◇夢幻
  3、Battle First 〜deep〜

自動的存在さま作


随分前に僕は彼にこんな質問をしたことがある。どんな意図だったかは、もう覚えていない。
「あるところに一人分の食糧があったとする。それはもう今にも手の届きそうな所にだよ。君はそれが食べたくてしょうがない。だけど、それは何も君一人とは限らない。周りに何十人もの飢えた連中がそれを目指しているんだ。しかし、手に入れなければ君もやばい。さあ、どうする?」
合理的な彼なら、自分は影に隠れていて、争いに最後まで勝ち残った者が、さあ食糧だと取ろうとした瞬間を狙う漁夫の利作戦ぐらいでいくと思った。
ところが彼からは意外な答えが返ってきたね。
「関係ないな。それが自分にどうしても必要で邪魔が入るんなら、全部消すだけだ」
僕は少し驚き、彼の主体性が見えなくなったような気がしたけど、すぐにその単純すぎる答えを理解した。彼は本当に自分というものが掴みきれているんだろう。この時はこうして、その時はああしてと一瞬で事態を把握し、無理も無く、遠慮も無く、容赦も無くといった行動が即座にとれるようになっているんだ。その原動力ともなるのが彼のスパコン並の、恐るべき情報処理力にある。どんなことが起きようと、その利きすぎる臨機応変力で対応し、然るべき制裁を下す。僕はそんな彼をときどき恐ろしく思うよ。
だから僕達は彼をこう呼ぶ。「ディ−プ」と。
底が見えないんだ、彼は。とにかく、氷の如く冷徹で、何もかも見透かすような眼をしていて、そのくせ、鬼よりも残酷。
とにかく、深い深い、どこまで行こうと終わることの無い。そんな存在なんだ。
さて、彼らは打ち勝つことができるかな?
「紺青の深淵(ブリザードプレッシャー)」たる彼を相手にね。

「たく、勢いに乗って進んだはいいが、一体どこにいきゃいいんだよ?」
良牙がうんざりしたように言った。
乱馬達は現在四階にいる。最初の場所が一階なので、まあ進みはしただろうが、見事にその間を何事もなく通過してきてしまったのである。いくら空間が限定された建物の中といえ、具体的な目的地が定まっていない限り、はっきり言って意味なくそこら辺をぶらぶらしているのに等しい。その上に急がなければという矛盾した感情もあるので、当事者達にしてみればこれほどストレスが溜まる運動はないだろう。
彼らにも目的地と呼べる場所があるんだろうが、そこがどこなのか全く分からない。
ただ、なんとなく上を目指してみただけなのだ。
「あれ、そういや最初に俺がいたのは自分の教室だよな。でも最初にいたのは一階で…」
「その辺は具現化不可能だったんじゃろ。わしらの目に入ったのは、あくまで校舎の外形だけじゃからのう」
この空間に来て、一番に疑問に思わなければいけないのが、何故風林間高校があるのかという事なのだが、全員があまりにも唐突な出来事に、そこまで言及する余裕がなかった。しばらく進んで、誰かがパッと口にしたら、いきなりどこからともなく声がして、
…ああ、そういえば言ってなかったね。この空間には吸いこんだ者の一番印象が残っている場所を自動的に具現化する能力があるんだよ…
つまり、空間に入る前に目に入ったこの校舎というわけであると。
全員がその声にはっと反応したが、居場所はつきとめられなかった。
何の進展もないこの状況を打開する絶好の機会だっただけに、一同からため息さえ聞こえた。向こうはこちらの行動を完璧に把握しているようで、状況的にも圧倒的に不利のはずなのに、あいかわらず何もしかけてこない。
そして、しばらく時が流れ現在四階にいるのだが…
「んなこた、どうでもいいんだよ。おい、どうすんだよ、こっから先。また一階にもどるのか?」
実はすでにこのループを数回は繰り返しているのだ。他の校舎や体育館にも言ってみたが特に何事もなかった。
「大体敵が何人かいるんだろ?一向に現われねえじゃねえか」
全員のフラストレーションは、もうとっくに限界を切っている。
風林間高校がものすごく広い建物に見えた。乱馬は何故か校長の顔を思い浮かべ、ますます腹立たしい気持ちになっていた。
「ふう、オラもう疲れただ」
とムースが壁に寄りかかった瞬間にそれは起こった。
ガシャン!!という何かが割れるようなけたたましい轟音が一同の耳に飛び込んできた。
「な、何だよ、一体!!」
と乱馬が叫び、他の者に声をかけようと後ろを振り向き、そして異変に気がついた。
「え…?」
「お、おいおい…」
「む!こ、これは!」
「一体何なんじゃ!これはー!!」
そう、自分達の今いる場所から一歩、歩んだかと思うと、何も無いはずの眼前の空間にぶつかる。まるで、見えない壁にさえぎられるかのように。しかも壁は前だけでなく、上下左右完璧にその人間ひとりを取り囲んでいる。
つまりその見えない壁が四人に対し、ご丁寧に一人ひとつの部屋を作ってくれている格好になったのである。けして、出ることはおろか、身動きひとつとることさえできぬ極狭の部屋を。
こうして四人は分断してしまった。現実世界ではあり得ることのない「見えない部屋」によって
「クスクス」
また、あの乱馬の神経を逆撫でするボーイソプラノな笑い声が聞こえてきた。
「て、てめえ!!どこにいやがる!!」
「僕ならここだよ」
そう声が聞こえたかと思うと、スーッと浮かび上がるかのように乱馬達の前にその異様な姿を現した。
「なっ!?」
全員が目を疑った。その黒マントがあたかも空中にいすがあるかのように、その場に座った格好で浮いているのだ。
「やあ」
黒マントはのんきに手をあげてあいさつしてきた。
「て、てめ!なにしやがった!!」
「僕には、まあ正式じゃないにしろリングっていう名前があるんだけどねえ」
「ああ!?んなこたどうでもいいんだよ!どういうことだよ!?これは!」
「なに、なんてことはない。ただ君達で占められていた空間を分割しただけだよ」
リングと名乗った黒マントは、それがどうした、とでも言うかのようにごく平然と答えた。
「お、お主。そんなこともできるのか?」
「僕にしてみれば簡単なことさ。その気になればこの場を百以上に分割することもできる。地球はこの点じゃ劣っていたんだよね、クスクス」

これは彼の能力のほんの一端で、「次元分割」通称DCCと呼ばれている。
何故DCCと名付けられたか、誰が名付けたのかは一切の謎だが、本人は別に誰かにこの名称を教えてもらったわけでもなく、この能力がDCCなんだなと半ば無意識の内に自覚している。なんとなく頭の中に最初からインプットされていたといった感じで、自身もこの名前を気に入っているらしく、結構口にだしたりもする。しかし、未だにその意味はよく理解できていないようなのだが。
この能力は空間の中にある歪みを見つけ、それを気で加工して、空間を好きな形にできるという何とも超現実的なものである。また、空間と空間の切れ目は、別の次元につながっているらしく、それを利用して異世界へ行くこともしばしばある。今回の地球に穴が開いたケースにおいても、この能力が適用されたのである。
夢幻空間はこのリングの能力により、多次元存在説を確立した。つまり、この世にはいくつもの「世界」が存在していて、それらは直接的に結びつくことは無いが、間接的に「次元の狭間」と呼ばれるものを通してつながっている。そこに干渉すれば、全ての世界を行き来できるのではないかというものだ。
実を言うと、地球以外の世界ではほとんどこの説は唱えられていて、次元を切り裂く能力者も多分に存在している。地球は異世界交信という点においては圧倒的に他の世界に比べ圧倒的に劣っていたのである。
しかし、結局は悪いことしか起こらなかった。次元を超えることはできたのだが、主義や政策が世界ごとに違うのだから、必然的に戦争が勃発してしまったのである。
無論、夢幻空間もこの戦いに巻き込まれ、いくつもの修羅場をくぐってきた。そして、今でも次元が開かれるた度に戦争が起こるという緊張状態が続いている。おそらく、終わりはない。
地球は今まで、たいした世界じゃないという理由でこの次元戦争に巻き込まれていなかったのだが、夢幻空間の不可解な考えにより、これに飛び出してしまったのである。

「なら、何故…」
「おっと。さて、そろそろみんなも起きはじめたころだから早速行ってもらおうか。悪かったね、退屈な思いをさせて」
リングはコロンの言葉を遮るようにそう言った。
「さ、早速ってどこへ…?」
「さあ、君達を歓迎しているか、もしくはその逆か。君達しだいだろうよ。ま、運び易いようにと少々こった演出をしてしまったがね」
あいかわらずだが、どうもこのリングという男は不可解なことばかり口走る傾向がある。
「てめえ、何企んでやがる…」
「クス」
とかすかに笑い、リングは手の平を乱馬達の方に向けた。そして、そこから何やら青白い光が発せられてきた。
「な、こ…れは、い…ったい」
全員の意識が陽炎のように薄らいでいく。まわりの景色がおぼろげになってきた。
「リ…ング、てめ、覚…え…てろよ」
乱馬は消え逝く意識の中で必死に叫んだ。そして最後に、かすかにリングのせせら笑う声が聞こえてきた。
…これからの試練を乗り越えられたら、僕が相手をしてあげるよ…
おぼろげで不確かだが、乱馬はリングがそう言った気がしてならなかった。そう、最後に確かに
…楽しみにしているよ…と。
それは歪んではいるが、何かを待ち望む喜びに他ならなかった。

「はっ!!」
ムースは目を覚ました。
「う〜む…」
何やら何年も眠っていたみたいで、体がだるく、吐き気さえする。
「ん、ここは一体…」
ムースは辺りを見まわしたが、何だかその場はやけに閑散としていて薄暗い。
「おかしいの…さっきまでは確かに、あの廊下に…」
その場に存在する照明はそこに付随している窓から来るわずかな光だけで、けして明るいとはいえないのだが、場所を把握するには充分だった。そこは体育館だった。ムースは学校に通った経験はないのだが、さすがにこの場が分からぬほど無知ではない。
「うー、さてどうしたものかのう。他の者は…」
そしてとりあえず乱馬達を探すために、ムースは立ち上がった。そうしたらどこからか、
「ふ〜ん」
と興味があるようでないような、思わず全身の力が抜けそうな声が聞こえてきた。
しかしムースは、さすがは武道家ともいうべきか、即座に反応し臨戦態勢に入る。
「誰じゃ!?どこにいる!?」
「そんなに大声ださなくとも、ここにいる」
ん?とムースが声のする、ちょうど体育館の前方に備えてある舞台の真中の方を向くと、ひとつの小さい人影がこちらをにらんでいるのが確認できた。
「?何者じゃ?」
「俺はここでお前の息の根を止めるようにと言われたもんだよ」
「な!?ということはまさか、貴様」
「ふん、言わなくても分かるようだな」
「く、上等じゃ!」
「ふう〜でもなんだかなあ」
「?」
「お前、俺の所に来たつうことはそれなりにできるんだろうな」
影はどこか消極的な雰囲気でぼそりとつぶやいた。
「?何の事じゃ?」
「だから、俺を退屈させないだけの実力はあるのかってことさ」
「ビキ、ほう?」
ムースは憤怒した。影や声の高さからして、相手は明らかに自分より年齢は低そうに見える。中学生に入るかどうかというぐらいだ。その少年ぐらいの身長の奴に、格下にされたのではさすがに腹も立つだろう。冗談ならまだしも、さっきの言葉には全然そんな雰囲気は含まれていなかった。
「ふん、ガキのくせに随分と自身があるようじゃなー」
ムースは皮肉たっぷりにそう言ってやった。ムースはこの手の子供が大嫌いなのだ。というより、何でかよく分からないが彼は子供と思えるものは全て嫌いだった。彼自身の経験から来ているのかもしれないが、第一印象がよかった子供など一人として見たことがない。そして、何よりも気にくわないのは今、目の前にいるようなやたら尊大な態度を取りたがる、しつけというものがまるで行われていないかのような子供である。しかし、彼の思うとこの子供とこの少年とでは歴然とした差があることを、この後ムースは知ることになる。まあ、人間でもないので無理もないかもしれないが。
影は意外な反応を見せた。
ふーっと何かくじが外れた時のような失望まじりのため息を漏らしたのだ。
「もういいや」
「ん、何が…」
ムースがそう言い終わる前に、その少年の人影は舞台から消えていた。
「え?」
そして、ムースは背後に冷たいものを感じ、振り返ると信じられない光景を目撃した。
あろうことか、その少年が無表情でムースに迫りかかってきていた。刃渡り十センチはあろうと思われるサバイバルナイフを携えて。
「くっ…!」
ナイフはちょうど突きのような格好でムースめがけて放たれてきた。突風のような銀光がムースを襲う。
ムースは即座に反応し、後ろに跳んだ。それがムースの命を救った。
ヒュッとそのナイフはちょうどムースの首筋があった空間を切った。一瞬でも反応が遅れていたら、確実に首から鮮血が迸っていただろう。
ムースは、しかしその首筋からはかすかに血を流しながら、あまりにも唐突な出来事に動揺を隠しきれなかった。無理もあるまい。いきなり中学生とも思えぬ少年が、一瞬で背後に回りこみ、そこから何のためらいもなくムースを殺そうとしたのだから。
と、ここで一息ついたのがいけなかった。
少年は突っ込んでいった勢いを利用して、くるっと体を回転させ、猛速の回し蹴りをムースの首筋を狙って放ってきた。咄嗟にムースは反応するが遅すぎる。どがっという鈍い音がしたかと思うと、ムースの体は中に浮き、勢いよく体育館の壁面に体を叩きつけた。
「がはっ!」
しかし、なおも少年は攻撃を止めようとしない。今度は、所持しているナイフを数本とりだし、その瞬間ムースに向かって発射していた。ほとんどコンマ単位だった。が、ここでムースは何とか体勢を立て直し、決死の思いで暗器を取り出し、何とかそれらを弾き、その軌道を曲げることに成功した。ナイフが一斉に体育館の壁に突き刺さり、かっと音をたてる。
ムースが音速とも思えるナイフを捕らえられたのは、ことスピードと動態視力に関してずば抜けていたおかげである。暗器にしても、ツバメ程度のスピードまでなら楽勝で捕らえられるほどの実力を有している。しかし今度ばかりは多少のまぐれも含んでいた。
なにしろ敵のスピードはムースを圧倒し、ほとんど音速に近いものと言っていい。いくら動態視力に富んでいるとはいえ、やはりムースにも限界がある。先程の神技は火事場の馬鹿力のようなものであり、正直言ってラッキーだった。
「はあ、はあ、」
ムースは肩を揺らし、荒く息を吐く。動揺と焦燥で余計に体力を消費してしまっていた。その上、首に蹴りをもらい、背中を固い壁面に激突させている。何とか体をずらし、蹴りのダメージを少なくしたものの、やはり相当体は応えていた。
「へえ〜。俺の蹴りをくらって、首が折れてないなんて、なかなか人間もやるじゃないか。ま、俺のとこに選ばれて来たことだけは認めてやるよ」
ぞっとすることを平気で言ってのける。
「はあはあ、貴様一体…」
ずきずきと首と背中に走る痛みを堪え、顔に脂汗をにじませながらムースは答える。唇からわずかに血もでているようだ。
暗くて遠くにいたため、その容姿がはっきりと確認できなかったが、今はいやというほどその異様な風体が目に入る。
それはやはり単なる少年としか思えないぐらいの身長しかなかった。が、現実世界でも滅多に見かけないぐらいの青い髪に透き通るほどの白い肌を併せ持っている。彼の目はその童顔からとは思えないほどの鋭さを持っており、感情と呼べるものが全く伺えない。先程の不意打ちして殺そうとしたことにも微塵の罪悪感も感じていないようだ。服装は今時の少年とも思えるような格好で、ジーンズにチェーンをジャラジャラといくつもつけている。
これらのことから総合的に判断して、さて現実世界にあてはまるかと考えてみると、やはりどこか微妙な感じの奴だった。
しかし、そんな判断などほとんど無意味な行為である。どうせこいつもさっきのリングみたいに、生きて数千年とかそれぐらいの存在なんだろう。それだけでも充分人間離れしている。
「ま、俺にとっては雑魚だということに変わりはないがな」
少年の姿をしたそいつは不敵な表情で、だけれども笑みを漏らさずに言った。
「そんなこと、やってみなければ…」
「いいや、分かるね」
少年は間髪いれずに答えた。
「俺が知る限りたいがい真に強い奴ってのは、むやみに相手を侮らないものさ。たとえガキのように見えたからって全力を尽くす。油断大敵って言うだろ?」
「な、それなら貴様こそ…」
「あくまで確認しただけだろ。全力で攻撃もしてやったしな。それに…」
少年はどっとため息をつく。
「お前あからさまって感じなんだもんなあ。俺ぐらいになると敵の力量も大体読めるんだよ。ま、失礼のないよう形式的には本気出してやったけど。感謝ぐらいしときな」
すでに充分失礼なような気がするが、少年はあくまで冷静に答える。
「そして、さっきしかけてみてそれは確信に変わった。だから、お前にはとっとと消えてもらうことにしようか。俺も暇じゃないんでな」
「ふん」
ムースはふんぞり返って言ってやった。
「そいつは悪かったな。非礼をわびる。お前は確かに単なるガキじゃない。それは認めてやるだ。だが…」
「だが?」
「おらを雑魚と見るには早いってことをこれから教えてやるだ」
「ほう?」
少年は鼻で笑った。
「おもしろい。見せてもらおうか」
少年はすうっと全身に力をこめる。
「俺の名はディ−プ。名乗る前に殺すつもりだったんだが、まあ、お前のその根拠の無い度胸に免じて教えてやるよ」
つくづくむかつくことを言う奴である。
「そう簡単にうまくいくかな?おらの名はムースじゃ」
「雑魚の名前なんざいちいち覚えられないな」
「ふ、どんなに威張ろうがガキはガキじゃ。おらを雑魚呼ばわりしたこと…」
ムースは腰を低く落とし、戦闘態勢にはいる。もう首の痛みはどこかに消し飛んでしまったようだ。
「後悔させてやるだ!!」
ムースはディ−プと名乗った少年に向かって勢いよく突進していった。
「しかたない。ま、あいつの命令だし、消すだけ消しとこうか」
ディ−プと名乗った少年は、いかにも形式的といった感じの態度でつぶやく。
ムースはそのまま懐に隠していた大型の曲刀で、ディ−プに襲いかかった。しかし、曲刀がディ−プにあたると思われた瞬間、スーッとディ−プはその場から消え失せた。ムースはぐっと立ち止まる。
(こういう勝負はあせった方の負けじゃからな)
そう心の中で確認しながらムースは辺りを見まわす。自分でも驚くぐらい落ちついていた。
そして次の瞬間、がっ!!っという金属どうしがぶつかりあった鋭い音がした。
「へえ」
ディ−プが驚いたような声を出す。
「よく止められたな」
「ふん、これぐらい…」
ディ−プは超スピードでムースの周囲を旋回していた。そして一瞬のすきをつき、ムースの背後からナイフを繰り出した。しかし、ムースはこれを読んでいた。ナイフがムースにあたる寸前、手にしていた曲刀でそれを受け止めたのである。
そしてムースはここぞとばかりに、右手に曲刀を握らせ、逆の手元から暗器を眼前のディ−プに向かって放出した。
「くらえ!!」
今度こそ暗器がディ−プを貫いた。
「え、貫通しただと?」
あの暗器は人間を貫き通せるほどの威力は持っていない。したとしても、こうも思いっきり…
そしてムースは体を貫かれたはずのディ−プを見て、ようやく気がつき、そして凍りついた。ディ−プは何の苦痛もなさそうに表情を一片たりとも変えていない。それにやけに体の色彩が薄く、透けてその背後の汚い体育館の壁が見える。
「こ、これは、まさか!!」
「ようやく気がついたか」
ディ−プはいつのまにかムースの背後に回っており、手にしていたナイフをムースの喉もとにつきつけた。
「く…」
「そ、あれは俺の残像。お前が俺のナイフを受け止めた瞬間には、もう俺はお前の後にいたってわけだ」
「あ、あの一瞬で…?」
ムースの首筋から、つうっと脂汗が落ちる。
「俺はこの空間の中では一番スピードがあるんでな。ふん。甘すぎるぜ。やっぱりお前はたいしたことないな。受け止めただけで満足して、即座に次の行動に移れない。戦場ではそういう充足感を持ってしまった者は必ず死亡する。それに…」
ディ−プはふんと不機嫌そうに息を漏らした。しかし、ムースにしてみればあれでも精一杯の即座だった。
「やはりさっきのは虚勢だったみたいだな。俺の蹴りが効いたせいか動きが前に比べて鈍っている。自分ではそのことを認めたくないがために、無理に体を突き動かしてんだろ?そのせいで動きに無駄が出てくる。戦闘では自己の状態がどの程度のものか把握しておかなければならないという一番の原則をお前は守れてない。戦闘で感情的になるなど、俺からしてみれば愚の骨頂だ…」
ムースは黙ってディ−プの戦闘論を聞いている。図星だった。
「やれやれ、なんで俺の所にお前みたいな雑魚が転がり込んできたのか。リングの奴め。俺はできれば、あの早乙女とかいう奴と闘りたかったんだがな」
ぴくりとムースが反応する。
「さ、早乙女乱馬の名前は知っているのか?」
「そうだ。それ以外ははっきり言ってどうでもいいような奴ばっかりだったんでな。少なくとも貴様よりかは幾分かましだろ?」
だから、あの時確認したのかなんて思える余裕はムースには無かった。
「く、おらをなめるな!」
「何だよ。自分はあの男よりも強いとでも言いたいんかよ?自分は雑魚じゃないって否定できるのかよ?」
「………」
何も言えない。そう、だからシャンプーもあの男に惚れて…
「お前は雑魚だ。何も守れず、何も得ることなく、ここで無様に…」
ディ−プがナイフを手にした方に力をこめる。
「死んじまいな!!」
その言葉にムースは感化された。死んでしまうという恐怖より悔しさで心がいっぱいだった。
(おらは、おらは、雑魚じゃない!!早乙女乱馬なんかに負けはしない!!)
ムースはナイフが喉を掻っ切ると思われた瞬間、身をかがめていた。
「な!?」
ムースの唐突なスピードに驚いたのか、ディ−プがかすかな動揺を見せる。そこをムースは見逃さなかった。かがんだ姿勢から、くるっと体を回転させ、ディ−プに対して足払いをかけた。
「くっ!!」
ディ−プは虚をつかれ、転びこそしないものの体をよろめかせた。そこにムースの激しい拳が、ディ−プのその顎に叩き込まれた。
「ぐっ!!」
ディ−プの体はそのまま冷たい体育館の床に叩きつけられた。
すぐさま、ディ−プは起きあがる。
「………」
ディ−プは茫然と自分の顎の辺りをさすりながらムースを眺める。別にダメージはそれほどまで深刻なものにはなっていないようだ。
「ふん。どうじゃ。少しはその減らず口も直す気になったか?」
「………」
「これ以上お前と付き合ってはられんのじゃ。おらも暇じゃないんでな」
この時だった。一瞬だが、ディ−プの周りの空気の温度が異常に下がり、彼の眼にこれまで以上の冷たさを宿した光がギラリと走った。
ディ−プはここでその重い口をようやく開く。
「何か予定でもあるのか?」
「ああ、こんなことよりも遥かに重要なものがな」
「あのシャンプーとかいう女でも助けに行きたいってか?」
ムースの眼もギラリと光る。
「分かっているなら、道をあけろ。痛い目見ないうちにな」
「ふん、それが本気だとしたら、たいした愚民だな」
ディ−プは心底ばかばかしいといった感じで言った。
「じゃあ、お前に聞くが、本気でシャンプーとやらはお前を待ち望んでいると思うか?」
「なに?」
「あの女はお前なんざ待っていないかもしれないだろ。それでも、お前に行く意味はあるのかと聞いているんだ」
「何故貴様にそんなことが分かる?」
「自分でも気づいているんじゃないか?あの女はお前以外の誰かを待っているとな…」
「なっ…?」
「だとしたら、仮に意味があるとしてもそれはお前だけの自分勝手な意味であって、相手には何の意味も無いことだ。お前は自己の欲求を満足させるためだけにその目的を果たそうとしている。相手のことなんか、まるでおかまいなしにな…。ふん、大したエゴイストだな」
「………」
ムースはその言葉を否定できなかった。分かっている。痛いほどに分かりすぎていた。
ムースは自分に問いかけてみた。
今やっていることは単なる自己満足にすぎないのだろうか?
仮にそうだとしたら、やはり何の意味も無い徒労にすぎないのだろうか?
相手は自分がきたら何と思うだろうか?
迷惑にすぎず、すぐに他の男の元へ行ってしまうだろうか?
じゃあ、一体自分の存在はなんなのだ?今までそれだけが目的ではなかったのか?そのためにわざわざ日本に来たのではないのか?相手に好きな男がいると知った時、自分のこれからの行為が意味も無く崩れ去る危険性も認識していたのではないか?
それらのことを考えてみて、ムースはひどく自己中心的にしか物事を見ていないことに気がついた。
そう、全て自分の視点からしか考えていなかったのである。今まで相手がどう思おうが、自分さえ良ければそれでいいという感が自分にはあった。相手のことなんかまるで気にしない身勝手な。以前から認識してはいたものの、そう思い至るのが怖かったのだろう。だから、今まで自分を騙してきて、そのことを不明瞭なものにしておいて、とりあえず自己の満足を得るために努力する。
指摘されて分かったような気がした。
…全て、偽りにすぎなかったんだろうか…
ここで、ムースはようやく自分に異変が起こっていることに気がついた。何故か自分のあれほど確固とした意思が、こんな少年にしか見えない奴にちょっとけなされただけで、異常なまでに揺らいでいる。
…い、いかん、いかん…
ムースはそのことを自覚し、首をぶんぶん振るが、しかし奇妙な感覚が離れない。
…一体こいつは何者なんじゃ?…
ムースの中をひどく落ち着かない気分がぐるぐると旋回していて、攻撃することも忘れてただ茫然とディ−プを見下ろしていた。

ディ−プはすくっと立ち上がる。
すでに相手はディ−プの術中にはまっていることを悟り、ふっと心の中で嘲笑する。
彼ディ−プには、その者の一番言及されたくないことが分かる能力というか、特技がある。なんというか漠然とした感じなのだが、相手の性格や言動、その他諸々の状況を頭の中で分析して、ここを言えば痛いだろうなと思われる部分を弾き出すのである。
そこを容赦もなく攻め立てる。
肉体的ばかりでなく、精神的にも苦痛を与える。これこそ彼がディ−プ、深いという異名を持つ理由なのだ。
(ふん、人間という生物は本当に脆弱だな。この程度であっさりと負の光が宿っちまうんだから)
ディ−プはふうとため息をつき、相手を見据える。
「さて、そろそろ終わりにしようか」
はっとムースは正気に戻るが、相手がおぼろげに見えて、掴みきれない。
しかし、時間は彼の動揺などおかまいなしに刻々と進む。
ディ−プの後から何やら黒い霧が発生し始めた。それは、あっという間にムースを覆い、辺りはリングと対峙した時のような完全な暗黒になる。冷たい静寂と虚無だけがその場を支配していた。
…俺に一発いれたお礼に、最後は俺の能力で消してやるよ…
暗闇の中からディ−プの声があちこち反響しながら聞こえてきた。
しかし、その声が鳴り止んだと思うと次は何もしてこない。
そのまま、しばらくの時が流れる。
「………」
何も見えない。何も聞こえない。ムースはしばし茫然となる。
が、その静寂はあっけなく破られた。
腕の辺りに冷たく小さな痛みが走った。暗くてよく分からなかったが、それは紛れも無くディ−プのナイフだった。
「!?」
ムースは驚愕し抜こうとするが、何故か抜けない。そこからはわずかな血さえ漏れていない。それどころか痛みすらない。
…それが俺のナイフ通称「カウント」と呼ばれるものだ。その者の精神に突き刺さり、時間に比例して人間の生気を吸い取る…
「!?」
…さて、いつまで持ち堪えられるかな?…
暗闇からのディ−プの声を聞き、その恐るべき意味を理解する。相手は暗闇からナイフを遠距離で発射するつもりなのだ。どういうわけか、相手にはムースの姿が見えているようで、そこをあの拷問用具としか思えないナイフで攻撃する。しかし、ムースはそれをかわせない。ムースにとって、ここは圧倒的な暗闇にすぎないのである。おまけに敵は自分の間合いから遥か遠くに離れているせいか気配すら掴めない。対処の仕様がなかった。
「………」
ムースは悟ったように押し黙る。ぐずぐずしていては敵が次々とナイフを放ってきてしまう。決断する時は今しかなかった。
しばらく時が過ぎ、ここで再び異常が起こる。
なんだかやけにこの場の気温が下がっているような気がするのだ。
いや、気がするのではない。それは今や現実となっていた。
(な、なんじゃ、これは)
ムースはあまりの寒さに体が凍りついているような気がした。そして、次に体にいくつもの重りがぶら下がっているようなだるさを覚えた。
(な、なんじゃ、この感覚)
ムースはとにかく落ち着こうと前を向いた。しかし、それは逆効果だった。眼前からまるで刃物が全身を貫いているような、恐るべき重圧が彼に一気にのしかかってきたのである。
「が!なんなんじゃ、これは!?」
しかし、その質問に答えてくれそうな者はいない。その場は相変わらず冷たい静かな暗闇だった。
「だ、誰か、助けてくれ!!」
ムースの悲痛の叫びも虚しく、暗黒に吸収されていくだけだった。そんなことを嘲笑うかのように、謎の重圧は彼をこれでもかというぐらいに押しつぶしていく。
彼は今、彼の人生の中でも最大級と言えるような「恐怖」を味わっていた。
それは、あっという間に限界に達した。彼はその場に、派手に崩れ落ちてしまった。
いつのまにか、ナイフが全身に突き刺さっており、指一本まともに動かなかった。
肉体的にも精神的にも、彼は完全に崩壊していた。
がくりと目の前が暗くなる。

ムース…
幻想だろうか、目の前にシャンプーが立っている。それもひどく悲しそうな。
ムース…
目の前のシャンプーは今にも泣き出しそうな表情を浮かべている。ムースはたまらなくなり、早く楽になりたいという気持ちさえ思い浮かべてしまう。
自分はシャンプーにとってどんな存在なんだろう?そう、漠然と自問自答したことが何度もあった。シャンプーは乱馬に惚れている。自分が立ち入る隙など無い。なのに、諦められない。未練がましいと何度もののしられた。それでもよかった。しかし、今こうして死というものを身近に考えるようになると、果たして自分の人生はなんだったんだろうと考えてしまう。徒労ばかりが続いた、そんな虚しい人生だったような気がする。
…はは、また自分勝手じゃな…
だが、だが…エゴイストでもなんでもいい。自分がどんなにののしられようがこればっかりは譲れない。
なんでもいい。今はとにかくシャンプーに会いたい。後のことなんかどうでもいい。
これで終わらせるわけにはいかなかった。自分はまだ何もしていない。
今意識を切断させるわけにはいかなかった。

「ふん、やっとくたばったか」
ディ−プは胸糞悪いとでも言うかのように吐き捨てた。
彼のこの能力は「紺青の深淵(ブリザードプレッシャー)」と呼ばれている。相手に異常なまでの重圧をかけ、そこを「カウント」で攻撃するというのがおおよその仕組みである。これを受けた者は、まずその重圧でとりあえず精神がやられる。そこに追い討ちをかけるかのように、「カウント」が突き刺さり肉体をやられる。
精神まで崩壊させる理由はふたつある。
ひとつに、相手の精神が壊れることでより「カウント」が命中しやすくなること。もうひとつに、今回は関係無いのだが、複数の敵と戦闘する時に非常に役立つというものである。彼は並外れたすばやさはあるものの、所詮彼の武器は単なるナイフである。無論、戦争の時もこれしか使わない。普通なら圧倒的に不利なのだが、この能力によって複数の敵を一気に全滅させることが可能になったのである。だから、重火器等は一切使用しない。使わない方が楽だからだ。ナイフを使う為に能力を身につけたのではない。この能力があったからこそナイフを使うのである。
また、彼のナイフは何本発射しようとけして途切れることはない。ナイフがあらかじめある物ではなく、瞬間的に創り出されるものだからだ。そう、彼は気を使い、ナイフを具現化しているのである。その気さえ、ナイフを精製するぐらではびくともしない。つまり、ほとんど無限に生み出せるのだ。
そして、さらに今回は場所が夢幻空間という特典までついてきた。これがどれほど重要かというと、場所が夢幻空間なら彼はいつでも暗闇を発生させることができる。それにより相手の視界を奪い、この能力を使用するにおいて益々有利な状況が作り出せるというわけだ。
deep−それは深いという意味を表す。どこまで行こうと終わることの無いそんな存在。感情はない。秩序もなければ、余裕も無い。付け入る隙すら全く見せない。
深い可能性と氷の如き冷徹さを持った者。それが彼である。
「あんな奴に時間をかけちまうとは、俺らしくもないな」
そして、もう一度転がっているムースを見据え、その場から立ち去ろうと背を向けた瞬間だった。
(ん?)
奇妙な気配に気がついた。死んでいるようで死んでない、今にも崩れ落ちそうなそんなかすかな気配。
それは自分の後方から来ているようだった。
彼は振り向いた。が…
「…え?」
ディ−プは自分の眼を疑った。
立ち上がっていた。その場にムースが立っていた。虚ろな視線をこちらに向け、だけれども闘志とも思える炎を眼に浮かべ、ナイフを体に突き刺したまま立っていた。消え入りそうな生命が、すんでの所でつなぎ止められていた。彼には何か確固としたものがあるような、そんな勢いだった。
「な!?なんでだよ。なんで立てるんだよ!?そんなにあの女が大事か!?」
ディ−プがらしくもなく、あからさまな動揺を浮かべる。しかし、ムースは何も答えない。
「わからねえよ。俺にはわかんねえよ。なんでたかだか一人の人間の為に!」
彼は今まで、そういう誰かの為に死力を尽くすという者を見たことが無かった。大抵自分のことで精一杯で、むしろ他人は蹴落とすものだとそういう連中しか見てこなかった。だから、本当に自分の目の前の男がとっている行動は謎以外の何物でもなかった。
プライドとか自身とかそういう類のものでもなさそうだった。そんなものが今のこの男にあるなど、とても考えられない。
となると思い至るのはそのことしかないのである。
不可解だった。
理解不能だった。
「けっ!胸糞悪い!人間てのはつくづくむかつく野郎だな!!」
ディ−プがほえる。
「ああ、じゃあお前のその未練がましい生命に終止符を打ってやるよ。この…」
ディ−プが腰を低く落とす。
「死に損ないがー!!」
彼は一瞬、冷静という言葉を忘れていた。それが彼の命取りとなった。
ディ−プは、こうなったら直接斬り殺してやろうと超スピードでムースに迫っていった。が、既にこの時、ムースの周りは彼の「絶対空間」となっていたのである。ムースは無意識ながらも、自分の気だけはこれ異常はないというほど張り詰めさせていた。そして、彼の間合いにディ−プの気配が入った。
次の瞬間、ムースはくいっと手首をひねらせていた。
「な!?」
ディ−プの体はムースの暗器に捕らえられていた。そう、ムースが手首をひねるのとほぼ同時に、彼が暗くなったその時から周りにしかけておいたおびただしい数の暗器がディ−プに発射されたのである。
彼は罠を張っていたのである。危険な賭けだった。もし、自分の間合いにディ−プの気配が侵入してこなければお終いだった。しかし、これに賭けるしかなかった。遠距離では圧倒的にムースが不利になるので、近距離しかなかったのである。
そして、ムースはさらに暗器をディ−プに向かって発射した。位置は必死に暗器から抜け出そうともがいているのでいやでも分かる。暗器が一斉にグサリとディ−プの体に突き刺さった。
「がっ!!」
血反吐がディ−プの口から迸る。急所ははずしているものの数が多すぎる。
「ち、ちくしょうが!」
ディ−プはそれでも最後の力を振り絞り、一本のナイフを精製した。それをムースに向かって発射…
「な!?」
できなかった。既にムースが自分の目の前まで迫ってきていたのである。ムースもディ−プが発射するのを待つほどお人よしでは無い。渾身の力を込め、ディ−プのその鳩尾(みぞおち)に拳撃を放った。皮肉なことに人間同様、そこは最大の急所だった。
「がは!!」
全身暗器に刺され、急所まで打たれた彼はがっくりと立ったまま気絶した。
どすという鈍い音がした。
ムースの倒れる音だった。
あれだけの傷を負い、精神まで壊されたムースがここまでもっただけでも奇跡だった。
彼はほとんど無意識に動いていた。消しきれない強迫観念のようなものが彼を突き動かしていたのだった。その目的は目の前の敵を倒すこと。会いに行くことではなく、倒すこと。それだけだった。
彼の目の前には相変わらず暗闇が広がっている。それに、もうあの幻影もムースの前に現われない。
それもそのはず。もう意識は途切れているのだから。
しかし、彼はそれでも心のどこかでこう思っていた。
(シャンプーはおらの嫁じゃー!!)
何かを成し遂げたという、少し不確かな喜びと共に…。



つづく




作者さまより

はあ、滅茶苦茶長いものになってしまいすいません。本当文章まとめんのへたです。しかもムースばっか。続きの内容がもろに分かりますね。これ読んでて眠くなるだろうな〜。最後まで読んでくれた方、まじで感謝します。しかし、思わずけっと言いたくなるような内容とへたくそな文章ですが、まあ、必死に考えたんでお許しを。


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