アドベンチャーランド編  その2

三、
 
 さて、乱馬たちより遅れてインパークした天道早雲、かすみ、なびき親子、早乙女玄馬、のどか夫妻、八宝斎と東風先生、そしてスポンサーの九能帯刀。いずれも一筋縄ではいかない強烈な個性の塊だった、
 乱馬とあかねを監視するという名目は持っていた物の、九能以外の面子は、そんなことどうだって良かった。
 
 TDLに行ってみたい…他人様の資金なら言う事なし!
 
 なびきばかりでなく、天道家の面々は皆、同じ思いだったと思われる。
 それでも、無事にゲートを潜り抜けられるまでは、スポンサーの九能の手前、単独行動は極力控えていたのは奇跡に近かったかもしれない。しかし、一度、インパークしてしまうと、多分に洩れず、豹変した。
 早雲と玄馬、かすみと東風とのどか、なびきと九能、といったような組み合せになり、いいようにバラけてしまったのだった。八宝斎は勝手に一人、何処かへ行ってしまった。大方、女の子をナンパしにでもかかっているのだろう。
 広いTDLの敷地では、乱馬とあかねを見つけ出すのは容易なことではないことは明かだ。
 天道家の面々は、はじめから、二人を探すつもりではなかったようで、各々勝手に動き始めた。
 なびきは嫌がる九能をムリヤリ自分のペースにはめながら、TDLの休日をちゃっかり全て九能のおごりで楽しむつもりでいるようだった。
「うおー、天道あかねはどこだーっ?」
 唸る九能を、
「はいはい、こっちに行ってみましょうね…さあさあ、」
 と、腕を掴んで自分の思うところに連れ出して行った。なお、この場に臨んで、九能はいつもの袴姿だったことを付け加えておこう…。
 もちろん、この一行のほかに、久遠寺右京と小夏、紅つばさの三人組とシャンプー、ムース、コロン婆さんの三人組、九能小太刀とお庭番の佐助の二人組、そして五寸釘光の不気味な連れなし独り組が、虎視眈々と、乱馬とあかねのデート阻止に燃えながらインパークし終わっていた。
 独り、響良牙だけは、相も変わらず浦安周辺を迷子になりながらTDLを求めてさまよい続けていたことを付け加えて置かなければならないが…。
 
 乱馬たちとて、まさか、この場所にまで、家族や厄介な連中がやって来ているとは露も知らずにいた。
 各々が、様々な思いを秘めて、あかねとの仲をあわよくば引き裂いてやろうと目論んでいることなども知る由がなかったのだった。
 
 カリブの海賊を出てしまうと、また、いつもの距離に戻って、くっつくでもなく、離れるでもなく、一定の距離を保ちながら、並んで歩く二人に戻っていた。
 ロイヤルストリートと名付けられた古き良き時代のアメリカ南部の街並みを抜けて、一行はウエスタンリバー鉄道の前の広場へとやって来た。
「次はウエスタンリバー鉄道に乗ってみようか。」
 ゆかの提案で、一行は階段を上って丁度停車していた蒸気機関車に乗ることにした。
「へえ、本格的に蒸気をあげてるぜ。この列車…。」
 ゆかが導くままに、一行は列車の連結の後部の方に陣取る。彼女に寄れば、出口が後部にあるそうで、込み始めると後ろの座席の方が、早く出ることができるらしい。
「空いてるから分散して乗りましょ。ほら、右側になる奥の方が眺めがいいの。」
「細けえな…。」
 乱馬はゆかのウンチクに苦笑しながら呟いた。
 実際ゆかの言ったように、右側の方が眺めがいい。それでも、クリッターカントリーができてから、左側も随分眺めが良くなったようだが…。
 
「この鉄道はね、パークの終了時刻が一日の最終便なのよ。つまり、十時閉園だったらその時間にここを発車する訳。最後の最後まで パークを楽しみたかったら、最後にこれに乗るのが通なのよ。」(※今はどうなんでしょうね…作者が通ってた頃はそうだったんですが…)
「じゃあ、閉園時間をすぎても、これに乗れば少し得した気分で遊べるんだ…。」
 さゆりが意外そうに聞き返した。
「そうよ、これだけ広いパークですもの。閉園時間だからってやいそれ追い出すような無粋なことはしないのよ。」
 とゆか。
「ふーん、そんなものなんだ。」
 とあかね。
 鮮やかな赤い色をしたアイアンホースと呼ばれる蒸気機関車はオープンになっていて、風を受けて走り始める。
 機関車には赤いコロラド号とリオ=グランデ号、そして、緑のミズーリ号と青いミシシッピ号の4種類が走っている。それぞれアメリカ合衆国の代表的な川の名前がついている。混み合った時間帯だと、4種類全部にお目にかかれるが、平日の朝早い時間だと20分おきくらいで1〜2台しか運行されていない。
 ウォルト・ディズニーは蒸気機関車になみなみならぬ情熱をもっていたことは良く知られている。彼は自宅の庭に線路を敷き、「リリ=ベル号」(※愛妻のお名前だそうです)という1/8模型の蒸気機関車を走らせていたほどだ。彼自身、在世中、このウエスタンリバー鉄道のアトラクションをこよなく愛していたという。
 この鉄道に乗らずして、ディズニーランドを語ることなかれ〜というのが通の常識かもしれない。
 
 煙を棚引かせながら、蒸気機関車は情緒たっぷりに走って行く。
 アドベンチャーランドのジャングルクルーズの横をすり抜け、廃墟となった駅を通過し、機関車はゆっくりと走行をする。
 頬をなでる風が心地よかった。新緑の清々しい空気が流れてゆく。
 インデアンの村や燃え盛る小屋や小動物たちが覗く岩山など、そこここに作られた車窓が広がる。
「わあ、大っきな蒸気船。カヌーまで浮かんでる。」
 隣のあかねはきゃっきゃっと声を発している。無邪気なものだと乱馬は思わず笑みがこぼれかけるが、なんだか気恥ずかしくてぐっと堪えた。クリッターカントリーを抜けた時、
「あれ?」
 乱馬は下を行き交う人波を見て思わず声を漏らした。
「どうしたの?」
 あかねが怪訝そうに乱馬を覗くと、
「あ、いや、九能がいたように見えたんだけど…。」
「九能先輩が?」
 あかねは乱馬と下を見てそれらしい人影を探したが見当たらなかった。
「なびきもいたような…。」
「おねえちゃんが?まさか…来るなんて一言も言ってなかったけど。」
「まさかなあ…いや、案外、来てるかも知れねーぜ、皆一緒によう。」
 乱馬は何故かそんな気がし始めた。
 だいたい、出てくるとき、何の詮索もなく、家族皆が不自然な感じだったと、思い起こされたのだ。
「いやあな予感がしてきたぜ…。」
 思わず乱馬は苦笑する。
…となれば、尚更、あかねとベタベタなんてできっこねえな…
 別に下心があった訳ではないが、出来ればこんな豊かな休日を誰にも邪魔されたくはない…というのが乱馬の正直な心情だった。
…おそらく、あかねも同じこと考えてるんじゃあねえのかな…。
 下の風景にしきりに目を凝らしながら、九能やなびきの影を探すあかねの横顔に目を転じながら、乱馬は少し不安になった。
「気に病んでも仕方ねーっ…か。楽しまなきゃな…せっかく二人で出てきたんだし。」
 声にならないくらいの囁きであかねの耳元で呟いた。
「なに?」
「あ、いや、別に…何でもない」
 うっかり滑った本心に焦りながら乱馬はまた、黙ってしまった。
 
 機関車はビックサンダーマウンテンが右手に広がる所に差し掛かった。。
「うへっ。ものすげえジェットコースターが走ってるぜ。」
 乱馬が声を発した。
 
 しゅしゅしゅしゅ…ぽぽぽぽーっ…ごごごごご…・かたかたかた…
 
 隣の山を物凄い勢いで走って行く小型の蒸気機関車型の乗り物が目に入って来た。
 乗っている人達は「きゃーきゃー」言いながらしがみついているのが見える。
「すごいーっ、楽しそう。ねえねえ、あとで乗ろうよ。」
 あかねがワクワクしながら指差す。
「……。」
 乱馬はそれには返事をしない。
「あんた、ひょっとして怖いの?」
 あかねは黙ったままの乱馬のスネをつついてみた。
「バカ言えっ!怖いわけねえだろっ。」
 とか言いながらも、強ばった顔をしているのがあかねにはムショウに可笑しかった。
「じゃあ、一緒に乗ってよね…。」
 くすくす笑いながらあかねが囁く。
 正直、乱馬はジェットコースター類は苦手なほうだった。というより、殆ど遊園地など足を踏み入れたことのない彼にとって、「慣れていない」と表現した方が良かったかもしれない。案外、臆病な部分も持ち合わせているようだった。
 しかし、あかねの手前、ここは
「ああ。」
 としか答えるしかない乱馬だった。
 反対に、あかねはというと、こういった乗り物は平気というより、好きなほうだと言ってよかった。風を身体中いっぱいで受けながら滑り落ちる爽快感は慣れると快感になるものだ。
 場末の遊園地なら、このようなアトラクションは値段がとてつもなく高く、一回乗れれば良い方だが、幸い今日はどうやらTDLもそこそこすいている。上手くいけば、何度も繰り返して乗れるかもしれない…乱馬と違ってあかねはそんなことを考えていた。
 
 機関車はトンネルに差し掛かった。
 トンネル内で、蒸気の独特な匂いが逆巻いている。
「なんだ?」
 突然右手に原始の風景が照らし出される。
「恐竜か?」
「へえ、手が込んでるわね。」
 火山の噴火の風景や恐竜たちが唸り声を上げている。
 ナンだか良く分らない展開に度肝を抜かれながらも、トンネルを抜けるとそこは、もう駅舎だった。
 カンカンカンカン…鐘を鳴らしながら、蒸気機関車はプラットホームに滑り込んだ。
 
「ホントは夜に乗ったほうが情緒があっていいのよ…また、日が暮れてから乗りに来ようね。」
と降り際にゆかが言った。
 
 
四、
 
「今度は、ジャングルクルーズよ。」
 ウエスタンリバー鉄道の駅舎の下に入り口があるジャングルクルーズに一行は移動する。
 乗り場は左右二つに仕切られていて、ゆかによれば左側の列に付いた方が少し早く乗船できるというのだが、真意の程は定かではない。今日は、まだ人が少なかったので、そう待たすに乗船することができた。
 少し前まではジャングルクルーズの船長さん(スキッパー)といえば、元気のいいお兄さんたちと決まっていたが、最近ではお姉さんも船長役を買って出るようになった。いずれもジャングル探検ルックに身を固めにこやかに案内してくれるのだ。
「うへっ!なんか水場の乗り物がやたらに多いなあ…。」
 乱馬は座席をまたいで船に乗りながら思わす口にした。
 彼にしてみれば「水」は身体の変身を促す元凶だったから、こんな日は、できれば近寄りたくないのである。
 最後の二人が乗り終わると、キャストが外してあった座席をセットし、準備は完了だ。
「みなさん、こんにちはー。」
 マイク片手に船長さんがにこやかに話しはじめる。
 慣れたもので、ゲストたちの顔を見ながら面白、おかしくガイドをすすめてゆくのだ。
 エンジンの音が高鳴り、いよいよ船は乗り場を離れ始めた。
「これから、探検に出掛けますが、無事に帰って来られますかどうか…見送りの皆さんに手を振りましょう…はいっ、バイバーイっ!!…・誰も気が付きません。」
 このような決まり文句からジャングルクルーズは出発する。
 
 ボートは南米の秘境アマゾン川からアフリカのナイル川、そしてアジアのイワラジ川へとポイントを移し、船長さんのガイドを楽しみながら進んでゆくアトラクションだ。
 カリブの海賊と同様に「オーディオ=アニマトロニクス」と呼び称される、音(オーディオ)、動き(アニメーション)、電子工学(アニマトロニクス)を駆使して作り上げられた人形がそこここに配備されているのだ。
 もともと、ウォルト・ディズニーはカリフォルニアに最初のディズニーランドを作った時、本物の動物を連れてきてこのアトラクションに配備することを考えていたという。しかし、本物の動物では昼間は眠っていたり、思うような動きをしてくれなかったりする。そこで、当時の最高の技術を駆使した人形たちの出番となった訳だ。
 動物たちは本物ではなかったが、情緒だけはたっぷりとあった。
 
 ボートは水ごけの茂る川をどんどんと遡って行った。
 大きなアフリカ象が2匹。
「象もかみさんが怖いんですね…。」
 などとガイドが言う。
「動物もカカア殿下かな…。まるで俺の未来を見ているような…」
 乱馬は苦笑する。
「何ですって?」
「あ、いや、何でもない…。」
 大きな探検隊のジプシーが横倒しになっている。
 その周りには動物がうようよ。
 と、
「あれ…。」
 あかねがある方向をし切りに指差した。
「ん?」
 言われるままに、あかねの指先を見て、乱馬は度肝を抜かれた。
「お、おやじ…。」
 サイに追い掛けられて逃げ惑う探検隊員に混じって、なんと、パンダが椰子の木に登っているではないか…。
 よく見ると傍らに早雲も侍っていた。
「アフリカの川にパンダなんていたっけ?」
 ボートの中が急に騒がしくなった。
「あかね…あれ、あんたんところの…。」
 さゆりが話し掛けてくる。
「いつの間にアンなところに…やっぱり皆で着いて来てやがったんだなっ!」
 ボートが通り際に、パンダはいつもの看板を乱馬たちに出して見せた。
『よっ!ご両人!』
 顔は明らかに「からかいの表情」をしていた。
 
「チッキショー親父の野郎…。」
 乱馬はわなわな震えていたが
「他人のフリしてなさいよ…恥ずかしいから。」
 あかねが傍で耳打ちした。
 血の気の多い乱馬を引き留めておかないと、折角二人で居る意味がなくなってしまう。あかねなりに必死だった。
 乱馬はナンとか玄馬パンダを無視することに始終した。ここで、飛び出したら羞恥の目が自分に向けられるのは確かだったろうし、あかねに言われて他人のフリをしていれば波風もたたない。
 ただ、振り返りザマに、乱馬は思いっきり玄馬に向かってアカンベーをした。
 
 とその時、カバが大口を開けて迫ってくるのが見えた。
 人形と分っていても、思わず驚いた。
パーンッ!
 火薬の匂いがした。
 見ると船長さんがカバに向かって発射している。
 カバは水飛沫(みずしぶき)を上げて、水の中に潜ってゆくように作られている。
「あー、びっくりした。」
 乱馬は思わず声を上げそうになった。
 カバたちの沢を抜けると、大きく湾曲して、今度は岩山に向かってボートは突進して行くように見えた。
 ぶつからないことは分っていても、ゲストたちは一緒に悲鳴を上げてみせる。
 それが一体感となって、更にクルーズのアトラクションを楽しく盛り上げる。
 
 でも…
 
 そう、水飛沫が乱馬たちにかかったのだ。
 どうなるか…。
 次の瞬間乱馬は女に変身を遂げていた。
 
「ちめてーっ!!」
 
 思わず声を上げた。
 毎度まいどのことながら、ちょっとした水に身体が反応して変身してしまうのが情けなかった。
 一緒にクルーズしていた人達は、今まで男と思っていたのに、突然女の子が登場したことに、皆、一様に驚いていた。
 無理も無い。
 ちょっとした沈黙がボートの中を支配した。
「やっべー。」
 らんまは冷汗が流れた。
 船長など、次の台詞を忘れ掛けていたほどだ。
 都合のいいことに、ちょうど、その時、船は暗がりの洞窟の中に入って行った。
 イワラジ川の遺跡の洞穴だ。
 ひんやりとした空気が一同を包み込む。
 あかねは今だとかばんから、咄嗟に水筒を取り出して、らんまの頭の上からぶっ掛ける。
「あっちーっ!なにしやがんでぃっ!!」
 乱馬は溜まらず声を上げた。
「しっ!男に戻したのよ。」
 あかねは耳元で囁く。
「熱湯かけんなよ。火傷するじゃネエか。」
「そんな柔な肌して無いでしょうがっ!!」
 身体から湯気が上がっているような気がした。
 
 熱かったとはいえ、あかねの気転で元通り男に戻った乱馬を、周りの人々は不思議そうに眺めていたが、事無きを得たのだった。
 船長も首を傾げていたが、気を取り直して再びマイクを持ち、一行を案内し始める。
 
 暗がりから抜けるとそこはインド象の水のみ場だった。
 傍らの象が水を浴びせ掛けてくるそぶりを見せた。
「わっ!また水が!!」
 思わず、身をすくませる乱馬。
 でも、よく出来たもので、人形の浴びせる水は、そこへボートが通りかかるとすぐに止んだ。
 避ける動作をしながらも、乱馬はホッとした表情になった。
「臆病なんだから…。」
 横であかねがくすくす笑った。
「しょうがねえだろ。あんまり事情を知らない人が居るところで変身なんてしたら驚異の目で見られるに決まってんだから。」
 
 ボートはようやく船着場に戻ってきた。
 一行は揚々とボートから降りて、また喧騒の中へと戻ってゆく。
「はー、参ったなあ…アンな所で親父を見掛けるとは思わなかったし、変身しちまうとも思わなかったぜ…。洞窟があって助かったよな…。」
「ほんと、きっとお姉ちゃん達も来てるわね…まあ、こんなに広いパークの中じゃあ、そうそう鉢合わせになることも無いとは思うけど…。」
「そうだな、気にしてたってしょうがネエもんな。」
目を合わせて、二人ともふふっと笑い合った。
「でもよお、今度からお湯をかける時は断わってからやってくれよな。」
「何よ、必死だったから仕方ないでしょ。こっちだって一所懸命やってあげたんだから。」
「ふん、そうやって恩を売ろうとする…。」
「ホント、手間がかかる体質なんだから…。」
「しょうがネエだろ、好きで変身してる訳じゃあネエし!」
「どうだかっ!」
「ナンだって?」
「何よっ!」
 
 雲行きが悪くなってきた。
 この二人はどこにいても、痴話喧嘩を始めてしまう。

「いい加減にしたら?乱馬くん、あかね。」
「あんた達って仲が良すぎるのね…。」
「ホントホント。夫婦喧嘩は犬も食わネエって言うしな。」
「相手あっての喧嘩だもんな…。」
友人達の呆れた言葉に、乱馬もあかねも黙ってしまった。

 さて、一行はチキルームにさしかかった。
「ちょっとあれ…。」
  ゆかがチキルームの方を指して言った。
「げっ!」
 なんと、チキルームの屋根の上に、見覚えのある影があったのだ。
 それは。
 それは、ウクレレを片手に機嫌よく好き勝手に歌っている、九能校長だった…。
「なんで、あいつがこんな所にいるんだよ…。」
 乱馬は吐き出した。
「見つからないように、そっとあっちへ抜けましょ…」
「だな…」
 一行はチキルームには目もくれず、横の通路を抜けてウエスタンランドの方向へ向かって歩き始めた。
「でもよ、バカ校長が居るってことは…」
 ひろしが一同に話し掛けると
「やめやめ。話してたらきり無いゼ。折角、こんな楽しいところに居るんだから、嫌なこと考えるのはよそうぜ。」
 と、乱馬がひろしの懸念を打ち消すように言い放つ。
「ふーん、楽しいところねえ…乗ってきたのね?早乙乱馬くん♪」
 ゆかが乱馬を覗き込んで言った。
「うるせー!」
 そう言ったきり、また黙ってうつむいてしまう乱馬だった。

…乱馬なりに楽しんでるんだ。誘って来て良かった。
 あかねは乱馬の言葉に心が透き通ってゆくのを感じていた。
 
 一行は、九能校長に見つかることなく、無事にウエスタンランドに辿りついた。



つづく




一口ガイド(けいこ)
あ〜薄い記憶を辿るのも楽じゃあないなあ(苦笑
私としては閉園時間寸前にアドベンチャーランドをウロつくのがいいと思うんですが…
ジャングルクルーズのノリ具合は閉園前はピカイチですからねえ…

魅惑のチキルーム飛ばしたのは、単にリニューアルしてからを知らないという作者の事情があったりして(^^;>ひえ〜

スイスファミリーツリーハウスも外してます。こちらは眺めが抜群です〜でも、花火はあまり見えないからね(^^;
ここに登ると我家では何故だかいつもトイレに行きたがった奴が一人…(幼き日のひろ兄(息子)です)

ジャングルクルーズの終盤に右手に見えるポリネシアンテラス・レストランは夜は予約制です。
予約はアドベンチャーランドのチケットブースにてできます。
日によっては早々に席が無くなりますから早めに予約をとりましょうね♪
ミッキーの活躍しているショーを見ながらディナーが楽しめます。
提供はキッコーマンだったけかな…

私のオススメは「スクウィーザーズ・トロピカル・ジュースバー」ですね。
ここのドールホイップというシャーベット風のアイスクリームは美味です。是非お試しあれ♪

あとやはり割愛してますが、アドベンチャーランド・ステージのショーもオススメです。
私は現在上演中のものは知りませんが、通ってた頃は毎回楽しいステージを家族で楽しんでいました。
所要時間は20分くらいかな…青空の下なので雨天時は中止になります。

トイレですが、アドベンにあるトイレは比較的混み合います(女性用ね)、余裕を持ってのぞみましょう。
チキルームの中のトイレはすいてます…存在を知らない人が多いみたい…待ち時間に済ます手も


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