◆「GOOD MORNING?」
HAるさま作



ジリリリリリリリ
部屋いっぱいに目覚まし時計が鳴り響く。
しかし、時計の持ち主の乱馬は一向に起きる気配が無い。
乱馬は高校を卒業して、一人暮らしを始めた。
スポーツ推薦で決まった大学が天道家から遠いのと、一人暮らしをしてみたいと興味もあったからだ。
連休になるとあかねが泊まりに来てくれるし、電話も毎日している。
家事も器用なのでなんなくこなしてしまう。
一見快適な一人暮らしのように思えたが、欠点が一つ。


「おーい、乱馬。こっちこっち。」
大学で出来た友人、裕也が乱馬に向かって手を振る。
「はよ。」
「何が、『はよ』だよ。もう三限目だぜ。」
「ははは。」
裕也の言葉に乱馬は苦笑する。
「おまえなぁ〜いつもいつも代返する俺の身にもなれよ・・・・」
「悪いって・・・でも起きれねーんだよな。」
「目覚まし十個ぐらいセットしてみたら?」
ふざけて言った裕也の言葉に乱馬は真面目にかえす。
「二十個してるんだけどな・・・・」
「・・・・そっか・・・・」
「ジャジャーン俺に良い考えがある。」
ずっと聞いていたのか、ノリの良い洋介が話しかけてきた。
「良い考え?」
「そ。俺がいつもやってる方法。無遅刻の俺がやってるんだから間違えないぞ〜」
「その方法って?」
「・・・・あとで、メシ奢れよ、乱馬。」
身を乗り出して今かいまかと言葉を待っている乱馬に洋介はにっと笑って言った。
「・・・分かったよ。しっかりしてやがるな・・・・」
「よし。あのな、声の目覚ましにすればバッチリだぜ。」
「「声?」」
「ああ、その人に起こされたら絶対起きるっていう声をな。ちなみに俺はおふくろの声だぜ。『洋介、いつまで寝てるの!!!』って怒鳴り声聞くと一発で目が覚めるんだよな・・・」
「マジかよ?」
洋介の言葉を聞いて、大笑いをする裕也をよそに乱馬は考えていた。
(絶対起きる声・・・・・)



次の日
時計は午前七時三十分を指した。
「乱馬、朝よ。おきなさーい!」
ガバ
その声を聞くや否や乱馬は体を起こした。
そして、ドキドキしている心臓を押さえてつぶやいた。
「やっぱり、この声が一番効果的だよな。それに、起きれるだけじゃなくて朝からあかねの声が聞けるなんてまさに一石二鳥だな。」
乱馬の部屋にはあかねの可愛い声が響いている。



「乱馬、おまえ俺が教えた方法やらなかったのかよ。」
洋介は乱馬に尋ねた。
「・・・・・やったんだけどな・・・・・」
「じゃあ、効果がなかったのか?」
今度は裕也が尋ねた。
「・・・・・効果もあったんだけどな・・・・・」
「「じゃあ、なんで今日も遅刻したんだよ!」」
二人は発言と行動が合ってない乱馬に向かって怒鳴った。
(あかねの声に聞き入りすぎて、時間を忘れてた・・・なんて・・・いえねー!!)
しかし、二人のしつこい追求に口を滑ってしまった乱馬は一ヶ月このネタで笑われることになる。












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