◆蒼い夜(後編)


七、

「悪いけど、飯だけ食わせてくれよな…。いざって時に動けねえと困るんでな…。」
 乱馬はそう言って、大急ぎで焼けた魚を平らげた。
「私のも食べる?少しかじったけど…。」
「いいや…。いい。いらねえ…。ちょっとでもいいから、おまえもちゃんと食っておけよ。」
 彼は食べ終わると、私がかじった魚の身を器用に手でほぐし始めた。
「柔らかいところだけでも、腹ん中へ入れておけよ。じゃねえと、朝日が昇るまで持たねえぞ…。」
 そう言いながら彼は強引に私の口へとほぐした身を放り込んだ。骨や焦げた皮はきれいに取り除かれていたので、さっきよりは食べ易かった。それでも、二口、三口しか入らなかった。
「まあ、それだけでも食わないよりはマシだろうぜ…。」
 乱馬はそう言うと、今度は水筒のお茶を私に差出した。飲めというのだろう。
「なんか、咽喉も渇いてないな…。」
「我がまま言うな。発熱してるんだから、その分、水分を補っておかないと脱水症状をおこしちまうぜ。」
 と少しきつい口調で返してきた。彼の言うことに一理あるのはわかっている。
「うん…わかった。」
 私は首を縦に振りながら彼に従った。

 正直なところ、私の身体は限界を迎えつつあった。こちらへと移動してきた辺りで、力が身体中から抜けて行くのが自分でも良くわかった。
 熱はともかく、身体はだるく、耳鳴りがぼんやりと聴こえてくる。本当はこうやって腰を下ろしているのも辛かった。
 身体は燃えそうなくらい火照っているのに、手や足先は凍ったように冷たい。寒いのか暑いのかすら良くわからなかった。身体の感覚が狂っていた。頭も思考が殆ど停止して、膜が張ったようにぼんやりとしている。

 …乱馬にこれ以上、迷惑をかけたくない…。

 ただ、それだけで、耐えているような私だった。それ一心で気力を辛うじて保持していたのである。

 乱馬は私がお茶を飲んでいる間に、すぐ傍らの岩場へと向っていた。
 あまり離れていないその場所で、彼は暫く考え込むと、何やらごそごそと作業を始めた。石を動かしたり、地面をならしたり、薪を集めてきたり…。寝床の場所でも確保しているのだろうか。
 私はぼんやりとそれを眺めていた。
 一通り作業を終えると、彼は私の方へとやってきて、腰を下ろした。
「やっぱ、相当熱が高そうだな…。」
 彼は大きな手を私の額へと当てて、しかめっ面をした。
「ごめんね…。」
 私は消え入りそうなくらい小さな声でそれに答えた。
「いいよ、別に、謝んなくても。相当まいってんだろ。肉体的にも精神的にも…。」
 そう言ってふっと溜息を吐いた。
「川原での威勢が、今は全然ないもんな…。」

…やっぱりまだ川原でのいきさつを根に持ってるんだ。…

 彼は上着の懐をごそごそと漁っていた。そして黒い丸薬を一粒、私に差し出した。
「ほれ…。これでも飲んでおきな…。」
 彼が差し出したそれには微かだが見覚えがあった。
「これって?」
「万金丹だよ。早乙女家伝来の万能薬さ。」
 そう。前に一度風邪を引きかけたときに、これにお世話になったことがあったのを私は思い出した。
「ありがと…。」
 彼からそれを受け取ると、お茶でそれを胃袋へと流し込んだ。苦い独特な味が舌先から広がる。良薬口に苦しというのを地でゆく変な味だった。吐き出しそうになるのを我慢して飲んだのは、少しでも彼に迷惑をかけたくなかったからだ。薬を飲めば、熱だって下がるかもしれない。
「よし、飲んだな…。後は少しでも身体を温めながら休むだけだな…。」
 彼はほっと息ともに言葉を吐き出すと、焚き火を足で消した。そして、さっと私を抱き上げた。
「え?」
 私は狼狽する間もなく、彼の腕へと抱き上げられた。
 彼はさっき何か作業をしていた場所へと私を運ぶ。
「心配することなんて何にもねえよ…。おめえはゆっくり休めばいいさ。ここなら夜露くらい凌げるだろうしな…。」
 そう言いながら私を下ろした。冷たく固い石の感触が肌から伝わる。乱馬は自分の上着のチャイナ服を脱いだ。そして私が咎める間もなく、彼はすぐ傍の少し大きな岩を背に、ちょっとした窪みに身体を沈めて座った。
「乱馬?」
 彼が何をしようとしているのか、その行動が読めずに私は思わず問い掛けた。すると、彼の逞しい腕が私の身体に伸びて来た。そして驚いたことに私はそのまま彼の開いた両足の間にすっぽりと抱え込まれた。

 トクン…

 私の心臓が脈打った。顔がかあっと火照ったのは熱のせいだけではないだろう。
「思ったより、おめえ、身体が冷えてんな…。」
 乱馬は独り言のように呟くと、思考が回らなくなってぼっとしている私の頭をそっと抱え込むように胸板へとくっ付けた。それから、さっき脱いだ上着をふわっと背中の方から私へと被せかける。
「こうすれば、少しは温ったけえだろ?ちょっと窮屈かもしんねえけど、我慢しろよな…。」
 始めは今にも心臓が止まるのではないかと思うほどドキドキしたが、乱馬の身体の熱を感じはじめると、だんだん緊張が解(ほど)けてきた。
 乱馬はそれ以上、何も言わなかった。ただ黙って、冷え切った私の身体を慈しむように腕の中で柔らかく抱きしめる。
 固まった身体から力が完全に抜けてしまったとき、私はそっと目を閉じた。耳を澄ますと乱馬の鼓動が心地よく響いてくる。私の心音と一緒に波打ちだした。吐き出す息は乱馬の胸板に跳ね返り、頬をかすめる。ゆっくりと息を吸い込むと、乱馬の匂いがする。
 あれだけ冷え切っていた手足に、少しずつだが感覚が戻り始めた。凍り付いていた血液が乱馬の身体の温かさに触れて、身体中を巡り始めるのが面白いくらいに良くわかる。

「乱馬…。」
 彼の胸の中で私はそっと目を開いて問い掛けた。
「ん・・?」
「あったかくて気持ちいい…。」
 その言葉に反応して、乱馬の身体がぴくっと僅かに動いた。
「ゆっくり休め…。ずっとこうしててやるから…。」
「ん…。ありがとう。乱馬…。」
…大好きよ…
 その後は言葉にできなかった。
私は乱馬の胸の鼓動を耳に緩やかな眠りへと誘い込まれていった。


八、

 腕の中であかねが眠りに落ちた。

 全身に伝わるあかねの鼓動は、寂しげな山の中に居る事すら忘れさせてくれる。
…柔らかいな…あかねの身体…。
 抱いたあかねは、無垢で安らかな顔を俺の胸にくっつけて眠っている。熱に浮かされている様子は感じ取れなかった。冷え切っていた彼女の身体も、少しずつ血色が戻ってくる。冷たかった身体が、俺にも暖かく感じるまでに温(ぬく)もってきた。

 さっき、移動するのに抱き上げたときは、照れたように真っ赤だった俺の顔も、波打つように早かった俺の心臓も、時間の経過と共に落ち着いてきた。
 冷え切った彼女の身体を温めてやることに俺の神経は集中していたので、それ以上ドキドキしている暇(いとま)もなかった。普段の俺なら、絶対にできそうにないことが容易(たやす)くできたのは、これ以上あかねの容態を悪化させたくないという一心からだったと思う。
 あかねも相当、精神的にも肉体的にもまいっていたに違いない。もし、普段に抱き上げる行為にでようものなら、往復ビンタの強襲が俺を襲ったに違いあるまい。ところが、抗(あらが)うことなく、黙って俺がなすがままに腕の中へ納まってじっとしている。
 上着を脱いでしまったので、肌を通して直接彼女へと俺の体温が伝わる。と同時に彼女の体の冷たさも伝わる。壊れ物を大事に手にとるように、そっと力を入れて彼女を包み込む腕。彼女の身体の冷たさをしっかりと意識していないと、壊れそうになるくらい彼女をそのまま二の腕で抱き潰してしまいそうで怖かった。
「あったかくて気持ちいい…ありがとう…乱馬。」
 俺の腕の中でそっと囁くあかねの声に、溜まらなく愛しさがこみ上げてくる。可愛い許婚を腕の中に抱ける幸せ。やがて彼女は俺の腕の中で眠りに落ちる。身体から力が抜けて、俺に全身全霊を預けているのがわかる。
 規則的な吐息が胸板にかかる。
 俺はそっと彼女の柔らかい髪をすいてみた。右手で触れる髪は、さらさらとして細い。ごわごわした俺の髪とは性質が全く違うのだろう。
 ふと出会ったときの彼女の長髪を思い出した。あの髪は俺と良牙の決闘でバッサリと地に落ちた。ふさふさと腰まで靡いていた美しい黒髪。あの髪も細くて綺麗だった。髪を切られた彼女の心の痛みが伝わってくるような一房の髪を屋根の上で握り締めたことをふと思い出した。
 あれからあかねは髪を伸ばそうとしない。ずっとショートのままでいる。
 長い髪と共に果てた「淡い恋」をまだ気にしているのだろうか…。いや、そんな女々しい奴じゃない。或いは俺の為に短いままを保っていてくれてるんじゃないかと自惚れてみる。
 別に彼女の長い髪が嫌いなわけではない。でも、あの夕日の中で微笑んだ、短い髪の彼女の笑顔は今でも鮮明に俺の脳裏に焼きついて離れない。もし、彼女に惚れた瞬間を言えと尋ねられたら、きっと俺はあの日のあの瞬間と答えるに違いない。
 短くても輝く髪。掌をさらさらと流れてゆく。
 あかねは俺の手が気になったのか、うんと一声唸ると、反対側へと顔を背けた。
 そして、俺の胸板にそっと手を置いた。冷えるとけないので、それを丁寧に羽織った上着の中に入れてやる。すると、幸せそうに微笑みやがった。
…ちぇっ!散々人を心配させといて…。いい気なもんだな…
 自然にそんな言葉が流れ出す。

「乱馬…。」

 微かにあかねの口が動いて俺の名前を呼んだ。
 俺はびくんとして彼女を見詰める。

「乱馬の…ばか…。」

 その言葉につられて思わず苦笑いする俺。夢の中で派手な喧嘩をしてるのかもしれない。
「ばかで悪かったな…。」
 俺はちょっと拗ねたふうにはき捨てると、あかねの首の後ろに右手を差し入れて、彼女の頭を胸からそっと外した。そして小首を傾いであかねの寝顔をじっと上から眺めた。
 傍で暖を取るために、ちろちろと燃えている焚き火に照らされて、赤くあかねの顔が照らしだされる。
 こういう時くらいしか、彼女の寝顔をゆっくりと拝むことはできない。いくら許婚とはいえ、俺もあかねも純情一直線だったから。
 それに、そんな美味しいシチュエーションが、しょっちゅう天道家にごろごろ転がっているわけではなかった。第一、俺達が素直になったとて、周りはお邪魔虫たちがうじゃじゃだ。誰しもが好奇心いっぱいの目で俺達の進展を観察しているものだから、自(おの)ずと「素直」から遠ざかる。

 俺は飽きることなく彼女の穏やかな寝顔を眺め続けた。
 あかねの満ち足りた安らかな寝顔を眺めるうちに、胸の奥から何か熱いものがこみあげてきた。ちょっとした欲望が悪戯っぽく頭をのぞかせる。
 断っておくが、別に眠っているあかねをどうにかしようなんて浅はかな欲望に駆られたわけじゃない。心の底から湧いてきた愛しさを抑えることができなかった。それだけだ。そう、それはささやかな欲望、いや願望だった。
 眠っている無抵抗なあかねに卑怯だとは思ったが、
…これだけ心配かけられたんだ。…こんくらいのご褒美、あかねから貰ったって罰あたんねえよな…。
などと勝手な解釈をこじつけてみる。

 俺は目を閉じると、あかねの柔らかい唇にそっと自分の唇を当てた。一瞬の永遠を己の中に閉じ込めるように優しく唇を重ねた。
…この柔らかい唇は俺のもんだ。誰にも触れさせねえ…
 口を離した後も、あかねはずっと微笑んだように眠っている。

「ごめん…。」

 ちょっとした後ろめたさに俺は思わず謝ると、またあかねの身体を自分の方へと引き寄せて顔を胸に埋めた。そして、再び柔らかに両手で抱きしめる。
 背中を岩にとんとくっ付けてみた。空を仰ぐように、上を眺めた。
 岩と岩の間から、夜空の星が瞬いている。
 月は西に沈んだあと、満天の星空が俺達を見下ろしていた。都会の雑踏では見られない、落ちてきそうな星空。
 天の川が静かに天上を流れてゆく。
 蒼い夜が更けてゆく。深く、静かに…。
 数多(あまた)ある宇宙の中で、この星に生まれ、あかねと出逢った。そして俺は恋に落ちた。
 穏やかな想いが心の中に広がっていく。空に瞬く星に見守られながら、俺は淡い夢の中へと引き込まれていった。あかねの温もりを連れて…。


九、

 朝目覚めたとき、もう私は乱馬の腕の中にはいなかった。いつの間にか横たわっていて、乱馬の上着が掛けられていた。でも、さっきまで優しく抱かれていたような気がする。
 身体のあちこちに、乱馬から貰った温かさが残っているような錯覚を覚えた。
 熱はさがったようで、思ったより頭はすっきりとしていた。

「よぉ…目覚めたか?身体どうだ?」
 私が起き上がるのを見て乱馬が話し掛けた。
「うん…だいぶんすっきりしたわ。」
「…なら、良かった。」
 乱馬は言葉少なげに私に言って笑った。つられて私も笑った。
 乱馬は火をくべながら、朝ご飯の魚を焼いていた。香ばしい匂いがする。
「食うか?」
 乱馬は焼きたてのを一本、私に差し出して言った。
「うん…。食べる。なんだかすごくお腹が減った。」
「たく…。厳禁な奴だなあ…。昨日はあんだけ心配させたくせに。」
 乱馬はぽそっと口から吐いた。
「ま、食欲が戻ったんだったら、もう心配ねえな…。」
「ん…。乱馬の介抱が良かったのよ、きっと。ずっと温めていてくれたから…。」
 私は悪戯っぽく笑いながら、思ったとおりを口にした。乱馬は顔中を真っ赤にして俯いた。身体もぎこちなく固まる。きっと夕べのことを思い出して、思い切り照れているのだろう。本当に純情なんだから…。
「食ったら下りるぞ…。みんな心配してるだろうし…。」
 乱馬は顔を背けながらそう言った。
「ねえ・・乱馬。」
「うん?」
「ありがとう…。」
 改めて礼を述べた。
「…何も俺は、たいしたことしてねえぞ…。」
 乱馬は相変わらず顔をあわせようとしない。
「だって…。ずっと朝まで抱いててくれたんでしょ?」
「あ、ああ…まあ、そうだけど…。」
 もじもじしながら口ごもる乱馬。耳まで真っ赤に染まっていた。
 痛めた足を引きずりながらも私は乱馬の傍に行って、腰掛ける。

 それから私は、そっと正面に回って乱馬の口に唇を押し当てた。
 乱馬の顔が真っ赤になって、一瞬動きが止まった。二人の上を優しい朝の光が差し込んでくる。その傍で小鳥達が嬉しそうに囀っている。

「おまえ…今…な、何…を?」
「昨日の晩のお礼…。」
 そう、今の私にはこれが精一杯。乱馬の優しい温もりで私は元気に朝を迎えられたんだから。いつも傍にある私の温もり。他の人に奪われたくないから。少しでもその余韻を留めておきたかったから。
 だから、私から唇を重ねた。
 私の気持ちは伝わったよね。


十、

 一瞬のことだったから、俺は思わず硬直してしまった。あかねの奴から唇を奪われるなんて。まだまだ修行が足らねえじゃねえか…。
 それにしてもあかねの唇は柔らかい。
「昨日の晩のお礼…。」
 そう言うと、あかねはふっと笑った。
 あまりにいい笑顔を突き返されたんで、俺はボロッと言葉が漏れた。
「お礼なら、勝手に貰っちまったけど…。」
 そう、俺は夕べのうちに勝手にあかねから貰ってたんだ。柔らかくてくすぐったいキス。
「え?」
「あ…いや。その…。なんでもねえよっ!」
 俺は慌てて否定に走る。あかねはぐっすり眠ってたんだ。知る由もない。
「ずるい…。何か隠してる…。」
 あかねが笑いながら覗き込む。
…昨日の晩、思わずあかねの唇を奪ったことがばれたら、こいつ、なんて言うだろう?やっぱり『乱馬のバカッ』…かな。いやそれとも、卑怯者呼ばわりされるな。信頼もなくしそうだ…。
 これ以上分が悪くなるのに耐えられず、俺は誤魔化しに走った。
「何にも隠してねえよ。」
「嘘…。」
「しつけえよ…。とにかく、お礼はありがたく頂いとくよ。」
 そう言うと、あかねの肩を引き寄せた。彼女も黙ってそれに従った。もう一度、ちゃんと唇を重ねよう…と近づいた…。
 それが誤魔化すのにも、彼女の気持ちに応えるのにも一番いい手立てだと直感したから。
 目を閉じて、あかねの心を捉えたと思った瞬間…。

「あかねーっ!!」「ぱふぉふぉ〜」「天道あかねーっ!」
「乱馬ぁ〜っ!」「乱ちゃんっ!」「乱馬くーんっ!」

 やれやれ、いいところでいつものお邪魔虫たちが登場だ。
 親父達はもとより、シャンプーに右京、九能先輩になびき…いるわいるわ、うじゃうじゃと。
 これで、俺たちのロマンチックな朝はあっけなく終わりを告げた。
 残念なような、良かったような…。落胆と安堵の気持が入り混じった表情を浮かべて、俺とあかねは顔を見合わせて笑った。

 二人で過ごした「蒼い夜」のことは忘れない。
 お互いのの脳裏に鮮やかに焼き付けられる、柔らかな思い出。

 俺もあかねも駆け込んできたみんなにもみくちゃにされながら、朝の光の中に投げ出された。
 一日が始まる。差し込んできた太陽が、笑いながら俺達を照らしていた。








一之瀬的戯言
 あとがき(別題…苦しい言い訳)…三十路最後のあがき作文…。
 朝霧小兎さまの「あさきゆめみし」へ献上しました。
 元々、このプロットは秋物を初夏物に描きなおしました。それ故か、上手く季節観の出る表現ができませんでした。秋なのか春なのか…。軽く長袖を羽織る時期ということでとらえて下さい。

 作中の「万金丹」はアニメ版の「傀儡茸」で出てきた早乙女家伝来の万能薬です。

 ついでながら、この作品、あかね視点の文章と乱馬視点の文章が交互に並んでいます。
 それぞれの視点で同じ作品を描くことは面白いので私もよくやるのですが、今回は、敢えて混合させて作文してみました。それぞれの心理描写を一つの流れに沿ってしっかり描きたかったからとってみた手法です。
 成功したのかそうでないのか…。皆さまのご判断にお任せいたします。

 尚、描写力は置いておいて、私としては久々に力が入った作品でもありました。書きながら妄想が留まるところを知らず。乱馬があかねを抱きしめる部分。作文しながら顔がほころんでしまって…。

 作文も、あかねより乱馬の描写を描いているのが一番楽しかったのは勿論で…



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