創作ノート(言い訳)

 かなり長編になった投稿作です…こんな長いの投稿する奴っていなばRANAさんと私くらいだろうな。

 この作品…プロットの大元は「犬夜叉」の映画です。「時代樹」がベースにあります。
 あの映画、作画も綺麗だったし、お気に入りキャラの弥勒様が元気だったし、気に入ったんですが、どうしてもラストにもう一ひねり欲しかった!時間的な制限もあたのでしょうが、私ならもう一歩突っ込むぜと妄想し始めたのが始まりです。
 で、前から描きたかった雪山と乱馬たちのイメージを折り合わせて書き始めました。

 最近では緻密にプロットを書き出して作文する事は稀になっている大雑把な私ですが、これに関しては雑記帳に設定を殴り書きしました。

 そのデータ―を少しだけ公開


 ○導入 設定
  ひなびた山奥の雪深い山奥の温泉郷
  旅館は五、六軒といったところ。
  露天風呂あり
  
  三百年前(転じて六百年へ変更)節がこの土地で雪女を退治した伝説がある
  雪女の霊魂(生玉)を鎮めた社が隣山にある。(お雪さまの社)
  祠の傍には大木、また社には祠があり地下洞窟が広がる。
  祭司はいない(宮司は常駐しない、普段は一番古い旅館の老婆が祭っている)
  
  十二年ごとの御神事
  巫女が二人踊りを奉納する。
  清めて洞窟へ入る。
  白巫女…弓矢を持つ(白かんざしへ変更)
  赤巫女…太刀を持つ(赤かんざしへ変更)

  若き日の早雲と玄馬がここを尋ねて神事を見た(修行中に)
 
 ○登場人物の設定
  サエ(沙江)・・旅館の一人娘
  赤巫女の経験あり…失踪

  あや…紗江と幼馴染、白巫女 事故死?→却下

  ゆきえ…若女将としてサエ亡き後旅館へ
  巫女経験あり、実は雪女に憑依されている。

  セツ婆さん…60代、旅館の古女将
  巫女経験あり、氷女に憑依されている

  榊 源造(時任 兄)
  雪峰神社の神主 卜占ができる
  実は黒幕

  時任康成
  六百年前に雪女と氷女をおゆき(許婚)に封印し社に鎮めた。
  「再び、満願の日に合間見えん…。」と言い残し隠遁。悲恋の主人公

  おゆき
  雪女と氷女の生玉を取り込み封印されたと伝わる。  
  が、実は邪木の餌食になったらしい。

 ○作文順位
   1、導入
   2、魔の気配
   3、前夜の二人(女のままあかねに添い寝する乱馬)
   4、神事の前
   5、地下祠へ
   6、氷女と雪女との死闘
   7、あかねの異変
   8、神主との死闘(男へ転化)
   9、浄化〜終章
 
 実はこの作品、ラストが二パターンありました。
 真面目に情感を残して終わるパターンとギャグで落とすパターンと。
 二つ創作したのですが、迷い抜いて頼りになる相棒、半官半民さんへ相談しました。

「生命力・元気・シリアスとギャグの共存・緊迫と安堵の調和つう「らんまらしさ」感じた方が完成度を感じたっす。
導入に日常や普遍の象徴でもあるおやじーずがギャグで書かれており、そことの関連考えるとやっぱ余韻でとめず、「らしく」描いたほうが雪山はすんなり読みとおせる気がしやす。
(以上半さんの講評引用)

 と言う訳で、ギャグで落とすパターンを選択したのでした。
 もう一つはお蔵入りです。


 また、テーマに据えて丁寧に描きたかったのは「女乱馬の描写」。
 この作品から、女に変化した彼も「らんま」ではなく「乱馬」と表記していくことにしました。原作では男女の区別無く書かれていますので。
 どこまでそれが通用するかという実験も兼ねました。
 相棒にも指摘されましたが、ずっと女乱馬で抑え気味に描いていた乱馬の男気がラスト近くで一気に解放されたと…。そうです。其の通りです。私は乱馬至上主義の乱あ信奉者なので、抑えていたものが男に変化したときに爆発。
 書きながらそれはビンビンと己でも感じておりました。
 前にRNR諸氏とも言い合ったのですが、作品を描くとき皆さんはどんな風に場面を創造しておられるでしょうか? 私の場合は多くの人がそうらしい「絵コンテ的に場面が脳裏に浮かぶタイプ」の物書きではないのです。なりきり型の傾向が強いのです。
 そう、物を書くとき、描(えが)いている物語の誰かに書く気持ちごと憑依してしまうのです…。
 書いている作中の人物になりきって会話したり物を感じ取ります。実際にトリップして笑ったり、泣いたりしてることも…。冷静に考えるとかなり危ないタイプの物書きです。
 だから集中しないと書けません。チャットしながらなど絶対作文出来ないのはその辺りにあります。昼日中、誰もいないところでキーボード叩かないと大変な訳でして(笑
 私の作品に「乱馬視点」が多いのはそのためです。彼にトリップしている時が一番楽しいからです。彼に憑依していると乗りやすいのは、キャラクターを愛しているからですね。きっと…。
 私の叩き出す文章世界の乱馬は、おそらく私の気持ちそのままがのりうつっていることが多いと思います。



 また、この作品を描いて以後、私の作品スタイルに変化が生まれました。…この作品を契機に、どんどん、濃度と長文化が進み…。
 分岐点になった作品でもあり、その分、思い入れも深いものです。




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