登場人物一覧
☆印はらんま的人物からの転化
○印はオリジナルな創作人物。
◇印は実在の歴史的人物。
カッコ内は630年の年令

第一部
響氏
☆乱馬…早乙女乱馬(21歳)
常陸国響の邑里、響雲斎の嫡男。
だが、本当は、漢皇子と長閑郎女の間に生まれた男子。
長閑郎女は舒明帝の妃として参内していたために不義の子として生れ落ちるや否や東国へ流された。

☆良牙…響良牙(21歳)
響雲牙の嫡男。
乱馬とは従兄ということになるが、血の繋がりは無い。
乱馬の幼馴染みであり良き理解者でもあった。
雲竜氏の娘、明郎女と結婚。

○響雲斎
乱馬の育ての父。
響氏の族長。
異母弟、響雲牙の謀略にはまって、毒殺。享年四十五歳。

○響雲牙
良牙の父。
響氏ではナンバーツーの位置に居たが、可崘の姦計にはまって、異母兄の響雲斎を毒殺。その後、そのまま族長になった。

○響銀英
乱馬の育ての母。
幼子をなくし、止らぬ乳で乱馬をひきとり育てた。
乱馬が成人するや否や病死。


天道氏
☆天道早雲…天道早雲(40歳前後)
天道氏の族長。常陸国の国司として都より東征してきた。
子孫は女性ばかりであった。

○天道青雲
天道氏の先の族長。早雲の父、あかねたちの祖父。
長閑郎女を早雲の後添えにと引き取った。が、すぐに病死。

☆天道茜郎女(あかね)…天道あかね(16歳)
天道氏の弟媛。三人姉妹の末っ子らしい。
男勝りで勝気。かがひで乱馬に見初められる。
その後、乱馬と結婚の約束をする。

☆天道靡郎女(なびき)…天道なびき(17歳)
あかねの同母姉。一つ上らしい。
さばさばした性格。あかねの理解者でもあるらしい。
九能と結婚する。

☆斎媛・長閑郎女(のどか)…早乙女のどか(35歳前後)
乱馬の生母。
蘇我蝦夷の娘。舒明帝へ政略結婚させられて参内。だが、漢皇子と深く愛し合っており、不義密通して乱馬を生んだ。その後、すぐ乱馬とは引き離されて生き別れに。
その後、天道青雲に引き取られて、天道氏の斎媛として巫女的な役割を担っている。

☆◇漢皇子(あやのおうじ)…早乙女玄馬(40歳前後)
斉明女帝、及び用明帝の孫(一説には用明帝の子とも)の高向王(たかむくのおおきみ)の間に生まれた男子。本来、父親が天皇でなければ「皇子」の称号は与えられないが、母親の斉明女帝が即位したので「日本書紀」には「皇子」として明記されている。
なお、「日本書紀」には名前の羅列以外の記載はない。夭逝したらしい。

その他
☆九能の若…九能帯刀(20歳前後)
常陸国の大豪族九能氏嫡男。その傍若無人さは一族の威を借りている。
茜郎女に恋慕し、彼女を手に入れようと姦計を練る。

☆佐助…葉隠佐助
帯刀の従者。

☆可崘(コロン)(60歳前後)
唐国からきた道士の長。
大和朝廷へ密偵として唐から派遣され、いろいろ姦計を企てる。
乱馬の力を認めた。


第二部
乱馬配下
○千文(ちふみ)(14歳)
鷹麻呂の配下に居た少年。十四歳前後。
スリなどのチンピラであったが、乱馬に拾われる。
その後、乱馬の身辺を世話しながらその片腕へと育っていく。
出自は「万葉集」の歌人。

○砺波の爺(60歳前後)
西方へ遠征中、乱馬の元へいつの間にかくっついてくるようになった爺さん。千文と共に乱馬の世話を焼く。
が、その実態は、漢皇子の古い家人。乱馬の成長を影から見守っていたらしい。


実在の歴史的人物
◇大海人皇子(30歳)
舒明帝と斉明女帝の間に生まれた第二皇子。壬申の乱を経て、天武帝として飛鳥に即位。正妃は鵜野讃良皇女(のちの持統女帝)。
本作では、通説に準じ、葛城皇子の同母弟として、乱馬と出合った六六〇年は彼が三十歳くらいと設定。
創作上は乱馬の主。質実剛健で当時最先端であった五行の知識も持ち合わせている。

◇葛城皇子(中大兄皇子)(34歳)
舒明帝と斉明女帝の間に生まれた第一皇子。斉明女帝亡き後、長い摂政時代を経て、即位。正妃は倭姫王。
本作では、通称の「中大兄皇子」ではなく本名の「葛城皇子」と称する。
626年生まれ(推古36年)。

◇斉明女帝(皇祖母尊)(60歳)
舒明天皇(593?〜641)の正妃。夫帝の死後、皇極帝として即位するも、大化の改新後に孝徳帝に帝位を譲って一度退位したが、孝徳帝の死後、再び重祚した。葛城皇子、大海人皇子の実母であるが、舒明妃になる前、高向王に嫁して「漢皇子(玄馬)」を産んでいる。従って、本作では乱馬の祖母となる。九州へ行幸して後、彼の地で崩御した661年に61歳と記述がある「帝王編年記」説の年令を比定して創作。

◇額田王(30歳前後)
大海人皇子の嬪。一女「十市皇女」を儲けている。その後、請われて「斉明女帝」へ仕える。恐らく巫女(ふじょ)的能力が高かったと思われる。唐でいう「美女」的な役職を担っていたと思われる。
本作では斉明女帝の傍に仕える、高級官僚的巫女として扱う。作品内時代では大海人皇子との婚姻生活を解除している。
後に、葛城皇子にも召されたらしい。

◇阿倍比羅夫
 大和朝廷の将軍。大和朝廷の東征の折に活躍。他にも阿雲比羅夫という別の将軍も居て、比羅夫は当時良く使われた名前であったと考えられる。

◇中臣鎌足(藤原鎌足)(46歳)
平安期に栄華を誇った大貴族、藤原氏の始祖。
蘇我入鹿を謀殺した「乙巳の変」の後、「大化の改新」を中大兄皇子共々成した。
藤原という名前は死の直前に天智帝から賜ったのが通説なので、作中表記は「中臣鎌足」。または役職の「内臣 (うちつおみ)」
また、作中では長閑郎女から赤子であった乱馬を引き離した張本人として扱っている。


その他
☆沐絲(20歳前後)

唐国から来た道士の一人。可崘の配下。
珊璞を想っている。
何かと策略を用いて、乱馬と敵対する。

☆珊璞(18歳前後)
唐国から来た道士。可崘の孫娘。
可崘は彼女を乱馬と見合わせようと試みる。
命を狙いながら乱馬と対決。以後、乱馬を愛するようになり、子種を貰おうと虎視眈々と狙っている。

☆小乃東風(30歳前後)
百済系の帰化人で卜占に長けた「五行博士」。易だけではなく、医薬にも優れた能力を持っている。大海人皇子に仕えている。
霞郎女という妻が居る。

○黒麻呂(40歳前後)
五行博士。葛城皇子に帰依して様々な占いごとをする。唐から帰化した。可崘と通じているようで、いろいろと乱馬に絡んでいく。
高向玄理(たかむこのげんり)をモデルに作ったオリジナル人物。


第三部
邇磨の海賊

○吉備津直人(25歳前後)
邇磨の海賊、玄馬の配下。若き海賊の中ではリーダー的存在。乱馬とさしで勝負した後、彼に惹かれて好意的になる。モデルは半官半民氏。
後に阿多氏の穂織と懇意になる。

○岩麻呂(30歳前後)
邇磨の海賊、玄馬の配下。怪力の持ち主で、乱馬と相撲勝負した。沐絲と通じ、乱馬を滅っそうと卑怯な手を使う。

第四部
○石英
良牙の生母、響雲牙の正妻。

☆雲竜明郎女(あかり)…雲竜あかり
良牙の妻。響の郷から程近い、雲竜の郷の長の娘。良牙は筑波山のかがひで見初め妻とした。なお、身重である。

○雲竜勝麻呂
明郎女の兄。武人として、朝廷の徴兵に応じ、西征に出る。


第五部
○狗留須猛(40歳前後)

謎多き日向の海部の長。モデルは熊襲の「カワカミタケル」(クマソタケル)。
実は、筑紫島全体に知れ渡る武人であり、船乗りでもある。後半部重要な位置を占めてくる。(と思われる。)

実在の歴史的人物
◇倭媛王
葛城皇子の適妻。つまり、正妃。
父親は蘇我氏の血を受けた古人大兄皇子。母は未詳。葛城皇子との間に、子を儲けたという記録は無い。

○(阿多)穂照
阿多氏の長、彦穂の嫡子の一人。双子の兄。
獰猛で女好き。智より腕力に頼るタイプの海部。
モデルは「火照命」(海幸彦)。

○(阿多)穂織
阿多氏の長、彦穂の嫡子の一人。双子の弟。
勇猛果敢であるが、思慮深い面もある。吉備津直人と意気投合。
モデルは「火遠理命」(山幸彦)。

(C)2007 Ichinose Keiko