蜜月浪漫・創作ノート

 以下はこの作品のプロットとあとがきです。


テーマ

不器用な恋を永遠不朽変わらない愛情へと転化させてゆく二人のちょっと大人なストーリー。
陳腐なテレビドラマ的な仕立てで展開を引っ張ってゆく。
或いは一つのプロポーズもの。か?
あくまでも予定。


キャラクター設定

相原愛美(あいはらまなみ)
マナピーと言われているアイドル。
十六歳でデビューした業界の申し子。母は元アイドル、相原深雪。
二十歳になり、路線変更を図ろうとしている。だが、そのうちゲスト出演した格闘大会の試合にて乱馬にベタ惚れ。


相原深雪
母は二十二才で結婚。愛美を生んだ。
みゆみゆという愛称があった元アイドル。最強のアイドルと言われたが二十五才で人気タレント速水拡(はやみひろむ)と電撃結婚。その後、離婚し単身で愛実を育てた。
そのキャリアから女優業もこなしながら、娘をプロデュースしている。
娘の愛実が見初めた乱馬を婿として認めた。彼と娘を結婚させ、話題を持ち込み、己と同じように売り込んでこの業界へ生き残らせようと所属会社の社長と組んで画策する。


黒田社長
黒田企画の敏腕中年社長。深雪を掘り出し、育て上げた業界のドン。
深雪の提案で乱馬を取り込んでしまおうと思っている。
今、赤丸人気上昇中の「無差別格闘世界選手権」の仕掛け人でもある。その前行になった「無差別日本選手権」の試合で乱馬を見初める。彼を事務所に取り込もうとこれまた画策中。


水野春恵
黒田の秘書。愛美のマネージャーとして傍に付く。


ジャンジャック・マクローエン
格闘家。
アメリカで修行中の乱馬と何か一悶着あったらしい。
乱馬は彼を倒すために激しい修業を繰り返してきたと言っても過言ではない。
「無差別格闘世界選手権」にエントリーして乱馬と戦うことに。


橋倉
あかねの同僚。共に、プロジェクトチームを組み、新製品開発に意欲を燃やす。その中であかねに惹かれてゆく。果敢にアタックして玉砕・・・エピソード書けるかな?(←書けなかった、登場なし)


早乙女乱馬
二十歳になったとき、大学を中退して海外雄飛し修行。
「俺を信じて待っていろ。」とだけあかねに求愛して日本を離れた。
二十三歳の春、無差別格闘日本選手権にて衝撃デビューを飾る。
変身体質は解いている。
内心何を思ってるんだか(笑・・・ちゃんと考えてはいるらしい?

天道あかね
短期大学を優秀な成績で出て、某病院関係の栄養援助企業に就職。勤勉さと美貌を買われて、企画部へ配属。板倉と組みながら新製品開発に意欲を燃やしていたはずなのだが・・・。
乱馬の帰国とマスコミ騒動に巻き込まれながら、元々希望していたいた格闘への道の方へと再び駆け出すことに?

天道なびき
九能コーポレーションの敏腕女社長。
九能をこき使いながら、社会へと踊り出た。そのマネージメント能力でベンチャーとしてはかなりの年収を叩き出している。
黒田氏と彼女のビジネス一騎打ちも書きたい。

小乃かすみ
東風と結婚して別住まい。
おっとりとした中にも芯のあるところはそのまま。
なびきと共にあかねを炊きつける?
妊娠五ヵ月の妊婦さん。

小乃東風
かすみと結婚して少しはそのすちゃらかぶりは治ったか?
あかねを始めに匿うことになる。
ラスト付近にもご出演願う予定。

久遠寺右京
お好み焼きチェーン「うっちゃん」の経営者。
小夏と共に全国行脚して究極のお好み焼きを修業。練馬の本店に居を構えながらも、全国に五十店舗掲げるお好み焼きチェーン店を出店。
乱馬との許婚のことは本人きれいさっぱりと諦めたらしい。
今ではあかねの良き理解者でもある。

小夏
右京の傍らで彼女をサポートしながら店を切り盛りする。今や右京の右腕的存在に。
おねえ言葉と女装はなおらない(笑

雲竜良牙(響良牙)
あかりと結婚し、豚相撲を継承するトレーナーとして活躍中。
まだ変身体質は解いていないらしい。
乱馬の煮え切らない態度に激怒(?)
右京、なびきと共に企んであかねを炊きつけ、同時にあかねの格闘トレーナーを買って出る。

雲竜あかり(響あかり)
夫、良牙の後押しをしながら、あかねを助けてゆく。

天道早雲、早乙女玄馬、早乙女のどか・・・
いずれもさほど人格的には変わっていないので省略
早乙女夫婦は天道家には居候していない。
乱馬も都心マンションで一人暮らし中。

シャンプーとムース
中国へ帰国して結婚。子供もいるらしい。
格闘大会にムースがエントリーし、来日。
さてどうなるか?

白木蓮(マグノリア)
あかねのリングネーム。
素性を隠し、この名前でエントリー。
女子プロレスラーということで出場することに。
良牙の指導を受け、めきめき上達。

花木泰造
なにわ女子プロレススタジオの代表。
関西の元気なおっちゃんオーナー。


プロット

第一話 永すぎた春
 導入部
 乱馬に降りかかってきた問題とあかねの現況を描く

第二話 渦中の人
 あらぬことを書き立てるマスコミとそれを横目にほくそえむ人々を中心に展開。
 黒田社長と相原深雪の陰謀的企み。それは既成事実を作り上げて乱馬を追い込んで愛実と結婚させることだった。
 その中で元同級生のインタビューから足がつき、乱馬の許婚、あかねのことが発覚。天道家は大騒ぎに?
 
第三話 
 遂にあかねも騒動に巻き込まれマスコミに追われる羽目に。
 なびきは単身、乱馬の元へ乗り込む。乱馬の口から意外なことを聞き、彼女なりに一本何かをたくらむ事に。
 「過去の傷の一つや二つ、誰にでもあることです!」愛実の意味深発言に、マスコミの取材合戦はますますヒートしてゆく。
 あかねは東風の元へと匿われる。
 そしてそこでかすみに炊きつけられて遂にある決意を。
 会社を辞めたあかねは「無差別格闘世界選手権」にエントリーをすることになった。

第四話 遠い春
 あかねのコーチは良牙。
 雲竜家の豚相撲部屋であかねは特訓を受けることに。
 白木蓮(マグノリア)リングネームでエントリーした選手権。
 一方乱馬の胸中も複雑である。
 ジャンジャック・マクローエンがエントリーした。やっと対峙できると吐き出す。積年の想いが交差する。彼にとってジャンは宿敵とも言える相手だった。
 実は彼を倒すまではあかねにも会わないと心に誓っていた。右腕に残る傷。この傷をつけたジャンを倒すまでは帰らないと。

第五話 白木蓮
 選手権が始まった。
 裏でスポンサーとしてなびきが暗躍。エントリーを牛耳るというのだ。
 乱馬とあかねを決勝戦で闘わせるべく細工を試みた。
「後はあんたの頑張り具合ね。せいぜい決勝まで残れるように思案なさい。」
 あかねは白いマスクをした謎の女格闘家として登場。話題をさらい始める。
 乱馬もあかねも別ブロックで順調に勝ち進んでゆく。
 あかねはシャンプーと、乱馬はムースと宿命の対決をする。

第六話 甘い罠
 マスコミは日々激しさを増す大会の白熱した試合とその後の愛実と乱馬の恋を追うのに躍起になっていた。
 既成事実さえ作ってしまえばこちらのもの。相原親子は巧みに乱馬を誘き寄せた。
 計略にはまり込んだ乱馬は二人でホテルから出てくる場面をテレビに撮られてしまった。
 婚約発表は決勝の後かとマスコミは騒ぐ。
 乱馬は相変らず否定も肯定もしない。ただ、目前にある準決勝戦を前に静かだ。


第七話 愛と恩讐の果て
 あかねの戦いは無難に進む。
 それに対して乱馬対ジャンは激しい戦いになった。準決勝。
 事実上の決勝戦が始まった。乱馬は修業の旅で出会った女性、鈴澪の仇を討つために臨んだ。
 一度対峙したときは彼に打たれて沈んだ乱馬。
 戦いは激しさを増す。
 やっとのことでジャンに勝った乱馬。満身創痍になりながら、ジャンの本当の気持ちを聞き納得(?)する。哀しい恋の結末だった。

第八話 最後の砦
 翌日の決勝戦。
 愛実は愛夫となる乱馬の応援席に居た。細々と世話をし、気分はすっかり新妻。
 対するあかねは闘志を燃やしていた。
 昨日の戦いのダメージが残っていた乱馬だが、静かに決勝戦に臨んだ。
 そこに居る女性。
 激しい闘気があかねから弾けた。満身創痍の乱馬とは違い、あかねは元気に満ちている。
 また、良牙の授けた必殺技もある。
 絶対あんたを許さないんだから!・・・勝気なあかねは激しく動き回る。
 そして、戦いはいっそう激しさを増した。

第九話 蜜月浪漫
 負傷を追っていたにも関わらず、乱馬は最後にはあかねに勝った。
 飛竜昇天破の中にたたき出されたあかね。落ちてくる彼女を柔らかく抱き止めた。
 大歓声と共に愛実がローブを持って飛び出した。当然彼女へと勝利宣言すると思っていた観衆の目前で、乱馬は愛実には目もくれず、あかねを見詰めた。
 乱馬は対峙した相手があかねだととっくに気付いていたのだ。気を失ったあかねに柔らかい気を入れると、見開く目。
「たく・・・。おまえは昔から無茶ばかりする。」
 乱馬はマスクを引き千切る。その下から現れたのは愛する女。
「乱馬のバカ!」
 そう嘯いたあかね。
「バカはお互い様だ。信じて待ってろって言っただろうが。」
「何よっ!あたしのことをいつも後回しにして!」
「信じられたから俺はがんばれたんだ。俺はおまえを放す気は毛頭ねえ。どこかのバカが勝手に舞い上がっていたようだが・・・。」
 その柔らかな唇へ乱馬は己の口を重ねた。
 公衆の面前で合わせた唇。

「今この時からおまえは俺の妻だ。格闘家早乙女乱馬のな。この大観衆全てが証人だ。依存はあるまい?」
 リンクはスポットライトを浴び大歓声で盛り上がる。

 翌日、真っ白な花嫁衣裳を着けたあかねが乱馬を待っていた。
 なびきが予め用意してくれたものだった。
 今再び笑顔があかねを包む。目の前には逞しく成長した青年乱馬。

 共に歩く格闘人生の新たな始まりであった。




以上。




 所詮、私のプロットはこの程度です。(この作品は丁寧に作りこんでる方)
 このくらいの軽いプロットから、妄想を膨らませ、ラストに向かって突っ走るのがいつもの長編の書き方。
設計図というよりラフと言った方がしっくりくるでしょう。
これを下敷きに妄想を発展させて、話の細部を作り上げていきます。
書いてるうちにいい展開を思いつく場合も多く、時には話そのものが変わることしばしば。今回も書き上げたら結構内容が飛びまくり変わっておりました。

 実は最初に引いたプロットは「新婚家庭」が舞台だったのですが、あまりにやばい話になりそうなのでパス!
 今の私の技量では、新婚騒動で書くのは難しすぎると判断したからです。
 その段階で貢ぎ先に予定していた半官半民さんに投稿を取り下げてもらいました。(土下座)
 題名の「蜜月浪漫」も新婚が舞台設定だった名残です。
 いい名前が思いつかずに、最初投稿する予定だった半さんに「このままでいいんじゃないっすか?」と言われてあっさり決断。
 実は一之瀬さん、結構最初に題名から作ることが多いので、題名に詰まるとイメージが広がらず、先に進めないことも多々あるのです。
 
 プロットは昨夏から作っていたのですが、年明けごろから続きだした「パソコン禍」のせいで意識が途切れてほったらかしていたのを、一念発起して書き上げようと思い立ったのが20万目の十日ほど前。「SOLITARY」というこれまた書きかけで三年間おっぽっていた作品を書き上げてから再度一週間足らずで書き連ねたという暴走振り。
 短期で書き込んだ割にはまとまったのは、先に作っていたこのプロットのおかげかもしれません。

 この作品は正直かなり書きながら苦しみました。
 まずは乱馬の描写をどこから入れようかと悩みまくったのです。
 初期段階では二話くらいから挿入を試みていましたが、しっくりこず考え込むこと数度。
 己は乱馬サイドが大好きな乱あ書きだということをしっかり自覚し、また露呈させてしまった作品でもあります。
 白木蓮の案は、半さんのイラストから引っ張らせていただきました・・・「BORDER」22222御礼のあのプロレスラー乱あです。あのむきむきあかねちゃんを見たときに、この展開じゃあーっと舞い上がってしまったアホです。
 で、何故か「マグノリア」というリングネームが頭に浮かんだのも、あのイラストからだと言ったら半さん怒るかも(笑
 半家から落としてきたイラストを横に並べて、またにへらあーっと書いていたというのはここだけの話(公言しとるがな)。彼の絵は原作やアニメからかけ離れたテイストのタッチなのでありますが、一之瀬、何故か、そんな彼のイラストから妄想力を分けてもらうことが多いのです。
 そんな意味からも、本当は半家に出すべき創作だったのでしょうが・・・勢いで書いた20万記念に。

 この作品の二人は、或いはこんな延長戦がありえるのではないかという妄想の賜物です。結ばれるべき二つの魂は揺れながらも強固に引き合ってゆく。そんな願望妄想の典型作品かもしれません。

 第一稿を仕上げたとき、実は、十話構成でした。
 パソコン禍に続いて起こった「モデム禍」でネットに繋げず、作業できずという中、推敲して第二稿にしたとき、十話目が膨らんで、結局二話に分けることに。そうしたら十一話になってしまいました。乱馬とあかねの闘いを丁寧に書き込みたくなったのです。第一稿ではかなりさらっと流して書いていました。
 実はこの第二稿の段階で某所でたまたまログをつき合わせた、相棒、半さんに読んでいただきました。まだ納得がいかずこれを決定稿にするのに迷っていたからです。
 彼からは読んだ先に、率直な感想をいただきました。気にしていた部分をずばりと露呈させてくださったのです。
 半さんに指摘されるまでもなく「乱馬の心境と格闘シーンの掘り下げ方が足らない!」と私も思っていました。半さんには短い数行の感想の中に、それを解決する糸口までいただきました。やっぱり福岡方面には足を向けて寝られないと(笑
 第三稿(決定稿)を仕上げたら今度は十二話に膨らんでしまいました。第三稿は後半部の乱馬のエピソードを中心に手を入れました。
 私自身も書きながら、この辺り、乱馬の描写が足らなくて、ずっと引っかかっていたのです。 
 でも、どこでどう乱馬の描写を入れてゆくか、最後の最後まで悩みました。情感を壊さない描写を突っ込めるだけ、まだ力が足りないなあと反省点もちらほら。

 結果的には半さんの貴重な助言で、何とか二人の本気が伝わるような作品に仕上がったように思います。
 短時間で書いた割にはまとまったかも、と勝手に悦に入っております。自己満足がなかったら文章なんて書けないのよっと(笑

 半さんの感想では「幽石」という非公開のまだ途中でおっぽってるR作品の乱馬に似ているとか…。本当は「絆(KIZUNA)」の乱馬と同一線上にあるのです。同じ根っこから引っ張って生まれたプロットでした。(「幽石」もやっとプロットが組みあがったので近く最終話まで突っ走って書きおろす予定です。但し、作品の性質上、「呪泉洞」での公開はありません。
 もう一本、「蒼い月」「紅い太陽」という結婚前を描いている途中のシリーズがありますが、そちらの二人とは違います。これも、秋には再開させたいと思っています。早雲さんと乱馬の対決をそろそろ迫力出して描けるだけ、力がついてきたかな?


 乱あの文章作品を書くのが好きで溜まらんというだけで突っ走っている創作サイトではありますが、今後も、乱馬とあかねの風景をいろんな切片から書き連ねて楽しみたいと思っています。
 おかげさまで投稿サイトとしても安定してきました。
 私も書いてみたい、こんな話を思いついた。というものがありましたら是非、皆様も作品に仕上げてみてくださいませ。
 但し、はまったら抜けられなくなるかもしれませんが(笑
 投稿規程を満たした作品は、積極的に掲載させていただきます。



 十万ヒットから約一年数ヶ月。牛歩のような歩みのサイトではありますが。三十万はどんな作品が飛び出してくるやら?(書くかどうかはこの際置いておいて…)

 これからも、呪泉洞をよろしくお願い申し上げあとがきとさせていただきます。

 2003年6月吉日 呪泉洞管理人・一之瀬けいこ 拝



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