◆A Manday Night
ゴンタックさま作


ある月曜日の夜。
あかねは居間でテレビを見ていた。そこへ稽古からもどってきた乱馬が入ってきた。
「何見てんだ?」
「アニメ…。」
あかねはテレビから視線を外さずに答えた。
「いい歳してアニメかよ。」
「おじさんみたいなこと言わないでよ!別にいいでしょ、たまたまテレビつけたらやってたんだから。」
あかねは少し拗ねた顔をした。乱馬はそんな彼女がかわいいと思いながら隣に腰を下ろした。
「…で、どんな話なんだ?」
「途中からだからよくわからないんだけど…この男の子、乱馬に似てると思わない?」
「は?俺に?」
テレビには銀髪で赤い着物を着た少年が映っている。
「この子、半分人間で半分妖怪なんだって。」
少年の頭には犬の耳が生えている。
「…こんな変なやつのどこが俺に似てるんだよ?」
「あんた、自分のことわかってんの?半分男で半分女じゃない。」
「俺は男でぃ!こんなのと一緒にすんな!」
あかねははいはいと聞き流しながら続けた。
「それに性格もね。」
「?」
「意地っ張りでわがまま、優柔不断でおまけに浮気性。」
「な゛…!」
一瞬乱馬の体が凍りついた。いつも口げんかで言われてはいるものの、あかねに改めて冷静に言われるとさすがに辛いのだ。
そんな乱馬の表情を見て、あかねはいたずらっぽく笑った。
「なんて顔してるのよ。いつもあたしが言ってることじゃない。」
「そ、そりゃそうだけどよ……。」
「それにね、まだ似ているところあるよ。」
乱馬の顔がビクッと反応した。まだあるのかよという嫌そうな表情だ。
「どんなときでも体を張って守ってくれるところ。」
「…え?」
思ってもみなかったあかねの言葉に乱馬は驚いた。あかねはそんな彼の表情を見てくすっと笑った。
「いつもあたしのこと守ってくれてるじゃない。」
あかねの言葉と笑顔に乱馬は照れてしまった。
「ま、まあな…。」
乱馬はあかねから視線を外してしまった。顔が少し赤くなっている。

サラッ

乱馬は不意に肩にくすぐったい感覚を覚えた。見るとあかねが自分の肩に頭を乗せていた。あかねの髪が乱馬の肩にかかる。
突然のことに乱馬の体は硬直してしまった。その顔は湯気が出そうなほどさらに赤くなっていた。
あかねは彼の表情を見ると、またくすっと笑った。
「照れるところも似てるよ、乱馬。」
テレビには今の乱馬のように顔を赤くしている少年が映っている。
「て、照れてなんかねえ!」
と、言いつつもさらに顔が赤くなっていく乱馬の顔。

「いつもありがとう、乱馬…。」

「え?」
乱馬はあかねが何で礼を言ったのかわからなかった。あかねは満面の笑みを浮かべている。
(何、俺はこんなにドキドキしてんだ!?)
今や彼の顔はどんな赤よりも赤くなっていた。ボンッと音を立てて爆発しそうだ。
これ以上あかねと一緒にいると自分がどうにかなってしまいそうな感覚だ。
あかねはそんな乱馬を見て、からかいたくなってきた。
「乱馬、なんか熱っぽいよ?風邪でもひいたんじゃない?」
自分の額を乱馬の額に当てる。乱馬の髪が逆立った。
「け、稽古した後だからだろ?あ、お、俺風呂で汗流してこようっと…。」
「背中流してあげよっか?」
「な゛…ば、馬鹿言ってんじゃねえ!」
乱馬は耳まで真っ赤になりながら風呂場へ向かった。頭をポリポリ掻きながら。

あかねはそんな乱馬の後姿を見つめていた。その顔は幸せに満ち溢れている。
(本当にいつもありがとう、乱馬…。)
テレビからはエンディングテーマが流れていた。








作者さまより

数ヶ月前からこのサイトを見ており、僕もやってみようと思い投稿しました。
「らんま」とあの漫画のキャラクターがかなり似てるので、こんな話にしてみました。
これからもごく少しずつではありますが投稿していきたいと思いますのでよろしくお願いします。


呪泉洞、初投稿でございます。
作品を仕込んでみようと思ったきっかけなんて、ごく簡単で自然なことかもしれません。
ここを訪問しているうちに手が動いた!・・・素晴らしい♪
これからもどんどん、妄想を広げて、作品を書いていってくださいませ。期待しています。
(一之瀬けいこ)


Copyright c Jyusendo 2000-2005. All rights reserved.