◆さみしいけれど
早乙女亜乱(華緒梨)さま作


「あかね」
乱馬に呼ばれた。
私は振り替える。何事?
「なあに?」
「あのさ・・・俺・・・」
何が言いたいのよ。さっさとしてよ・・・。
「呪泉郷に行こうと思うんだ」
「さっさと行けば?」
いっけない・・・。いつもの喧嘩口調が出ちゃった。
「ちゃんと聞いてくれ」
「え・・・」
いつもより真剣な眼差しで乱馬は見てくる。
「それまで・・・待っててほしいんだ」
・・・何が言いたいんだろう。
大体は予想がつく。だけど・・・。
「俺、今から行って、いつ帰ってくるかわかんねえ。だけど・・・俺が帰ってくるまで、待っててほしい」
乱馬はホントに何が言いたいんだろう。
「今は・・・好きだって言えねえ。完全な男に戻ってからじゃなきゃ・・・」
乱馬の顔は、みるみる紅潮していく。
わたしの顔も、どんどん赤く染まっていった。
「わかってる。待ってるよ」
私は、小さいけれど、乱馬に聞こえる様な声で言った。
「待っててあげる。大丈夫だよ、心配しなくても。だから・・・早く帰ってきてね」
自分でわかった。
ポツっと流れ落ちる、小さな小さな・・・そして、暖かい雫。
それは・・・涙・・・。
「な、何で泣くんだよ・・・」
「・・・っ・・・ごめん・・・うれしいの・・・」
涙をぬぐいながら言った。
途端に、ぎゅっと抱き寄せられる。
乱馬の暖かい胸に引き寄せられた。
「泣くなよ・・・」
乱馬が・・・私の事を・・・好きなら・・・乱馬も寂しいんだけど・・・。
待ってる身の方が寂しいよ・・・寂しいんだよ・・・乱馬・・・。
こんな事されちゃ・・・一生乱馬の事、忘れられないじゃない。
「あかね・・・」「乱馬・・・」
乱馬とあたしは目を瞑り、唇を引き寄せ合う。
あと3cm、2cm・・・。
その時、どこからともなくキーキー声が吹っ飛んできた。
「乱馬あ!!」「乱ちゃん!!」「乱馬さまあ!!」
「んなっ・・・」
「えっ」
同時に、ぱぱっと離れた。
顔が真っ赤。
「乱馬あ、呪泉郷に行く、ホントか?」
「そんな、離れたくない。乱ちゃん、うちも一緒に行く!!」
「乱馬さま、私が一緒に行きますわ。役立たずのラーメン娘やお好み焼き娘なんか、役に立つものですか」
あ〜、うるさい、うるさい・・・。
「あ、あの・・・」
「乱馬!」「乱ちゃん!」「乱馬様!!」
一気に3人とも、乱馬に抱き着いた。
それを見たあたしはカっとなり、
「・・・バカアッ!!」
乱馬を蹴飛ばした。
「うわ〜っ」
ひゅーんっと飛んでいく乱馬。
それを追いかけながら、例の3人娘は何処かへ行った。
いいよ。待っててあげる。
乱馬が居ないのは、寂しいよ。
だから、すぐに帰ってきてね。
絶対、約束だよ・・・。




中編(?)へ続く


作者さまのコメント〜アトガキ(ナカガキ?)

どーもー。
久しぶりの投稿です、亜乱です、覚えてますか??
これは、恋に悩む可憐な少女的お友達へ送ったものなんです(笑)。
しかもこれは前編。中編、後編と続けていくかどうかは自分の努力次第。
どうか皆さん、気長に中編(後編かも)を待っていて下さい。
それでは〜♪




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