どんまい魂
みのりんさま作


肇が目が覚めたとき、思ったのは――バイトに遅れる――それのみだった。
 慌てて時計を見ようと、左腕を上げる。
「どうしたの?」心配そうな誰かの声。「左手がどうかしたの?」
「――時計、今何時?」
 ガバッと肇は身体を起こした。
 ――って、俺は一体どうしたってんだ。何で寝てるんだ。
 目をパチクリさせる。
「乱馬、学校なら心配しないで。母さんが連絡しておいたから。」
 心配そうに肇を見つめる和服美人。
「って、あんた……誰?」
 肇の発言に、さも驚いたように、二人いやおばさんとパンダが一匹肇の横にいた。
「あんたって、どうしたの?頭でも打った?」
 おばさんは肇の頭に手をやる。
「やめてくれよ。」肇は乱暴にその手を払いのけた。
『石頭じゃから、そう簡単に壊れやしんよ。』ササッとパンダが看板を上げる。
「何だよ、一体……」
 肇は自分の身体を見回す。
 パジャマを着ていた。どこかの病院の備品らしい。
 そして、ベッドの上に肇はいた。
「事故だって聞いて、本当に心配したのよ。でも、良かった。先生を呼んで来なきゃ。」
『わしが呼んで来る』パンダはサッと看板を上げる。
「あら、じゃああなたお願いします。」
 おばさんとパンダが交わしているやりとりなど、肇の耳に入らない。
 頭の先っぽから伸びるお下げ髪。
 こんなもん、刈り上げ頭の肇にはついちゃいねえはずだ。
「肇……目が覚めたのか。」
 隣のベッドから、聞きなれたダチの声が聞こえてきた。
 肇は、ベッドとベッドの間を遮るカーテンを捲った。
 ――おいおい……嘘だろ。
 いつも見慣れた肇が、ベッドに横たわっていた。
 肇は思わずベッドを飛び降り、隣のベッドの肇の胸倉を掴む。
「おい、手前!」
 肇の親友――武田祐二が肇を止めようとする。
 その手を強引にはねのけ、肇は怒鳴った。
「手前、俺の身体返しやがれ!」
 呆然とした顔で肇を肇が見返す。
 ――んな状況あっていい筈がねえ。
「何しやがる!」
 肇は肇によって逆に胸倉を掴まれ返された。
「お前。今、目え覚めたばっかの奴になにしやがるんだ!」
 祐二も肇を牽制するように見やがる。
「何言ってんだ、俺は北川肇。お前のダチじゃねえか。」
 肇は胸に手をやって言った。
「お前、ここがおかしいんじゃねえか?」
 こめかみに手をやり、祐二はクルクルと円を宙に描く。
「何言ってんだ、手前は、熱血野郎のクセに意外と神経質なA型、顔似合わねえ乙女座。つい最近はまったのが、バスト百二十六センチ、ボインボインのAV女優の淀川ルイ。で、リバイバルの『火垂るの墓』見て泣きやがって、恥ずかしい目に合ったばっかじゃねえか。」
「何で、お前が俺の丸秘事項を……」
「だから言ってんだろ。俺は北川肇だ!」
 目を剥いて、祐二は言う。「ま、マジかよ……」
「ったりめえだ。警察でも消防でも呼びやがれ。お前の携帯の番号だって、ソラで言えるぜ!」
「どうしたの……」おばさんが肇達の所へやって来た。
「おふくろ……」肇の口からこぼれた言葉で、おばさんは目を丸くする。
「乱馬、あなた……乱馬なの……」
 乱馬と呼ばれた肇は、肇を掴んでいた手を離して、小さく頷く。
 こいつもどうやら肇を見て、驚いているらしい。「一体、何があったんだ……」
 ――落ち着け……とにかく、落ち着け……
 ゆっくりと肇は記憶を辿る。
 すると、頭がガンガンしてきた。
 肇は思わずその場にうずくまる。

 ガシャ――赤い――赤い、信号……
 ガシャ――横断――歩道……
 ガシャ――慌てている――肇のバイク……
 ガシャ――歩いている――人影……
 ガシャ――“接触?!”――駄目だ――避けなきゃ……
 ガシャ――急ブレーキ――スリップするタイヤの音……
 ガシャ――斜めに移動する視界……
 そして、その後の記憶がない――

「おい、大丈夫か。」肇に声をかける祐二。
「……大丈夫なわけあるか……俺のバイクは……バイトは……」
「バイクならぶっ壊れた。警察が現場検証やってる。バイトの方は、おやっさんに連絡済だ。」
「そ、そっか……」
「んなことより、手前の身の問題だろうが!」
 のどかの目が、肇と肇の身体の間をいったりきたりしている。
「手前が……手前の中身が北川肇だっつーことは良く分かった。じゃあ、そこでおねんねしていたお前は、誰だ。」
「おれは早乙女乱馬だ。」肇が――じゃない、肇の身体を持った男が言った。
「早乙女……乱馬?」肇は目を瞬かせた。
 肇は自分で、自分の頬を引っ張る。
「い、痛ぇ……」
 ――マジかよ……
「とにかく、事情を話して……」
 気を落ち着かせようとしているのか、のどかは何か細長い包みを握り締める。
「お、俺はバイクに乗ってた。それで……いきなり現れた――」
 肇は自分で自分を指差す。
「――この野郎を避けようとして……それで気がついたらこうなってた。」
「『転校生』、『放課後』、『どっちがどっち!』かよ……」祐二は言う。「何だ、そりゃ。」肇が聞く。「昔の古い作品のタイトルだ。どれもテーマは“入れ替わり”。」と祐二は答える。
「入れ替わり……」
 まさにそうじゃねえか。今さらのようだが、肇はようやく気がついた。
「おれは咄嗟に避けたはずだぜ。」と、早乙女乱馬と名乗った、奴が言う。
「それが原因だって、刑事が言ってたぜ。」祐二は言った。」
「ええ。私もそうだって、聞きました。」そうのどかも言う。
「多分――いや、これは肇の想像なんだが、何かの拍子に、こうガツンと――」
 と、祐二は拳通しをぶつからせる。
「――互いの頭がぶつかったんじゃねえかな……」
 肇と乱馬は互いに、見つめあう。
「じゃあ、もう一度ぶつかれば、元に戻れるのか?」
 乱馬は肇を指差しながら言う。
「いや、だから、例えばの可能性で……」
「いくぜ!」
 いきなり、ガツンと肇は頭突きを食らわされた。
 ぶっ倒れる肇――
「戻ったか?」そう問いかける祐二の声に、頭を押さえながら肇は立ち上がる。
 ゆっくりと首を振りそして、前を見つめた。
 ――自分の身体が目をまわして、ぶっ倒れていた。


「乱馬、大丈夫?」
 そう言ってショートカットの女がドアを開けて、肇に聞いた。学校の制服らしいブレザーを着ている。
 ――ちょっと可愛い系だ。誰なんだろう?
「あかね……」
 開け放たれたカーテンの向こう側。難しい顔をしているのどかの横で身体を起こしている、乱馬が言った。
「え?!」
「乱馬への見舞い客か?なら、そこの奴がそうだ。」
 肇は顎でしゃくりながら、乱馬を指す。
「ったく、肇には野郎しか来ねえのに、どうして、次から次へ女が訪れやがるんだ。」
 半ばひがみにも近い肇の愚痴に、祐二は笑った。「日頃の行いって奴じゃねえか。」「うっせえ。

「あなた……一体。」
 あかねが不思議そうな顔をして、肇を見る。
「お嬢さん。世の中には、科学では証明しがたい事実があるものです。」
 ――ったく、今日で何度目の台詞だ。
 薀蓄をかます時の、祐二の常套句である。ズラズラとここまでの経緯を説明する。
「お前、バイトは?」祐二に聞くと、「今日は非番なんだ。」と答える。
 しかし警察に事情聴取された時は、祐二がしゃしゃり出てくれたお陰で、簡単に済んだ。
 乱馬への方は入院の料金をローンを組んで返済するということで、何とかそっちは収まった。
 が、問題が肇が肇じゃねえことだ。
「里菜の奴は、まだ学校だよな。」「ああ。」
「肇が事故ったってことは?」「一応連絡はいっている。けど、お前が目が覚めた後ですぐに肇が、“心配無用”って伝えといたから、放課後になったら来るんじゃねえか。」「そっか。」
 肇は乱馬達に向かって頭を下げた。
「頼みがある。」
「ん?」
「里菜の前では、演技してくんねえかな。俺が俺じゃねえってこと、バレねえように。」
 不思議そうにこっちを見る、乱馬に言った。
「あいつだけは――妹だけには、心配かけたくねえんだ。」
「肇からも頼むよ。里菜ちゃんだけは、こいつの身内ン中で一番まともなんだ。」
 祐二も頭を下げてくれた。
「……分かった。」「恩に切るぜ。」肇は乱馬を思わず拝んでいた。
「ったく、やめてくれよ……」乱馬は恥ずかしそうに肇を見た。
「とりあえず、“りな”ってのは“里(さと)”って字に、菜っ葉の“菜”と書く。里菜が通っているのは春日野中学、今は二年だ。来年は高校受験するって言いつつも、朝は新聞配達のバイトやってくれている。
 後は――あいつの性格は、わりとさっぱりしたタイプで、特技はスポーツと料理。」
「はあ……」
 右手の人差し指と中指をこめかみに当てながら、乱馬は繰り返す。
「里菜、中二。新聞配達のバイト、スポーツと料理?これでいいのか。」
「ああ。頼む。」肇はもう一度深く頭を下げた。
「でも……私信じらんない。」
 そう言ったのはあかねだ。
「しょうがねえが事実は、事実だ。受け止めな。」
 突き放すように、肇は言った。
「と、今は何時だ?」祐二に聞くと、「四時五十分。そろそろ里菜ちゃんが来てもおかしくねえな。」
 ガチャ。
 ドアが開くと、セミロングに紺のブレザー姿の里菜がいた。
 肇は慌ててベッドに寝転がる。
「お兄ちゃん。事故って聞いたけど……」
 チラリと見たその顔は、肇を気遣ってくれているのが、丸分かりだ。
「だ、大丈夫だ。」乱馬がぎこちない笑みを浮かべながら答えた。
「人身事故――人を轢いたって……」
「ああ。でも、大丈夫だ。相手はピンピンしてるから……」
「その相手って?」「隣のベッドで寝ている……早乙女ってやつだ。」
 里菜は肇の方を見る。「あの……」
 肇は身体を起こして、笑った。
「えっと、本当です。俺はなんともありませんから……」
「でも……」と続ける里菜を遮って、「医者も、身体に異常はないと言ってました。すぐに退院できると思いますから……」と肇は言った。
「ええ、それに乱馬はいつも身体を鍛えているから、ちょっとやそっとでは壊れないわ。」
 そうあかねが助け舟を出した。
 肇は思いっきり微笑んで言った。「だから、大丈夫です。」
 ――手前の頭ン中を除いてな。
 と、心の底で付け加える。
「お兄ちゃんも、大丈夫なの。」
「あ、ああ。不幸中の幸いって奴だ。身体は何ともねえよ。」
 乱馬の言葉に、里菜はホッと一息つく。
「良かった。ホントに……良かった。」
 小さく、里菜は嗚咽を上げる。
「たく、大丈夫だから……泣くなよな。」
「う、ん。」
 乱馬の言葉に、里菜は目をハンカチで擦る。
 ――本当に心配してくれてたんだな……バカな肇のために……こうなると、余計に肇が肇じゃねえこと、バレねえようにしねえと。
「念のため、一通り検査をして、退院は明後日になるんですって。」
 のどかの方を里菜は見る。
「ああ、私はこの早乙女乱馬の母親です。」と、肇を見ながらのどかは言った。
 穏やかなその微笑みに、肇は大きく頷く。
 すると、里菜は慌てて深々と頭を下げた。
「申し訳ございません。この度はうちの兄が、とんでもないことをしでかしまして……」
「先程から、乱馬も申しているように、大丈夫ですから。それより、ご両親は?」
 のどかの何気ない一言に、里菜は固まる。
 ――やべ。言い忘れてた。
「えと、父はいません。母は昨年亡くなりました。」
 ハッとおばさんは里菜の顔を見る。
「じゃあ……」
「私は兄と、二人暮しです。」
 里菜はゆっくりと顔を上げる。
「ですから……その……あの……」
「ごめんなさい。私、何も知らなくて。」
 そう言って、のどかは里菜の肩に手をやった。
「いえ、もう慣れていますから。」
 里菜は小さく笑みを浮かべる。頼りない、悲しげな笑みを。
 肇は目を下に向けることしかできなかった。
 何度かやり取りを交わすと、里菜は安心したという顔をして、出て行った。

「お前……」
「同情なんかすんなよ。失踪した親父の行方なんて、別に知りたくねえし。お袋が死んだのも、もう俺ン中では過去のことだ。」
「…………」
 静寂が病室を支配した。
 けれど、肇は無理やりそんな流れを変えようと、大声を出した。
「ああ。そんなことより、今だ。どうやったら、俺達が元に戻れるのかだ。」
「検査結果は何も問題なかったのよ。」そうのどかは言う。
「けれど、おれ達は戻らねえ。」乱馬も言う。
「結果がありゃ、原因があるはずだ。お前ら何か、覚えていないか?」
 祐二が言うのはもっともだ。肇は今まで使ったこともねえ頭を、一生懸命回転させた。
 答えは――否。
『ちくしょう!、分かりゃ苦労しねえ!!』
 肇と乱馬は、同時に叫んでいた。
 ふぅと、祐二とあかねが同時に息を吐く。
「とにかく、明後日までに――」
「――何とか、するしかねえか……」


 ――どうにもならなかった。
 てなわけで、肇は乱馬の居候先の天道家に、乱馬は肇のアパートに行くことになった。
 入院中にお互いの情報を交換し、大まかに“早乙女乱馬”と“北川肇”いう男の日常互いに知った。
 ――最悪……
 二人同時に思ったのは仕方ない。
 退院の日。里菜は二つの花束を持って現れた。
「早乙女さん、退院おめでとうございます。」
 深々と頭を下げながら、肇に花束を渡してくれる。
「ありがと……」
 ぎこちない笑みを浮かべながら、肇は受け取った。
「お兄ちゃん、退院おめでとう。」
 もう一つは肇への退院祝いだった。
 ――金あんましねえのに……
 乱馬もぎこちない笑みを浮かべて、それを受け取った。
「ありがとう。」
 肇はのどかと、あかねと一緒に天道家に向かった。
 こちらは事情を知っているので、少しは気が軽い。
「肇くん、いらっしゃい。」
 そう言って、エプロン姿のかすみが言う。
「お邪魔します。」肇は上り口で靴を揃えた。
 夕食は“トンカツ”と“天ぷら”だった。
 居間のちゃぶ台の上に山盛りのご飯とお吸い物までついている。
 上座に座っている早雲が手を合わせるのに合わせ、全員が手を合わせる。
『いただきます!』
 置かれている箸を手に取り、ご飯を一口。
 ――美味しい。
 そして、いつの間にか皆の視線が、肇に集中していることに気がついた。
「どう?」のどかが言う。
「美味しいです――とても……」
『お兄ちゃん』
 ハッ。急に肇の脳裏に、里菜の顔が浮かんだ。
 ――そういえば、うちは貧乏だから、トンカツなんて久しく食ってねえ。今頃どうしているんだろう?
 今日まで全てのバイトはキャンセルしている。
 ――里菜と乱馬も飯時だろうか……
「どうしたの?」あかねが言う。
「へ?」
「涙。」なびきが言った。
 肇は自分の頬に手にやり、自分が泣いていることに気がついた。


 『北川』の表札があるのは、トイレは共同、風呂はなしの安アパートである。上がってすぐの所が和室があり、北側の出入り口の横がキッチンだ。
 こちらは、ご飯とたくわん、味噌汁に茄子味噌炒めと、質素な献立である。
「いただきまーす。」
 二人して、手を合わせ乱馬と里菜は食事に箸をつける。
 ――あかねより年下なのに、この違いは何だ一体。
 手料理を披露したのは、当然里菜である。
 炒めすぎず、なおかつ食材にしっかり炒めてあり、味も凄くとは言わないが美味しい。
「どう、お兄ちゃん?」
 小首を傾げながら里菜は聞く。
「美味しいよ。」
 茄子味噌炒めをパクつきながら、乱馬は答えた。
「良かった。」
 里菜は笑顔になる。
「夕食をお兄ちゃんと一緒に食べるって、久しぶりだね。」
「そ、そだな。」
 食べるのをストップして、乱馬は言う。
 ――ボロを出さねえように、注意しねえと……
「あのね……今度ね、私の作文が弁論大会で優秀賞をもらったの。」
「へえ、そりゃ凄いな。」
「今度の金曜、発表会があるんだ……でも、駄目だねお兄ちゃん、バイトで忙しいんだから。」
「あ……うん。」
 乱馬は決まり悪そうに顔を歪めて、ごまかすので精一杯である。
「だから……先に中身見る?」
 俯きながら、里菜は言う。
「ああ。読ませてくれ。」
 乱馬が言うと、里菜は横に置いてあった学生カバンをごそごそして、二枚の原稿用紙を取り出した。
 題名は、『私のお兄ちゃん』
『私のお兄ちゃんは、とても優しいです。いつもいつも私のために、一生懸命働いてくれています。
 自分のことを「馬鹿だ、馬鹿だ。」と言いますが、お兄ちゃんは決して馬鹿じゃありません。情に厚くて、お人よしなだけです――』
 ツラツラと、自分の兄のことについて書いてある。
 クスン。
 鼻をすすった、乱馬の目から、いつの間にか熱いものが込み上げてきた。
 ゴシゴシ、右目をこする。
 ゆっくりと目を原稿用紙に走らせる乱馬に、里菜は恥ずかしそうに俯いたままだった。
 そして、最後まで乱馬が読み終わり、ご飯も乗っている小さな台の上に原稿用紙を置くと、
「どうだった?」と、里菜は尋ねた。
「いや……何て言うか……お前――こんなにも兄……いやおれのこと好きでいてくれるんだな……」
 顔を上げた里菜は、顔を真っ赤にしていた。
 兄弟二人きりの生活の、何となくその片鱗を見せられた気がした。
 原稿用紙を乱馬は里菜に返す。
「明日早いし、ご飯片付けたら、一緒にお風呂に行こうね。」
「ああ。」
 乱馬はもう一度目をこすった。


 さて、中卒の肇はやったこともない、高校生活を送ることになった。
「制服とかねえの?」
 肇の問いに、あかねは小さく首を振る。
「乱馬はいつもチャイナ服で登校しているわ。」
「そ。」
 にこやかに微笑むかすみが、肇とあかねとなびきに弁当を持たせた。
「気を付けてね、肇くん。」
 何度呼ばれても、肇は背中がこそばゆい。
「……はい。」
 そして、肇は素直に頷くことしかできない。
「行くわよ二人とも。」
 なびきが肇達を呼ぶ。
「おう。」
「うん。」
 ――カバンを手に学校へ向かうなんて、もう何ヶ月ぶりだろう。
「言っとくけど、俺、勉強なんて、全然できねえぜ。」
「それは乱馬くんも同じよ。」
「この間なんて、全世界に向けて成績発表させられちゃったわ。」
「何だ、そりゃ。」
 あかねは顔を赤らめている。
「うちの校長が悪いのよ。」
「校長?」
 肇は首を右手で頭をかいた。
 ――意味が分かんねえ。
「にしても、乱馬は大丈夫なのかしら?」
「さあな。少なくともバカな俺の頭でもできる仕事だから、すぐ慣れると思うぜ。」
 乱馬は一人で肇のアパートに行き、今日からバイトを始めているはずだ。
 喫茶店、“ひよこハウス”で、ウェイタ―の仕事。終わったら、おやっさんと肇が呼ぶ、おじさんがいる飯田酒屋で店番だ。

「おはよ。」
 茶髪の奴が肇に向かって、手を上げた。
「乱馬の親友のひろしくん。隣の黒髪は大介くん。じゃ、後で。」
 あかねが耳打ちしてくれたお陰で、肇は余裕をかましながら手を上げる。
「あ、おはよ。」
「久しぶりなくせに、朝から熱いね。」
 大介という奴が小さく口笛を吹いた。
 あかねは顔を赤らめる。
「別に、何でもねえぞ。」
 肇は予め教えてもらっていた、乱馬の席に座る。
「よく言うぜ、朝っぱらお熱いことで。」ひろしも言う。
「関係ねえよ。」
 肇が言うと、不思議な顔を二人はした。
 そして、互いに顔を見合わせる。
「な、どうした?」
 肇が聞くと、首を斜めにしながら、ひろしが答えた。
「いつものお前なら、『んなわけねーよ!』とか言って、顔真っ赤にして叫ぶんじゃねえかなーと。」
「はん。んなガキみてえな真似できっかよ。」
 肇が言うと、さらに二人は顔を見合わせた。
 ――やべ、まずいかな……
「ま、いっか。」
 と、大介が何でもないように答えたんで、
 ずるっ……
 思わず肇は席から、すべり落ちてしまった。
「どーした、乱馬?」
 ひろしが言うのに、体勢を立て直しながら、肇は言う。
「いや、なんでもねえ。」
 とりとめねえ話をした。テレビのアイドルとか流行ものの歌とか……
 ――学校行ってたら、俺もこんな話をしていたんだろうか?
 けれど、テレビを持っていない肇には、さっぱり分からない話だから、「ほぉ。」とか「はぁ。」とか適当に相槌を打つのみ。
 それでも、ひろしと大介と話を続けていたら、どう見ても子供みたいな女が、学級日誌と出席簿を持って入って来た。
「はい、良い子の皆さん。席について下さいねー。」
 皆ガタガタと席につく。
「二ノ宮ひな子先生。うちの担任よ。」
 隣に座ったあかねが、肇にさっと教えた。
「あれが?」
 肇の問いかける前に、クラス委員長らしき人物が言う。
「起立、気をつけ。礼。」
 それに合わせ、肇も皆と同じ動作をした。
「えーっと、今日の欠席は……早乙女くん。」
「ここにいます。」
 肇はひな子先生に言った。
「あ、ホントだ。帰って来たんだ。お帰りなさい、早乙女くん。」
 ニコニコとひな子先生は言う。
 とりあえず頭をカキカキ、肇は愛想笑いを浮かべた。
 すると、アチコチでパチパチと拍手まで起こる。
「どーも、どーも。」
 とりあえず、肇は立ち上がり、右左、前後ろと頭を下げる。
「えっと、じゃあ今日の欠席は無しと。」
 ひな子先生は出席簿に何かを書き込むと、こちらを向いた。
「今日は特に連絡事項はありません。」
 そして、紙の束を出した。
「一時間目は英語なんで、前言ったように、小テストします。」
 ――聞いてねえぞ。
 肇はあかねの方を向く。すると、あかねは片手で肇を拝む。
「…………」
 前から配られてきた問題用紙を後ろに送り、そこに書かれている横文字を見る。
 問一、負けたくないなら、ダンスを好きになりなさい。
 ――これを英訳せよって……
 カキカキとアチコチでシャーペンを走らせる音がする。
 問二、罪を憎み、人を好きになりなさい。
 ――分かるか、こんなもん!
 肇はこのテスト投げ出した。
 チラリと横目で、あかねの答案をカンニング――
「早乙女くん。カンニングは駄目よ。」
 いつの間にか側に来ていた、ひな子先生が肇を睨む。
「あはは……」
 肇は軽い笑いをあげた。
 結局、嘘八百な答えを書き込みテストは終了。
 ――疲れた。
   学生って、何でこんな役に立ちそうもねえことを勉強させられるんだろう?
 肇は教科書を読むのにも、四苦八苦させられた。
 キンコンカーン……
 ――チャイムの音に、こんなに安堵させられるとは思わなかった……
「まだまだ。後、五時間あるわよ。」
 あかねが言うのに、前に置かれている時間割を見て、思わず肇の声が漏れた。
「げ……」
 二時限目は世界史。
 これにも何故か、肇は答えさせられた。
 隣のあかねのフォローがなかったら、肇は白地図の書き込みの宿題をもらうところだった。

 帰る時には、げっそりと肇はやつれた顔をしていた。
「なあ。学生ってマジで苦労するな。」
 一緒に帰るあかねに言うと、「そんな、当たり前のこと言われても……」だ。
 肇は大きく溜め息を吐いた。
「――何とか、マジで元に戻んねえと……」
 肇が独り言を言っていると、
「ねえ。乱馬がバイトしている“ひよこハウス”行ってみる?」
「あ、ああ。」
 ――そういや、すっかり忘れていたぜ。
「大丈夫だろうかしら?」
「さあ……」
 あかねの提案を受け入れ、二人は喫茶ひよこハウスへ向かった。
「この交差点を右っと……」
 肇にとっては慣れた道を進んで行く。
 ついた時間は、丁度夕方のお客さまが多い時間帯だ。
 カタカタ……
 レジカウンタで、キーを打つ音が聞こえる。
「あ、いた。」肇が先に見つけた。
 『北川』の名札を付けて、乱馬は奮闘している。
「全部で三千四百五十七円になります。」
 ――営業スマイルな俺って、あんな顔しているんだ。
「会計、四千七円から頂きます。五百五十円のお釣になります。ありがとうございました。」
 さくさくと、汗をかきながら調理場の中へ入っている。
「どうする?」
 ――どうするって……
「せっかく来たんだし、陣中見舞いでもして行くか。この時間と、昼時が一番多いんだ。」
「ふうん。」
 気のない相槌を打つあかねは、じっと乱馬を見ていた。
 ガタッとお冷を二人分機械的に置き、ゼロ円スマイルで乱馬は言った。
「いらっしゃいませ。メニューはこちらになります。」
 と、乱馬は顔を上げ、肇の顔を見て、動きを止めた。
「よぉ、頑張ってんな。」
 肇は軽く手を振り、アイスコーヒーを注文した。
 けれど、乱馬は動かない。
 仕方なく、肇は言う。
「早く、接待し終わらねえと、マネージャがうるさいぞ。」
 するとようやく乱馬は、メニューのボタンを押す。
「アイスコーヒーが一つと……」
「レモンティ。」あかねが付け加える。
「では、アイスコーヒーが一つと、レモンティが一つ。以上でよろしいでしょうか?」
 何か言いたいことがあるだろうに、乱馬は事務的に言葉を投げかける。
「はい。」
 そう言うと、乱馬はそそくさと去って行った。
「元気そうで、良かった。」とあかねは小声で言った。
「そっか……。」
 この後の肇の行動は、前にも言ったように、飯田酒店でバイトだ。だから乱馬もその通りに行動するだろう。
 肇は自分のアパートに帰りたくとも、うちには里菜がいる。この姿で行っても、無用な心配をかけるだけだ。仕方なく、というか始めから天道家に帰るしかない。
 肇とあかねは乱馬からそれぞれの飲み物を受け取り、早々に別の人が打つレジで支払いを終え、無言で帰宅した。

「肇くん、あかねちゃんお帰りなさい。」
 にこりと微笑んで、のどかがが迎えて出た。
「ただいま。」
「た、ただいま……」 
 言い馴れない言葉に、肇は戸惑う。
 いつも里菜が寝ちまった後に帰宅するもんだから、人に迎えられるなど初めての経験だ。
 天道家と早乙女家総勢七名による食事。
 パクパクとご飯を食べながら、ふと、独りポツンとしていることに肇は気がついた。
 ――今頃里菜は独りで、飯食ってんだろうな……
 フッと溜息を吐いたのは、肇だけじゃなかった。
「あかね、あんた乱馬くんのこと考えているでしょう。」
 指摘するなびきに、あかねは慌てて首を振る。
 ――図星。
 誰の目が見ても、それは明らかである。どうしてかというと、あかねの赤い顔が如実にそれを物語っている。
「何とかして、二人が元に戻る方法を見つけないとね。」
 早雲の言葉に、肇はゆっくりと頷いた。
「そうだ、東風先生のところへ行ってみたらどうかしら。」あかねが言った。
「そうか、それがいい。ぜひそうしなさい。」
 早雲の言葉に、肇は首を傾げる。「東風、先生?」
「色々と詳しい先生なの。」と、あかねが言った。
「今からは時間外になるから、明日の放課後いってらっしゃい。」
 そうかすみが言う。
「東風先生なら、きっと治してくれるわ。」
 力強いあかねの言葉に、肇は半信半疑ながら頷いていた。

 昨日に引き続き、全く分からない数学や他教科に頭を悩ませ、肇の学校生活二日目はあっという間に終わった。
 肇はあかねと一緒に小乃接骨院に向かう。
「やあ、乱馬くん。あかねちゃん。」
 東風はニコリと微笑んで二人に応対した。
「乱馬くん、人身事故に遭ったんだって。身体の方は大丈夫なのかい?ごめんよ、仕事を優先させて見舞いに行けなくて。」
 心配そうに肇を見やる東風に、あかねは「そんなことより、先生――」と、長い説明を始めた。
 事故から今に至るまでの経緯を些細漏らさず、あかねは話した。その話に、東風は口をはさむことなく、真剣に聞いていた。
「じゃあ、今乱馬くんの身体にいるのは『北川肇』くんなんだ。」
 東風の問いかけに、「はい。」と肇は答える。
「人格の移動か……う〜ん。今までそんな症例の患者見たことないからね……」
 と、両腕を組み合わせ、東風は考え込むように、首を上下左右に振る。
「先生、どうしても二人を戻したいんです。お願いします。」
 あかねが深々と頭を下げるが、世の中そう簡単にいくわけ――
「えっと、ちょっと待ってて。」
 ――あった。
 東風は立ち上がり、奥の部屋へ向かう。
 肇とあかねは互いの顔を見合わせる。
「大丈夫、先生なら必ず。」自分に言い聞かせるように、あかねは言った。
 程なくして、一冊の紐で綴じられた本を持って東風は現れた。
「僕の知る限り、人格転移についての研究本はこれしかない。」
 かなり日焼けして、古ぼけた本を肇に東風は手渡した。表題に『移リユク人ノ魂』とある。
 ページをめくる肇と一緒になって、あかねは覗き込む。
『魂トハ、常ニ移リ行クモノ。器ヲ変エ、存在スル。唯、唯一意思ノミガソレヲ左右スル――――』
「――意思?」
「そう、一瞬だけでいいんだ。身体と心が共鳴し合えば、君達は元に戻ることができる。」
「でも、どうすれば――」
 あかねの問いに、東風は難しい顔をしながら言う。
「それは、乱馬くんたちが遭った事故のような、極限状態に再び遭うしかないかも、しれないね。」
 ――そう簡単に言われても……
 肇は大きく溜息を吐いた。
 ブラブラと二人並んで帰路につく。
 今頃、乱馬はひよこ・ハウスのバイトで忙しい時間だ。
 肇と乱馬では体内時計がまるで違うのである。
 たまたまバイトに遅れて急いでいた肇と、道草をくって遅い時間に歩いていた乱馬との間に、“偶然”という名の神が二人を導いたのである。
 同じような事故に二人して遭うなどというチャンスが、果たしてありうるのだろうか?
「あ、早乙女さん、天道さん。」
 肇にとって聞き慣れた声が、二人の足を止めた。
「里菜ちゃん……だっけ。」
 あかねが言うと、里菜はピョコンとお辞儀する。
「こんにちは。」
「ええ、こんにちは。あ、立っているのもなんだから、そこの喫茶店に入らない?」
 あかねが言うと、里菜は手を振って辞退をした。
「私は……」
「いいわ。私がおごちゃう。」
 喫茶ひよこハウスの入り口まで、あかねは里菜の手を引いて入っていった。
「でも……」
「いいから。」
 半ば強引なあかねの誘いに、結局里菜は従った。

 メニューを持ったウェイトレスに、里菜とあかねががレモンティ、肇はアイスコーヒーを注文した後、あかねが口を開けた。
「お兄さんの様子はどう?」
「はい……おかげさまで、元気にしています。」
 里菜は顔を赤くしている。
 加害者の妹という立場上、あまり今の状況は嬉しくないだろう。
「そう、良かった。」
 あかねはニッコリと微笑む。
「その制服、春日野中学だよね。」
 前もって知っているが、あえて疑問形にしてあかねは聞いた。
「はい。」
 里菜はしかつめらしい顔つきで返事をする。
 そしてチラリと里菜は、動いているウェイター――乱馬の方に視線を向ける。
 向こうも、チラチラとこちらの様子を窺っているのが見える。
「別に責めているわけじゃないの。ただ、この彼が元気なのに、あなたのお兄さんが元気じゃなかったら、嫌だなって思って。」
 あかねが言う言葉に、里菜は首を傾げる。
「はぁ……」
「おい、あかね……」
 肇が何か言おうと口を開くが、あかねはそれを手で制する。
「あのお花、ありがとうね。お家で生けて大切にしているわ。」
「そうですか。」
 里菜は笑顔になる。
「どこで買ったのか、教えて欲しいなって。」
「ああ、あれは家の近所にお花屋さんをやっている方がいるんです。“海のバラ”っていうお店です。色々と季節のお花を揃えてあって、毎日お世話していらっしゃって、凄く新鮮なお花が買えるんです。」
「わぁ。そうなの。」
 あかねはニコリと微笑む。
「昔、お花屋さんになりたいって、思ってたんです私。」
 里菜の笑みが寂しげなものに変わる。
「色々と、事情があって……その夢は叶えられません。」
 そして乱馬の方に目を向けて、
「兄が私のために、一生懸命働いてくれているんです。私は兄に答えられるよう、精一杯努力して大学に行って、医者になるんです。」
 里菜は乱馬から視線を外す。
「それが今の目標であり、夢です。」
 あかねの目を見て、里菜は言った。
 ――里菜……
 肇は心の中で妹の名を呼んだ。
「そうなんだ……」
 里菜からあかねは、目をそらす。
 ――あたしは自分の夢すらまともに考えられないのに、この子はしっかりしてる……
 小さくあかねは嘆息する。
「それで……」
 っと、いきなりガラッと地面が揺れた。
「地震だ!」
 誰かが叫ぶ。
「あかねっ!」
「里菜っ!」
 慌てて二人に、乱馬と肇はかぶさる。
 すぐ側に上から電球の傘が落ちる。
「キャ――ッ!」
 グワッタ――グワッタ……
 どれぐらい揺れていただろう。
「大丈夫か?」
 上にかぶっていた砂埃を落とされ、ようやく目を開けた乱馬は声をあげた。
「大丈夫です。あかねは……」
 下にいるあかねに声をかける。
「大丈夫。」
「そっちは?」
 誰かの問いかけに、同じく砂埃から開放された肇が言う。
「大丈夫。里菜、お前は?」
「うん、大丈夫よ。お兄ちゃん。」
 真っ直ぐ肇の方を見ながら言った。
「そうか……」
 ホッと吐息を肇は漏らす。
「え……」
 乱馬と肇は互いの顔を見合わせ、声を上げた。
「おれじゃねえ!」
「俺じゃねえ!」
『元に戻ったんだ!!』
 思わず二人してガッツポーズをして、抱き合ってしまった。
「お兄ちゃん……そうゆ〜趣味だったの……」
 ジト目で言う里菜に、
『えっ!』
 慌てて乱馬と肇は離れた。
「違――――――――――――――うっ!」
 その時の肇の叫びは、里菜にとって忘れられないものになったという。
「まあ、色々あったけど……終わりよければ全て良しってか。」
 そう乱馬が言うと、肇も笑いながら言う。
「そうだな。」
「ねえ、何?どうしたの?」
 里菜は二人の顔を交互に見ながら言う。
「後で話してやるよ。」
 そう肇が言うと、里菜は口を尖らせた。
「そんなこと言って、後で『忘れた。』なんて言わないでよ。」
「ああ、分かってるって。」
「じゃあな。」
 そう乱馬が言って立ち去ろうとすると、
「待った。お前の料金、まだ未払いだぜ。」
 と、ウエイター姿の肇は乱馬を引き止めた。
「あは、そうだったな……」
 乱馬は後ろ首をかきながら言う。
「でも飲んだのお前だろ。」
「うっ……」
「っつわけだ。あかね、お前は料金払えよな。」
「分かってるわよ。あんたは関係ないでしょ。」
 そう言ってあかねは財布を取り出す。
「いいですよ、今回は。地震もあったし、俺の財布から出します。」
「え、いいの?」
「とりあえず、お別れだし、な。」
 あかねと肇は微笑み合う。
「さようなら。」
「さようなら。」
 手を振って、乱馬とあかね、それに里菜と肇は別れた。
 ――さて、忙しくなるぞ。
 地震のせいで落ちた電球の傘と砂埃の掃除、お客様への対応と、色々とやらなくてはいけない仕事がある。
 とりあえず、肇は残されたお客の対応に精を注ぐのであった。








作者さまより
 ベタな作品です。
 SEN企画を考え中に急に、現実逃避……で、できました。
 そういえば、昔らんま小説を扱ってるサイトで、乱馬と良牙が入れ替わる話ありましたっけ……書き終わってから気づきました。
 なぜか私はオリキャラに走る傾向があるようで、助かりました。ほぅ……。


 たぶん、今でもそちらの作品は某大手乱あサイトにて掲載されていると思います・・・件の入れ替わり小説♪
 同人誌には乱馬とあかねが入れ替わるという、素晴らしい作品もあります(笑・・・実は大好きだったりする。
 私も一本、入れ替わりネタでは書いてますが・・・(クリスマス作品「ふわり」参照)
 ネタとしてはオーソドックスでも、料理法によってはいろいろと楽しめるプロット。
 肇くんには災難だったかな?
 ともあれ、元に戻ってほっとしました。楽しい作品ありがとうございました。


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