寝相に関する考察
第二話 あかねのつぶやき



 晩秋の夕暮れはつるべ落とし。
 そんな言葉がしっくりくるように、日没が早くなったと思う。三時を回れば、太陽の光が弱くなり、斜陽を感じるようになる。

「ただいまー!」

 あたしが、大学から帰ってきて、門扉を開くと、途端、ぶわっと、五、六匹の猫が、一斉に駆け出していった。一様に目は血走り、何かに恐れをなしたかのように。
 猫の大失踪。ということは…。
 恐る恐る、庭へと回ってみると、案の定だった。
 辺りには、落葉が、思いっきり散らばっている。それだけではない。植木の幹には何本ものひっかいた爪痕。それから、割れた植木鉢がいくつか。そのままの状態で、転がっている。荒れ放題の庭。その真ん中を乱馬が、自由奔放に駆け巡っていた。
 どうやら、猫に恐れをなして、自ら猫化してしまったようだった。
 乱馬は猫が嫌いだ。嫌いだけなら、まだいいのだが、怖いらしい。
 なんでも、早乙女のおじさまが、彼に猫拳を教え込むのに、無謀な修行をやらかして、おびただしい猫に囲まれ続けた結果、恐怖心を抱くようになったそうだ。嫌いなら嫌い。近寄らなければいいのだけれど、猫はいっぱい、かっ歩している。野良も飼い猫も、比較的自由に、道を往来しているのだ。
 猫を街角で見かけただけでも、あたしの背中に隠れるような乱馬。怯え切ってしまう。それだけなら、可愛いとか思えるのだろうけれど。その恐怖心が、時たま爆発して、「猫拳使い」に変化してしまうから、性質が悪い。
 そう、猫への恐怖心が許容範囲を超えると、プッツンと精神の糸が切れて、自ら「猫」と化してしまうのだった。

 玄関へ戻って、引き戸を開き、三和土を上がる。
「おかえりなさい、待っていたのよ、あかねちゃん。」
 トタトタと奥から足音が響いて来て、かすみお姉ちゃんがこまねきする。
「乱馬、猫化しちゃったのね?」
 靴を脱ぎながら、問いかけると、コクンとお姉ちゃんの頭が縦に揺れた。
「で?今回は何があったの?」
 かすみお姉ちゃんへ、まず、状況の確認をする。
 珊璞が猫化して、オス猫をたくさん引き連れて飛び込んで来たとか…。言わないでよね。
 たまに、あるのよね。珊璞が数多のオス猫を連れて、天道家(うち)に雪崩こんでくることが。
 珊璞は変身しても美猫だから、目が離せないとか、沐絲も愚痴っていることが良く有るから。
「今回は、珊璞ちゃんがらみじゃじゃないわ。」
 と、かすみお姉ちゃんが、あたしの問いかけに、すっと答えた。
 っとと…珊璞がらみだと嫌だって、一瞬思ったこと、お姉ちゃんに伝わっちゃったかなぁ。
「今回はね…お父さんたちが…。」
「お父さんたち?」
「ええ…。入籍しても猫嫌いだと、何かと情けないからって、乱馬君の猫嫌いを治そうと思っちゃったみたいなの…。」
 この先は、聴かなくても、だいたい想像ができる。早乙女のおじさまと、ウチのお父さんだもの。
 今度こそ、猫嫌いを治そうと、道場に乱馬を猫たちと一緒に押し込めたに違いないわ。で、乱馬ったら、いつもの如く、プッツン来ちゃって…。
 さっきから、庭先で、お父さんと早乙女のおじさまの悲鳴めいた怒声が響き渡っているし。
「もう、本当に世話が焼けるんだから。」
 あたしは、鞄を階段にちょこんと置くと、三和土から上がり、つかつかと長い廊下を伝って、縁側へ回る。
 縁側の先、庭で、乱馬がお父さんたちを攻撃していた。四足になって、背中を思いっきり立てて、フウウーッと、声なき威勢で、けん制している。
「じゃあ、お願いね。」
 かすみお姉ちゃんが、座布団をサッと縁側に敷いてくれた。冷えないように、一応、気を遣ってくれているのね。
「それから、これも…。」
 ハタキを持たせてくれる。これで、遊べとでも言うのかしら?…まあ、いいわ。
 あたしは、縁側の引き戸を開いて、どっかと、座布団の上に座った。

「よーしよしよし。こっちにいらっしゃい。乱馬。」
 と、声をかける。
「にゃ?」
 乱馬の表情から、憎悪が抜けていく。あたしの顔を見て、ニッと猫スマイルで笑った。
「にゃーん!にゃんにゃんにゃーん!」
 後ろ足で芝を蹴り、タッタカと縁側に向かって走りこんでくる。
 そして、そのまま、あたしの膝に向けて、ダイビング!

 猫化していても、元は人間。二十歳過ぎの意気揚々たる青年だ。この頃、筋力もついてきた。重みはそれなりある。
 だから、多少の衝撃は、ある訳で…。
 その衝撃に耐えようと、目を閉じる。

 どすん!

 と音がしたけれど、重みは感じなかった。薄っすらと目を開くと、縁側の板の上に一度、着地したようだった。
「にゃーん…。」
 ご機嫌を伺うように、一度、あたしの目の前に身体を低くして、下から小首を傾いだ顔を覗かせた。
 まるで、「ここ、いいかな?」と問い質してくるような、甘えた声で。
「いいよ。」
 つい、そんな言葉がこぼれ落ちる。
 と、許可を貰て、のっしのしと、膝の上に上がって来るのかと思いきや、ゴロン、と背をそのまま板にくっつけて、仰向けに転がった。
「乱馬?」
 膝の上に乗ってくると思っていた、あたしは、肩透かしを食らった形。
「にゃーん!」
 あたしが手にしたハタキへと、丸めた猫手を差し向ける。
「にゃんにゃん。」
 どうやら、ハタキで遊びたいらしかった。揺らせてくれと言わんばかりに、猫手をあたしにかざして、催促してくる。
「わかったわよ!」
 まだ、庭先にはお父さんたちが目を白黒とさせて、佇んでいるのが見える。また、突っかかって行かれるのも具合が悪いので、気を逸らすために、ハタキをしゃこしゃこと、揺らせて見せた。
「にゃ!にゃにゃにゃにゃ!」
 枯葉背中を思い切り揺らせて、両手をハタキへとさしあげて、じゃれ始める。その姿は、完全に「猫」そのものだった。

「ほんと、猫になった時だけ、素直なんだから。」
 ハタキを揺らせながら、呟いてみた。

 乱馬と入籍して、数日が経った。
 乱馬と所帯を持ったことになるけれど、現況は何の変化もない。ただ、あたしの姓が、天道から早乙女に変わっただけ。居所も変わることが無く、部屋もそのまま。
 いずれ、かすみお姉ちゃんはこの家から嫁いで行くだろうし、早乙女の両親も、自分たちの家に戻っていくだろうけれど、まだ、みんな、この屋根の下に一緒に過ごしている。
 でも、いつかは、この家の主婦は、あたしだけ…になる。だから、ちょっとずつ、主婦修行を始めていた。苦手な料理も、かすみお姉ちゃんと早乙女のおばさまに教えてもらっているのだけれど、中々進歩しない。あたしが味を付けた料理は、みんな、箸を避けていく。もちろん、乱馬もだ。
 かすみお姉ちゃんとのどか母さんが、ダブルで出かけていった昨日のお昼は、大学の講義も無かったから、台所仕事を頑張ってみたのだけれど、どっさり作った手料理。一口食べて、乱馬ったら、どっかへ行ってしまった。
 つまり、不味かったのね。不味いなら、不味いって言えばいいのに、そのまま、駆け出して行ってしまった。

 もちろん、あたしは、不機嫌で、戻って来ても険悪モード。
 昨日は一緒に寝てあげなかったわ。乱馬も自分のお蒲団を、別の部屋へと引き上げていった。
 つまり…ゆうべから、一言もしゃべっていない。いわゆる、初夫婦喧嘩…なわけで。
 複雑な気持ちを抱えたまま、猫化した乱馬を相手している、あたし。

「ほんと、猫化したとき、何考えてるんだろ…。喧嘩したことなんて、忘れているわよね。」
 と吐きだすと、
「あら、あかねちゃんのことしか、考えていないのじゃないかしら。」
 風が渡ってくる、縁側の引き戸を閉めながら、かすみお姉ちゃんがその問いに応える。
「あたしのことなんて、考えてないわよ。」
「そんなことないと、思うわよ。ほら、こんなに嬉しそうな乱馬君の顔…あまり見ないもの。」
 猫化すると、あたし以外になつこうとしないし、他の人が傍に来ようものなら、思い切り警戒の声を荒らげる乱馬なのだが、かすみお姉ちゃんと早乙女のおばさまには、牙を剥き出さない。この二人は空気に溶け込むように、何の反応も示さないのだ。ま、ご飯を作ってくれる人と、己の母親という区別は、彼の猫化したって、脳に焼きついているようだった。
 お姉ちゃんは、窓を閉めると、今度はアイロン台を出して来た。さっと洗濯物を広げて、手早くアイロンをかけはじめる。
「あたしも、手伝おうか?」
 と声をかけると、
「あかねちゃんはいいから、乱馬君のお相手を、してあげてちょうだいな。また、暴れ出しちゃったら大変だから。ね?」
 そう、のほほんと返された。

 やっと、落ち着いてきたのだろう。
 お父さんたちが、庭を、せっせと片づけている姿が、目に映った。

「そーよね。また暴れたら厄介だものね。」
 諦めて、乱馬の相手をしようと、ハタキを、利き腕に持ちなおす。と、乱馬の反応がない事に気付く。

「あらあら、眠っちゃったのね。」
 かすみお姉ちゃんが、声をかけてきた。
「あ…ほんとだ。」
 頭をあたしの膝にちょこんと乗っけて、そのまま、あごをつき出し、お腹を上に向け、目を閉じている。両手は万歳。足も大股に開いている。まるで、「参りました!」と言わんばかりの、無防備な恰好だった。
「何て恰好して、眠っているのよ…。」
 すっと、赤チャイナのお腹辺りを触ると、ピクンと上体が揺れる。だが、かと言って、目覚める訳でもなく。
「心から、安心しきっているのね。」
 かすみお姉ちゃんが、微笑みながら言った。
「そーかなあ…。」
 あたしが言葉を投げ返すと、
「猫ちゃんって、安心すると、こうやってお腹を上に向ける動作をするんですって。ましてや眠ってしまうんですもの。あかねちゃんのこと、信頼しきっているのよ。」
と、唐突に脈絡があるようでないことを、かすみお姉ちゃんが言いだした。
「え?」
 驚いて見返すと、
「東風先生にお借りした、「猫の生態」という本に書いてあったの。」
 と、やんわり微笑む。
「猫の生態?」
「ええ、猫ちゃんの生態について書かれたご本よ。その本によるとね、猫に限らないけれど、動物って野性では、敵に囲まれることがるから、決してこういう隙を見せる眠り方をしないらしいのよ。四足を地面につけて、背中を丸めたまま、すぐに、駆け出せるポーズで眠るのが一般的なんですって。」
 お姉ちゃんが、言わんとする、道理はわかる。四肢を地面にくっつけていれば、不意打ちを食らっても、すぐに駆け出せるからだ。
「だから、こうやって、仰向けになるっていうことは、絶大な信用を寄せている証拠なんですって。」

 それって、本当なの?
 …というより、何でお姉ちゃん、東風先生に「猫の生態」なんて微妙な本を借りているの?え?もしかして、「生態」じゃなくて「整体」なのかしら。それだったら、もっとわからないわよ。

 まあ、当たらずしも、遠からず…ってところなのかもしれないわね。
 乱馬ったら、本当に、無防備な状態で眠っているもの。
 あれ?でも、普段の彼は、あたしの膝の上で、背中を丸めて眠っているのに…。何で、今日に限って、仰向けになっているのかしら。

「あーあ、ほんとに、無防備な状態になって眠りこんでるわねえ。」
 パシャっと音がして、振り向くと、なびきお姉ちゃんが、デジタルカメラ片手に、ごろにゃん状態で眠っている乱馬を撮っていた。
 また、乱馬に高い値段で写真をふっかけるつもりね。
 いつもなら、ここいらあたりで彼の目が開いて、「あれ?俺、何してた?」とか言いだす筈なのだけれど、今日の乱馬はよく眠っている。
「なかな起きないわね。そーかー、ここんところ、寝不足が続いていたようだし。ここぞとばかり、眠っちゃったのかー。」
 と、チラチラあたしを見ながら、そう言った。
「そ、そんなことないと思うわよ。」
 少し、戸惑い気味に、それに応える。乱馬が寝不足な訳ないわよ。ちゃんと、睡眠時間は七時間確保しているもの。
「あんたたちが同じ部屋に寝るようになって、そろそろ二週間くらい経つから、寝不足が溜まっているんじゃないの?」
 そう言って、意味深な笑顔を差し向けてくる。
「そんなことないわよ!ちゃんと、夜は眠っているわよ!」
 少し声を荒げた。と、乱馬の手がピクンと動いた。目が覚めるかな…と思ったけれど、動いただけで、再び、スース―と寝息が聞こえてきた。
「あんたはスヤスヤ眠れているでしょうけれど、乱馬君は眠っていないかもよ。」
「それって、どういうことよ?」
 なびきお姉ちゃんへと言葉を継ぐ。
「だって、乱馬君、このところ、生あくびばっかりしているし、昼間、眠そうだわよ。それに、こうやって、眠りこけているのがいい証拠じゃないの。私が、傍に来ても知らんふり。いつもだったら、牙をむいて攻撃的になるのに。」
 透かし顔で言われた。
「聞き捨てならないわね。それ…。乱馬が寝不足って。どういう道理なのよ?同じ時間だけ床にいるのよ、あたしたち。」
 少し不機嫌な顔で言い返すと。
「乱馬君ってさー、あんたの寝相に、毎晩苦労しているみたいよー。」
 クスッと笑いながら返された。
「寝相…。」
 ハッとした。
 確かに、あたしは寝相が悪い。枕が逆になっていることはしょっちゅうだし、ベッドから転げ落ちることだって。幾度か、ペットのPちゃんが、目を回してベッドの隅っこに転がっていたことも、あった。
 何より、いつも、ベッドじゃなくて、下に敷いた乱馬の蒲団で目覚めてるわ、あたし…。
 でも、もしかして、なびきお姉ちゃん、壁に穴でもあけて、覗いてる?
 うがった瞳を手向けると、
「覗くなんて、野暮なことはしないわよ。でも、時々、夜中、乱馬君の唸り声が聞こえてくるのよねえ。時たま、ため息らしきものも、聞こえてくるわ。」
 澄まし顔で言われた。
 お姉ちゃんは隣の部屋で寝ているし…。唸り声って、まさか、あれこれ、色々な音や声が、お姉ちゃんに筒抜けて聞こえているんじゃあ…。
 冷や汗を流しながら、お姉ちゃんを見返すと
「ちゃんとイヤホンかけて音楽を聞いて予防線を張っているから、そこら辺は大丈夫よ。」
 と意味深な言葉を返された。

 だから、そこら辺って何よ…。もしかして、夫婦生活のこと?
 まさか、お姉ちゃん、壁にコップを当てて、聴いてるんじゃないでしょーね?
 録音なんてしてないわよね!いくら、金の亡者でも、妹の夫婦生活をお金にしようだなんて、思ってないわよね?…って、思っているかも…。この姉なら、やりかねない!
 やっぱり、部屋を換えてもらった方がいいわ…。二人眠るには手狭だし。…うん、一階の納戸でもいいから、お父さんにかけあって、なるべく早く寝室を変えてもらわなきゃ。安穏と夫婦生活は送れないわ。
 それに、シングル寝具じゃなくて、もっと、大きなお蒲団にしてもらった方が、寝相だって収まるかもしれないし…。

「ま、乱馬君がそうやって、仰向けに幸せそうに眠っているのも、あんたとちゃんとした繋がりができた証拠だわよね。」
 お姉ちゃんはカメラをしまいながら、そんな言葉を投げかけてきた。
「ちゃんとした繋がり…。」
 その言葉に、ポッと頬が染まる。
「精神的に繋がりができたってことよ。あ、もちろん、肉体的繋がりだって、出来たんでしょうけれど。ほんと、猫化したら、精神状態まで、わかっちゃうから、面白いわ!」
 と、笑った。
「猫化してわかる、精神状態ってっ?」
 つい、姉の言葉に反応してしまう。
「乱馬君、猫化したら、入籍する前は、あんたの膝にうずくまって眠っていたのに。ほら、今は、膝枕で仰向けに寝っ転がっちゃって。幸せそうに眠っているじゃない。」
「だから、それが?」
「さっき、かすみお姉ちゃんが言ってたでしょー?猫って、本来は四肢を下に向けて背中を丸めて寝るものだけれど、心許している相手や甘えたい相手には、お腹を出して構って欲しいって合図するんでしょ?その通りじゃないの。」
「あ…。」
 なびきお姉ちゃんが、言わんとしたことが、今やっとわかった。
 猫化した乱馬の眠り方が、明らかに変わったのね。背中じゃなくて、お腹を見せて眠っている。
「あんたが傍に居るから、心底、安心しているのよ。」
 そう、一言投げると、一枚パシャり。それから、カメラを持って、立ち去っていった。

 ねえ、本当にそうなの?
 あたしが傍に居るから、安心して、そんな無防備な恰好をしているの?

 そう思って、乱馬の寝顔を覗いていると、今度は、早乙女のお父さまが傍に寄って来た。

「たく、いい気じゃのー。散々暴れまくった末、恋女房の膝枕か。」
 そう言って、笑う。さっきまで、パンダに変身していた乱馬の父は、庭掃除がひと段落して、人間に戻ったみたい。身体から湯気が、ホカホカと上がっているのが見える。
「茶化さないでくださいよ。」
 と言うと、
「茶化してなんぞおらんよ。ま、三国一の嫁さんに膝枕してもらえるのじゃから、幸せ者じゃよ!ワシの息子は!わっはっは。」
 そう言って、通り抜けて行った。


 寝不足だというのは、どうやら、本当のことみたいで、その後、乱馬はなかなか目覚めなかった。
 朝、目覚めたら、いつも傍らで微笑んでくれていたのは、あたしの寝相のせいで眠れなかったから?そう考えたら、ちょっと、胸が痛んだ。
 だから、今度は、あたしが膝、貸してあげるよ。頭の重みでそろそろ痺れてきたけれど、我慢するわ。
 さすがに、万歳をし続けるのは、疲れてきたのか。手は、だらりと、下に垂れ下がった。その手を、握ってみる。あたしよりも、一回り大きな手。ごつごつしているけれど、暖かい。

 外はすっかり日暮れて、夜の闇が降りてくる。

…頑張って、ちょっとずつ、努力をするから…。この先も、二人一緒に歩んでいけますように…。

 空に光り始めた一番星に、そう願いをした、晩秋の夕暮れ。


乱馬編に続く




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