしたまま言った。
「不可抗力だよ。仕方ないさ。」拓也はそう言って、あかねから目線をそらした。
「えっと、僕は部屋に帰るね。」独り言のように言いながら、ゆっくり立ち去る拓也だった。
 部屋に戻っても、乱馬はそこにはいなかった。
 『適当に使ってくれ。』乱馬の言葉が頭に蘇る。
 ――適当って、一体どうしろっていうんだ。
 とりあえず、部屋の隅に座り、ボンヤリと天井を見上げる。
 今頃は機上の人であろう、両親に思いをはせる。
 ――初めての海外だって、凄く喜んでたよな。
 天からの贈り物は、意外と近くにあるようで、彼の母は、商店街のくじ引きで、見事一等賞を引き当てた。
 グアム・サイパン、ペア五日間の旅。最終日には、香港での買い物ツアーまであるとか。
 パスポートを手に、子供のようにはしゃぐその姿が、今でも鮮明に思い出せる。
 そして、子供達を二人にしておくと心配だからと、天道家に預けられることになったのである。
 ――もう、そんなに心配をかけるような歳でもないのに……
 ハァッと、拓也は溜め息をつく。

 そして、ガサッ、ゴソッと、リュックサックの中から、拓也はお手製のサックスのエプロンを取り出した。
 とりあえず、台所に向かって拓也は歩く。そうすると、夕食の支度を始めている、かすみとのどかの姿があった。
「あの……」二人の視線が拓也に集中する。
「僕もご一緒させて。」すると、小刻みに瞬きを繰り返し、かすみが問う。
「えっと……それって、どういうことかしら。」
「つまり、その……家事の手伝いをしたいんだ。人数が増えて大変なんじゃないかなって思ったんで。向こうの家では、僕が家事をすることも多かったから。」
 かすみとのどかは、互いに目を合わせる。
「腕の方は蘭子が保証してくれるから、手伝わせて。」
 ニッコリと笑う拓也に、のどかは居場所をずらした。
「鶏肉の唐揚げと、かき揚か……」
 そのテーブルの上に並べられている材料から、推察して拓馬は言った。
「えっと、これはきざんだ方がいいよね。」
「え、ええ。」
 戸惑いがちなかすみに、にんじんを見せ、トントンと軽快なリズムで、それを細かく切りきざんでいく。すると、すぐに綺麗に切りそろえられた、にんじんの塊ができた。
「次は何をすればいい?」
 ニコリと笑みを浮かべる拓也に、「じゃあ、じゃがいももお願いしようかしら。」と、のどかが言った。
 大きく首を縦に振り、楽しげに拓也は、じゃがいもの皮むきを始めた。
 履歴書に、趣味・特技としてあげたのが、“家事”という拓也である。楽しくないはずがない。



三、唐揚げ戦争

「おおっ、今日は豪華だな。」そう声を上げたのは、早雲だった。
「拓也くんが手伝ってくれたんです。」かすみが言う。
 ちゃぶ台の上には、たくさんのから揚げと、かきあげの山、サラダにポタージュのスープがのっている。
「特にこのポタージュスープは、拓也さんご自慢の品だそうですわ。」
「いえ、そんな、おおげさな……」顔を赤らめて、拓也は言う。
 ――いつの間にそんなこんなこと――をと、蘭子が拓也を見る。
 けれど拓也はそんな蘭子の視線に気づかず、拓也は頭をかきながら、照れていた。
「じゃあ、みんな。」と早雲が言うと、全員が手を合わせ、合唱する。
『いただきます。』
 カチャカチャと動き始める箸。
 その中でも、一際早いのは、乱馬と玄馬親子。かき込んで、あっという間にご飯の一杯目が消える。
『おかわり!』
 そう言って、二人は同時に茶碗をのどかに差し出す。
「そんなに慌てて食べなくてもいいのよ。身体に悪いわ。もっとゆっくり食べないと、消化に悪いわ。」
「大丈夫、大丈夫。んな、やわな鍛え方しとらん。」
 玄馬はそのかっぷくのよい腹を、叩きながら言う。
「育ち盛りには、まだまだ食い足りねえよ。」
 そんな二人の言に、『仕方ないわね』、と顔で言いながら、のどかは茶碗にご飯をよそう。
「はい、あなた。乱馬。」
「悪いな。」
「サンキュ、おふくろ。」
 そして、しばらくすると、せわしなく動いていた玄馬の箸が、ピタッと止まった。
 玄馬の皿には、すでにから揚げもかき揚げもない。
 そして、横目でジロリと乱馬の皿を覗く。まだ乱馬の皿には、1つだけ、から揚げが残っている。
 『ターゲット・ロックオン』と、玄馬は思ってはいないが、まさにそんな感じだ。
「あっ、あれはなんだ!」と、いきなり玄馬が言う。
「え?」みんなは思わず、その方向を見てしまう。
 その隙に、こっそりと玄馬は乱馬の皿から、から揚げを奪い取る。
「あ――っ!」もちろん声を上げたのは、乱馬。
 今にも玄馬の口に入らんとする、自分のから揚げを、大慌てで奪い返した。
「何をする。乱馬!」
「てめえこそ、何しやがるんでい!」
「そのから揚げは、わしのじゃ!」
 パッと乱馬の箸から、玄馬の箸に移動しているから揚げ。
「何言ってやがる。親父はもう食っちまっていたじゃねえか!」
 サッとその箸から、乱馬はから揚げを取り上げる。
 その段になって、二人は立ち上がっていた。
「あの〜」
 頭に血が上っている二人には、その声は届かない。
「これは絶対、てめえにはやらねえ!」
「何だと、このバカ息子!」
 ぎーっと、にらみ合いが続く。
「よかったら、僕のどうですか?」、突然前に差し出された皿に、対峙していた、二人の目が移動する。
『ん?』
 その先に、ちょっとおっかなびっくりしている拓也がいた。
「ぼ、僕……肉、苦手だから。」
 乱馬と玄馬は顔を見合わせ、ニヤリとする。
「すまないね。」
「悪ぃな。」
 二人の箸が、拓也の皿に向かう――
 バシッ!
「駄目でしょ、好き嫌いしちゃ!」
 二人の箸を受け止め、なおかつ拓也の皿を押し戻す蘭子。
『…………』
「乱馬よ!」
「何だよ、クソおやじ!」
 こうして、再び、早乙女親子による、から揚げ取り合戦が続くのであった。



つづく




 カールヘルム=ピンクハウスの男性用商品のことです。どんな感じなのか知りたい方は、『ピンクハウス』を検索し、“カールヘルム”をクリックしてみたら、すぐ出ます。
 いずれにせよ、安いとはとても言いがたい品々です。ちなみに、私は『ピンクハウス』とは、全く縁がありません(笑)。
 ビラビラしたレースものをと考えていたら、自然に浮かび上がりました。実は某ミステリィ作家の影響が大いにあるのですが、それはまた別の話ですね。

 後、なんで、“蘭子”と命名したかと言うと、別の某ミステリィ作家の小説の探偵役から取らせて頂きました。
 なぜかというと、その作家さんの別のシリーズで、『“らんま”の同人誌を作るために休みをとった』とかという、くだりが出てきたんです。
 それで、再び、『らんま』への情熱が再加熱しました。で、今に至ります。
 
 しかし、この時代、すごいですね。
 何がって、「○○が作りたい!」って思ったら、検索エンジンであっという間に表示されるのです。
 写真つきのHPがあったり、作り方一つにしても、数々の方法が記載されていて、面白いですよ。
 それに検索エンジンには、辞書が付いていて、一々単語をチェックする私にとって、物凄く効率を良くしてくれます。
 インターネット様々です(^_^)。


 久しぶりのみのりんさまの作品の登場です。しかも連載長編♪

 検索エンジンにひっかかるのが嫌な私は、WEB掲載の各ページに検索エンジンのロボットをやり過ごす「METAタグ」を打ち込んでいます。
 それも一つじゃ不安なのでテキストタイプのも各フォルダごとに上げて二重に対処してあります。
 その昔、まだ呪泉洞が「らんま一期一会」にあったころ、タグの存在すら知らず、検索かけると自作が出てきて焦ったことがありまして・・・。
 皆様にはそういう経験ございませんか?
 「偽頁」をこちらに頂いた時に、師匠の甘栗ケンさんに検索エンジン回避の方法をご教授いただいて以来、、活用させていただいております。
 以来、トップページ以外は検索じゃあ出てこないとは思うんですが・・・怖いから極力検索かけないようにしてます(笑

 さて、作品は続きます。えへへ・・・以下続行ということで。お楽しみに。
(一之瀬けいこ)

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