◆乱馬VSなびき?! リベンジ!!
みのりんさま作



 ガラガラガラガラ……
 玄関が勢いよく開く音がした。
 ドンドンドンドン……
 居間にいた、あかね達の耳に、足跡が聞こえてくる。
「くぉら!なびき!!」
 なびきの姿を見つけた乱馬の、怒気を含んだ低い声。
「聞いたぜ!また勝手に、妙な話をとりつけてきやがったって!!」
「あら、言っていなかったけ?」と当然、なびきはとぼける。
「手前ぇ!今度こそ表に出やがれ!!」
 乱馬はビシッと玄関を指差す。
「ちょっと、乱馬。」
 あかねが見かねて声を出した。
「い〜けど。一つあんたに聞きたいことがあるんだけど。」
 なびきは乱馬の手を指で示す。
「あんたって、何でもぶっ壊すことできるわよね。」
「ああ。」
 乱馬は拳を胸の前で構えてみせる。
「と〜ぜんだ。おれは強ぇからな!」


 と、ここまできて、ハッと乱馬は気づく。
「また、『道場の看板をぶっ壊せ』とかって、言うんじゃねえだろうな……」
 早雲を横目でチラッと見て、乱馬はなびきに問うた。
「まさか……“三文字の板を三枚、ぶっ壊せたら”に、まけてあげる。」
 ――三文字の板?……まな板、板切れ、板葺き…………
「よしっ!」
「じゃあ用意してくるから、庭で待ってて。」
「おうっ!」

 庭を見渡す廊下に、天道家家人一同が見守る。
 なびきと乱馬が向かい合って立っていた。
「いくわよ!」
 サッとなびきが乱馬に向かって投げたのは、まな板だ。
 バキッ!
 ――ふっ!予想通り
 乱馬の一撃で見事に割れる。
「ガラス板!」
 パリッ!
 これもまた、一撃で見事に粉々だ。
「看板娘!」と、なびきはあかねを指差した!
 ズベシッ!
 乱馬は勢いよくずっこけた。
「えっ?あたし……」
 あかねは戸惑いながら、自分を指差した。
「…………」
 沈黙する一同。
「おいっ!」
 ようやく体制を立て直した乱馬が声を出した。
「言ったでしょ、“三文字の板”って。」
「た、確かに言っていたが……」
 乱馬は不躾な視線でジロジロとあかねを見る。
「でもよ……“看板娘”って、もっと愛嬌がよくって、可愛げがあって……」
 乱馬の言葉に、あかねの額にぴくぴくと筋が……
「……こんなあかねみてえな、女を“看板娘”なんて言いやがったら、“鹿を指して馬”となすみてえじゃねえか!」
「乱馬くん、意味分かって言っているの?」
 のほほんとかすみが言う。
 ちなみに、“権力者がその権力を傘に、部下にどんな馬鹿なことを言っても、それで押し通す”という意味である。一体、誰が権力者なのかわからないが……

「ら・ん・まぁ〜〜!!」
 ぼぉ――――
 怒りの炎に全身をみなぎらせたあかねが、乱馬を見下ろす。
「ひっ!」
 思わず後ずさる乱馬に、あかねの拳が炸裂したのは、いうまでもない。
 バコッ!バギッ!ドコッ!
「ふっ。予定通り、しっかり墓穴を掘ってくれちゃって。」
 なびきは小さく苦笑した。
 日暮れまで、あかねの怒りの乱打は静まらなかったという。

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