◇らせつ

第十二話 聖なる島へ


一、

 
「凄い熱だわねえ…。」
 観客席から降りてきたなびきが、月波の額に手を当てながら言った。
「さっきの勝負のダメージが、思った以上に強いのかもしれないわね。」
 なびきが腕組みして考え始めた。
「どうしよう、お姉ちゃん。このままだと、月波、どうにかなっちゃうんじゃあ…。」
 様子がさっぱりわからないあかねは、ただ、おろおろするばかりだった。
「仕方ないわねえ…。幸い、夜も開けて来たし…。」
 なびきはごそごそと、懐を漁り始めた。そして、パッと何かを取り出した。
 そいつは白い卵だった。少し鶏のよりは小さい。なびきはやおら、それに向かって、印を結び、えいやっと気合いを入れた。
 と、卵がぱっくり割れて、クルックルー、と中から白い鳩が飛び出した。

「鳩?」
 それをどうするのかと思うと、なびきは、懐から筆記用具、この場合、筆ペンを取り出して、小さなメモ片にさらさらと文字を書き始めた。覗き込んでも、生憎、あかねには読めない、見たこともない象形文字が並んでいる。平仮名、片仮名、漢字といった類でもなく、ましてや英字やハングルでもない。この世界で使われている文字なのだろう。
 なびきはそれを鳩の足にくくりつけると、さっと、両手を空へかざして、鳩を飛び立たせた。

 パタパタと羽音をたてながら、鳩は大空目がけて飛び上がり、どこかへ飛んで行ってしまった。

 それをはるかに見送りながら、なびきがあかねに開口一番、言った言葉。
「わかってると思うけど…。治ったら、ゼニモンを斃しまくって、卵代と治療費を払ってよね。」
 どこまでも、なびきはなびきだ。あかねは苦笑を浮かべながら、尋ねた。
「治療費って?お医者さんでも呼んでくれたの?」
「薬師よ。呼んだのは。」
「くすし?」
「腕利きの薬師だから、安心なさい。魔伝書鳩だって、高いんだから、そっちのお金も忘れないでよ…。さてっと、宿へ戻りましょうか。あんた、力強いから、月波を背負いなさいよ。」
 とにべもない。
「え?あたしが背負うの?」
「仕方ないでしょう?あたしは赤ん坊をだっこしてあげるから。あんたは月波連れて帰るのよ。」
 そう言うと、先に立って歩き出す。
「待ってよ、わかったわよ。背負えば良いんでしょ?あー、もー、ルシちゃん、頭から下りてくれる?極楽鳥が頭に陣取ってる月波を背負うだけで、手いっぱいなんだから。お願い。」
 あかねは頭上に乗っかったままのルシを促した。
 「了解!」と言わんばかりに、ルシはプルンとあかねの頭の上でひとふるいすると、ピョンと地面へ飛び降りた。
 スライムのルシファールはセントラルパレスに滞在して勝負する間中、ずっと、あかねの頭の上で眠っていたようで、朝日を浴びて、元気モリモリに飛び跳ねている。早く宿へ戻ろうと言わんばかりに、先導して飛び跳ねている。
 あかねは、意識を失っている月波を背中に背負い込むと、ふんぬっと歯をくいしばって歩き出した。
 月波の頭の上の極楽鳥は、何事かと、あかねを覗き込んだが、一向に飛び立つ気配は無かった。月波の頭の上に陣取っているので、ちょうど、あかねの頭の上辺りに、嘴を乗っけるような体制になった。その嘴を頭に抑えつけられているせいで、余計にバランスが悪い。背が縮むのではないかと思うくらい、歩み出した足が、地面にのめりこんでいくような気がした。
「あんたのせいよね…この重さ…。」
 つい、愚痴っぽくなるあかねに、極楽鳥は、クエーっと奇声を張り上げて答える。悪口を言われているのがわかるようだ。
「あたしの頭を突っついたら、放り投げるわよ!デブ鳥さん!」
 そう吐き出したくもなる。
 痩身の月波だけであれば、余裕で背負えても、極楽鳥も一緒となると、相当、きつかった。どのくらいの重さがあるのか、石の錘を背負っているような感じである。なびきはほう助してやろうとは全く思わないようで、眠ったままの赤ん坊をだっこして、そのままあかねの目前を、さくさくと歩いて行く。
「もー、何であたしだけ…。こんな目にあわなきゃならないのよぅ!」

 道を行きかう人々は、物珍しそうに、あかねを見返していく。月波だけならまだしも、彼女の頭に陣取る、極楽鳥を指さして、嘲り笑う人も居た。せめてもの救いは、知った顔が無いことくらいだろう。これが練馬の街中や風林館高校のご近所だったら、恥ずかしくて一歩も歩けないのではないだろうか?

「月波だけじゃなくって、あたしも倒れそうよ…。」
 ぜえぜえと言いながら宿屋に着いた時は、すっかり陽も高くあがっていた。

「お帰りやす…。セントラルパレスはいかがどしたか?儲かりましたか?」
 女将が一行を出迎えてくれた。昨日まで宿泊していた川湯の宿だ。
「ぼちぼちだったわねー。最後の大勝負は惜しむらく、無効になっちゃったけど。」
 なびきのことだ。それなり、賭場で勝負して、そこそこ稼いでいたらしい。
 もちろん、あかねと月波は、キングとの勝負の前に稼いだ配当も、クイーンズギャンブルのどさくさにまぎれてしまい、手元にゼニモンで儲けたお金すら、ほとんど残って居なかった。
 
「あらまあ、お連れはん、具合、悪そうですなあ…。すぐ、蒲団を敷かせましょう。」
 気の利くおかみで良かった。月波の顔色が悪いのを心配して、てきぱきと対応してくれた。

 あかねが、落ち付いて畳の上に腰を下ろせたのは、もう、昼前になっていた。
 傍では、月波が、相変わらず、うなされながら、蒲団の上に横たわっている。熱も下がる気配はなく、苦しんでいる。

「大丈夫かしら、月波。」
 心配げにあかねは覗き込む。
 それに応える気力もないようで、月波は無言で苦しさと戦っていた。
「さあね。素人では太刀打ちできそうにないから、専門家を呼んだし…。」
 なびきは、空を眺めながら、言った。
「専門家って、その…くすしさん?」
 あかねが問いかける。
「ええ。そろそろ、飛んで来ると思うんだけど…。」
「飛んで来るの?空から?」
 飛行機が飛んでいる気配もない、ゲーム世界。どこから飛んで来るのかと、あかねも一緒に空を見上げる。

「あ、来たわ、ほら。」
 なびきが立ちあがって、遥か向こうを指さした。
 光る何かが視界に入る。と、みるみるうちに、大きくなった。

 ドッカーン!

 強い衝撃音と共に、何かが、目の前の中庭の土へとめり込んだ。
 
「え?」
 あかねがよく目を凝らして見ると、それは人間だった。頭から、地面へとめり込んでいる。普通なら、大怪我をしているような勢いだった。
「あっちゃー…。毎度、毎度、着地には失敗するんだからー。東風先生は…。」
 なびきが呟いた。
「と、東風先生?」
 聞き覚えのあるその名に驚いて、あかねが視線を、落ちてきた男に返せば、めりこんだ土から頭を、ごっぽりと抜き取りながら、男が答えた。
「あはははは…。また、やっちゃったよー。力のコントロール、今度こそ、上手くできたと思ったんだけど…。」
 確かに、見覚えのある顔。そこには、土だらけの東風の顔があった。
 かなり頑強な材料でできているのか、眼鏡は落下の衝撃にもびくともせず、割れもしていない。
 東風はずり落ちかけていた黒い眼鏡の縁を、すっと手で直すと、あかねたちの方に向かって歩みよって来た。

「久し振りだねえー、なびきちゃん。元気だったかい?」
 東風が愛想良く、笑いかけた。
 あかねにもなじみのある顔が、また、この世界にも一人。少し複雑な表情で、東風の顔をしげしげと眺めた。
「ああ、君が噂の勇者様かい。かわいいらしい女の子じゃないか。」
「ど、どうも…。は、はじめまして。」
 あかねは、視線を反らせて、ペコンと頭を下げた。知っている顔でも、向こうは己のことを知らないのだ。そんな、複雑な思いがあかねの上を交錯する。
「えっと、この人は、薬師の東風先生よ。ちょっと、ずれているけど、腕は確かだから安心なさい。」
「ちょっと、ずれているっていうのは余計だよ、なびきちゃん。えっと、東風です。よろしくね。」
「あ、あたし、あかねです。」
 あかねは再び、ぺこんと頭を下げた。
「あかねちゃん…かあ…。どっかで聞いたことがある名前だな…。っていうか、知りあいに居たよなあ…あれ?どこ娘さんだったかなあ?」
 東風が考え込んだ。
「うーん…。やっぱり思い出せないや…。あはは。」
 頭を掻きながら、言った。思い出すのは、あっさりと諦めたようだった。
「で?僕を呼んだということは…。病人が居るんだろ?えっと、そこに眠っている娘さんかな?」
 東風は、縁側から遠慮なく上がって来た。
「ええ、そうなんです…。魔力の殆どを、博打王キングに吸い上げられてから、調子が変なんですけど…。」
 あかねが心配げに答えた。
「罹災した様子を、詳しく、教えてくれるかい?」
 東風は、眼鏡を光らせながら、あかねの話に耳を傾けた。


 かくかく、しかじか…。

 あかねは、博打王キングとの戦いと、その中で起こった、魔力争奪戦のこと、それから魔結界のことを、つぶさに話して聞かせた。

「なるほどねー。魔力を奪い合ったのか…。それで、これだけ衰弱しているのも、ちょっと変な話だな…。えっと、月波ちゃんの気は…。月の属性か。」
 東風は、月波の額に手を当てながら、考え込んだ。
「ええ、月波もそんなことを言っていました。俺は月の属性だって。」
 あかねが答える。

「じゃ、今度は…あかねちゃん、君の気をちょっと調べさせてもらうよ。」
「え?あたしの気ですか?」
 きょとんと問い返したあかねに、東風は付け加えた。
「戦いの中で、月波ちゃんに気を分けてあげていたんだろ?もしかしたら、彼女の気と君の気が、拒否反応を起こして、具合を悪くしているかもしれないからね…。」
 そう言いながら、東風はあかねの手を、ぎゅっと握りしめた。
「大丈夫、そんなに緊張しなくても…。力を抜いて、ゆっくりと、君の気を僕の手へと集中させてみて。」
 東風はそう言うと、あかねの手から流れる気を探り始めた。
「あ…はい。気を集中させれば、良いんですよね?」
 あかねはふううっと、深呼吸をひとつ落とすと、ゆっくりと、己が気を東風の手へと、集中させ始めた。
 東風は、黙ったまま、じっと眼を閉じて、あかねの気の元を探っている。

「なるほどねー…。君のと月波ちゃんのは、全く別のタイプの気だね…。これじゃあ、具合も悪くなるよ。」
 ふううっと、東風はため息を吐き出しながら、答えた。
「別タイプの気…ですか?」
 あかねは手を放しながら、東風へと尋ねた。
「ああ…。魔力を司る気にはいくつかのタイプがあってね…。月、星、彗星、そして太陽。たいていは星の属性。つまり、数多ある空の星から力を得ている。気も透明で、良くも悪くも染まりやすいし扱いやすい。」
「は、はあ…。確かに、透明の気がどうとか、キングとの戦いで言っていましたけど…。」
 魔力と言われても、いまいち、ピンと来ないあかねである。
「で、彼女、月波ちゃんは月の属性だ。魔力には互換性があってね、同じ属性同士は一緒に体内に取り込んでも、支障がない。でもね、中には、反目しあって、一種のアレルギー反応を激しく起こす、こともあるんだ。どうやら、それらしいな。」
 東風は考え込んだ。
「うーん、あかねちゃんの気が、月または、どんなタイプとでも溶け合いやすい星属性の透明タイプの気だったら、良かったんだけど…。」
 東風の眼鏡が鋭く光った。
「君のは…ズバリ…。」
「あたしのは、ズバリ…。」
「正体不明だっ。あは、あはははは。」
 東風が笑い飛ばした。
 その言葉を真正面から受けて、ばたっとあかねは傍に倒れこむ。
(ちょっと、この東風先生、あたしの世界の先生と、全然性格が違うわ…。やけに明るいというか…。第一、こんなにいい加減な受け答えは、先生に限って、かすみお姉ちゃんが絡まない限り、絶対にしないもの…。)
 あかねは苦笑いを押し殺した。
「東風先生…。もう、何を言い出すかと思ったら…。」
 なびきも、あきれ返って、はああっと大きなため息を口から吐き出した。
「ま、君は異世界から来た人間だから、タイプがわからなくても別に不思議ではないんだけれど…。多分、それを逆手にとって、月波ちゃんはキングと対決したんだろうね。」
「さ、逆手にですか?」
 あかねが生返事を返すと、東風はコクンと頷いて見せた。
「さっきも、言ったように、気の属性によっては、体内に同時に吸収したら、激しいアレルギー反応を引き起こす場合があるんだ。例えば、月の属性に太陽の属性の気を大量に注ぎ入れることは、自殺行為に近い。」
「でも、キングは、違う属性でも、月波の気をうまい具合に取り込んでいましたよ。」
 あかねは、納得できないと言わんばかりに、問いかけた。
「キングは星の属性だったんだろうねー。星の属性なら、大概の気は受け入れられるんだ。逆はなかなかしんどいらしいよ。月の属性の人間は、星の気をうまく取り入れることは不可能だ。月の属性の人は魔力は強いが、他のタイプとは融合し辛い。同じ月の属性であっても、相容れないこともあるくらい繊細な気なんだよ。
 で、あかねちゃん、君の気なんだが…。君は異世界の人間だから、或いは、全く、違った属性の、気の持ち主なんじゃないのかな…。ほら、さっき、博打王キングは魔力が暴走し始め、ほぼ自滅に近い状態で、沈んだとか言ってたろう?」
「え、ええ…。『何故、魔力が暴走する?』とか叫びながら、倒れました。」
 あかねは、勝負を思い出しながら頷いた。
「多分、月波ちゃんは、そうなることを見越して、危険を顧みず、君の気を己の中に取り込んで混ぜ込み、キングへと与えたんだろうね。そして、彼女の目論見どおり、キングは倒れた。」
「じゃあ、もしかして、月波は、あたしの気に…。」
「過剰反応しているんだろうね…。だから、あかねちゃんの気を体内から取り除いて浄化してやれば、元に戻るだろう。」
「じゃあ、早速、浄化してください、先生!」
 あかねが頼み込んだ。

「そうしてあげたいのは、やまやまだけれど…。」
 それを受けて、東風が、困惑気味に切り出した。
「僕の力じゃあ、どうにもなりそうにない…。むしろ、下手に手出ししたら、命すら奪いかねないよ。」
 と、言い切った。
「そ、そんな…。じゃあ、月波はずっと、このまま…。」
 苦しげに歪む、月波の顔をあかねは不安げに覗き込んだ。

「いや、方法はある。聖なる泉の水だよ。聖水を使えば、君の気の力が彼女の体内から抜けるだろう。」
「聖なる泉?」
 あかねはきびすをかえした。

「聖なる泉。善人老師が守っている、伝説の泉ね…。噂では聞いたことがあるけれど…。それを探し出すとなると…。」
 二人のやり取りを横で聞いていたなびきが言った。

「それなら大丈夫、うまい具合に、極楽鳥が居るじゃないか。」
 東風はにっこりと笑いながら、月波の頭の上に陣取っている、鳥を指さしながら言った。
「あ…そうか。極楽鳥って元々、聖なる泉の湧く聖島(ひじりじま)に生息してたんだっけ…。」
 なびきが頷いた。
「ねえ…その、聖なる泉とか、聖島って何なの?」
 あかねがきょとんと、なびきと東風の会話に割って入った。
「南海の孤島よ。ずっと南の海に、ひっそりと浮かんだ小さな島には善人老師という仙人が棲んでいて、聖水が湧く泉を守っているの。」
 なびきが説明し始めた。
「へええ…。善人老師と泉かあ…。この世界は、どこまでもロールプレイングゲームのストーリー的だわよねえ…。」
 あかねははああっと溜息を吐きだした。その脇でなびきが問い返す。
「ロールプレイング?何それ。」
「あ、いや、別に何でもないわ。」
 説明したところで、なびきや東風の理解は超えているだろう。この世界が、あまりにも、ゲームのシナリオ的なことなど、彼らにわかる筈もない。

「で?極楽鳥に案内してもらって、その島まで行ったら良いんですね?」
 あかねは結論で東風に尋ねる。
「うん、そうだよ。たぶん、聖島まで羽ばたきながら導いてくれるはずなんだけど…。」
 
 東風となびきとあかねの三人は、雁首並べて、じっと、極楽鳥を見据えた。月波がうなされて眠る額の上で、相変わらず陣取って、離れようとしない。目下、月波は極楽鳥の腹の下で苦しそうにうなされている。相当、夢見が悪そうだ。

「この状態で、どうやって羽ばたかせるのよ…。月波の頭がもげちゃうわよ。」
 あかねが苦笑いを浮かべながら、鋭く指摘した。
「もげる前に、死んじゃうかもね…。」
 なびきも同調する。
 自分のことを言われているとわかるのか、不細工鳥は月波の額の上で、「クエーッ!」と一声、牽制の声を張り上げた。
「ダメだ、こりゃ…。」
 ふううっと、あかねとなびき、東風の三人が、深いため息を吐き出す。

「あー、もう、良いわよ。乗り掛かった船だものね。あたしが魔道具で協力してあげるわ。」
 万策尽きたかと思われた頃、なびきがごそごそと己の荷物を漁り始めた。リュック型の皮袋だ。
 そして、取り出したのは、ボロい布きれだった。広げてみると、四畳半ほどの大きさがある。
「何、これ…。」
 あかねが問いかけると、
「魔法のじゅうたんよ。」
 と真顔で答えが返ってきた。
「魔法のじゅうたんですってえ?」
 当然、あかねから見れば、魔法のじゅうたんなど、お伽噺の中の代物だ。が、イメージの中にあるペルシャじゅうたんからは程遠い、ただのボロい白布である。どうひいき目に見ても、「じゅうたん」というよりは、「いったんもめん」だ。
 たとえ空を飛べたとしても、ずり落ちるのではないかと思えるほど、見すぼらしい薄布だった。

「なびきちゃん、なかなか良い魔道具を持っているじゃないか。」
 東風が眼鏡越しに目を細めた。
「まーね。」
 なびきは得意げに言った。
「ねえ、もしかしてこれに乗っかって、空を飛んで行くつもりなの?」
 あかねは不安げに問いかけた。
「ええ、こう見えても、丈夫だから、月波とあんた、それからあたしと赤ん坊と不細工鳥とルシファールくらいは軽々乗れる筈よ。」
「とても、そんな丈夫な布には見えないんだけど…。」
 不安がるあかねをよそに、なびきはさらに問いかける。
「東風先生はどうします?一緒に行きます?」
「あ、いや、僕は良いよ。僕が乗り込んだら、もしかすると重量オーバーになるかもしれないし…。それに、他に往診しなきゃならない患者も居るから。それに、どうも善人老師は苦手だから。」
 と遠慮した。
 東風が苦手と言いきった「善人老師」なる人物がどんな人なのか。あかねはまた、漠然とした不安が心をよぎったが、口には出さなかった。要領を得ない世界だ。要らぬことを言って、ややこしくなるのも何となく嫌だったのだ。
「水先案内は、多分、極楽鳥自身がやってくれると思うよ。それに、幸い、今夜は半月だから、赤い月は絶対に出現しない。だから、安心して空を飛んでお行きなよ。」
 と東風が言った。
「そっか…。半月なら、赤い月の魔力に翻弄されることはないものね。」
 となびきが納得した。
「半月?半月ってハーフムーンよね…。どうして、赤い月の魔力に翻弄されないの?月明かりのない新月の方が、魔力に翻弄されないんじゃないの?」
 あかねが不思議そうに尋ねた。赤い月のせいで、野獣がモンスター化して人を襲うのなら、月が照らない新月の方が、その影響を受けにくいのではないかと、単純にそう思ったからだ。
「バカね。新月は赤い月も出ないけれど、闇が深すぎて、本物の魔獣がうようよ出てくるのよ。」
 と、なびきが答えた。
「なら、どうして、半月なの?」
「半月の夜は闇と光の力が拮抗するからよ。」
「じゃあ、満月は?満月だと光が強くて大丈夫なんじゃないの?」
「もー、んとに何もわかってないんだからーあんたは。満月が赤い月と重なれば、魔の力は強大になるわよー。もう、そこらじゅう、魑魅魍魎がうじゃうじゃよ!物事、何でも半分ってーのが良いの。どういう訳か、細かいことはあたしにもわかんないけど、半月の夜は月も赤くはならないのよ。魔も中和しているって訳。わかる?」
「あー、もー、わかんないわ!」
 あかねは頭を振った。
「つまりね、あかねちゃん。半月の夜は負の力と正の力が拮抗しているから、魔物は出ない、そう考えれば良いんだよ。」
 東風が付け加えた。
「はあ…よくわかんないけど、とにかく、今夜だったら、赤い月のモンスターには襲われないってことで理解しておけば良いのね?」
「そういうこと。だから、今夜、飛び立つから、今のうちに、ゆっくりと休んでおきなさいな。一晩中起きていたから、さすがのあたしもお疲れモードよ。」
 ふわああっとなびきがあくびをした。
「じゃ、僕もそろそろお暇するとしよう。っと、一応、魔力の回復には至れないだろうけれど、無駄な体力を使わずに良く眠れるように、ぐっすり薬を注射しておくからね…。」
 手際よく、東風は注射器を持って、ぐったりとした月波に針を刺した。月波の顔が少し痛さに歪んだが、それ以外はさしたる変化もなく、昏々と眠り続けていた。
 応急処置を終えた東風は、庭先で遊んでいた伝書鳩へくいっと手を伸ばすと、そいつを、ポンと空へ放り投げた。と羽ばたいた鳩の足をくいっとつかんで、東風は空へと舞い上がった。
「じゃあ、またね。」
 小さな鳩が大の大人にぶら下がられても、びくともしないで飛び上がる。ちょっと、信じられない光景だったが、あかねもこの世界の「非常識」に慣れっこになってきて、驚きもしなかった。目の前の光景も、そんなものかと、だんだんに容認できるようになっている。

「さてと。ルシファール。あんたは、一晩中あかねの頭の上で眠ってたみたいだから…。赤ん坊の世話、できるかしらん?」
 となびきはルシへと振り返る。
 ぼよよん、ぼよよんと身体を揺らせながら、ルシファールが任せておけと言わんばかりに、合図を送ってきた。
「ちょっと、ルシちゃんに任せても大丈夫なの?」
 あかねが不安げに尋ねた。
「大丈夫でしょうよー。この子、かなり賢いもの。それに…一応、旅館(ここ)の女将さんにもチップを包んで、赤ん坊と病人の世話を頼んでおけば心配ないわ。あ、チップ代は当然、あんた持ちよ。」
 と、嬉しいほど「なびきらしい」お達しが告げられる。
「はいはい、わかってますよ。ったく…口は出しても絶対にお金は出さないんだから…。なびきお姉ちゃんは…。」
 あかねは渋々、ガマ口を開いて、何がしかのお金をなびきに預けた。
「さてと、とにかく眠って、魔力も体力も回復させるのよ。出発は午後六時ね。」
 なびきはそう言うと、そそくさと温泉へ、疲れと体の汚れを落としに行く。あかねも渋々、それに従った。



二、

 
 辺りに夕闇が迫り始めてころ、聖なる島に向けて出発しようとしていた。

 今夜もナニワ国のギャンブル会場は熱気に包まれるのだろうか。明かりが煌々と照り始める。半分の月がセントラルパレスの上に輝き始める。

「準備、万端整ったわ。」
 ぼろ布を道端に広げながら、なびきが一同に促した。
「これに乗っかるのよねえ…。」
 目の前に広げられたのは、黄ばんだ四畳半くらいの大きさの白いぼろ布だった。魔法のじゅうたんだとなびきは言うが、どう見繕っても、いったんもめんにしか見えない。これが本当に、夜空を飛んで行けるのか、不安で仕方がなかった。

「さて、良いわね。出発するわよ。早く、乗りなさいな。夜明けまでに到着しないわよ。」

 まず、布の中央に極楽鳥をかしずいた月波が横たえる。極楽鳥の重みで苦しそうな頭を、枕の上に横たえている。東風が打った注射はまだ有効なのか、意識を取り戻すことなく、何をされても、昏々と眠り続けている。
 あかねの脇をすり抜けて、ルシがピョンっと布きれへと乗っかった。そして、あかねも早く来いと言わんばかりに、ぴょんぴょんととび跳ねて見せた。
 一抹の不安は残るものの、この布にゆだねるしか、他に手段はない。あかねは諦めにも似た心境で、ルシに続いて布の上の人となる。
「本当に、大丈夫なんでしょうね?」
 布に手を当てながら、しつこく問いかけるあかねに、
「赤ん坊はあんたが抱っこするか、添い寝してあげなさいよー。」
 と、なびきはにべもない。
 昼間、ルシや宿屋の女中たちに、たくさん遊んで貰ったのか、ミルクを飲ませると、赤ん坊はすっかり「お眠りモード」へと転じていた。宿屋の女将から貰った、古い煎餅布団を布の上に広げると、木賃宿のような感じに見えた。
 当然、布は薄いので、蒲団の上に座っても、ゴツゴツと石の感触が尻を刺激する。
「さあ、行くわよ。目標は、南の孤島、聖島。」
 なびきはじゅうたんに言い聞かせると、ゆっくりと上に浮き上がった。

「きゃっ、凄い、一応浮いたわ。」
 あかねが歓声を上げる。
 心もとない布きれであることには変わりないが、確かに、そのまま悠然と上空へ浮き上がり始めた。エレベーターよりもとろいが、ふわふわと上空へと上がっていく。
「できるだけ、中央へ寄っておかないと、落っこちるわよ。」
 なびきが注意する。
 見送る宿屋の人々が、だんだんと下に小さくなっていく。もう、あたりはすっかり薄暗くなっていたので、すぐに見えなくなった。代わりに、真正面に、セントラルパレスの不夜城が、煌々と明かりを灯してそびえ立っている。それすらも、だんだんに下に見下ろしていく。
「ねえ、不細工鳥、あんた、方向くらいはわかるわよね?」
 なびきが月波の頭の鳥へと話しかける。
「聖島はどっちかしら?」
 と、真顔で尋ねた。
「クエー!」
 一声、極楽鳥は啼いた。そして、嘴を、グイッと不夜城とは反対の方向へと指し示した。あたかも、あっちにあると言わんばかりにだ。

「まあ、夜目がきかない鳥が、どの程度正確に、聖島の位置を探し当てられるかは、わかったもんじゃないけど…。信用してあげるわ。」
 なびきは不細工鳥が示した方向を指さして、再び、じゅんたんへと命令した。

「四十万の夜王の名に従い、汝が主、天道なびきが命ずる。南十字星が照り輝く南の海原の孤島「聖島」へ向かって、いざ、飛べっ!」

 その言葉を聞くや否や、ビュンっと物理的な力が、あかねの体にかかった。

「きゃーっ。」
 思わず、じゅうたんの端へと流されそうになるのを、ぐっとこらえたほどだ。真ん中にいなければ、そのまま、下へまっさかさまに落っこちてしまったかもしれない。
 そのくらい、勢いよく、じゅうたんは飛び始めた。
「何、これっ!早すぎよーっ!」
 ジェット機の外に放り出されているような激しさだった。とても悠長に飛んでいますとは言い難い。
「たく、だらしないわねー!スピード感を楽しみなさいよ。」
 一方でなびきは上機嫌だ。
「これじゃあ、じゅうたん暴走族よーっ!息もできないじゃないのーっ!」
 冷たい風が頬を横殴りしていく。とても、優雅に飛んでいるという気分ではなかった。
「この、向かい風が気持ち良いのに…。」
 となびきは余裕だった。
「気持ち良いどころか、あたしまで、具合が悪くなりそうよ!赤ん坊も居るんだから、もうちょっとなんとかならないの?」
 あかねは文句を言った。
「たく、うるさいわねー!そんなに言うなら、あんたは蒲団にもぐって横になってなさい!どうせ、一晩中飛ぶんだから。」
 となびきが笑った。彼女は、明らか、超飛行を楽しんでいるようだった。
 ルシも楽しそうに、風を受けて、辺りをきょろきょろと見回している。
「ルシちゃん、あんまり身を乗り出したら、おっこちるわよ。あんたは、まん丸いんだから。」
 あかねがそれを咎めた。言っている矢先から、ルシファールが転げそうになる。
「ほら、危ないっ!ルシちゃん。」
 あかねは必死でスライムの体を掴んだ。ぬめっとしたスライムの感触ではあったが、咄嗟に、ルシの肉をつかんで、事なきを得た。そんな具合だった。
「このままだと、本当に飛ばされちゃうわよ!速度落とすか、何とかしてよー!」
 あかねが叫んだ。
「たく、これだから、スライムや赤子連れは、面倒なのよねえ…。ま。ある程度、妥協しなきゃ仕方ないか…。」
 なびきは、じゅうたんの脇にある、模様を何やらごそごそとまさぐり始めた。
「シールドを装着してあげるわ。これなら文句ないでしょう?」
 吹き付けていた風が、ピタリと止んだ。
「あれ?今、何かしたの?」
 あかねがなびきを不思議そうに見つめる。
「だから、シールドを張ってあげたのよ。これで、風は避けられるし、スライムが転がり落ちることもなくなると思うけど…。」
「もー。そんな便利な機能があるのなら、最初っからそうしてよね。」
「ほんと、あんた、文句が多いわよ、世話になっている身分で。」
 これ以上、口をはさむと、喧嘩になりそうだ。そう思ったあかねは、それ以上、気持ちを率直に言葉に載せることは慎んだ。と同時に、どっと疲れが溢れ出た。
「なびきお姉ちゃん、やっぱ、あたし、蒲団にもぐって休ませてもらうわ。」
 昼の間中、昼寝していたので、眠気はないが、昨夜は完徹しているので、精神的にも肉体的にも困憊(こんぱい)していた。こんな不安定な空飛ぶ絨毯の上でも、横になると、それなり眠れそうな気がした。
 飛行を楽しみたいという余裕など、どこにもなかった。暗い夜空の下、夜景を楽しもうにも、人家はほとんどないところを飛んでいるのだろう。見渡す限り、地平は単調な真っ暗闇だった。
「そうねー、素人は横になっているのが正解でしょうね。あたしも軌道に乗ったら、自動操縦にして、休むから、先に休んでなさいな。」
 となびきが笑った。
「自動操縦機能付きの魔法のじゅうたん…ねえ…。何だかなー…。」
 ちょっと不思議な気持ちもしたが、しっかり者のなびきに任せておけば、安心だろう。
「何か、まだ文句あんの?」
「い、いえ、別に…。さて、あたし、赤ん坊の添い寝がてら、横になるわ。おやすみなさい。」
 あかねはそそくさと、眠っている赤ん坊を蒲団の上に置き、自分も身体を横たえた。
 あかねのもう片方の片側には、ルシも一緒に布団へと潜り込んで来た。もそもそっと丸い身体をくゆらせて、ちゃっかりとあかねの脇へと陣取る。
「もう、ルシちゃんったら…甘えん坊ねえ…。」
 赤ん坊と競うかのように、コロンと彼も転がっているように見えた。クンクンと甘えるように、その頬をあかねの傍へと近づけてくる。眺めれば眺めるほど、愛嬌のある顔だった。それに、ぽわぽわんとして心地よい柔らかさだった。
 
 じゅうたんはかなりのスピードで飛んでいるのだろう。こんなにも薄い布きれで、よくぞまあ、空を猛スピードで駆けていけるものだと、感心しながらふうっと溜息を吐きだした。
 と、それにつられて、傍の赤ん坊が、クンと大きく背伸びをした。
(大人しい赤ん坊よねえ…。乱馬とは似ても似つかないわ…。)
 赤ん坊とは、こんなにも御しやすいものではないだろうに、この子は全くと言って良いほどぐずらないし、人見知りもない。
 ミルクを適当に良く飲み、排せつもそう多くはない。始終ご機嫌で、宿の女中さんたちも、育てやすい子だと、口をそろえて絶賛してくれた。
(本当に、この子…乱馬なのかしら…。)
 可愛い寝顔を横から眺めながら、そんなことを思いめぐらせる。父親の玄馬によれば、本物の乱馬は相当、やんちゃで世話を焼いたらしい。
(もっとも、ここは、作られた電脳世界の中だから…。大人しい性格設定に改められているのかもしれないけど…。)
 そんなことをつらつらと考えながら、あかねは赤ん坊の手を握りしめる。赤ん坊の手は温かい。
 もう片側からは、スライムのルシの柔らかい感触。
『たく、てめーは、ペットと子供には懐かれるんだなあ…。』
 そんな乱馬のつぶやきが聞こえてきそうな気がした。

(乱馬…。絶対に、戻してあげるから…。)
 そう、決意して、あかねは眼を閉じた。


 そのまま、どのくらい、魔法のじゅうたんは、飛行を続けていたのだろうか。

 気がつくと、空はすっかり、明けて明るくなっていた。

「もう、朝?」
 ゆっくりとあくびをして伸びあがると、先に、なびきが起き出していた。

「ゆっくり眠れたようね。その様子だと。」
 と声をかけてきた。
「おはよー、お姉ちゃんもちゃんと眠ったの?」
 あかねが問いかけると、なびきはにっこりとほほ笑んだ。
「勿論よ。徹夜するほど馬鹿じゃないわ。」
「で。一体、いつになったら、聖島に到着するの?」
 と肝心なことを尋ねてみた。
「さっきから、不細工鳥の様子が落ち着かないから、そろそろ到着するんじゃないかと思うんだけど…。」
 と、顎をクンと月波の方へ手向ける。
 確かに、月波の頭の上で、そわそわと極楽鳥が頭を持ち上げて、じゅうたんの進む方向をじっと見ているような気がした。

 クエー、くっくっ。クエー。
 と時々、奇妙な声を発している。
「ちょっと、鳥さん、月波が眠っているのだから、そんなに暴れないであげてよ。」
 とあかねが苦笑いしたくなるくらいだった。
「こ…ここは?」
 鳥の動きとあかねの声に、月波もやっと気を取り戻したようだ。
「あ、目が覚めた?月波。気分はどう?」
 とあかねが声をかける。
「最悪だぜ…。くらくらするし、力が全然入らねー。」
「ごめんね、あたしの気を思い切り体に取り込んだばっかりに…。」
 すまなさそうな表情をあかねが手向けると、月波は首を横に振った。
「おめーのせいじゃねーよ。おめーが俺を通してキングの野郎に気を与えなければ、あのとき、俺たちは負けていた。それに、おまえの気に対してここまで強い拒絶反応が出ることも見越した上の作戦だったんだから。気にすんな。」
 と、投げかける。
「でも…。」
「いいからいいから。それより、ここはどこだ?空、飛んでるのか?」
 月波が身体を起こそうとしたのを制して、あかねが答えた。
「ダメよ、起き上がっちゃあ。これから、聖島(ひじりじま)へ行くの。」
「聖島だって?」
 驚きの声を月波が張り上げた。
「え、ええ…。あれから、薬師に来てもらって、あんたの具合を見て貰ったら、聖なる泉の水で治すのが一番だろうっていう結論に達したのよ。」
 あかねがかいつまんで説明すると、だいたいの状況は把握できたのだろう。月波が呟くように吐き出した。
「そっか…。聖島か…。ま、この場合、仕方ねーか…。でも、聖島の場所、どうやって見つけ出すんだ?さまよう島と呼ばれていて、南の大海をあちこち浮かびながら彷徨ってんだぜー、聖島はよー。」
「さまよう島なの?」
 あかねがきょとんと声をかけた。
「その辺は、あんたの頭に居る、その鳥が道先案内してくれるらしいから、あんまり心配はしてないんだけど…。」
 夜がすっかり明けてしまうと、あたりの風景が開けた。そう、どこをどう見渡しても、青い海原だけが延々と続いている。その上空を、じゅうたんはひたすら飛び続ける。

 と、月波の頭の上の不細工鳥が、ひときわ大きな声で興奮して啼いた。

「クエーッ!」
 一方向を見定めて、強く啼く。

「ひょっとして、あっちの方向ね。じゅうたん、方向を嘴の先へ展開してちょうだい。」
 なびきがじゅうたんに命じる。と、じゅうたんは、大きく湾曲して、不細工鳥が指示した方向へと転換する。
 そのまま、しばらく飛び続けると、鳥はバタバタと落ち着きなく、身を乗り出す。そして、じっと、水平線のかなたを見つめる。

「あ…。あれは…。」
 なびきが先にその島を見つけた。
 
「あれって…。瓢箪(ひょうたん)型の島よねえ…。」
 目を凝らすと、水平線の辺りに、緑の山がこんもりと二つ、ヒョウタンを横から見たような形の島が浮かび上がった。
「確かに間違いないわ。伝説の島は瓢箪型ですもの。」
 なびきが嬉しそうに叫んだ。
「瓢箪型の聖島ねえ…。何か、イメージとは違うけど…ま、良いか。」

「魔法のじゅうたん。あの島の適当なところに降りてちょうだい。」
 なびきはゆっくりと絨毯をめぐらせて、島へと降りて行った。




つづく






 書いてる私は「ひょっこりひょうたん島」をかろうじて覚えている世代…。主題歌も歌えます…。お気に入りは「らいおんくん」。ドンガバチョも好きでした。
 一番必死で見ていたのは、「プリンプリン」かな?…「八犬伝」も好きだったけど…。



ここでこの話は一旦置かせてくださいませ。
続きはまだ考察しながら書いております…プロットをごそごそいじくっていて、人前に出せる状態にまで至っていない現状なので…。
月一回程度で更新していければ良いなあ…という希望で書き進めていきます。



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